最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1479話 忠誠心を評価するエヴィ
イダラマ達は『同志』達と別れて『蔵屋敷』を出た後、その『同志』の一人であった『妖魔召士』を連れだって『コウヒョウ』の中にある宿に場所を移していた。
このまま直ぐに『妖魔山』へ向かうとイダラマの考えに不都合が生じるために、コウエン達がこの『コウヒョウ』からある程度離れるまでの間の一時滞在を目的とした宿であった。
「それでイダラマ。そいつを今後どう活用するつもりなのか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
宿に移動してからこの『同志』を探しに戻ってくるかどうか、それまで様子を見ようと提案したイダラマに黙ってついていき、ある程度の時間が経過したタイミングで遂に『エヴィ』が、興味津々といった様子でイダラマに訊ねるのであった。
「ああ……。コウエン殿達は『妖魔召士』の組織を抜けた後に、前時代の『守旧派』の『はぐれ』となった者達を集めて一派として活動している事は、当代の『妖魔召士』組織や『妖魔退魔師』組織も知っている。彼らの事を『コウヒョウの同志連中』と呼んでいるくらいにはそれなりに有名だ」
イダラマがそう説明すると、隣にいた長いピアスをつけた護衛の『アコウ』が大きく頷いた。
「何せ一派を率いている『コウエン』殿からして、前時代の妖魔召士組織の大英雄の一人ですからね。そりゃそんな大物が『はぐれ』となった『守旧派』の妖魔召士達と行動しているとあっちゃ、注目されない筈がありませんからね」
「君は前もあの大男の事を英雄と呼んでいたよね。君は彼の信者だったりするのかい?」
どこか揶揄うように口にする『エヴィ』だったが、アコウはエヴィに対していつものように、直ぐに否定から入るのではなく、どこか考える素振りを見せながら返事をするべく口を開くのだった。
「ああ……。確かにお前の言う通りに信者と言われてもおかしくねぇかもな。俺がガキの頃に親父と『サカダイ』に向かって旅をしていた時に『妖魔』に襲われたんだが、そこであのコウエン殿に命を救われかけた事があるんだよ。まだコウエン殿が五指と呼ばれる程の『妖魔召士』だった頃の話だが、それから俺は『コウエン』殿の強さに憧れて、俺もいつか命を救ってくれたコウエン殿のように強くなって、その『妖魔召士』の命を救えるような護衛になりたいと思うようになって『予備群』になったんだよ」
照れを隠すように頭をガシガシと搔きながらそう告げるアコウであった。
「ふーん。でもそれなら刀の道を目指すより、妖魔召士とかいうのを目指したらよかったんじゃないの?」
「ぷっ……! ふはは! 『魔力』がない俺が『妖魔召士』になんてなれるわけがねぇだろ!」
アコウはそのエヴィの言葉を聴いてきょとんとした表情を浮かべたが、直ぐに大笑いを始めるのだった。
「うーん。まぁこの世界には『理』が存在しないみたいだから簡単な『魔法』を使って、少しずつ魔力を高めるなんて事は出来なさそうだけど、それでもその年齢で『青』を纏えるくらいに『魔力コントロール』も出来ているようだし、イリーガル先輩くらいの扱う『魔力』くらいなら直ぐ追いつけそうなんだけどなぁ」
「そのイリーガルってのが誰だか知らねぇけど、別に俺はこのままでいいんだよ。こうしてイダラマ様の護衛も務められているし。後はイダラマ様の盾となって死ぬ事が出来れば……、俺は本望なのさ」
照れくさそうにアコウがそう告げると、隣にいた大男の『ウガマ』がアコウの肩に手を置いてやわらかい笑みを浮かべるのだった。
「ふーん。まぁ仕える主が居る事は何よりも幸せな事だからね。その点では君の事を応援もするし、評価もしてあげるよ。頑張ってイダラマの為に尽くしなよ?」
エヴィという少年の自分を見る目が、これまでより少しだけ柔らかくなったような気がするアコウであった。
「はっ! 当然だろ? その気がなければ『予備群』をやめてここまでイダラマ様についてきてねぇよ!」
「だってさ、イダラマ。いい護衛が出来て君も良かったね」
「ああ。アコウにしてもウガマにしても、それに他の護衛の者達もだ。こんな『はぐれ』の私についてきてくれて感謝しているさ。いずれ感謝を形にしようと考えている」
イダラマは宿の窓から外を見下ろしながら『エヴィ』にそう返事をすると、アコウ達や護衛は目を輝かせてイダラマの言葉に笑みを零すのだった。
このまま直ぐに『妖魔山』へ向かうとイダラマの考えに不都合が生じるために、コウエン達がこの『コウヒョウ』からある程度離れるまでの間の一時滞在を目的とした宿であった。
「それでイダラマ。そいつを今後どう活用するつもりなのか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
宿に移動してからこの『同志』を探しに戻ってくるかどうか、それまで様子を見ようと提案したイダラマに黙ってついていき、ある程度の時間が経過したタイミングで遂に『エヴィ』が、興味津々といった様子でイダラマに訊ねるのであった。
「ああ……。コウエン殿達は『妖魔召士』の組織を抜けた後に、前時代の『守旧派』の『はぐれ』となった者達を集めて一派として活動している事は、当代の『妖魔召士』組織や『妖魔退魔師』組織も知っている。彼らの事を『コウヒョウの同志連中』と呼んでいるくらいにはそれなりに有名だ」
イダラマがそう説明すると、隣にいた長いピアスをつけた護衛の『アコウ』が大きく頷いた。
「何せ一派を率いている『コウエン』殿からして、前時代の妖魔召士組織の大英雄の一人ですからね。そりゃそんな大物が『はぐれ』となった『守旧派』の妖魔召士達と行動しているとあっちゃ、注目されない筈がありませんからね」
「君は前もあの大男の事を英雄と呼んでいたよね。君は彼の信者だったりするのかい?」
どこか揶揄うように口にする『エヴィ』だったが、アコウはエヴィに対していつものように、直ぐに否定から入るのではなく、どこか考える素振りを見せながら返事をするべく口を開くのだった。
「ああ……。確かにお前の言う通りに信者と言われてもおかしくねぇかもな。俺がガキの頃に親父と『サカダイ』に向かって旅をしていた時に『妖魔』に襲われたんだが、そこであのコウエン殿に命を救われかけた事があるんだよ。まだコウエン殿が五指と呼ばれる程の『妖魔召士』だった頃の話だが、それから俺は『コウエン』殿の強さに憧れて、俺もいつか命を救ってくれたコウエン殿のように強くなって、その『妖魔召士』の命を救えるような護衛になりたいと思うようになって『予備群』になったんだよ」
照れを隠すように頭をガシガシと搔きながらそう告げるアコウであった。
「ふーん。でもそれなら刀の道を目指すより、妖魔召士とかいうのを目指したらよかったんじゃないの?」
「ぷっ……! ふはは! 『魔力』がない俺が『妖魔召士』になんてなれるわけがねぇだろ!」
アコウはそのエヴィの言葉を聴いてきょとんとした表情を浮かべたが、直ぐに大笑いを始めるのだった。
「うーん。まぁこの世界には『理』が存在しないみたいだから簡単な『魔法』を使って、少しずつ魔力を高めるなんて事は出来なさそうだけど、それでもその年齢で『青』を纏えるくらいに『魔力コントロール』も出来ているようだし、イリーガル先輩くらいの扱う『魔力』くらいなら直ぐ追いつけそうなんだけどなぁ」
「そのイリーガルってのが誰だか知らねぇけど、別に俺はこのままでいいんだよ。こうしてイダラマ様の護衛も務められているし。後はイダラマ様の盾となって死ぬ事が出来れば……、俺は本望なのさ」
照れくさそうにアコウがそう告げると、隣にいた大男の『ウガマ』がアコウの肩に手を置いてやわらかい笑みを浮かべるのだった。
「ふーん。まぁ仕える主が居る事は何よりも幸せな事だからね。その点では君の事を応援もするし、評価もしてあげるよ。頑張ってイダラマの為に尽くしなよ?」
エヴィという少年の自分を見る目が、これまでより少しだけ柔らかくなったような気がするアコウであった。
「はっ! 当然だろ? その気がなければ『予備群』をやめてここまでイダラマ様についてきてねぇよ!」
「だってさ、イダラマ。いい護衛が出来て君も良かったね」
「ああ。アコウにしてもウガマにしても、それに他の護衛の者達もだ。こんな『はぐれ』の私についてきてくれて感謝しているさ。いずれ感謝を形にしようと考えている」
イダラマは宿の窓から外を見下ろしながら『エヴィ』にそう返事をすると、アコウ達や護衛は目を輝かせてイダラマの言葉に笑みを零すのだった。
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