最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1345話 生じ始めた意思の齟齬
「いいか? どうやらヒュウガ様は何やら目測を誤られたようだ。奴らがこの森に来る前と来た後で、色々と焦りが生じている様子が私からでも見て取れる。とりあえずヒュウガ様からの命令は、お前に『王連』を使役させて奴ら数人を戦闘不能にさせて、捜索を遅らせろとの事だ」
『上位妖魔召士』にしてヒュウガの右腕である『キクゾウ』は、ヒュウガの潜伏している洞穴から少し離れた別の洞穴に向かい、その場に居る同じく『上位妖魔召士』の『ジンゼン』にそう告げるのだった。
「そ、そうですか……。出来ればもう少し休ませて欲しいところなのですがね……」
この森に来る前にジンゼンは『ケイノト』の門前で『野槌』を使役して戦い、更には南の森では『王連』を使役させて『キョウカ』と戦わせたりと、連戦に次ぐ連戦で『妖魔召士』として膨大な魔力を有している彼であっても、魔力枯渇を起こすギリギリの状態で『加護の森』に来ていたのである。
その為にもう少し『王連』程のランクの妖魔を使役するのはやめたいと考えていたところであった。
「お前の気持ちも勿論分かるよ……。そもそもヒュウガ様にどういう秘策があったのか、あの『退魔組』の連中が関係している事だとは思うのだが、いくらそうであっても『妖魔退魔師』と正面きって戦いになるようなこんな無謀な策を取り続けた理由が私にも分からん……。明らかに自殺行為だ」
「ええ……。これが本家である『妖魔召士』組織だけを相手にするのであれば、これだけの戦力があれば対等以上に持っていけたかもしれませんが、その上に『妖魔退魔師』を相手にするとあっては、勝ち目は非常に薄くなるかと。すでに『アチシラ』や『ミョウイ』他にも優れた妖魔召士数人を失っていますし、この上『組長格』や、あのミスズ殿を相手にするとなると、ここを何とか乗り切れたとしても『ゲンロク』様達の本家どもとやり合える気がしません……」
キクゾウはジンゼンの言葉を聴いて、ちらりと自分と共に『ヒュウガ』の元からこの洞穴に移動をいてきていた『退魔組』の『特別退魔士』達の姿に視線を送る。
その視線をキクゾウから向けられた『ヒイラギ』達は驚いて後退るのだった。
(確かに居ないよりはマシなのだろうが、このような者達を加えたところで事態が好転するとはとても思えぬのだがな。本当にヒュウガ様の言う通り退魔組と合流は必要だったのだろうか。退魔組の事を考えずに別の場所へ向かった方が良かったと思えるが、ヒュウガ様のお考えは我々にはまだ分からぬ。だが仕方が無いが、賽は投げられてしまったのだ。ここまで来たからには、とりあえずは生き延びる事が先決だ)
キクゾウは思案を続けていただけだったが、じっと睨まれているような視線を向けられた『特別退魔士』達は、怯えるように視線を逸らすのだった。
「ヒュウガ様は急いで『王連』を使役しろとの事だったが、奴らがもう少し近づいてくるまでお前は休んでいろ。私が代わりに『黄雀』を用いて周囲を見張っておこう」
「よ、よろしいのですか?」
「ああ。だが勿論、奴らが近づいてくればお前にも頑張ってもらわなければならん。この数少ない戦力では、お前の『王連』程の妖魔が居るのといないのとでは結果は雲泥の差だからな。それに奴らを一人か二人だけでも数を減らせれば、ヒュウガ様は相手の動きが鈍くなると考えられているようだし、手っ取り早く数人片付ければ、一先ずは何とかなるだろうしな」
「確かにその通りですね。正面からぶつかり合えば確かに我々が不利でしょうが、接近さえしなければ奴らはこちらの動向が分からない。逆に我々は向こうの居場所を一方的に知る事が出来るのですから、やりようによってはまだまだこちらが有利の筈です!」
「ああ。お前の言う通りだ。とりあえず休め」
「はい! そうさせてもらいます。気にかけてもらってありがとうございます、キクゾウ様!」
ジンゼンが頭を下げて礼を言うと、キクゾウは大きく頷いて見せるのだった。
(ヒュウガ様の思惑とは少しずれるだろうが、大切な戦力であるジンゼンの魔力が枯渇してしまえば、王連も使役出来ずにどうにもならないだろう……)
キクゾウはそう判断して、直ぐに『王連』を使役させろという『ヒュウガ』の命令に背く形となったが、キクゾウはジンゼンを休ませる事にするのだった。
『上位妖魔召士』にしてヒュウガの右腕である『キクゾウ』は、ヒュウガの潜伏している洞穴から少し離れた別の洞穴に向かい、その場に居る同じく『上位妖魔召士』の『ジンゼン』にそう告げるのだった。
「そ、そうですか……。出来ればもう少し休ませて欲しいところなのですがね……」
この森に来る前にジンゼンは『ケイノト』の門前で『野槌』を使役して戦い、更には南の森では『王連』を使役させて『キョウカ』と戦わせたりと、連戦に次ぐ連戦で『妖魔召士』として膨大な魔力を有している彼であっても、魔力枯渇を起こすギリギリの状態で『加護の森』に来ていたのである。
その為にもう少し『王連』程のランクの妖魔を使役するのはやめたいと考えていたところであった。
「お前の気持ちも勿論分かるよ……。そもそもヒュウガ様にどういう秘策があったのか、あの『退魔組』の連中が関係している事だとは思うのだが、いくらそうであっても『妖魔退魔師』と正面きって戦いになるようなこんな無謀な策を取り続けた理由が私にも分からん……。明らかに自殺行為だ」
「ええ……。これが本家である『妖魔召士』組織だけを相手にするのであれば、これだけの戦力があれば対等以上に持っていけたかもしれませんが、その上に『妖魔退魔師』を相手にするとあっては、勝ち目は非常に薄くなるかと。すでに『アチシラ』や『ミョウイ』他にも優れた妖魔召士数人を失っていますし、この上『組長格』や、あのミスズ殿を相手にするとなると、ここを何とか乗り切れたとしても『ゲンロク』様達の本家どもとやり合える気がしません……」
キクゾウはジンゼンの言葉を聴いて、ちらりと自分と共に『ヒュウガ』の元からこの洞穴に移動をいてきていた『退魔組』の『特別退魔士』達の姿に視線を送る。
その視線をキクゾウから向けられた『ヒイラギ』達は驚いて後退るのだった。
(確かに居ないよりはマシなのだろうが、このような者達を加えたところで事態が好転するとはとても思えぬのだがな。本当にヒュウガ様の言う通り退魔組と合流は必要だったのだろうか。退魔組の事を考えずに別の場所へ向かった方が良かったと思えるが、ヒュウガ様のお考えは我々にはまだ分からぬ。だが仕方が無いが、賽は投げられてしまったのだ。ここまで来たからには、とりあえずは生き延びる事が先決だ)
キクゾウは思案を続けていただけだったが、じっと睨まれているような視線を向けられた『特別退魔士』達は、怯えるように視線を逸らすのだった。
「ヒュウガ様は急いで『王連』を使役しろとの事だったが、奴らがもう少し近づいてくるまでお前は休んでいろ。私が代わりに『黄雀』を用いて周囲を見張っておこう」
「よ、よろしいのですか?」
「ああ。だが勿論、奴らが近づいてくればお前にも頑張ってもらわなければならん。この数少ない戦力では、お前の『王連』程の妖魔が居るのといないのとでは結果は雲泥の差だからな。それに奴らを一人か二人だけでも数を減らせれば、ヒュウガ様は相手の動きが鈍くなると考えられているようだし、手っ取り早く数人片付ければ、一先ずは何とかなるだろうしな」
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「はい! そうさせてもらいます。気にかけてもらってありがとうございます、キクゾウ様!」
ジンゼンが頭を下げて礼を言うと、キクゾウは大きく頷いて見せるのだった。
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