李夜伝
序
雲一つなく晴れた夜空の下、風がごうごうと音をたて、砂塵をふきあらしていた。
遠くの方では月明かりに照らされた城壁のかげが、砂塵のせいで蜃気楼のようにゆらゆら揺れていた。
砂塵の中を這いつくばって進む男がいる。男はやつれはてやせこけ、髪は真っ白だった。
びゅうと風が音をたて、ひときわ大きく砂をまきあげた。思わず目をつむった男は、ふたたび瞳をひらくと、目の前の光景にみいった。
砂嵐の中に、ある女の幻影がうかんでいた。女は風に長い髪を巻きあげ、うつくしい目でじっと男を見つめている。男はその瞳から視線を外せなかった。
男がずっと求めていたあの女にちがいなかった。
遠くの方では月明かりに照らされた城壁のかげが、砂塵のせいで蜃気楼のようにゆらゆら揺れていた。
砂塵の中を這いつくばって進む男がいる。男はやつれはてやせこけ、髪は真っ白だった。
びゅうと風が音をたて、ひときわ大きく砂をまきあげた。思わず目をつむった男は、ふたたび瞳をひらくと、目の前の光景にみいった。
砂嵐の中に、ある女の幻影がうかんでいた。女は風に長い髪を巻きあげ、うつくしい目でじっと男を見つめている。男はその瞳から視線を外せなかった。
男がずっと求めていたあの女にちがいなかった。
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