最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1369話 歯に衣着せぬ王連の言葉
「いつもなら直ぐに儂に否定を行うお主がダンマリか。どうやらお主も今回ばかりは儂と同様の意見のようだな」
「まぁ……な。この私もヒュウガ様の考えの一端は聞かされたのだが、私には納得が出来なかったよ。今回は流石にヒュウガ様が自ら窮地に陥ったように思えてならぬのだ」
王連は普段のように『ジンゼン』に対して茶化す真似もせずに素直に耳を傾けていた。
どうやら王連も様子の違うジンゼンの話を真面目に聴きたいと考えたのだろう。
「ふーむ……。儂から見れば『ヒュウガ』殿はまだまだ詰めが甘く、完璧とは程遠い人間だと思ってはいたが、それでもここまで考えなしの馬鹿だとは流石に思えぬ。当初に考えていた計画の重大な一部分が思い通りにいかなかった。そしてその部分こそが計画の要だったといったところだろうよ。その部分がどういったモノかというところまでは儂にも分からぬがな」
これまで数多くの人間達を観察し続けてきたであろう長寿の妖魔の『王連』は、どうやらヒュウガの性格を明確に理解した上で、彼の考え通りに行かなかった理由を予想してみせるのであった。
「お前の言った通りかもしれぬ。私の背後に居るこのモノ達は『退魔組』という我々『妖魔召士』組織の下部組織に属する者達だったのだが、どうやらヒュウガ様はこやつら『退魔組』に居る他の面々と合流する手筈を整えていたようなのだ。しかしその『退魔組』の連中とは合流が出来なかった事で、ヒュウガ様は何やら普段の冷静さを欠いていたように見えた。それこそがお前の言う計画の要の部分だったのかもしれぬ」
「それはないだろう人間……。失礼を承知の上で言わせてもらうが、そこに居る連中が『ヒュウガ』殿の重要な計画の要を担う存在達だとはとても思えぬ。儂にはそこに居る全員まとめて全く大した連中ではないようにおもえるがな」
本当にこの場に居る『退魔組』の者達に対して、失礼な事を平然と口にする王連だった。
確かに『ヒイラギ』や『クキ』達は『王連』や『ジンゼン』のような者達からすれば大した事のない連中に映るかもしれないが『退魔組』の中では一目置かれる『特別退魔士』達なのである。
そんな『ヒイラギ』達は『王連』の言葉を聴いて先程までの尊敬するような目で『王連』を見ておらず、大したことがないと言われて悔しそうな表情を浮かべていた。
「後から合流する筈だった『退魔組』の頭領を務める『サテツ』殿は『妖魔召士』でな。まぁもう一人の方はここに居る連中より更に力が劣る『上位退魔士』だった筈だから、その頭領のサテツ殿が『ヒュウガ』様にとっての計画の要だったのかもしれぬな。それでも私からすれば『サテツ』殿もそこまで大した『妖魔召士』というわけでもないと思うのだが、やはりヒュウガ様のお考えは分からぬところだ……」
「まぁ儂よりヒュウガ殿の事に関しては詳しいであろうお主が分からぬのであれば、それは儂がいくら考えても分かる話ではないのは確かだな。それで主よ、儂はここに迫っている『妖魔退魔師』達を葬ればよいのだな?」
「ああ。だが本当にお前だけで戦うつもりなのか? 確かに私の残っている魔力ではお前を使役するのが精一杯ではあるが、それでも『魔瞳』くらいならば難なく使えるし、奴らの隙さえつければ動きを封じられる可能性もそこそこに高いと思えるが」
「やめておけ人間。そんな割の合わない可能性を信じて『妖魔退魔師』を相手にすれば痛い目をみるぞ」
「ではお前に全て任せていいのだな?」
「ああ。あの『キョウカ』とかいう『妖魔退魔師』と再戦出来なかったのは残念ではあるが、その『キョウカ』殿と同じ『組長格』の『妖魔退魔師』と戦えるのならば、多少は楽しめそうだ」
「はぁ……。本当に頼むぞ……『王連』よ」
『お前を楽しませるために、任せたつもりではないのだが』と彼は心の中で呟いたが、それでもこの『王連』でなければ『妖魔退魔師』達を止められないと考えて、余計な事を言わずに『王連』に頼むと告げた『ジンゼン』であった。
「まぁ……な。この私もヒュウガ様の考えの一端は聞かされたのだが、私には納得が出来なかったよ。今回は流石にヒュウガ様が自ら窮地に陥ったように思えてならぬのだ」
王連は普段のように『ジンゼン』に対して茶化す真似もせずに素直に耳を傾けていた。
どうやら王連も様子の違うジンゼンの話を真面目に聴きたいと考えたのだろう。
「ふーむ……。儂から見れば『ヒュウガ』殿はまだまだ詰めが甘く、完璧とは程遠い人間だと思ってはいたが、それでもここまで考えなしの馬鹿だとは流石に思えぬ。当初に考えていた計画の重大な一部分が思い通りにいかなかった。そしてその部分こそが計画の要だったといったところだろうよ。その部分がどういったモノかというところまでは儂にも分からぬがな」
これまで数多くの人間達を観察し続けてきたであろう長寿の妖魔の『王連』は、どうやらヒュウガの性格を明確に理解した上で、彼の考え通りに行かなかった理由を予想してみせるのであった。
「お前の言った通りかもしれぬ。私の背後に居るこのモノ達は『退魔組』という我々『妖魔召士』組織の下部組織に属する者達だったのだが、どうやらヒュウガ様はこやつら『退魔組』に居る他の面々と合流する手筈を整えていたようなのだ。しかしその『退魔組』の連中とは合流が出来なかった事で、ヒュウガ様は何やら普段の冷静さを欠いていたように見えた。それこそがお前の言う計画の要の部分だったのかもしれぬ」
「それはないだろう人間……。失礼を承知の上で言わせてもらうが、そこに居る連中が『ヒュウガ』殿の重要な計画の要を担う存在達だとはとても思えぬ。儂にはそこに居る全員まとめて全く大した連中ではないようにおもえるがな」
本当にこの場に居る『退魔組』の者達に対して、失礼な事を平然と口にする王連だった。
確かに『ヒイラギ』や『クキ』達は『王連』や『ジンゼン』のような者達からすれば大した事のない連中に映るかもしれないが『退魔組』の中では一目置かれる『特別退魔士』達なのである。
そんな『ヒイラギ』達は『王連』の言葉を聴いて先程までの尊敬するような目で『王連』を見ておらず、大したことがないと言われて悔しそうな表情を浮かべていた。
「後から合流する筈だった『退魔組』の頭領を務める『サテツ』殿は『妖魔召士』でな。まぁもう一人の方はここに居る連中より更に力が劣る『上位退魔士』だった筈だから、その頭領のサテツ殿が『ヒュウガ』様にとっての計画の要だったのかもしれぬな。それでも私からすれば『サテツ』殿もそこまで大した『妖魔召士』というわけでもないと思うのだが、やはりヒュウガ様のお考えは分からぬところだ……」
「まぁ儂よりヒュウガ殿の事に関しては詳しいであろうお主が分からぬのであれば、それは儂がいくら考えても分かる話ではないのは確かだな。それで主よ、儂はここに迫っている『妖魔退魔師』達を葬ればよいのだな?」
「ああ。だが本当にお前だけで戦うつもりなのか? 確かに私の残っている魔力ではお前を使役するのが精一杯ではあるが、それでも『魔瞳』くらいならば難なく使えるし、奴らの隙さえつければ動きを封じられる可能性もそこそこに高いと思えるが」
「やめておけ人間。そんな割の合わない可能性を信じて『妖魔退魔師』を相手にすれば痛い目をみるぞ」
「ではお前に全て任せていいのだな?」
「ああ。あの『キョウカ』とかいう『妖魔退魔師』と再戦出来なかったのは残念ではあるが、その『キョウカ』殿と同じ『組長格』の『妖魔退魔師』と戦えるのならば、多少は楽しめそうだ」
「はぁ……。本当に頼むぞ……『王連』よ」
『お前を楽しませるために、任せたつもりではないのだが』と彼は心の中で呟いたが、それでもこの『王連』でなければ『妖魔退魔師』達を止められないと考えて、余計な事を言わずに『王連』に頼むと告げた『ジンゼン』であった。
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