気付いたら、豪傑系悪役令嬢になっていた SE
閑話 神に愛されし娘
例の事件があってから、トキは我がビッテンフェルト家に住んでいる。
「もう用事が終わったのだから、封印せぬか?」
と、シュエット様はみもふたもない事を主張したが、それは流石に酷いので我が家にお迎えする事となったのだ。
その決定を受け止めた時。
シュエット様が作った戦慄の表情は忘れられない。
その日からか、シュエット様は今までの手の平サイズをやめた。
最近は人間サイズで屋敷を闊歩《かっぽ》している。
その日も、廊下を歩くシュエット様とばったり遭遇した。
「どうして、最近は大きいままなんですか?」
「実の所、ヤタからの信仰心があるゆえ前々からこの体を維持できるようにはなっていたのじゃよ」
「そうですか。でも、前の方が可愛かったのに」
「いや、質量は大事じゃ。ある程度体が大きくないと、抵抗できぬからな」
何に?
「シュエット〜」
声がする。
瞬間、シュエット様の体がびくりと震えた。
声のした方を見ると、笑顔のトキが軽やかな足取りでこちらに歩いてきていた。
「すまんが、ワシはもう行く」
呼ぶ声を無視して、シュエット様は踵を返す。
トキから逃げるように、彼女とは反対方向へ早歩きし始めた。
「やぁ、クロエくん。また後でね」
そう言ってトキが私の横を通り過ぎ、逃げたシュエット様を追いかけた。
と、女神二人は日々を元気に過ごしている。
そんなある日。
リビングに入ると、ヤタとトキが一緒にいた。
おもむろにトキがヤタの首筋に顔を近づける。
「君から、シュエットの匂いがする……」
トキのそんな声が聞こえた。
「? 長い間、一緒にいましたから」
「ふぅん、そうなんだ……」
これは……大丈夫だろうか?
シンジャエバインダーが発動しそうな気配だ。
このまま中に誰も居ない事を確認されないだろうな?
念のため、いつでもクロエ・ジ・アバターを出せるようにしておかないと。
すると、リビングににゅるりとシュエット様が現れた。
「その子はワシの巫女じゃ。匂いがして当然じゃろう」
「巫女?」
「害するような事はするでないぞ?」
言いながら、シュエット様はヤタと腕を組んで自分の方へ引き寄せた。
「へぇ、そうなんだ」
沈黙……。
ややあって……。
トキもヤタの腕に抱きついた。
「トキ様?」
両手を女神様に組まれ、困惑した様子のヤタ。
「シュエットの巫女という事は、僕の巫女と言っても過言では無いね」
「いや、待て。その理屈はおかしい」
「僕の巫女だと言うなら、僕もこの子を好きにしていいかな」
「だからその理屈はおかしいと言うとろうが!」
両手に花だね、ヤタ。
ラノベの主人公みたいだよ。
トキがヤタ首筋へ顔を近づける。
「良い匂いだ……。シュエットとはちょっと違うけど、シュエットを近くに感じられるようだよ。本人は嫌がって、満足に感じられないからこれはいい……っ」
「え、あの……」
クンクンと自分の首筋を嗅ぐトキに、ヤタが体を強張らせる。
「間接的にワシを感じるでない! 普通に嗅がれるより気色悪いわ!」
「じゃあ、直接」
「止《よ》せ!」
トキがシュエット様の方に行った。
よかった。
「へぇ、じゃあ小生も彼女を巫女にしようか」
嫌な声がした。
見ると、ヤタのそばにいつの間にか黒衣の女神が立っていた。
カラスだ。
「え? あなたは?」
唐突な出現に、ヤタが困惑して訊ね返す。
「女神のカラスというものだよ」
「女神様ですか。ヤタ・ビッテンフェルトと申します」
「丁寧ないい子だねぇ」
ヤタはこいつが何をやったか知らないからね。
神様だから、丁寧な対応を心がけたのだろう。
「やぁ」
手を上げて笑顔で挨拶するカラス。
「「オラァ!」」
クロエ・ジ・アバターが私から飛び出し、カラスの胸ぐらを掴んだ。
「母上!?」
ヤタが驚いた声をあげる。
ヤタはよくても私はこいつが嫌いだ。
「何故ここにいる?」
「遊びに来た!」
「カエレ!」
「それはできないなぁ」
言って、カラスはクロエ・ジ・アバターの手を胸ぐらから払い落とした。
「何故?」
「そもそも小生には家がないからだ!」
「じゃあ、出ていけ!」
言うと、カラスはリビングのソファーへ座った。
そのまま寝そべる。
「ふかふかだねぇ。こうしてゆっくり寝そべるなんて久し振りだ。小生は倭の国において有名な女神だ。小生を祀る神社もいくつかある。でも、小生が社の中で寝ていると神主に追い出されるのだよ? こんな話があるかい?」
知らんがな……。
「そりゃあ、誰かわからん女が勝手に寝ていたら追い出されるだろうよ」
「小生を祀っているというのに、名乗っても信じてもらえないし。そのうえ、医者に連れて行かれた事だってある」
残当である。
「社に寝そべっていた奇抜な格好の女が、自分は神だと名乗ればそりゃあ頭がイカれてると思われるよ。むしろ、医者に連れて行ってくれた神主さんはいい人だったんじゃない?」
「この格好が奇抜だって? ふふん、これは運命を読んで知り得た未来の服装だぞ。新進気鋭で最先端のお洒落ファッションなのだよ。それが何故わからない?」
ああ、運命で読んだのか。
「そんな事はいい。どうして、お前までヤタを巫女にしようとする?」
「決まっているじゃないか。面白そうだからだ!」
クワッ! と目を見開いてカラスは言い切った。
クロエ・ジ・アバターがカラスの体を抱え上げ、窓へ向けて放り投げた。
窓ガラスが割れ、カラスが外へ放り出される。
「母上!? 相手は女神様ですよ!」
「あいつは邪神だからいいの!」
驚くヤタに返す。
不意に、クロエ・ジ・アバターが何かに気付いて振り返る。
「まぁ、とにかく」
その方向から声がする。
見ると、カラスがさっきのソファーに寝そべっていた。
「小生は退屈が嫌いだ。退屈を紛らわせるためなら、なんだってしよう。本当はどうでもいいと思っている、神の領分を引き合いに出してでも退屈を潰せる機会は多く作りたい」
つまり、前の事柄も暇つぶしでしかなかったと……。
あの怒りも、絶望も、そんな事のためだけに味合わされたのか。
「てめぇ……」
やっぱり、私はこいつが嫌いだ。
「安心したまえ。今の君をどうこうしようとは思わんさ。小生だって、消滅の危機を犯してまで享楽に狂ってはいないからね。君があの子の命を助けたって、何もしなかったろう?」
あの馬車に轢かれそうになっていた子の事か。
「……それは、もう私に玩具としての価値がないって事だろう? だったら、さっさとこの国から出て行けばいいじゃないか」
「いや、君になくともこの国には価値がある」
「何だって?」
それはなんだ?
また、似たような事件を起こすつもりなのか?
私は警戒する。
にやりと笑うカラス。
そして、答えた。
「だってこの国には、ゲームがあるからね」
「えー?」
思いがけない言葉に、私は気の抜けた声を漏らした。
「格闘ゲームって超楽しいよね」
「それは、確かに楽しいけど」
「あれは他の国にない画期的な娯楽だ。少し前にあれが出回るようになって、小生あれの虜なのだ。ゆえに、今からやらないか? お前があれを作った事は知っている。この屋敷にもあるのだろう?」
楽しそうなカラスに対して、私は微妙な表情でその様を見る事しかできなかった。
「何じゃ、カラスがおるではないか」
疲弊した様子のシュエット様と満足げなトキがこちらに寄ってくる。
「本当だ。久し振りだね。カラス」
「久し振り、相変わらず君はシュエットが大好きなんだなぁ」
「まぁね。君はどうしてここに?」
「ふふん、それは……」
言いながら、カラスはヤタへ流し目をくれる。
スッとヤタへ近寄った。
肩に腕を回す。
「この子を小生の巫女にしようと思ってね」
「なんじゃと? 許さんぞ!」
「小生は君にとって上位に位置するのだ。なら、君の巫女は小生の巫女も同然ではないか」
どこのガキ大将だ。
「この子が小さい頃からワシが面倒見てきたのじゃ。もはや、ワシが母親と言っても過言ではない!」
「待った! 異議あり! くらえ! それは聞き捨てならない。その子の母親は私だ」
「「ドラァ!」」
シュエット様の発言に私とクロエ・ジ・アバターが反論する。
「待った。その子は僕の巫女でもあるんだ」
トキが口を挟む。
「お前は関係なかろう!」
「いや、こんなシュエットの匂いがして従順な子を君達だけに渡せない」
こいつには一番渡してはならない気がする。
「ふん、意見が割れたね。こうなったら、勝負して決めるしかないな?」
「勝負じゃと?」
カラスが発言し、シュエット様が応じる。
「だが、君達と小生では力の差がありすぎる。だから、ここはゲームで決めようじゃないか」
「いいじゃろう! 望む所じゃ!」
売り言葉に買い言葉というふうに、シュエット様が答える。
カラス。
あんた誰かとゲームしたかっただけやろ?
「ゲームが何かは知らないけれど、僕もそれで構わないよ」
トキも応じる。
「行くぞ、クロエ!」
シュエット様が勢い込んで、リビングから出ていく。
「ふふふ、楽しくなりそうだ」
カラスにまんまとはめられた感じなのは癪だが……。
でも、確かにちょっと楽しそうだ。
「ヤタも一緒に行こう?」
「あ、はい」
私はヤタに声をかけて、一緒に部屋を出た。
その後女神達で、ヤタを巡ってめちゃくちゃ格闘ゲームした。
「もう用事が終わったのだから、封印せぬか?」
と、シュエット様はみもふたもない事を主張したが、それは流石に酷いので我が家にお迎えする事となったのだ。
その決定を受け止めた時。
シュエット様が作った戦慄の表情は忘れられない。
その日からか、シュエット様は今までの手の平サイズをやめた。
最近は人間サイズで屋敷を闊歩《かっぽ》している。
その日も、廊下を歩くシュエット様とばったり遭遇した。
「どうして、最近は大きいままなんですか?」
「実の所、ヤタからの信仰心があるゆえ前々からこの体を維持できるようにはなっていたのじゃよ」
「そうですか。でも、前の方が可愛かったのに」
「いや、質量は大事じゃ。ある程度体が大きくないと、抵抗できぬからな」
何に?
「シュエット〜」
声がする。
瞬間、シュエット様の体がびくりと震えた。
声のした方を見ると、笑顔のトキが軽やかな足取りでこちらに歩いてきていた。
「すまんが、ワシはもう行く」
呼ぶ声を無視して、シュエット様は踵を返す。
トキから逃げるように、彼女とは反対方向へ早歩きし始めた。
「やぁ、クロエくん。また後でね」
そう言ってトキが私の横を通り過ぎ、逃げたシュエット様を追いかけた。
と、女神二人は日々を元気に過ごしている。
そんなある日。
リビングに入ると、ヤタとトキが一緒にいた。
おもむろにトキがヤタの首筋に顔を近づける。
「君から、シュエットの匂いがする……」
トキのそんな声が聞こえた。
「? 長い間、一緒にいましたから」
「ふぅん、そうなんだ……」
これは……大丈夫だろうか?
シンジャエバインダーが発動しそうな気配だ。
このまま中に誰も居ない事を確認されないだろうな?
念のため、いつでもクロエ・ジ・アバターを出せるようにしておかないと。
すると、リビングににゅるりとシュエット様が現れた。
「その子はワシの巫女じゃ。匂いがして当然じゃろう」
「巫女?」
「害するような事はするでないぞ?」
言いながら、シュエット様はヤタと腕を組んで自分の方へ引き寄せた。
「へぇ、そうなんだ」
沈黙……。
ややあって……。
トキもヤタの腕に抱きついた。
「トキ様?」
両手を女神様に組まれ、困惑した様子のヤタ。
「シュエットの巫女という事は、僕の巫女と言っても過言では無いね」
「いや、待て。その理屈はおかしい」
「僕の巫女だと言うなら、僕もこの子を好きにしていいかな」
「だからその理屈はおかしいと言うとろうが!」
両手に花だね、ヤタ。
ラノベの主人公みたいだよ。
トキがヤタ首筋へ顔を近づける。
「良い匂いだ……。シュエットとはちょっと違うけど、シュエットを近くに感じられるようだよ。本人は嫌がって、満足に感じられないからこれはいい……っ」
「え、あの……」
クンクンと自分の首筋を嗅ぐトキに、ヤタが体を強張らせる。
「間接的にワシを感じるでない! 普通に嗅がれるより気色悪いわ!」
「じゃあ、直接」
「止《よ》せ!」
トキがシュエット様の方に行った。
よかった。
「へぇ、じゃあ小生も彼女を巫女にしようか」
嫌な声がした。
見ると、ヤタのそばにいつの間にか黒衣の女神が立っていた。
カラスだ。
「え? あなたは?」
唐突な出現に、ヤタが困惑して訊ね返す。
「女神のカラスというものだよ」
「女神様ですか。ヤタ・ビッテンフェルトと申します」
「丁寧ないい子だねぇ」
ヤタはこいつが何をやったか知らないからね。
神様だから、丁寧な対応を心がけたのだろう。
「やぁ」
手を上げて笑顔で挨拶するカラス。
「「オラァ!」」
クロエ・ジ・アバターが私から飛び出し、カラスの胸ぐらを掴んだ。
「母上!?」
ヤタが驚いた声をあげる。
ヤタはよくても私はこいつが嫌いだ。
「何故ここにいる?」
「遊びに来た!」
「カエレ!」
「それはできないなぁ」
言って、カラスはクロエ・ジ・アバターの手を胸ぐらから払い落とした。
「何故?」
「そもそも小生には家がないからだ!」
「じゃあ、出ていけ!」
言うと、カラスはリビングのソファーへ座った。
そのまま寝そべる。
「ふかふかだねぇ。こうしてゆっくり寝そべるなんて久し振りだ。小生は倭の国において有名な女神だ。小生を祀る神社もいくつかある。でも、小生が社の中で寝ていると神主に追い出されるのだよ? こんな話があるかい?」
知らんがな……。
「そりゃあ、誰かわからん女が勝手に寝ていたら追い出されるだろうよ」
「小生を祀っているというのに、名乗っても信じてもらえないし。そのうえ、医者に連れて行かれた事だってある」
残当である。
「社に寝そべっていた奇抜な格好の女が、自分は神だと名乗ればそりゃあ頭がイカれてると思われるよ。むしろ、医者に連れて行ってくれた神主さんはいい人だったんじゃない?」
「この格好が奇抜だって? ふふん、これは運命を読んで知り得た未来の服装だぞ。新進気鋭で最先端のお洒落ファッションなのだよ。それが何故わからない?」
ああ、運命で読んだのか。
「そんな事はいい。どうして、お前までヤタを巫女にしようとする?」
「決まっているじゃないか。面白そうだからだ!」
クワッ! と目を見開いてカラスは言い切った。
クロエ・ジ・アバターがカラスの体を抱え上げ、窓へ向けて放り投げた。
窓ガラスが割れ、カラスが外へ放り出される。
「母上!? 相手は女神様ですよ!」
「あいつは邪神だからいいの!」
驚くヤタに返す。
不意に、クロエ・ジ・アバターが何かに気付いて振り返る。
「まぁ、とにかく」
その方向から声がする。
見ると、カラスがさっきのソファーに寝そべっていた。
「小生は退屈が嫌いだ。退屈を紛らわせるためなら、なんだってしよう。本当はどうでもいいと思っている、神の領分を引き合いに出してでも退屈を潰せる機会は多く作りたい」
つまり、前の事柄も暇つぶしでしかなかったと……。
あの怒りも、絶望も、そんな事のためだけに味合わされたのか。
「てめぇ……」
やっぱり、私はこいつが嫌いだ。
「安心したまえ。今の君をどうこうしようとは思わんさ。小生だって、消滅の危機を犯してまで享楽に狂ってはいないからね。君があの子の命を助けたって、何もしなかったろう?」
あの馬車に轢かれそうになっていた子の事か。
「……それは、もう私に玩具としての価値がないって事だろう? だったら、さっさとこの国から出て行けばいいじゃないか」
「いや、君になくともこの国には価値がある」
「何だって?」
それはなんだ?
また、似たような事件を起こすつもりなのか?
私は警戒する。
にやりと笑うカラス。
そして、答えた。
「だってこの国には、ゲームがあるからね」
「えー?」
思いがけない言葉に、私は気の抜けた声を漏らした。
「格闘ゲームって超楽しいよね」
「それは、確かに楽しいけど」
「あれは他の国にない画期的な娯楽だ。少し前にあれが出回るようになって、小生あれの虜なのだ。ゆえに、今からやらないか? お前があれを作った事は知っている。この屋敷にもあるのだろう?」
楽しそうなカラスに対して、私は微妙な表情でその様を見る事しかできなかった。
「何じゃ、カラスがおるではないか」
疲弊した様子のシュエット様と満足げなトキがこちらに寄ってくる。
「本当だ。久し振りだね。カラス」
「久し振り、相変わらず君はシュエットが大好きなんだなぁ」
「まぁね。君はどうしてここに?」
「ふふん、それは……」
言いながら、カラスはヤタへ流し目をくれる。
スッとヤタへ近寄った。
肩に腕を回す。
「この子を小生の巫女にしようと思ってね」
「なんじゃと? 許さんぞ!」
「小生は君にとって上位に位置するのだ。なら、君の巫女は小生の巫女も同然ではないか」
どこのガキ大将だ。
「この子が小さい頃からワシが面倒見てきたのじゃ。もはや、ワシが母親と言っても過言ではない!」
「待った! 異議あり! くらえ! それは聞き捨てならない。その子の母親は私だ」
「「ドラァ!」」
シュエット様の発言に私とクロエ・ジ・アバターが反論する。
「待った。その子は僕の巫女でもあるんだ」
トキが口を挟む。
「お前は関係なかろう!」
「いや、こんなシュエットの匂いがして従順な子を君達だけに渡せない」
こいつには一番渡してはならない気がする。
「ふん、意見が割れたね。こうなったら、勝負して決めるしかないな?」
「勝負じゃと?」
カラスが発言し、シュエット様が応じる。
「だが、君達と小生では力の差がありすぎる。だから、ここはゲームで決めようじゃないか」
「いいじゃろう! 望む所じゃ!」
売り言葉に買い言葉というふうに、シュエット様が答える。
カラス。
あんた誰かとゲームしたかっただけやろ?
「ゲームが何かは知らないけれど、僕もそれで構わないよ」
トキも応じる。
「行くぞ、クロエ!」
シュエット様が勢い込んで、リビングから出ていく。
「ふふふ、楽しくなりそうだ」
カラスにまんまとはめられた感じなのは癪だが……。
でも、確かにちょっと楽しそうだ。
「ヤタも一緒に行こう?」
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