家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見

カミングアウト

カミングアウト


コンコンコン
「シオン様。夕食の準備が整いました。」
メアリーがドアの外から教えてくれたのでシオンは緊張の面持ちでダイニングに向かった。急いで向かうとまだ2人とも来ておらずドキドキしながら席に座って待っていた。
「すまん、遅くなったな。」
「シオン、ごめんなさいね。」
シオンが座ってから2人が来たのは5分後のことだった。
「いえ、大丈夫ですよ。」
アルフレッドとエミリアも席に着いたので夕食が始まった。3人のお皿の中身が残り1割ちょっととなったくらいだろうか。アルフレッドが口を開いた。
「シオン。話したい事ってのは何だい?」
アルフレッドとエミリアの視線がシオンの方へ向く。
「はい。実は...」
シオンは、神々にあったこと前世の記憶があることステータスをもう見ることが出来ることなどすべてを話した。
アルフレッドはポカンとしていたがエミリアはいつも通りのニコニコとした顔だった。
「そ、それは、本当なのかい?」
「はい。」
「あなた。多分シオンの言っていることは本当よ。」
アルフレッドの嘘じゃないかというシオンへの問いとは裏腹にエミリアは分かっていたかのような対応だった。
「そうはいってもな、エミリアは知っていたのかい?」
「ふふふ、これでも賢者として名を馳せていたのよ。自分の産んだ子の魂が子供にしては大きいことくらい容易に分かります。確かに前世の記憶があったというのは驚きました。でもその程度でしょう。シオンは私が産んだ子です。それに変わりはないでしょう。頭のいいシオンのことですからきっとこうやって私たちに言うことも相当勇気のいることだったと思いますよ。それを打ち明けてくれたってことは私たちを信頼してくれているということだと思いますよ。」
「確かにそうだな。ごめんなシオン。前世の記憶とか関係なく間違いなく俺たちの子だよ。」
シオンは涙が止まらなかった。打ち明けることで今までの関係が壊れるかもしれないと無意識のうちに思っていたのだろう。しかし、現実は温かみのあるいつも通りの対応だった。
「ありがとうございます。」
そう言うのが精一杯であった。
「久しぶりに泣いているところを見たわね。赤ちゃんの頃から手のかからないいい子だったけど、わがままを言ってもいいのよ。」
「はい。お母様。」
シオンは、エミリアに抱きしめられ胸の中で涙が枯れるまで泣いた。いつの間にか、アルフレッドも抱きしめていた。
泣きつかれたシオンは、2人に抱きしめられたまま寝息を立てて寝ていた。
「やっぱりまだ子供だわ。シオンには、いろいろ我慢させているかもしれないわね。」
「そうだな。これからもっともっと愛してあげればいいんじゃないか?」
2人は、シオンの寝顔を見ながらそう話し合った。シオンは、悩みがなくなったような清々しい顔になっているようにも見えた。






第1章 END





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