最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1319話 力を開放するイツキ
「イツキ様! 奴らは『妖魔退魔師』組織の連中です! そ、それもあの背の高い女は、組長格です!」
「おいおい。奇妙な術を使う奴を見にきたら、どうして『妖魔退魔師』が居るんだ。勘弁してくれよ……」
「い、い、イツキ様! どうしましょうか!?」
かなり離れた距離に居るが相手は妖魔退魔師である。奴らであればイツキ達の居る場所までの距離など、有ってないようなモノである。
「ちっ! 参ったな。奴らが戦闘態勢に入ってるところをみると、どうやら俺達を『退魔組』と理解している上で、もう俺達と武力衝突する気満々のようだ」
イツキは参ったと口では困ったような言葉を吐いていたが、その顔は彼をよく知る者であれば直ぐに嘘だと分かるのだった。
――そう。イツキの隣に居る元『煌鴟梟』の『ミヤジ』のように。
「ここは私が引き受けます! ここにヒノエ組長が居る以上は何秒も持つかすらも怪しいですが、イツキ様はミヤジ殿を連れて早く『加護の森』へ!」
決意を込めた様子でそう告げると、ユウゲは『式』を放ち始めながら更に自身の周囲に『結界』を施し始めるのだった。
イツキはユウゲの言葉に驚いた様子だった。
(こいつは俺にここまで従順だったか? 俺に対して言葉はこれまでも丁寧だったとは記憶をしているが、命の危険を感じれば直ぐに裏切るだろうと思っていたのだがな)
イツキはユウゲの余りの変わり様に、訝しそうにしながら胸中でそう呟くのだった。
しかしいつまでも驚いてばかりはいられない。イツキが顔を戻すと『ヒノエ』が自身の愛刀に刀を充てるのが見えた。どうやら『ユウゲ』が『式』を使役したことで、もう話し合う余地は無くなったのだと、妖魔退魔師達は感じたのだろう。このままであればこの場で『妖魔退魔師』との交戦は避けられなくなってしまう。
そこまで考えたイツキは目を細め始めたかと思うと、いつもの『退魔組』の『頭領補佐』の時のイツキを演技し始めるのだった。
「お、お待ちください!! 双方矛を収めましょう! 何がなんだか私達も分からずに、町人の避難を行っていたところだったのです。貴方がたを『妖魔退魔師』の方々と見込んだ上で、我々『退魔組』と協力体制を取って頂きたい!」
自分達も何が何だか分からないが、町の混乱を沈めようと動いているところだったとイツキは、そう演技をすることに決めたようであった。
「ふっ……! もう全て分かってんだよ。今更そんな見え透いた嘘が通じると思っているのか? 『退魔組』は『ヒュウガ一派』と手を組んでることは分かってんだよ」
一気に距離を縮める様子はなく、ヒノエ達はゆっくりと歩いてイツキ達に近づいてきてそう告げた。
「ユウゲ、本当に俺達『退魔組』のことがバレていると思うか? アイツは博打好きの『ヒノエ』組長だろう? 交渉事が得意だと聞くが、引っかけようとしていると思うか?」
「いや……。もう『隻眼』というもう一人の組長格も動いていたのですから、流石に全てを分かった上で向こうは動いていると思われます」
ユウゲの言葉を聴いたイツキは、今度はミヤジの方を見た。
「俺もそう思いますよ、イツキ様」
多数決の上でも自分が少数派だと悟ったイツキは、溜息を吐くのだった。
「あーあ。物見遊山のようなつもりで空から現れた連中に構うんじゃなかったな? さっさとミヤジを連れて森へいきゃよかった」
イツキの諦観の言葉を聴いたユウゲは、自分が認めた『魔』の大天才にして、現人神と思っているユウゲがこんなところで奴らに捕まって、今後の展望を閉ざされてしまうくらいならばと身を犠牲にするつもりで口を開いた。
「イツキ様! 今からでも遅くありません。全身全霊でこの『ユウゲ』が道を切り開きます! 貴方のために『盾』となりましょう!」
そう言ってユウゲは、次々とランク2や3の『式神』を放ち続けて行く。
どうやらその言葉に偽りなく、この場でイツキを逃す為に全力で『盾』になろうとしているのだろう。
『特別退魔士』であっても『妖魔召士』に劣る魔力しかもたない『ユウゲ』が、これだけの妖魔を一気に使役して維持しようものなら一瞬で魔力枯渇になる筈である。
つまりユウゲは玉砕を厭わぬ決死の覚悟で臨もうとしているのだろう――。
そしてゆっくりとイツキ達と近づいていた『ヒノエ』は、もう逃すことはないだろうという距離まで詰めたのを確認すると、大きな声を張り上げた。
「全員、奴らをひっ捕らえろ! 抵抗するなら手や足を斬り落としても構わん! ただ、命だけは残せ!」
「「応!」」
ヒノエの命令で一斉に妖魔退魔師達は刀を抜き始めたかと思うと、一気にイツキ達に向かって走り出していくのであった。
――あーあ。めんどくさ――……。
向かってくる妖魔退魔師達を見たイツキは、心底だるそうにそう告げた直後――。
――『力』を開放するのだった。
……
……
……
「おいおい。奇妙な術を使う奴を見にきたら、どうして『妖魔退魔師』が居るんだ。勘弁してくれよ……」
「い、い、イツキ様! どうしましょうか!?」
かなり離れた距離に居るが相手は妖魔退魔師である。奴らであればイツキ達の居る場所までの距離など、有ってないようなモノである。
「ちっ! 参ったな。奴らが戦闘態勢に入ってるところをみると、どうやら俺達を『退魔組』と理解している上で、もう俺達と武力衝突する気満々のようだ」
イツキは参ったと口では困ったような言葉を吐いていたが、その顔は彼をよく知る者であれば直ぐに嘘だと分かるのだった。
――そう。イツキの隣に居る元『煌鴟梟』の『ミヤジ』のように。
「ここは私が引き受けます! ここにヒノエ組長が居る以上は何秒も持つかすらも怪しいですが、イツキ様はミヤジ殿を連れて早く『加護の森』へ!」
決意を込めた様子でそう告げると、ユウゲは『式』を放ち始めながら更に自身の周囲に『結界』を施し始めるのだった。
イツキはユウゲの言葉に驚いた様子だった。
(こいつは俺にここまで従順だったか? 俺に対して言葉はこれまでも丁寧だったとは記憶をしているが、命の危険を感じれば直ぐに裏切るだろうと思っていたのだがな)
イツキはユウゲの余りの変わり様に、訝しそうにしながら胸中でそう呟くのだった。
しかしいつまでも驚いてばかりはいられない。イツキが顔を戻すと『ヒノエ』が自身の愛刀に刀を充てるのが見えた。どうやら『ユウゲ』が『式』を使役したことで、もう話し合う余地は無くなったのだと、妖魔退魔師達は感じたのだろう。このままであればこの場で『妖魔退魔師』との交戦は避けられなくなってしまう。
そこまで考えたイツキは目を細め始めたかと思うと、いつもの『退魔組』の『頭領補佐』の時のイツキを演技し始めるのだった。
「お、お待ちください!! 双方矛を収めましょう! 何がなんだか私達も分からずに、町人の避難を行っていたところだったのです。貴方がたを『妖魔退魔師』の方々と見込んだ上で、我々『退魔組』と協力体制を取って頂きたい!」
自分達も何が何だか分からないが、町の混乱を沈めようと動いているところだったとイツキは、そう演技をすることに決めたようであった。
「ふっ……! もう全て分かってんだよ。今更そんな見え透いた嘘が通じると思っているのか? 『退魔組』は『ヒュウガ一派』と手を組んでることは分かってんだよ」
一気に距離を縮める様子はなく、ヒノエ達はゆっくりと歩いてイツキ達に近づいてきてそう告げた。
「ユウゲ、本当に俺達『退魔組』のことがバレていると思うか? アイツは博打好きの『ヒノエ』組長だろう? 交渉事が得意だと聞くが、引っかけようとしていると思うか?」
「いや……。もう『隻眼』というもう一人の組長格も動いていたのですから、流石に全てを分かった上で向こうは動いていると思われます」
ユウゲの言葉を聴いたイツキは、今度はミヤジの方を見た。
「俺もそう思いますよ、イツキ様」
多数決の上でも自分が少数派だと悟ったイツキは、溜息を吐くのだった。
「あーあ。物見遊山のようなつもりで空から現れた連中に構うんじゃなかったな? さっさとミヤジを連れて森へいきゃよかった」
イツキの諦観の言葉を聴いたユウゲは、自分が認めた『魔』の大天才にして、現人神と思っているユウゲがこんなところで奴らに捕まって、今後の展望を閉ざされてしまうくらいならばと身を犠牲にするつもりで口を開いた。
「イツキ様! 今からでも遅くありません。全身全霊でこの『ユウゲ』が道を切り開きます! 貴方のために『盾』となりましょう!」
そう言ってユウゲは、次々とランク2や3の『式神』を放ち続けて行く。
どうやらその言葉に偽りなく、この場でイツキを逃す為に全力で『盾』になろうとしているのだろう。
『特別退魔士』であっても『妖魔召士』に劣る魔力しかもたない『ユウゲ』が、これだけの妖魔を一気に使役して維持しようものなら一瞬で魔力枯渇になる筈である。
つまりユウゲは玉砕を厭わぬ決死の覚悟で臨もうとしているのだろう――。
そしてゆっくりとイツキ達と近づいていた『ヒノエ』は、もう逃すことはないだろうという距離まで詰めたのを確認すると、大きな声を張り上げた。
「全員、奴らをひっ捕らえろ! 抵抗するなら手や足を斬り落としても構わん! ただ、命だけは残せ!」
「「応!」」
ヒノエの命令で一斉に妖魔退魔師達は刀を抜き始めたかと思うと、一気にイツキ達に向かって走り出していくのであった。
――あーあ。めんどくさ――……。
向かってくる妖魔退魔師達を見たイツキは、心底だるそうにそう告げた直後――。
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