最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1153話 組織の秩序と規律理念
ソフィ達との話し合いを終えたミスズとシゲンは、直ぐに隊士達を本部へ集めると先程決まった今後の方針を『妖魔退魔師』の隊士達に伝えていく。
この場には部外者と呼べるソフィやヌー達も居るのだが、シゲンやミスズは平然と組織の今後の行動指針を告げている為に、事情を知らない『妖魔退魔師』の人間達は、ソフィ達が気になる様子であったが、すでに総長であるシゲンや副総長であるミスズはソフィ達を部外者と扱わず、まるで同じ組織に居る同士のように作戦を伝えて行くのを見て、当初こそソフィ達に意識を向けていた者達も、徐々にそちらに意識を割かなくなっていった。
注目されていた張本人であるソフィは『妖魔退魔師』達の順応性を見て、特務施設の廊下でスオウに聞かされていた話の通りだったと納得するのだった。
――この組織は集団生活に於ける規律の統制が徹底されている。
絶対的な組織の権威の存在としてスオウからシゲンの事を聞かされていたが、ソフィの目にはそれだけではないという事が映り明確に理解出来た。
もちろん総長シゲンという男の存在がこの秩序を生み出しているのだろうが、生み出された条理をこの組織の枠に当てはめて組み込んで成り立たせているのは、次々と正確に『妖魔退魔師』達に指示を出していく『ミスズ』という副総長の存在だろう。
総長シゲンが組織の秩序を0から1へ生み出しているとするならば、副総長ミスズがその理念を1から10にも100にも伸ばしていっている。
『妖魔退魔師』組織と対となると言われている『妖魔召士』組織。その一端をソフィは垣間見ただけに過ぎないが、それでも組織としての地盤がこの『妖魔退魔師』組織とは違いすぎる。
この組織の要である副総長ミスズという存在は『妖魔召士』側のNo.2と思われるヒュウガ殿とは全く違っていた。先に『妖魔召士』組織の中を見てきたソフィにとって、ゲンロク殿の屋敷で見た野心丸出しであったヒュウガと『妖魔退魔師』組織を支えようと本気で考えている事が分かるミスズとではあまりにも差があり過ぎる。
――いや、そもそも比べる事すら間違っていると感じられた。
ケイノトで言っていたエイジ殿の気持ちと言葉は、この組織の在り様を見た後では、より一層強くエイジ殿の描いたイメージを感じ取る事が出来たソフィであった。
(我とて『アレルバレル』の世界の秩序をギリギリのラインで保てられておるのは、ディアトロスの力があってこそであった。あやつが居なければ今頃『人間界』はどうなっていただろうか。あっさりとミラの手に落ちておっただろうな)
組織は決して一人では成り立たない。それは理念、条理、秩序全てに関わる。組織、国、世界、規模は違えども支える地盤の役割、影響、権威。あらゆる角度からしっかりとその在り様を見なければ、本質は理解出来ない。
(クックック! 『妖魔退魔師』の副総長ミスズ殿か。是非ディアトロスと会わせて対話をさせてやりたいものよな)
自分の片腕であるディアトロスもまた、その手腕に疑う余地がないとソフィは思っている。これだけの聡明さを兼ね揃えているミスズと自分の自慢の片腕と対話をさせる事で、一体どれほどの有益な話を生み出す事が出来るだろうかと、そう考えてソフィは静かに笑みを浮かべ始めるのだった。
やがてピタリとソフィの笑みが止んだ後、静かにその視線を総長シゲンに向ける。
(これ程の優秀な辣腕を持つミスズ殿であれば、彼女自身が組織の長としても十分に成り立たせられるだろうに、そのミスズ殿を抑えてあの男がこの組織の総長だという事実。是非あの男とも話をしておきたい。一体どのような男なのか詳しく知っておきたいところだ)
もしあの男が取るに足らない男であれば、このミスズ殿がこんなにも献身的にはならないだろう。ミスズの様子を見るに、総長シゲンという男を絶対的な組織の長として疑ってはおらず、心の底から信頼している様子がソフィには見て取れるのだった。そしてもっとあの男の事を知っておきたいと、ソフィの思考はそこに行き着くのであった。
この場には部外者と呼べるソフィやヌー達も居るのだが、シゲンやミスズは平然と組織の今後の行動指針を告げている為に、事情を知らない『妖魔退魔師』の人間達は、ソフィ達が気になる様子であったが、すでに総長であるシゲンや副総長であるミスズはソフィ達を部外者と扱わず、まるで同じ組織に居る同士のように作戦を伝えて行くのを見て、当初こそソフィ達に意識を向けていた者達も、徐々にそちらに意識を割かなくなっていった。
注目されていた張本人であるソフィは『妖魔退魔師』達の順応性を見て、特務施設の廊下でスオウに聞かされていた話の通りだったと納得するのだった。
――この組織は集団生活に於ける規律の統制が徹底されている。
絶対的な組織の権威の存在としてスオウからシゲンの事を聞かされていたが、ソフィの目にはそれだけではないという事が映り明確に理解出来た。
もちろん総長シゲンという男の存在がこの秩序を生み出しているのだろうが、生み出された条理をこの組織の枠に当てはめて組み込んで成り立たせているのは、次々と正確に『妖魔退魔師』達に指示を出していく『ミスズ』という副総長の存在だろう。
総長シゲンが組織の秩序を0から1へ生み出しているとするならば、副総長ミスズがその理念を1から10にも100にも伸ばしていっている。
『妖魔退魔師』組織と対となると言われている『妖魔召士』組織。その一端をソフィは垣間見ただけに過ぎないが、それでも組織としての地盤がこの『妖魔退魔師』組織とは違いすぎる。
この組織の要である副総長ミスズという存在は『妖魔召士』側のNo.2と思われるヒュウガ殿とは全く違っていた。先に『妖魔召士』組織の中を見てきたソフィにとって、ゲンロク殿の屋敷で見た野心丸出しであったヒュウガと『妖魔退魔師』組織を支えようと本気で考えている事が分かるミスズとではあまりにも差があり過ぎる。
――いや、そもそも比べる事すら間違っていると感じられた。
ケイノトで言っていたエイジ殿の気持ちと言葉は、この組織の在り様を見た後では、より一層強くエイジ殿の描いたイメージを感じ取る事が出来たソフィであった。
(我とて『アレルバレル』の世界の秩序をギリギリのラインで保てられておるのは、ディアトロスの力があってこそであった。あやつが居なければ今頃『人間界』はどうなっていただろうか。あっさりとミラの手に落ちておっただろうな)
組織は決して一人では成り立たない。それは理念、条理、秩序全てに関わる。組織、国、世界、規模は違えども支える地盤の役割、影響、権威。あらゆる角度からしっかりとその在り様を見なければ、本質は理解出来ない。
(クックック! 『妖魔退魔師』の副総長ミスズ殿か。是非ディアトロスと会わせて対話をさせてやりたいものよな)
自分の片腕であるディアトロスもまた、その手腕に疑う余地がないとソフィは思っている。これだけの聡明さを兼ね揃えているミスズと自分の自慢の片腕と対話をさせる事で、一体どれほどの有益な話を生み出す事が出来るだろうかと、そう考えてソフィは静かに笑みを浮かべ始めるのだった。
やがてピタリとソフィの笑みが止んだ後、静かにその視線を総長シゲンに向ける。
(これ程の優秀な辣腕を持つミスズ殿であれば、彼女自身が組織の長としても十分に成り立たせられるだろうに、そのミスズ殿を抑えてあの男がこの組織の総長だという事実。是非あの男とも話をしておきたい。一体どのような男なのか詳しく知っておきたいところだ)
もしあの男が取るに足らない男であれば、このミスズ殿がこんなにも献身的にはならないだろう。ミスズの様子を見るに、総長シゲンという男を絶対的な組織の長として疑ってはおらず、心の底から信頼している様子がソフィには見て取れるのだった。そしてもっとあの男の事を知っておきたいと、ソフィの思考はそこに行き着くのであった。
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