追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活

ヒーター

幕間的なモノ:ポロリもあるよ。男湯版


幕間的なモノ:ポロリもあるよ。男湯版


「あ゛ー……」
「あ゛ー……」
「あ゛ー……」
「……ヴァーミリオン、アッシュ、シルバ。お前ら、年寄り臭いぞ」
「仕様が無いじゃないかシャルー……色々あってようやく温泉に入れたんだからー……」
「そうですよー……はぁ、気持ち良い……普段の変態達の後始末後に毎日入りたい……」
「生身でやった反動の筋肉痛によく効くな……」
「気持ちは分かるが……しかし、深夜とはいえこんな広い温泉を私達だけとなるとは贅沢な話だ」
「他の学園の皆さんが気を使ってくれたんでしょうね」
「うんうん、当事者で被害者の僕達は少しくらいはゆっくりする権利があるってね」
「エクルの奴も入れれば良かったんだがな」
「仕様が無いだろう。無事であり回復はしたが、大分酷い怪我であったのだから安静にせねばな」
「そうだけど、その酷い怪我をメアリーさんとクリームヒルトの奴が二人で作った薬で凄く回復しちゃったの凄すぎない?」
「材料さえあれば本当に色んな物を作れますね、あの二人は……しかし、あのエクル先輩があんな怪我をするなど、どんな攻撃だったんです?」
「そうだな……母上の聖槍の一撃を覚えているか?」
「忘れる訳ないよ、あの一撃は……え、それレベルなの?」
「そうだな。エクルが原型を留めていて良かったよ」
「それはエクルの防御魔法が凄いのを褒めるべきなのか、コーラル王妃の強さを賞賛すべきなのか、あのレベルの技術力があったメアリーの前世を恐れるべきなのか迷うな……」
「というかそのレベルの直撃を受けた怪我を治したメアリーさん達はなんなんだろう……」
「メアリー達に理屈が通じるとでも?」
「……そうだね」
「……そうですね」
「……そうだな」
「……俺が言っておいてなんだが、誰か否定しろ」
「無理。あ、理屈が通じないと言えば、アイツらは結局どうなったの?」
「アイツらと言うと?」
「ほら、僕達が戦った奴ら、封印されていたとかいう奴らとか、バレンタイン一族。僕も後始末は色々やってたけど、その辺りは結局貴族そっちの仕事の範疇だったし」
「白衣の女性は遺跡の奥へのルート開拓と、研究機関への協力を条件に罪を不問にする方向性です」
「へぇ。……まぁアイツはなんか昔色々あったっぽいしなぁ……いや、古代技術での世界征服は同情できないけど」
「ただ“怠惰に過ごしたい!”と言って寝ながら研究する環境を要求しているので困ってます」
「なにやってんだアイツ。立場分かっているのかな」
「中年の蠅の男は能力封印措置後に、監視下の元魔法研究の方へあてられるそうだ。美味い食事を貰えれば充分とかは言っていたが、叶えられるかは知らん」
「へぇ、大丈夫? 時間を操ったりヤバい能力っぽいし、変な研究に使われたりしない?」
「そこは私の母を信じてもらうしかないが……ただ、母がなにやら“身体を蠅で作れるという事は、理想の肉体を……?”と呟いていたのが気になるな」
「よく分からないけど、大丈夫それ?」
「自称先祖の夢魔族の女は……アイツは……アイツ、は……」
「ど、どうしたのヴァーミリオン、温泉に入っているのになんか冷や汗を掻いてない!?」
「気のせいだ。……まずは王族の歴史のすり合わせ確認をしたら、その後有害でない事を判断された場合は……」
「場合は?」
「……王都の歓楽街にある娼館勤めを希望している」
「なんでだよ」
「普通の食事も出来るそうなのだが、定期的に性的欲求を食事としなければ力が暴発して、魔力を封印していてもショクで使ったような欲望解法魔法が発動するようだ。それが事実の場合、魔力を封印した後互いが利益の出るそっちの方が良いのではと話が進んでいる状況だ。……まだ確定ではないがな。そう、確定では無いんだ……!」
「おお、大変そうだねヴァーミリオン……ほ、他のヒトについて話そう!」
「クロガネ氏は事情聴取後、禁術を使った扱いで服役しそうだが、スカイの奴が減刑を働きかけている所だ」
「へぇ、まぁ被害者な部分もあるから減刑は可能そうだけど」
「そうだな。ただスカイに殴られた記憶が鮮明に残っていて、それを愛と思っているのか“痛みを伴う刑ならドンと来いだ!”と言っているそうだ」
「なにがしたいんだろうね」
「あと、バレンタイン夫妻に関しては……まだ分かりませんね」
「分からない?」
「利権と家庭の事情です」
「ああ、貴族の面倒くさい奴の最たる奴か。そういうのを聞くと平民で良かったと思うよ。…………ただ、クチナシさんの事が分かったら教えてね?」
「どうしました、クロガネ様のようにクチナシ様に殴られて惚れましたか?」
「違うよ!? ただ処遇が気になるだけで、僕はメアリーさん一筋だ!」
「私だってそうですよ!」
「俺もそうだ!」
「お前ら、隣の女湯ではメアリー達が今入っているから」
「良いかお前ら、俺はもう迷わないと決めた。ライラック公爵子息に宣言し、愛と勇気を見せた以上はこれからもっと攻めていく! お前らなんて付け入るスキは無いとしるんだな!」
「おーい、聞いてるかー?」
「はっ、それを言うなら僕だってもう迷わないさ! ここに来るまではなんか気持ちも沈んでいたけど、僕は堂々とメアリーさんに好意を示して通じさせてみせる! 結ばれるのは貴族なんて面倒な世界に行かなくて済む僕とだ!」
「ふ、甘いですねシルバ。そしてヴァーミリオンも。私は愛の力をもって素手で強き者達に勝った男! 一皮むけた今の私が今までと同じと思ったら大間違いです! 勝つのは私です!」
「俺だ!」
「僕だ!」
「私だ!」
「…………。ふぅ、良い湯だな。あとお前ら、そのまま立ち上がるな。クリームヒルトに唆されて女性陣が覗きをしているかもしれんぞ?」

『シャル君、まだ覗いてないよー! ポロリはしているなら興味はあるけどね!』

「…………ポロリってなんだ」

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