最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1129話 聞く耳を貸さない、副総長ミスズ
ソフィに疑問を投げられかけてもミスズは返答をせずままに、これから自分が行おうとする行動の為に準備を推し進めていく。くいっと眼鏡を上げた後、先程のナギリが行って見せた様に刀に『天色』の青のオーラを創成付与させていく。
ナギリと違うところはその同じ青のオーラでも色合いが薄く、ソフィ達魔族が使う『青』と全く同じ色であった為、それを見たソフィはどうやら先程ナギリに抱いた『青』の色合いの種類は、この世界の人間と別世界の魔族が扱う青のオーラに違いがあるわけではなく、ナギリだけが特別だったのかもしれないと冷静に戦闘の最中に思い抱くのであった。
「むっ!」
そしてどうやら天色の青のオーラを纏った事で眼鏡を掛けた女性は、先頭の準備が整ったようで先程までとまた空気が一変していった。ソフィは警戒心を怠らないままで、ミスズに『漏出』を放つ。
【種族:人間 名前:ミスズ 魔力値:47万 年齢:25歳
状態:青『天色』練度5.0 戦力値:測定不能 地位:妖魔退魔師副総長】。
(クックック、そうかそうか……。この者が噂にあがっていた、この『妖魔退魔師』とやらの『副総長殿』か)
ソフィは目の前のズレた眼鏡を何度も直し続ける女性に『漏出』を用いて名前と地位からようやくこの場に現れた彼女が、何者なのかを理解するのであった。
(それにしても、まさかこの形態の我の『漏出』であっても戦力値の数値が反映されぬとは……『隠蔽魔法』が施されているようなわけでもなし、つまりはこの今の我よりもミスズ殿とやらの強さは数値上で上回っているという事か)
ミスズがいつ襲ってきてもいいように警戒を怠らぬままでソフィは、真顔でミスズの力について分析を行っていたが、そこで『アレルバレル』の世界でさえ、過去に数度しか出していない形態で『三色併用』を纏っている今の自分の魔力を用いた『漏出』で『妖魔退魔師』の『副総長』であるミスズの戦力値が測れないと知り、ゆっくりとソフィは口角を吊り上げて笑みを浮かべ始めるのであった。
「……」
突然自分を見て不敵な笑みを浮かべ始めたソフィに、ミスズは不快感を露にするのであった。そのミスズの示した不快感はソフィの見せた笑み自体にではなく、先程のやり取りを行った後に対してこうまで余裕のある態度を見せられた事に対して、ソフィを厄介な存在なのだと判断した事により、取るべき対処を考えた事で非常に面倒この上ないと考えた事によって、表面上に無意識に出たようである。
本来のミスズは無意識に出そうになる態度でさえ、人が居る前では表面上に出す事さえしないように気を付けているが、どうやら今の彼女にはその余裕がない様子であった。
こうした彼女の一面を見る事で彼女をよく知る者が、今のミスズを見れば普段の余裕ある『妖魔退魔師』の副総長ミスズではないのだと気づけるかもしれない。
そして再びミスズが足を一歩前に踏み入れた瞬間、ひゅっという空気を切るような音と共に、ソフィとミスズの間にスオウが割り込んできた。
「どういうつもりですか? スオウ組長!!」
「ま、待ってください副総長! 彼は俺の客人なのです、刀を収めて下さい!」
突然割り込んできて大事な部下を殺そうとしていた存在を守るように、両手を横に出しながら信じられない事を口にするスオウに、ミスズの蟀谷が、ピク、ピクっと二度、三度と動くのであった。
「彼にナギリを殺すつもりはありませんよ、ミスズ副総長。あくまでソフィ殿はナギリに腕試しを行っていただけに過ぎないのですから……!」
「ほう? 私の目にはそうは映りませんでしたね。そちらの方があれだけの殺意を込めてナギリを攻撃しようとしていたモノを貴方の言うように単なる腕試しだというのなら、ランク『6』以上の妖魔との殺し合いもまた全て腕試しになってしまいますよ?」
「そ、それは、タイミングが……」
「ほう、スオウ組長? あのタイミングで私が戻って来なければ、ナギリはとんでもない大怪我を負っていたでしょうね。貴方はナギリが取り返しのつかない怪我をしてもいいと、それが貴方の言う腕試しの範疇なのだとそう私に言いたいのですね?」
「ち、ちがっ……!」
「何が違うのですか、スオウ組長? 私は何か間違っている事を言っていますか? 間違っているというのならばそんな風に口ごもらずに、しっかりと私の目を見て私が納得するように、もっと自信をもって答えて頂きたいですね!!」
舌打ちを交えながら恐ろしい程の威圧をスオウに向けながらミスズがそう告げると『妖魔退魔師』組織の最高幹部であり、敵対する『妖魔召士』組織からも恐れられるスオウが、部下を傷つけられそうになった事で本性を露にしている副総長を前にしては、どうにも出来ずにあたふたと狼狽を続ける。
しかしそれでも何とか必死にソフィを守る為に、その場から動かずにスオウは考えを張り巡らせる。
彼はミスズとソフィの間に割って入った時から、多くの弁明をするような言葉を用意していた。
――だが、今の副総長ミスズはどうやら大事な部下を殺されそうになっていた事で、表面上では冷静に会話が出来る状態のようには見えるが、その内心では相当に苛立ちスオウがいくら正論や、それに準じた言い訳をしようともその全てのスオウの口にする言葉を否定し、苛立ちをぶつけるように論破する対応をしようとしている。
つまりミスズはスオウの言葉に、全く耳を貸すつもりはないという表れであった。
普段であればスオウも言葉巧みに誘導して、自分が優位に立つように言葉を回すのは得意な方だが、それが副総長ミスズの前ではまるで形無しであった。
――十代にして『妖魔退魔師』組織の『副総長』の座についたミスズ隊士。
その本気になったミスズが相手になってしまえば、口ではスオウ程度ではどうにも出来ない。雄弁で抑揚をつけた滑らかな口ぶりで喋りながらもミスズは、相手の仕草から考えている事への予測、それらを喋りながら同時に情報として頭に叩き込みながら、次に相手の話したがっている内容を先読みして、その全てを論破する為の言論の道筋を立てている。
まるでミスズという人間の中に喋る担当と考える担当が同時に存在していて、一つの身体を共有しあっているかの如く『スオウ』を責め立て続ける。ミスズの放つ言葉の波状攻撃に、徐々にではあるが『スオウ』は泣きそうになっていく。
今の目の前のミスズは激昂しながらも、スオウをいい負かそうとある意味で冷静であり、先の『妖魔召士』の会合の時にゲンロク達を相手にしていた時よりも、数段以上に面倒な事この上ない状態になってしまっていた。
こんな事になるならばソフィ殿をナギリに会わせに来るんじゃなかったと、激しく後悔をしながらもスオウは、ソフィは何も悪くないのだという事を理解している為、自分の所属する組織の副総長の恐ろしい威圧を受けながらも『妖魔退魔師』の『二組組長』である『スオウ』は、ソフィを必死に守ろうと前に立ち続ける。
口ではいくら勝てないとはいっても、それでも大事な客人と認めたソフィの前で、これ以上彼を悪者にしたくないとスオウは考えて自分は本気だという事を示す為に、間違った方向へと意志を示してしまうのであった。
ナギリと違うところはその同じ青のオーラでも色合いが薄く、ソフィ達魔族が使う『青』と全く同じ色であった為、それを見たソフィはどうやら先程ナギリに抱いた『青』の色合いの種類は、この世界の人間と別世界の魔族が扱う青のオーラに違いがあるわけではなく、ナギリだけが特別だったのかもしれないと冷静に戦闘の最中に思い抱くのであった。
「むっ!」
そしてどうやら天色の青のオーラを纏った事で眼鏡を掛けた女性は、先頭の準備が整ったようで先程までとまた空気が一変していった。ソフィは警戒心を怠らないままで、ミスズに『漏出』を放つ。
【種族:人間 名前:ミスズ 魔力値:47万 年齢:25歳
状態:青『天色』練度5.0 戦力値:測定不能 地位:妖魔退魔師副総長】。
(クックック、そうかそうか……。この者が噂にあがっていた、この『妖魔退魔師』とやらの『副総長殿』か)
ソフィは目の前のズレた眼鏡を何度も直し続ける女性に『漏出』を用いて名前と地位からようやくこの場に現れた彼女が、何者なのかを理解するのであった。
(それにしても、まさかこの形態の我の『漏出』であっても戦力値の数値が反映されぬとは……『隠蔽魔法』が施されているようなわけでもなし、つまりはこの今の我よりもミスズ殿とやらの強さは数値上で上回っているという事か)
ミスズがいつ襲ってきてもいいように警戒を怠らぬままでソフィは、真顔でミスズの力について分析を行っていたが、そこで『アレルバレル』の世界でさえ、過去に数度しか出していない形態で『三色併用』を纏っている今の自分の魔力を用いた『漏出』で『妖魔退魔師』の『副総長』であるミスズの戦力値が測れないと知り、ゆっくりとソフィは口角を吊り上げて笑みを浮かべ始めるのであった。
「……」
突然自分を見て不敵な笑みを浮かべ始めたソフィに、ミスズは不快感を露にするのであった。そのミスズの示した不快感はソフィの見せた笑み自体にではなく、先程のやり取りを行った後に対してこうまで余裕のある態度を見せられた事に対して、ソフィを厄介な存在なのだと判断した事により、取るべき対処を考えた事で非常に面倒この上ないと考えた事によって、表面上に無意識に出たようである。
本来のミスズは無意識に出そうになる態度でさえ、人が居る前では表面上に出す事さえしないように気を付けているが、どうやら今の彼女にはその余裕がない様子であった。
こうした彼女の一面を見る事で彼女をよく知る者が、今のミスズを見れば普段の余裕ある『妖魔退魔師』の副総長ミスズではないのだと気づけるかもしれない。
そして再びミスズが足を一歩前に踏み入れた瞬間、ひゅっという空気を切るような音と共に、ソフィとミスズの間にスオウが割り込んできた。
「どういうつもりですか? スオウ組長!!」
「ま、待ってください副総長! 彼は俺の客人なのです、刀を収めて下さい!」
突然割り込んできて大事な部下を殺そうとしていた存在を守るように、両手を横に出しながら信じられない事を口にするスオウに、ミスズの蟀谷が、ピク、ピクっと二度、三度と動くのであった。
「彼にナギリを殺すつもりはありませんよ、ミスズ副総長。あくまでソフィ殿はナギリに腕試しを行っていただけに過ぎないのですから……!」
「ほう? 私の目にはそうは映りませんでしたね。そちらの方があれだけの殺意を込めてナギリを攻撃しようとしていたモノを貴方の言うように単なる腕試しだというのなら、ランク『6』以上の妖魔との殺し合いもまた全て腕試しになってしまいますよ?」
「そ、それは、タイミングが……」
「ほう、スオウ組長? あのタイミングで私が戻って来なければ、ナギリはとんでもない大怪我を負っていたでしょうね。貴方はナギリが取り返しのつかない怪我をしてもいいと、それが貴方の言う腕試しの範疇なのだとそう私に言いたいのですね?」
「ち、ちがっ……!」
「何が違うのですか、スオウ組長? 私は何か間違っている事を言っていますか? 間違っているというのならばそんな風に口ごもらずに、しっかりと私の目を見て私が納得するように、もっと自信をもって答えて頂きたいですね!!」
舌打ちを交えながら恐ろしい程の威圧をスオウに向けながらミスズがそう告げると『妖魔退魔師』組織の最高幹部であり、敵対する『妖魔召士』組織からも恐れられるスオウが、部下を傷つけられそうになった事で本性を露にしている副総長を前にしては、どうにも出来ずにあたふたと狼狽を続ける。
しかしそれでも何とか必死にソフィを守る為に、その場から動かずにスオウは考えを張り巡らせる。
彼はミスズとソフィの間に割って入った時から、多くの弁明をするような言葉を用意していた。
――だが、今の副総長ミスズはどうやら大事な部下を殺されそうになっていた事で、表面上では冷静に会話が出来る状態のようには見えるが、その内心では相当に苛立ちスオウがいくら正論や、それに準じた言い訳をしようともその全てのスオウの口にする言葉を否定し、苛立ちをぶつけるように論破する対応をしようとしている。
つまりミスズはスオウの言葉に、全く耳を貸すつもりはないという表れであった。
普段であればスオウも言葉巧みに誘導して、自分が優位に立つように言葉を回すのは得意な方だが、それが副総長ミスズの前ではまるで形無しであった。
――十代にして『妖魔退魔師』組織の『副総長』の座についたミスズ隊士。
その本気になったミスズが相手になってしまえば、口ではスオウ程度ではどうにも出来ない。雄弁で抑揚をつけた滑らかな口ぶりで喋りながらもミスズは、相手の仕草から考えている事への予測、それらを喋りながら同時に情報として頭に叩き込みながら、次に相手の話したがっている内容を先読みして、その全てを論破する為の言論の道筋を立てている。
まるでミスズという人間の中に喋る担当と考える担当が同時に存在していて、一つの身体を共有しあっているかの如く『スオウ』を責め立て続ける。ミスズの放つ言葉の波状攻撃に、徐々にではあるが『スオウ』は泣きそうになっていく。
今の目の前のミスズは激昂しながらも、スオウをいい負かそうとある意味で冷静であり、先の『妖魔召士』の会合の時にゲンロク達を相手にしていた時よりも、数段以上に面倒な事この上ない状態になってしまっていた。
こんな事になるならばソフィ殿をナギリに会わせに来るんじゃなかったと、激しく後悔をしながらもスオウは、ソフィは何も悪くないのだという事を理解している為、自分の所属する組織の副総長の恐ろしい威圧を受けながらも『妖魔退魔師』の『二組組長』である『スオウ』は、ソフィを必死に守ろうと前に立ち続ける。
口ではいくら勝てないとはいっても、それでも大事な客人と認めたソフィの前で、これ以上彼を悪者にしたくないとスオウは考えて自分は本気だという事を示す為に、間違った方向へと意志を示してしまうのであった。
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