最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1144話 ヒノエと素性の知れない女
間諜を行っていた三人の『妖魔召士』の内、その代表格であったリュウジがヒノエ達に追いかけられていた頃、他の逃げた二人はあっさりと『妖魔退魔師衆』達に捕縛されていた。
しかし彼らは単なる暴漢とは違い、手や足を縛って捕らえたとしてもそこで完全に抵抗が出来なくなるわけではない。何故なら彼ら『妖魔召士』には『魔瞳』という力が備わっているからである。
この『妖魔召士』達が扱う『魔瞳』というものは、ソフィが使う通称『死の結界』の中でも『理』を使用しての魔法というわけでは無い為に、普段通りに使う事が出来る術である。
つまり『妖魔召士』を取り押さえる為には、手や足を縛る事だけに意識を向けるのではなく『魔瞳』を封じるために目も隠すように封じなければならない。だが、その事は当然というべきか対立する組織である『妖魔退魔師』達は十分に理解している。
直接『妖魔召士』と命のやり取りをするような真似は、前回の一件以外ではこれまでの歴史ではなかったが、互いに『妖魔』という共通する敵を討伐する間柄であった為に、昨今では『妖魔退魔師』と呼ぶ事を許される領域に居る者達であれば、誰であってもその対応は難しくない程までに対策のレベルが達してきている。
今回のように相手が少数で逆に仲間が大勢いる場合では、それこそ確実と言っていい程に対策は万全であった。そもそも大勢の『妖魔退魔師』に追われるという事自体、間諜の『妖魔召士』達は慣れては居なかった為に、今回のように冷静に対処されてしまえば、手も足もそれこそ目も出す事が出来ぬままに、目隠しされた状態であっさりと手足も縛られて『妖魔退魔師』達に捕らえられてしまうのであった。
「総長、副総長! ご命令通りに怪しい行動を取っていた『妖魔召士』達を『二名』だけですが取り押さえてきました」
そして逃げた三人組の内の二人が、総長シゲンの居た場所に連行されてくるのであった。
「ご苦労様。後はヒノエ達が追っていった方の露店商の主に成りすましていた男だけですね」
あっさりと『妖魔召士』二名を捕らえてきた部下達を労うと、ミスズはヒノエに追わせた方も直ぐに連れ戻させる事が出来るだろうと信じて疑わずに笑みを浮かべるのだった。
「よし、では後はヒノエ達に任せて、俺達は本部に戻るぞ」
そして総長のシゲンもミスズと同じように、ヒノエ達が取り逃がす事はないだろうと判断して、その場に居る者達に指示を出し始めると『妖魔退魔師衆』達は、一糸乱れぬ隊列を組みながら総長に敬礼するのだった。
……
……
……
逃げた『妖魔召士』三人の内、リーダー格であったリュウジは、人質にされた少女に滅多刺しにされて既に絶命していた。
「お前、どういうつもりだよ?」
ヒノエはその惨劇を生んだ少女から刃物を奪い取り、そのまま地面に組み伏せて完全に動けなくしながら詰問を行う。少女は地面を舐めるように地面に顔を押し付けられている。
まるでこのリュウジと同じように逃げた、他の二名の取り押さえられた『妖魔召士』と同じ扱いを受ける少女であったが、素性が分からない以上はこうでもしなければ何をしでかすか分からないと判断した為であった。
「どういう……つもり、ですか? 自分の身の安全の為に行ったつもりでしたがどうして私が責められているのでしょうか、人質にされていたのは私なのですよ?」
「馬鹿! それにしてもあれはどう見てもやり過ぎだろう! 相手を動けなくさせた時点で十分だった筈だ。あんな風に……、何度も刺突を繰り返すのは、異常過ぎるぞお前!」
確かに人質をとった『妖魔召士』が一番悪いのは間違いはないだろうが、それでもあの惨劇を行った少女は、ヒノエの言う通り異常過ぎる行為と言えた。
まるであの『妖魔召士』の男に親でも殺されたかの如く、怨嗟をまき散らしながら刺突する彼女には、明確な殺意が孕まれていた。あの姿を見ていた者達であれば彼女が異常過ぎると判断するのは、何も間違ってはいない事だったであろう。
「……」
ヒノエの言葉を聞いて黙り込んだ少女。しかし次の瞬間、少女の目が先程と同じようにどす黒い目に変わっていく。
「やり過ぎですって? 足りないくらいだ!! お前が余計な真似をしなければ、この男の首を斬り落として、何度も何度も……っ!!」
突然大声をあげて取り押さえられた格好で暴れ始めた少女をヒノエは、覆いかぶさるように全体重をかけて動きを止める。
「くっ……!!」
地面に顔を擦り付けられながらも少女は暴れ始めていたが、ヒノエにそのまま腕の関節を極められて、やがては大人しくなるのであった。
「こいつは私が本部へ連れて行く、お前らは先に戻っていろ」
「わ、分かりました!」
言うが早いか『妖魔退魔師衆』はヒノエの命令を遂行して、その場から離れて行くのであった。
「ったくもう……! この町に戻って来てから、ワケの分かんねぇ事ばっかりだよ」
その場に一人残ったヒノエは自分の下に居る少女の顔を見ながら、小さく愚痴を零した後に溜息を吐くのであった。
……
……
……
しかし彼らは単なる暴漢とは違い、手や足を縛って捕らえたとしてもそこで完全に抵抗が出来なくなるわけではない。何故なら彼ら『妖魔召士』には『魔瞳』という力が備わっているからである。
この『妖魔召士』達が扱う『魔瞳』というものは、ソフィが使う通称『死の結界』の中でも『理』を使用しての魔法というわけでは無い為に、普段通りに使う事が出来る術である。
つまり『妖魔召士』を取り押さえる為には、手や足を縛る事だけに意識を向けるのではなく『魔瞳』を封じるために目も隠すように封じなければならない。だが、その事は当然というべきか対立する組織である『妖魔退魔師』達は十分に理解している。
直接『妖魔召士』と命のやり取りをするような真似は、前回の一件以外ではこれまでの歴史ではなかったが、互いに『妖魔』という共通する敵を討伐する間柄であった為に、昨今では『妖魔退魔師』と呼ぶ事を許される領域に居る者達であれば、誰であってもその対応は難しくない程までに対策のレベルが達してきている。
今回のように相手が少数で逆に仲間が大勢いる場合では、それこそ確実と言っていい程に対策は万全であった。そもそも大勢の『妖魔退魔師』に追われるという事自体、間諜の『妖魔召士』達は慣れては居なかった為に、今回のように冷静に対処されてしまえば、手も足もそれこそ目も出す事が出来ぬままに、目隠しされた状態であっさりと手足も縛られて『妖魔退魔師』達に捕らえられてしまうのであった。
「総長、副総長! ご命令通りに怪しい行動を取っていた『妖魔召士』達を『二名』だけですが取り押さえてきました」
そして逃げた三人組の内の二人が、総長シゲンの居た場所に連行されてくるのであった。
「ご苦労様。後はヒノエ達が追っていった方の露店商の主に成りすましていた男だけですね」
あっさりと『妖魔召士』二名を捕らえてきた部下達を労うと、ミスズはヒノエに追わせた方も直ぐに連れ戻させる事が出来るだろうと信じて疑わずに笑みを浮かべるのだった。
「よし、では後はヒノエ達に任せて、俺達は本部に戻るぞ」
そして総長のシゲンもミスズと同じように、ヒノエ達が取り逃がす事はないだろうと判断して、その場に居る者達に指示を出し始めると『妖魔退魔師衆』達は、一糸乱れぬ隊列を組みながら総長に敬礼するのだった。
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逃げた『妖魔召士』三人の内、リーダー格であったリュウジは、人質にされた少女に滅多刺しにされて既に絶命していた。
「お前、どういうつもりだよ?」
ヒノエはその惨劇を生んだ少女から刃物を奪い取り、そのまま地面に組み伏せて完全に動けなくしながら詰問を行う。少女は地面を舐めるように地面に顔を押し付けられている。
まるでこのリュウジと同じように逃げた、他の二名の取り押さえられた『妖魔召士』と同じ扱いを受ける少女であったが、素性が分からない以上はこうでもしなければ何をしでかすか分からないと判断した為であった。
「どういう……つもり、ですか? 自分の身の安全の為に行ったつもりでしたがどうして私が責められているのでしょうか、人質にされていたのは私なのですよ?」
「馬鹿! それにしてもあれはどう見てもやり過ぎだろう! 相手を動けなくさせた時点で十分だった筈だ。あんな風に……、何度も刺突を繰り返すのは、異常過ぎるぞお前!」
確かに人質をとった『妖魔召士』が一番悪いのは間違いはないだろうが、それでもあの惨劇を行った少女は、ヒノエの言う通り異常過ぎる行為と言えた。
まるであの『妖魔召士』の男に親でも殺されたかの如く、怨嗟をまき散らしながら刺突する彼女には、明確な殺意が孕まれていた。あの姿を見ていた者達であれば彼女が異常過ぎると判断するのは、何も間違ってはいない事だったであろう。
「……」
ヒノエの言葉を聞いて黙り込んだ少女。しかし次の瞬間、少女の目が先程と同じようにどす黒い目に変わっていく。
「やり過ぎですって? 足りないくらいだ!! お前が余計な真似をしなければ、この男の首を斬り落として、何度も何度も……っ!!」
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「こいつは私が本部へ連れて行く、お前らは先に戻っていろ」
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