最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1258話 惨めな気持ち
「何をしている! 王連、直ぐに奴を追え! お、お前達も直ぐに追いかけろ! このままだと失態を晒した我々はヒュウガ様に殺されるぞ!?」
王連の引き起こした竜巻を利用して空を舞い上がって見せた『チジク』に、何が起きたか分からずに飛べない筈の空を人間が飛んだ事で、唖然としながら空を見上げていた妖魔召士達は、そのジンゼンの言葉に慌てて我に返って、今更ながらに『狗神』の背に跨って駆けて行った。
空に居た『王連』だけがジンゼンの命令に従わずに、自分の斬りつけられた背中をさすりながら呆然としている様子だった。
「わ、儂の背の羽根が……!」
そしてみるみる内に顔を赤くしながら『王連』は顔を歪めていく。
「あの小童がぁっ!! 何処へ行きやがった!!」
激昂する『王連』は懐からヤツデの葉のような形をしている羽団扇を取り出すと、自身の魔力を費やし始めた後に、煌々と光が灯り始めた羽団扇を振りかざすと、そのまま逃げたチジクの方向へ向けて、恐るべき速度で空を泳ぐように飛翔していった。
「え!? お、おい! ちょ、ちょっと待て、私を置いて行くな!!」
あっという間にその場から恐るべき速度で空を移動していった王連に、今度は追いかけるように告げた筈のジンゼンが慌てて別の『鳥』の妖魔に跨って、必死に王連を追いかけるのだった。
…………
「ん? あれは、まさか……! ちょ、ちょっとアナタ、ごめん止まって!」
キョウカを背に乗せて森の上空をかっ飛ばしていた『鬼人』は、その声を聞いて慌てて動きを止める。
「な、何だ! どうしたっていうんだ?」
「やっぱり! あれは私の組の隊士達だわ! ごめん、このまま引き返してあの湿地帯の入り口まで迂回して!」
「お、お前がそう言うなら、わ、分かった!」
(あれだけの速度で空を飛んでいたのに、こいつはあんな遠くの豆粒みたいな人間達が走っているのが見えたのか? 鬼人の俺でも意識してなければ気付けないぞ)
ケイノト方面へ真っすぐ向かっていた鬼人はそのまま東の方へと方向転換すると、その先に確かに人がケイノトの方から南下して湿地帯へと走って行く姿が見えた為に胸中でそう呟きながら、キョウカの動体視力に驚くのだった。
…………
「組長は一体何処まで行ったのだろうか?」
「ヒュウガ一派と繋がりがあると判断なされた男を追っていったようだが、相手は普通の商人にしか見えなかったし、もう追いついていても何も可笑しくはないと思うが……」
「こうして探している間にもヒサト様とチジク殿が危ないっていうのに、クソッ!」
副組長ヒサトと古参の『三組』の隊士『チジク』が命がけで時間を稼いでいる事が頭から離れず、この二人は死に物狂いで『ケイノト』の門の場所から南下してきたが、先にこちらに来ていた筈のキョウカ組長の姿が見当たらず、焦りながら会話を交わすのだった。
彼らとて『妖魔退魔師』組織の『三組』に所属出来る程の幹部達なのである。予備群や妖魔退魔師衆よりもなまじ力が有るものだから、今の状況は精神的にもとても辛い状態であった。
当初の予定ではたとえヒュウガ一派が現れようとも、彼ら『三組』だけで捕縛を済ませられるだろうと考えていた。
決して相手侮っていたわけではないが、自分達は優れた妖魔退魔師で、更には副組長も後から合流を果たした事で、組長と副組長もいる妖魔退魔師の『三組』が全員揃い踏みだったからである。
それがフタを開けて見れば、ヒュウガ一派に惨敗。何より相手は本当の指揮官の筈の『ヒュウガ』本人もいない始末である。
それでも何度も言うが、本当に相手を侮って挑んだわけではないのである。
天狗の『王連』の存在もその『王連』と契約を果たしている『ジンゼン』という『上位妖魔召士』の存在も理解していたし、決して簡単に行く相手ではない事も知っていた。
それでも彼らは『組長』と『副組長』それに自分達『三組』が力を合わせる事が出来ていれば、そう万全の態勢で挑むことが出来ていれさえすれば、勝てていた筈だと今でも思っている。
しかし現実には仲間の多くがやられて、副組長と仲間を置き去りに憂鬱な気分を抱きながら惨めに敗走。
肝心のキョウカ組長の姿も見つけられずに静かな湿地帯近辺で悠長にウロウロと人探し。情けな過ぎて気を抜くと涙が出てきてしまいそうである――。
そしてそんな二人が焦燥感に駆られながら道の分岐点に差し掛かった頃、このまま更に南下するべきかそれとも森の方へと行くべきかと考えていると、その森の方角の空から何かが迫って来る気配を感じ取った。
「お、おい……! 何かが来るぞ!」
「あ? あれは……き、『鬼人』の妖魔か!? ま、まさか副組長達がやられたのか!?」
彼らは森の方角から迫って来る妖魔を見て、自分達を逃がす為に残ってくれたヒサト副組長やチジク隊士がやられたのかと考えて、こちらに近づいてくる『鬼人』を撃退しようと刀を構え始めるのだった。
王連の引き起こした竜巻を利用して空を舞い上がって見せた『チジク』に、何が起きたか分からずに飛べない筈の空を人間が飛んだ事で、唖然としながら空を見上げていた妖魔召士達は、そのジンゼンの言葉に慌てて我に返って、今更ながらに『狗神』の背に跨って駆けて行った。
空に居た『王連』だけがジンゼンの命令に従わずに、自分の斬りつけられた背中をさすりながら呆然としている様子だった。
「わ、儂の背の羽根が……!」
そしてみるみる内に顔を赤くしながら『王連』は顔を歪めていく。
「あの小童がぁっ!! 何処へ行きやがった!!」
激昂する『王連』は懐からヤツデの葉のような形をしている羽団扇を取り出すと、自身の魔力を費やし始めた後に、煌々と光が灯り始めた羽団扇を振りかざすと、そのまま逃げたチジクの方向へ向けて、恐るべき速度で空を泳ぐように飛翔していった。
「え!? お、おい! ちょ、ちょっと待て、私を置いて行くな!!」
あっという間にその場から恐るべき速度で空を移動していった王連に、今度は追いかけるように告げた筈のジンゼンが慌てて別の『鳥』の妖魔に跨って、必死に王連を追いかけるのだった。
…………
「ん? あれは、まさか……! ちょ、ちょっとアナタ、ごめん止まって!」
キョウカを背に乗せて森の上空をかっ飛ばしていた『鬼人』は、その声を聞いて慌てて動きを止める。
「な、何だ! どうしたっていうんだ?」
「やっぱり! あれは私の組の隊士達だわ! ごめん、このまま引き返してあの湿地帯の入り口まで迂回して!」
「お、お前がそう言うなら、わ、分かった!」
(あれだけの速度で空を飛んでいたのに、こいつはあんな遠くの豆粒みたいな人間達が走っているのが見えたのか? 鬼人の俺でも意識してなければ気付けないぞ)
ケイノト方面へ真っすぐ向かっていた鬼人はそのまま東の方へと方向転換すると、その先に確かに人がケイノトの方から南下して湿地帯へと走って行く姿が見えた為に胸中でそう呟きながら、キョウカの動体視力に驚くのだった。
…………
「組長は一体何処まで行ったのだろうか?」
「ヒュウガ一派と繋がりがあると判断なされた男を追っていったようだが、相手は普通の商人にしか見えなかったし、もう追いついていても何も可笑しくはないと思うが……」
「こうして探している間にもヒサト様とチジク殿が危ないっていうのに、クソッ!」
副組長ヒサトと古参の『三組』の隊士『チジク』が命がけで時間を稼いでいる事が頭から離れず、この二人は死に物狂いで『ケイノト』の門の場所から南下してきたが、先にこちらに来ていた筈のキョウカ組長の姿が見当たらず、焦りながら会話を交わすのだった。
彼らとて『妖魔退魔師』組織の『三組』に所属出来る程の幹部達なのである。予備群や妖魔退魔師衆よりもなまじ力が有るものだから、今の状況は精神的にもとても辛い状態であった。
当初の予定ではたとえヒュウガ一派が現れようとも、彼ら『三組』だけで捕縛を済ませられるだろうと考えていた。
決して相手侮っていたわけではないが、自分達は優れた妖魔退魔師で、更には副組長も後から合流を果たした事で、組長と副組長もいる妖魔退魔師の『三組』が全員揃い踏みだったからである。
それがフタを開けて見れば、ヒュウガ一派に惨敗。何より相手は本当の指揮官の筈の『ヒュウガ』本人もいない始末である。
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それでも彼らは『組長』と『副組長』それに自分達『三組』が力を合わせる事が出来ていれば、そう万全の態勢で挑むことが出来ていれさえすれば、勝てていた筈だと今でも思っている。
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そしてそんな二人が焦燥感に駆られながら道の分岐点に差し掛かった頃、このまま更に南下するべきかそれとも森の方へと行くべきかと考えていると、その森の方角の空から何かが迫って来る気配を感じ取った。
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「あ? あれは……き、『鬼人』の妖魔か!? ま、まさか副組長達がやられたのか!?」
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