最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1352話 姑息な戦い方
「本当にこちらの動向を遠くから監視が出来る相手というのはやりづらいな!」
襲い掛かってきていた妖魔を『式札』に戻した後にそう愚痴をこぼしたのは、一番最初に『妖魔召士』達に襲撃された『カヤ』達の『妖魔退魔師』のグループであった。
最初の作戦通りにつかず離れずの距離を保ち続けて、後続である一組の『サシャ』副組長達と連携を取ろうと考えていた『カヤ』達だったが、どうやらその後続も『妖魔召士』達の放っている『式』に襲撃をされているようで、完全に分断を行われてしまったのである。
この襲ってくる妖魔達の強さはそこまででもないのだが、とにかく『妖魔召士』達の放ってくる『式』達の数の勢いが衰えずに次々と送り込まれてくるのであった。
それにこちらと違って向こうは『妖魔召士』が数人単位で順番に『式』」を使役して襲わせている様子であり、一向に魔力枯渇が起きるような気配は感じられず、延々と戦い続けさせられるのではないかと思わされていた。
流石に『カヤ』達もずっとは同じ場所で戦い続けるワケにもいかず、少しずつ戦いながら距離を離して何とかして休憩を挟もうとしていたのだが、どうやらその考え自体がすでに『妖魔召士』達の手のひらの上であり、上手く相手の作戦通りに誘導されていたのだろう。
「奴らの狙いは我々を分断させた後に、この絶え間なく襲って来る妖魔たちよりも更に高ランクの『式』達を呼び出して、一気に勝負を決めようとしているのでしょう!」
そこまで分かっている『カヤ』達だが、ここから戻って無理に合流しようとすればそれこそ『妖魔召士』達の思うつぼだろうと考えていた。
何故なら『妖魔召士』達の戦う手段は『式』だけではなく、むしろ彼らの本命は『魔瞳』や膨大な『魔力』を用いて場を制圧する威力を持つ『捉術』なのである。
「そ、それもあるだろうが、一番気をつけなくてはならないのは、焦って後続と合流しようとすることだぞ!」
――正しくその通りで、一番面倒なのは『妖魔召士』達自身が姿を表に見せないことであった。
妖魔退魔師達は、すでに過去の歴史から『妖魔召士』の『魔瞳』に対しての対策は既に行えるようにはなってはいるが、それはあくまで直接狙われた場合にのみ限られるのである。
今までは直接『妖魔召士』と『妖魔退魔師』の戦争が行われることはなかったために、その脅威を知りつつも『対策』もあるが故に、十分に対抗出来るだろうと『妖魔退魔師』達も思っていた事だったが、こうして実際に対策済みの『妖魔召士』を相手にしてみると、ただの『式』を相手にさせられているだけでも思い通りに動けてはいない。
この上に更に仲間達と合流を果たそうとすれば、当然こちらの位置を自在に割り出せる彼ら『妖魔召士』にとっては好都合であり、むしろ一網打尽にするために更に出し惜しみなく高ランクの『式』を放ちながら、こちらの好きを狙って動きを止めてくるだろう。
この場に現れてくれたならば、まだやりようはいくらでもあったが、こちらが徐々に分断されてくのを観察しながら、直接は何もしてこないのである。
妖魔退魔師側にとっては、出来るだけ妖魔召士達が接近をしてくれなければ、相手の位置を把握する事も出来ないのである。
そしてこの見通しの悪い『森』の中というのもまた厄介なのであった。
確かに最初に行ってみせたように、茂みから突然襲い掛かって来ても『特務』のミスズに直接鍛えられた『カヤ』達のような者達であれば、僅かな気配などでもある程度は対処が出来るのだが、それでもずっと気を抜かずに意識し続けるわけにもいかない。
そんな長時間神経を張り巡らせながら『妖魔』と戦い続けさせられた挙句に、いつ『妖魔召士』達が襲って来るかも分からない状態で気が弱くなり、他のグループと合流しようと動く事でそれを待っていたとばかりに『妖魔召士』達が『魔瞳』や『捉術』を用いて襲い掛かって来るかもしれないのである。
考えれば考える程に彼ら妖魔退魔師は不利な状況だといえる。いくつもの罠を仕掛けられたこの状況下で、果たしてどう行動するのが一番の正解なのかとカヤ達は悩まされていたが、そこに彼らのような『魔力』で相手の位置を確認出来ない『妖魔退魔師』達でさえ、これまでの妖魔とは違う『異質』な存在が、迫って来るのを感じ取るのであった――。
襲い掛かってきていた妖魔を『式札』に戻した後にそう愚痴をこぼしたのは、一番最初に『妖魔召士』達に襲撃された『カヤ』達の『妖魔退魔師』のグループであった。
最初の作戦通りにつかず離れずの距離を保ち続けて、後続である一組の『サシャ』副組長達と連携を取ろうと考えていた『カヤ』達だったが、どうやらその後続も『妖魔召士』達の放っている『式』に襲撃をされているようで、完全に分断を行われてしまったのである。
この襲ってくる妖魔達の強さはそこまででもないのだが、とにかく『妖魔召士』達の放ってくる『式』達の数の勢いが衰えずに次々と送り込まれてくるのであった。
それにこちらと違って向こうは『妖魔召士』が数人単位で順番に『式』」を使役して襲わせている様子であり、一向に魔力枯渇が起きるような気配は感じられず、延々と戦い続けさせられるのではないかと思わされていた。
流石に『カヤ』達もずっとは同じ場所で戦い続けるワケにもいかず、少しずつ戦いながら距離を離して何とかして休憩を挟もうとしていたのだが、どうやらその考え自体がすでに『妖魔召士』達の手のひらの上であり、上手く相手の作戦通りに誘導されていたのだろう。
「奴らの狙いは我々を分断させた後に、この絶え間なく襲って来る妖魔たちよりも更に高ランクの『式』達を呼び出して、一気に勝負を決めようとしているのでしょう!」
そこまで分かっている『カヤ』達だが、ここから戻って無理に合流しようとすればそれこそ『妖魔召士』達の思うつぼだろうと考えていた。
何故なら『妖魔召士』達の戦う手段は『式』だけではなく、むしろ彼らの本命は『魔瞳』や膨大な『魔力』を用いて場を制圧する威力を持つ『捉術』なのである。
「そ、それもあるだろうが、一番気をつけなくてはならないのは、焦って後続と合流しようとすることだぞ!」
――正しくその通りで、一番面倒なのは『妖魔召士』達自身が姿を表に見せないことであった。
妖魔退魔師達は、すでに過去の歴史から『妖魔召士』の『魔瞳』に対しての対策は既に行えるようにはなってはいるが、それはあくまで直接狙われた場合にのみ限られるのである。
今までは直接『妖魔召士』と『妖魔退魔師』の戦争が行われることはなかったために、その脅威を知りつつも『対策』もあるが故に、十分に対抗出来るだろうと『妖魔退魔師』達も思っていた事だったが、こうして実際に対策済みの『妖魔召士』を相手にしてみると、ただの『式』を相手にさせられているだけでも思い通りに動けてはいない。
この上に更に仲間達と合流を果たそうとすれば、当然こちらの位置を自在に割り出せる彼ら『妖魔召士』にとっては好都合であり、むしろ一網打尽にするために更に出し惜しみなく高ランクの『式』を放ちながら、こちらの好きを狙って動きを止めてくるだろう。
この場に現れてくれたならば、まだやりようはいくらでもあったが、こちらが徐々に分断されてくのを観察しながら、直接は何もしてこないのである。
妖魔退魔師側にとっては、出来るだけ妖魔召士達が接近をしてくれなければ、相手の位置を把握する事も出来ないのである。
そしてこの見通しの悪い『森』の中というのもまた厄介なのであった。
確かに最初に行ってみせたように、茂みから突然襲い掛かって来ても『特務』のミスズに直接鍛えられた『カヤ』達のような者達であれば、僅かな気配などでもある程度は対処が出来るのだが、それでもずっと気を抜かずに意識し続けるわけにもいかない。
そんな長時間神経を張り巡らせながら『妖魔』と戦い続けさせられた挙句に、いつ『妖魔召士』達が襲って来るかも分からない状態で気が弱くなり、他のグループと合流しようと動く事でそれを待っていたとばかりに『妖魔召士』達が『魔瞳』や『捉術』を用いて襲い掛かって来るかもしれないのである。
考えれば考える程に彼ら妖魔退魔師は不利な状況だといえる。いくつもの罠を仕掛けられたこの状況下で、果たしてどう行動するのが一番の正解なのかとカヤ達は悩まされていたが、そこに彼らのような『魔力』で相手の位置を確認出来ない『妖魔退魔師』達でさえ、これまでの妖魔とは違う『異質』な存在が、迫って来るのを感じ取るのであった――。
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