死の床に、エッセイの価値を、教わった。

越庭 風姿【 人は悩む。人は得る。創作で。】

火★最近は小学校の理科の実験でホットプレートを使うらしい


「そういえば、うちはオール電化だから火を使わなくなったな」

 台所に立ったとき、ふと思った。

「そうだね。子どもが火を知らずに育つのは怖いね」

「クリスマスと誕生日ケーキのろうそくに火をつけるとき使ったな」

「キャンプとかあれば見るかも知れないけど」

「俺は小さい頃からガスコンロで、即席ラーメン作って食べてたよ」

 妻と台所にいるとき、こんな話題がのぼった。

「キャンプ場でカレーでも作りに行くか」

「カレーはキャンプの定番だね」

「キャンプ場へ行けば、材料も道具も全部あるから簡単だよ」

 最近の家はオール電化が増えてきた。

 我が家もオール電化なので、コンロはIHである。熱するとき赤い電気が光だけで火は出ない。

 火事になる心配は少ないだろうが、子どもが火を使うところを見る機会が極端に少なくなってしまった。

「最近は小学校の理科の実験で、ヒーター式のホットプレートが使われてるらしいよ」

「そうなのか。ホットプレートじゃ火が出ないな。そういえば、アルコールランプは安いけど引火する事故が多いらしいね」

「アルコールランプはアルコールの残りが少なくなると、気化したエタノールに引火することがあるらしいね」

「おれが小学校のとき、爆発してアルコールランプの芯が飛んだって聞いたことがある」

「でも、危険があるからといって、経験せずに大人になるのは怖い気がする」

 火の怖さを知らないことは、危険を感じないことである。

 火傷して熱い思いをしたり、失敗をしないとわからないことがたくさんあるだろう。

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