追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活

ヒーター

伝えたいけど伝えられない(:紺)


View.シアン


 ふわふわしてなんだか落ち着かない。
 それがコンテストで着たワンピースの感想だ。
 スカート部分は丈が普段着ているシスター服とそう変わらないのだが、なんというかこう……足が心許なく感じる。
 今もこうして歩いている訳だが、こう……上手く言い表せられないが落ち着かないのだ。風が吹けばスカート部分がふわっと浮いて色々と浮いて見えそうな。あるいは走っても靡いて見えそうな、普段の私らしさを出せないような感覚だ。

「いや、普段だって君は深いスリットを入れているじゃないか。見えるかどうかの心許なさで言えば、あちらの方が見えそうに思わないのかい?」
「アレは可愛いし、材質とか構造的に見え辛いから良いの」
「そうかい……」

 一度互いの服などを置きに戻った教会の礼拝堂にて、帰る途中に何故か色々とお祝いの品を貰って神父様が片付けている間に、祈りを捧げていた同じ服を着るシュバルツシューちゃんにその事を話すと、何故か普段のシスター服について突っ込まれた。
 シスター服は普段だと動き辛いから、動きやすいように可愛いスリットを入れるのはおかしくない事なのに、何故不思議がるのだろう。


「ところでコンテストが終わって色々貰っていたみたいだけど、なにかあったのかな。神父君の誕生日とか?」
「……なんかこの間のデートも含めて、今回の神父様の審査員としての反応で“付き合っているのはシアンの妄想じゃなかった!”って思われたらしくて、お祝いの品を渡されて……」
「……そうかい」

 私の言葉にシューちゃんはただ納得の言葉と共に頷いた。
 下手な言葉は私を傷つけるだけだと分かっているのだろう。流石は商人と言えよう。
 ちなみにお祝いの品は大部分を神父様が持ってくれて、今片付けている。率先してそういう事をしてくれるなんて優しい。好き。
 私には手伝うよりお客様達を相手して欲しいと言ってくれて、私に気負わせない様に重いモノの片付けなどを引き受けてくれるなんてなんて紳士的か。今の服装も相まってさらに好き。

「しかし、うーん……世の女性はこういうのを着ているのか……相変わらず弱そう。もっと動きやすく機動力に長けて、可愛い服を……」
「まず服を強い弱いで判断する時点でおかしいからね」

 一般的にこういう服を“女の子らしい”と言うのだろうし、神父様が数ある中から選んだ服なのだから着続けたいのだが……私には似合わないという思いが強いのである。
 私にはあのピシッとしたシスター服が性に合っているようだ。それに……

「こういう所でクロの服に慣れてしまった感があるなぁ……」
「クロ兄様の服?」

 私の呟きに、静かな所でゆっくりしたいと言って礼拝堂に居たカラスバ君カラ君が反応をした。
 先程まで女二人の会話に入れなくて困っていたが、肉親の話題が出た事によりが入れたようである。

「クロ兄様の服がどうなされたのでしょう。あ、クロ兄様は裁縫が得意でしたし、私服などを縫っておられたので?」

 得意って言うか、クロの場合は本職だったらしいけどね。あくまでも弟のカラ君には裁縫が得意、程度しか見せていなかったのだろうけど。

「いんや、シスター服も含めてクロの手が全部入ってるよ。そのお陰で、この市販のワンピースはサイズは合っているけど……うん、凄く違和感がある。多分クロと会う前だったら思わなかったんだろうけどさ」
「クロ兄様の腕が、シアンさんの身体に合った調整を完璧にこなすほどよろしかったという事なのでしょうか?」
「そうだね。ほら、私達って下着着用禁止じゃん? で、それだと動き回ると胸とか結構痛いの。ブラ付けると押さえられるっぽいけどさ」
「え!? え、ええ、そうでしょうね。私には分かりませんが、女性には避けて通れないモノと妹を見ていると思います」
「でもクロはあのシスター服にブラをしていると変わらない様に抑えたり、擦れない様にする細工を施しているの」
「す、擦れ……」
「だから、そういった細工が施していないこういう服に違和感が……はっ! 世の女性はブラをつける事によって強い分、外が弱くて大丈夫という事なの……!?」
「だから強弱で服を語らない」

 クリア教の教えである以上は別に下着着用禁止に文句は言う気はない。そもそも私にとっては下着を着る方が違和感があるし、偶に押さえはするし。
 だが見えない所で強くある分、見える部分で可愛いに全振りしても問題ないというのは盲点だったかもしれない。

「くっ、これじゃあ可愛いスリットだけでは勝ち目がないのかもしれない……!」
「なにに勝とうとしているのかな」

 それは勿論神父様にである。
 あの自他問わず感情に疎い神父様にはより強いアピールをしなければ、可愛いとか格好良いとか好きとかを思って貰えなくなってしまう。なにせ数年アピールしても妹としか見られなかったからね! でもそんな神父様も好き。
 ともかく神父様に勝つためには、私なりの強みを生かさなくては。この服を着る私を神父様は褒めてくれたが(褒めた時を思い出すと照れるので思い出さない)、もう一押ししなければいけない。
 なにせあの時の神父様はクロ達のような照れは無かった。神父様を照れさせるためには、あの結果発表待機中のようにもう一押ししなければならない。
 もう一押し、もう一押し……私の強みを生かした、もう一押し……そう、見えない所が弱くても――はっ!

「カラ君。男の子視点で答えて欲しいんだけど、私このワンピース可愛い? それとも綺麗や妖艶?」
「そうですね……可愛い、ですかね」
「そう。じゃあエロさを出せばギャップで良い感じという事だね」
「はい?」
「実は私、この服しか着ていないの。下着ないから捲くれば全裸なの」
「ごふっ!?」

 お、反応がクロっぽい。流石は兄弟である。

「な、なにを……!?」
「下着を着用していないという事は、見えない所のガードは甘い……揺れるしチラ見せは可愛いの中に見える妖艶さに他ならないと思うの。つまりはギャップ! 男の子はギャップ好きでしょう!?」
「確かに好きではありますが……!」

 やはりそうか。
 ふふふ、私はイオちゃんほどではないけど、揺れる分にはあるにはある。
 なんか男の子は胸が揺れるのが好きであるとイオちゃんも言っていた。ちなみにイオちゃんはそのせいで胸元の露出を控えるようにしたらしいが。
 私も他の男に見られるのは嫌ではあるが、神父様になら見られても良い。というか見てくれなかったら女として魅力が無いと思われているようで凹みそうだ。

「ふふふ、やってやる……!」

 だが勝負無くして勝利も無い。
 凹みを気にしてアピールせずしてなにが神父様の彼女か。彼女という立場に甘えて何もせずに居るのは愚の骨頂。神父様が戻り次第アピールしてやる……!

「カラスバ君、賭けないか?」
「賭けですか?」
「うん、シアン君がアピール出来るかどうか」
「え、上手く行くか行かないか、ではなく?」
「ははは、その前が出来るかどうかすら分からないんだ。だから賭けになるんだよ。ちなみに私は直前に出来ないに賭ける」
「おいコラシューちゃん。喧嘩売ってるなら買うよ」
「売ってない、賭けてるんだ」
「やかましい」
「は、はは……」

 私だって神父様の彼女なんだ。
 皆に隠れてスノー君と呼んだりする仲なんだ。私だって昔のような私じゃない。
 アピールくらい出来る!

「さぁ想像しよう。神父君相手にアピールしようと近付いた所で、いつもより心許ない足元や風の感触に尻込みしてしまった。そこでどうしたのかと神父君が近付くと同時に、自身のガードがいつもより甘く、近付かれるといつもより薄い布一枚でいつもより体温を感じる。そしてクロ君の手が施されていない服を着て、胸とか鎖骨とかがいつもより形状が分かる事に気付き、身体のラインがいつもと違った目で見られる場面を想像するんだ!」

 …………着替えようかな。
 なんだか恥ずかしさが勝ってきた気がする。

「……ふふ」

 私がなんとなく胸元を抑えていると、笑い声が聞こえて来た。
 くっ、笑うが良い。想像するだけで恥ずかしがる惨めな私を笑うが良い。だけど笑うからには相応の覚悟をして貰おう!

「あ、申し訳ございません。笑うなんて失礼でした」

 って、あれ。笑っていたのはカラ君だった。
 てっきりシューちゃんが私を哀れんで笑っているかと思ったけど、まさか彼が笑うなんて。

「ふふふ、そんなにも私が惨め……?」
「そ、そういう事ではありません! ただ微笑ましいと言うか、羨ましくてつい笑みが……!」

 羨ましい? 何故このタイミングで羨ましいなんて思うのだろうか。

「何故今の彼女を見て羨ましいなんて思ったのかな、カラスバ君」
「実は……そんな風に相手のためにアピールしたいと思ったり、好きゆえに恥ずかしがってしまう、という事が羨ましく思いまして……」

 そのように言うカラ君は、何処かこの場には居ない誰かを思っているようであった。ええと、つまり……

「もしかして、カラ君の婚約者関連?」
「…………はい」

 私が予想を立てると、カラ君は少し悩んだ後に肯定した。
 確か彼は卒業後に同じ年齢の男爵家の子と結婚する事は決まっているそうなのだが、その婚姻は元々父親が無理に決めたモノ……だったか。

「婚約が決定した当初は彼女に酷く嫌われてまして……今ではそれなりに打ち解けては居るのですが、それでも壁を感じるのですよ」
「壁?」
「ええ、無理して好きでいようとしている、という壁が」
「良ければ私が話を聞こうか? シスターとして相談に乗るよ」
「それなら私は席を外すが」
「いえ、シュバルツさんは……そうですね、相談しても良いでしょうか。シュバルツさんもお聞きくださると嬉しいです」
「聞きましょう」
「君が良いなら私も聞こう」

 そう言うと私は服は違うが仕事モードになり、背を正して相談を受ける状態になる。

「私の婚約者……ナ――いえ、パールなのですが」

 聞けばパールという名の婚約者はカラ君をひどく嫌っていたようだ。
 本人の意思を考えない無理な婚約。
 シャトルーズ君のような武芸者が好きだったらしいのだが、それとは正反対の実務向けな性格と能力のカラ君。
 性格も相性が悪く、前を行くような性格が好きなパールちゃんに対し、引っ張るタイプではないカラスバ君は好ましくなく、入学当初から決まっていた婚約者だが、「いつか破棄してやる」と言われるほどには本当に嫌われていたそうだ。
 だがどうにか年数をかけて打ち解けていき、パールちゃんも最初嫌っていた発言を謝り、休みが合えば出かける程度には仲良くはなった。

「ですが、私が打ち解けた理由もお父様に仲良くしろと言われたからで、好きという理由で打ち解けようとしたんではないんです」

 その辺りは貴族の政略関連だから仕様が無い部分もあるのだろう。
 しかしカラ君も年月を重ねて今では彼女の事を好ましくは思っているし、女性として好きかと問われれば好きではあるらしい。
 しかし“婚約者だから、仲良くした”という感覚が前に有り、私やクロ達、あるいはハートフィールド兄弟のように情熱的に好きという事は無い。どうしても後ろめたさが出てきてしまうとの事だ。

「それはパールもそうなのです。彼女も婚約者だから好きでいようとしているだけだと思うんです」
「つまり……厚意的に接され過ごした事による、マイナスから少しプラスになった友達的な感覚。結婚が避けられない事ならば、譲歩して少しでも良い関係が築けるように“好きであるように振舞っている”と思える、と」
「はい。男性として、生涯のパートナーとしてシアンさんやクロお兄様達のようになれるかと思いまして……」
「そして辛いのが、相手を“無理に自分を好きにさせているのではないか”という事だね」
「……はい」
「……ほう、よく分かるね。流石はシアン君だ」

 まぁ、職業柄どうしても相談内容の傾向が分かってしまうからね。……とはいえこういった恋愛関係はあまりないけど。

――しかしこれは難しい問題だ。

 パールちゃんとやらがどのような子かは分からないが、もしも貴族としての立場がパールちゃんを変えてしまっていた可能性だってある。
 クロの父親はわりと能力が高く、狡いやり方をやると聞く。相手の一家に圧力をかけたり、その影響でパールちゃんの親がパールちゃんになにか言って、その言葉から守るために演技を身に着けたという可能性だってある。
 ようは知らない以上はどうしようもない。
 なので正直言うならばこの場での回答は当たり障りのない回答がベターなのだろうが……

「別に深く考える必要は無いんじゃないかな」
「え?」

 だけどここは少し私の考えを言ってみよう。
 シスターとしては無責任かつ良く無いだろうが、今は服も違うしちょっとしたアドバイス的なモノをしてみよう。

「別に後ろめたさとか、結婚まで無理をさせているんじゃないかとか、気にはしても深く考える必要は無いって事」
「ですが……」
「カラ君は数年かけてマイナスをゼロ。あるいは表面上でもプラスにしたんだから、そこから始めてもいいんじゃないかな。クロだってそうだったんだから」
「クロ兄様が?」
「そう。クロは別に最初からイオちゃんの事好きって訳じゃなかったし……私だってそうなんだし、神父様もつい最近まで私の事恋愛感情的にはまったく好きじゃ無かっただろうし。……だろうし!」
「シアン君、自分で言って少しダメージ受けてない?」

 気のせいである。

「ともかく、結婚してからある時ふと“あ、この人の事が好きなんだ”と本気で思うようになるかもしれないんだから、深く考えても仕様が無いって事! なにが起こるか分からないのだが皆の生涯、皆の正否!」
「当たり障りのない答えだね」
「相談とか懺悔なんてそんなもんだよ!」
「おいシスター」

 相談や懺悔は大抵答えよりも気持ちを整理したいだけだったりするものだ。

「ふと、本気で相手を好きだと思うかもしれない……」
「ただ、相手を見るのを忘れないようにね。相手を見なかったら、分かるモノも分からないんだから」
「……はい、ありがとうございます!」

 そしてどうやらカラ君は私の答えに満足はいったようだ。
 どうもカラ君は兄弟の夫婦としての過ごし方を見て色々と不安になっていただけのようだし、ようは前向きに行こうと思わせれば良かったのだろう。
 いわゆるマリッジブルー的な感じだ。多分。

「それにしてもどんな子なのかな、そのパール君って子は? 実は無理して言っているように見えるのは気のせいだったりしないのかい?」
「そうですね……綺麗で心優しく、清純な女性なんです」
「ほう」
「ですから、無理に私を好きになろうと心にもない好きアピールをするんです。彼女もそういった方面が苦手なので、つい過激な事を言ってしまうようなんですよ」
「ほう?」
「つまり……グレイ君の様な子がカーキー様のような発言をする感じでしょうか。彼女の場合は意味を分かっての無理な発言ですが」

 レイちゃんのような子が、意味は分からないけど好きという発言には変わりないのだから使ってみた、というような感じ。だけど発言内容は理解して言っている。
 いや、それだと……イオちゃんがクロに対してカー君の言葉を使っているような感じかな? それならば確かに無理している感を覚えても仕様が無いかもしれない。

「その子って――」

 そして私がパールちゃんについてもっと聞こうとした所で。

「カラスバ・ハートフィールドはここに居るか!!」

 思い切り、礼拝堂の扉が開かれた。
 聞いた事ない声に私とシューちゃんは身構えながら声がした方を向く。
 そこに居たのは……

――学園の女の子……?

 灰白の髪に、黒い瞳の貴族用の黒い制服を着た女の子。
 髪は私より長い髪を後ろで纏め、凛々しいという言葉が当てはまりそうな子だ。
 ただ制服や肌は所々汚れ、着衣も若干だが乱れており呼吸も荒げている。
 なんというか……遠くから急いで駆け付けて来た、というような様子だが、彼女は誰だろう。あれ、でも誰かに似ているような……?

「パール!?」

 え、この子がさっきの話に出てたパールちゃん?
 何故彼女がここに居るのだろう。
 カラ君も何故ここに居るのかと驚いているし、ここ数日の調査期間中に彼女の姿を見なかったのでシキの調査メンバーでは無かったと思うのだが……

「あ、貴女が何故シキに!? 確か別の街に調査に言っていたはずじゃあ……」
「この地で事件が起きたと聞き、急いで走って馳せ参じた次第だ!」
「走って!? 距離どれだけあると思っているんですか!?」
「数日も有れば付ける距離であるし、馬も使ってきたから問題無い!」
「な、何故そんなに急いで……?」
「旦那が事件に巻き込まれたかもしれないと聞き、黙って居られる妻が居るものか! 大丈夫だったのかカラスバ!」
「え、ええ、大丈夫ですよ。私は怪我は有りません」
「そうか、では愛し合おう!」
「はい?」

 ……ん?
 私とシューちゃんは恐らく同じ疑問を持っただろう。

「私はカラスバが怪我をしたかもしれないと聞き、不安で不安で仕様が無かった。そして無事だったわけだが」
「は、はい」
「カラスバの無事を見て私は愛おしさが溢れ出してきた。カラスバは私を大事に思い婚前交渉を無しにしてはいるが、もう我慢出来ん。子を成そう、カラスバ!」

 ……んん?
 近付いて来る彼女を見て、私とシューちゃんはますます疑問に思ったであろう。

「……無理をなさらなくて良いのですよ。結婚までまだ二週間はあるのですから、それまでに準備を……」
「二週間程度は誤差の範囲だ!」
「誤差と言うには大きすぎです。……私との結婚前で不安になるのは分かりますが、そのようにせずとも……」

 …………。
 なにが起きているのだろう。いや、なんとなく察しはついたのだが、あまり認めたくないと言うべきか。

「そうか、急いで来たから汚いのがイケないんだな。ちょっと待ってろ、途中で温泉を見かけたからそこでお風呂に入って身を清めて来る――ぐっ!」
「パール!? 大丈夫ですか!?」
「ぐぅ……カラスバの姿を見て安心したせいか、力が抜けて……」
「まったく、なにをやっているんですか……ほら、肩を貸しますよ。まずはこの長椅子で横になってください」
「ああ、肩を貸してくれるなんて、なんて優しいんだ……!」
「無理に褒めなくても良いですよ。この程度は当然ですから。あ、すいませんシアンさん。後で掃除はしますのでお借りします。……よいしょ、と。ほら、しばらく休んでくださいね。あ、お腹は空いていますか?」
「カラスバがそこに居ればそれだけで私は満腹だ……!」
「冗談言ってないで、体調はキチンとしてくださいね」
「あ、でも今はあまり近くに居られると……」
「……分かっていますよ。私が近くに居ると休まらないでしょうから離れます」
「そうじゃなくて、お風呂入っていないから体臭が……あ、離れないで、いや、でも近付かれると……!」
「?」

 ……カラ君。貴方に言いたい事があるよ。
 出会って数分も経っていないような子だけど……この子、君の事間違いなく好きだよ。
 君の事好きすぎて、事件に巻き込まれた情報を聞いて遠くから駆け付けたり。
 冗談だと思っているようだけど本気で愛し合おうとしたり。
 カラ君と少しでも触れ合う事をとても喜んだり。
 自分の汚れに気付き、気にはなるけど離れて欲しく無いと願ったり。
 どうやらそれらがカラ君に上手く伝わっていないようだけど。

 …………うん、この子。君の事間違いなく本気で好きだよ。





備考
パールホワイト・ナイト
灰白パールホワイト髪黒目
カラスバの婚約者。十八歳。学生。
初めは無理な婚約と、武芸者でないカラスバを嫌っていた。
だが、今はご覧の有様である。
だが、カラスバ自身には伝わっていない。

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