追放された悪役令嬢と転生男爵のスローで不思議な結婚生活

ヒーター

萌黄による質疑応答書_2


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 さて、クロ男爵の妻も表情が赤い気もしますが次の質問に移りましょうか。
 次の質問はシルバさん、貴方に対して質問をさせて頂きます。

「え、あ、はい。どうぞ」
「なんか面接みたいだな……」

 今回貴方とアプリコットさんの魔力が暴走、ないしは感情が昂った内に闇魔法が無意識に発動してしまった。という可能性が高いです。
 ですが……そうですね、今回は答え辛いのならば無回答でも構いません。
 貴方はアゼリア学園に入学当初、呪われた力を持つセイフライド家の子息、という噂がありました。

「……はい。僕の一族は貴族では無いものの、あまり良くない一族という評判なのは知っています」

 今では呪われたという噂は虚偽であったという結論に至ってはいますが、私達の魔道研究施設では結論は先延ばしになっている状態です。
 さて、ここで質問です。今回の事故、あるいは事件ですが……

「もし僕が原因であるならば、魔力の検査や魔法適性などの実験に協力は惜しみません。シャルのお母――貴女が望むのならば、なんでも――」

 落ち着いてください。私はまだ質問を言っていません。
 それにシルバさんの魔力に関しては呪の力と無関係であると、貴方の御学友の協力により晴らされています。

「そ、そうなんだ。さすがメアリーさん……! あれ、でもだとしたら……?」

 はい、今回の質問は噂に関してです。
 噂は虚偽であると学園では記録されています。ですが、その虚偽とされた理由ですがメアリー・スーさん(15)が関わっていると聞き及んでいます。
 そして貴方は学園にて、公爵家の決闘の際には表立って彼女の味方をして、決闘が終わり喝采の中で抱き合ったり、学園祭でも共に主演となるために愛を叫んだと聞きます。

「なにやっているのだ、お前は」
「アプリコット。決闘後にその場で抱きしめ合って“お前は俺のモノだ”と婚約宣言をしたり、公開キスをして指輪を渡したりしなかっただけマシだと思った方が良い」
「具体的というか、実際にあったかのような口調であるな、クロさん」

 ……コホン。つまり親しき者が故に庇っている、という可能性も否定できないのです。
 私共の調査では、貴方達が仲が良いという情報が入っているのです。親しき者同士の証言では信憑性に欠ける部分があるのです。

「……成程。確かにそうでしょうね」

 そう、シルバさんの事をメアリーさんが愛しているが故に、庇っているという可能性があるのです。

「はい?」

 ですから質問なのです。今回の事故、あるいは事件はメアリーさんの証言と協力により事故という形を取ろうとしています。
 ですがもし、シルバさんとメアリーさんの間柄が親しき者同士――つまり、お互いが好き同士の恋愛関係ならばこの証言は無効となります。
 そこでシルバさんに聞きたいのは……貴方がメアリーさんを異性としての恋愛で好きかどうかなのです。メアリーさんがシルバさんと親しくしているのは学園での調査から既に周知の事実ですが、特定の誰かとお付き合いしているという話はありません。しかし隠れて付き合っている場合も有りますし、事前にシルバさんをメアリーさんが好いているという証言は得られています。なんでも“私はシルバ君を男性として頼りにして、お互いに支え合って歩んでいますよ”だとの事ですが。

「(メアリーさん、貴女あの言葉使ったな? あのセリフをそのまま流用しやがったな?)」

 もしシルバさんがメアリーさんの事を好いているのであれば、この言葉は恋愛関係としての言葉と見做されます。
 どうなのでしょうか。シルバさんはメアリーさんを女性として恋愛感情を抱き好いているのですか? あるいは学友であって異性の友達のような関係性なのですか?

「おい、エグイ二択出してきたぞこの方」

 もし、シルバさんがメアリーさんを女性として好いていて恋愛感情を抱いているというのなら、メアリーさんの証言は無効となり、申し訳ないですが先程仰っていましたシルバさんの魔力調査を行う必要があり、暫く特定の部屋から出られない拘束状態となります。
 もし、シルバさんがメアリーさんを学友の間柄であり、良き競争相手であり、恋愛感情が無いのならば証言は同級生の証言として認められ有効となり、拘束などは行われません。
 ……さて、シルバさん。どうなのでしょうか。嘘は吐く事は許されませんが、無回答とならば、今回一連の質問は無かった事とし、恋愛関係では無いものという前提条件の下で証言は有効であったとしましょう。
 さぁ、どうなのでしょうか。

「当然僕はメアリーさんの事を異性として好いていますし、恋愛感情を抱いています。この心情を疑われるのは心外ですので、喜んで拘束を受けましょう」
「おお、クロさんなみに堂々と……」
「安心してメアリーさん! 僕は貴女が好きだという事を証明するために立ち向かっていきます! ヴァーミリオンにもアッシュにもシャルにもエクル先輩にも負けない愛を僕は貴女に向けているから!!」

 はい、惚気頂きました。お幸せにお過ごしください。

「――え、あ、うん。ごめんなさいメアリーさん。ここで認めたらメアリーさんの気遣いが無駄になるね……」

 ……今から無回答にも出来ますよ?

「それ録音している意味が無いんじゃ……ええと、無回答でお願いします……」

 はい、承りました。
 ちょいと編集して無回答という事にしておきましょう。大丈夫です、私は大魔導士アークウィザードですからこの程度は容易いです。

「なぁ、貴女楽しんでない?」

 気のせいです。

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