最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1138話 一安心
『妖魔退魔師』の総長シゲンは、スオウとヒノエのやり取りを見て笑うソフィを見て、ふっと笑みを浮かべた後に、ミスズに視線を送った。
「総長?」
その視線を受け取ったミスズが不思議そうな声をあげると同時、何かを決心したようでシゲンは軽く咳払いをした後に口を開いた。
「分かった。ソフィ殿の仲間とやらを探すのに協力しよう。ミスズ、イダラマ殿の居場所を直ぐに調べるのだ」
「分かりました。直ぐに数人捜索にあたらせます……が『妖魔山』に向かったとなれば、我々はまだ中に入るわけにも行きませんが……」
『妖魔召士』組織との会合で『妖魔山』にシゲン達が入る事は出来るようになったが、それはあくまでゲンロクとエイジが同行者の場合のみであり、イダラマが『妖魔山』に入り込んだからといってシゲン達まで入るわけには行かない。
『妖魔山』にまだイダラマが辿り着いていない事を祈りながらミスズは、直ぐに居場所を突き止めるつもりではあるが、もし『妖魔山』に既に入っていた場合は、どうするのかという意味を込めて、ミスズは含みある言葉と同時に視線で訊ねる。
「そうだな。ひとまずこのサカダイに居るであろう『妖魔召士』の間諜を探し出せ。そして直ぐにこの事を間諜たちの『式』を通して、ゲンロク殿達の里に伝えさせろ」
「分かりました。直ぐに」
ミスズはコクリと頷いた後、淡々とシゲンに言葉を返してみせた。
当然このサカダイの町にも隠れ潜む『妖魔召士』側の間諜は居るだろうが、それが誰なのかまでは分からない筈であったが、シゲンにやれと言われてしまえば、それを成し遂げるのが『妖魔退魔師』組織の副総長ミスズの仕事であった。
「それでは本部の方へ戻ろう」
シゲンがそう言うと直ぐに『妖魔退魔師』の面々が同意するように頷いた。ミスズも総長に返事をしながらも、自身の管理する訓練場に空いた大穴を見た後に何か考える素振りをした後、ちらりとソフィの方を一瞥する。
直ぐにソフィもそのミスズの視線に気づいたが、互いの視線が交差すると同時、ミスズはソフィにニコリと笑いかけた後、行きましょうと小さく呟くのだった。
しかしそこでソフィは、ミスズの呟きに言葉を返す。
「我の仲間を探し出す事に協力してくれて感謝する。この施設の事だが、勿論このままにしておくつもりはない。エヴィ……。いや我の仲間と合流を果たした後に必ずここを元に戻すと約束しよう」
突然のソフィの言葉に一瞬だけ驚くような表情を見せたミスズだったが、直ぐに表情を戻して気持ちだけ受け取っておきますとソフィに告げた。
『加護の森』での戦闘の時の『魔法』によって出来た被害に比べると、横幅の被害はそんなに広くはなく、訓練場の広さの半分程の大穴である為、そこまでとんでもない被害というわけではないが、底が見えない程の深い大穴になっている為に誰が見ても簡単には戻せるとは思えない。
一瞬だけミスズは本当に『魔法』とやらで復元が出来るのかもと考えたようだが、直ぐに現実に引き戻されて言葉半分といった様子でソフィの言葉を捉えたようだった。
(まぁ、こればかりは仕方あるまい。信用しろという方が難しいだろうからな)
『理』が存在しておらず『魔法』を知らないミスズに、ソフィも信じろというつもりはない為に全てが終わった後にユファ達に来てもらい、元通りにしてもらおうと考えるソフィであった。
…………
こうしてシゲンやミスズと会う事が出来たソフィは、彼らに同行するという条件付きではあるが、無事に『妖魔山』へと入る足がかりを得る事が出来た。
また一歩、イダラマと共に行動しているというエヴィを見つける為に、前進した事をソフィは素直に喜んでみせるのであった。
(ようやく、この世界に来た目的のエヴィを見つけ出す事が出来そうだ)
『加護の森』に降り立った時から相当の時間を要する事になったが、ようやく無事にエヴィと再会が出来そうだと、ほっと一安心するソフィであった。
しかし、この後ヌー達の待つ『妖魔退魔師』の本部の建物で、思わぬ事態が待ち受けているという事を――。
――この時のソフィ達はまだ、知る由もなかった。
……
……
……
「総長?」
その視線を受け取ったミスズが不思議そうな声をあげると同時、何かを決心したようでシゲンは軽く咳払いをした後に口を開いた。
「分かった。ソフィ殿の仲間とやらを探すのに協力しよう。ミスズ、イダラマ殿の居場所を直ぐに調べるのだ」
「分かりました。直ぐに数人捜索にあたらせます……が『妖魔山』に向かったとなれば、我々はまだ中に入るわけにも行きませんが……」
『妖魔召士』組織との会合で『妖魔山』にシゲン達が入る事は出来るようになったが、それはあくまでゲンロクとエイジが同行者の場合のみであり、イダラマが『妖魔山』に入り込んだからといってシゲン達まで入るわけには行かない。
『妖魔山』にまだイダラマが辿り着いていない事を祈りながらミスズは、直ぐに居場所を突き止めるつもりではあるが、もし『妖魔山』に既に入っていた場合は、どうするのかという意味を込めて、ミスズは含みある言葉と同時に視線で訊ねる。
「そうだな。ひとまずこのサカダイに居るであろう『妖魔召士』の間諜を探し出せ。そして直ぐにこの事を間諜たちの『式』を通して、ゲンロク殿達の里に伝えさせろ」
「分かりました。直ぐに」
ミスズはコクリと頷いた後、淡々とシゲンに言葉を返してみせた。
当然このサカダイの町にも隠れ潜む『妖魔召士』側の間諜は居るだろうが、それが誰なのかまでは分からない筈であったが、シゲンにやれと言われてしまえば、それを成し遂げるのが『妖魔退魔師』組織の副総長ミスズの仕事であった。
「それでは本部の方へ戻ろう」
シゲンがそう言うと直ぐに『妖魔退魔師』の面々が同意するように頷いた。ミスズも総長に返事をしながらも、自身の管理する訓練場に空いた大穴を見た後に何か考える素振りをした後、ちらりとソフィの方を一瞥する。
直ぐにソフィもそのミスズの視線に気づいたが、互いの視線が交差すると同時、ミスズはソフィにニコリと笑いかけた後、行きましょうと小さく呟くのだった。
しかしそこでソフィは、ミスズの呟きに言葉を返す。
「我の仲間を探し出す事に協力してくれて感謝する。この施設の事だが、勿論このままにしておくつもりはない。エヴィ……。いや我の仲間と合流を果たした後に必ずここを元に戻すと約束しよう」
突然のソフィの言葉に一瞬だけ驚くような表情を見せたミスズだったが、直ぐに表情を戻して気持ちだけ受け取っておきますとソフィに告げた。
『加護の森』での戦闘の時の『魔法』によって出来た被害に比べると、横幅の被害はそんなに広くはなく、訓練場の広さの半分程の大穴である為、そこまでとんでもない被害というわけではないが、底が見えない程の深い大穴になっている為に誰が見ても簡単には戻せるとは思えない。
一瞬だけミスズは本当に『魔法』とやらで復元が出来るのかもと考えたようだが、直ぐに現実に引き戻されて言葉半分といった様子でソフィの言葉を捉えたようだった。
(まぁ、こればかりは仕方あるまい。信用しろという方が難しいだろうからな)
『理』が存在しておらず『魔法』を知らないミスズに、ソフィも信じろというつもりはない為に全てが終わった後にユファ達に来てもらい、元通りにしてもらおうと考えるソフィであった。
…………
こうしてシゲンやミスズと会う事が出来たソフィは、彼らに同行するという条件付きではあるが、無事に『妖魔山』へと入る足がかりを得る事が出来た。
また一歩、イダラマと共に行動しているというエヴィを見つける為に、前進した事をソフィは素直に喜んでみせるのであった。
(ようやく、この世界に来た目的のエヴィを見つけ出す事が出来そうだ)
『加護の森』に降り立った時から相当の時間を要する事になったが、ようやく無事にエヴィと再会が出来そうだと、ほっと一安心するソフィであった。
しかし、この後ヌー達の待つ『妖魔退魔師』の本部の建物で、思わぬ事態が待ち受けているという事を――。
――この時のソフィ達はまだ、知る由もなかった。
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