最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1120話 ソフィが気になった、一人の妖魔退魔師
「驚いたな……。この世界で『青』の体現者は初めて見た」
サカダイの町の入り口で囲まれた時に居たその男は、ソフィの言うように確かに青のオーラを身に纏って刀を構えている。どうやら傍目からでも分かるほど、その青は洗練されているようで、練度は少なく見積もっても『4』以上、あれ程のコントロールを見るに、練度『5』に到達していてもおかしくはないだろう。
ソフィ達が探していたナギリが中に居た事でスオウがナギリを呼ぼうと声を出そうとしたが、それをソフィがスオウの顔の前にすっと手を出して止める。
「ん?」
呼びかけようとしていたスオウだが、突然のソフィの制止に小さく声をあげた。
「あれ程に集中している者の邪魔をするのは流石に忍びない。もう少しだけ待ってあげようではないか」
「ふふっ、やっぱりキミって優しいね。キミたちが良いって言うなら別に俺はそれでいいよ」
そう言ってスオウはナギリを呼ぶのを止めて、その場で腕を組んでナギリを見る。ナギリという男は目を閉じたままで、持っている刀に青のオーラをゆっくりと行き渡らせ始めていく。
(丁寧で綺麗な魔力コントロールだ。周囲を覆うオーラから形を崩さずに、同一精度を保ったまま得物に移しておる)
ソフィがナギリの『基本研鑽演義』は、相当なモノだと感心していると、目を瞑って精神統一していたナギリの目が見開き、目の前の竹で出来た打ち込み台のような的に向けて、ナギリの青のオーラを纏った刀で振り切るのだった。
力の入れ具合。それに振り切る寸前の体重移動に振り切った後の終姿勢。どれをとっても惚れ惚れする程で、正に達人と呼ぶに相応しい動作であった。刀を腰鞘に戻した後にナギリは、ゆっくりとこちらに視線を向ける。
「待って頂いてすみませんね。お陰でとても集中が出来ましたよ」
そう丁寧に告げたナギリは、スオウ達に向けて一礼するのだった。
「こちらこそ鍛錬中の邪魔をして悪いね、素晴らしい一撃だったよナギリ」
そう言ってスオウが褒めるとナギリは、もう一度丁寧に頭を下げた後に横に居るソフィ達に視線を向けて来るのだった。
「確かこの人は町の入り口で戦意を放ってきた……?」
どうやらナギリも町の中に入って来たソフィが、自分に向けて試すような視線を放って来た時の事を覚えていたようで、直ぐに思い出す事が出来たようである。
「そうだよナギリ、彼は俺の大事な客人でね。どうやら町でキミを一目見た時からきになっていたようでね。町の案内がてらキミに会わせようとここに連れて来たんだ」
「スオウ組長の客人が何故俺に?」
町の中でその姿を見ただけで特別言葉を交わしたわけでもないのに、わざわざ自分に会いに来たというのだから、ナギリがそういう反応を示すのは仕方のない事であった。そこでようやくソフィは、視線を向けて来たナギリに口を開いた。
「町の中での事といい。今も研鑽を積んでおる最中に急に押し掛けてすまぬな」
「はぁ……。別にそれは構わないのだが、何故俺に会いに来たのかを聞いてもいいか?」
至極当然の疑問を告げるナギリに、ソフィは頷いて口を開き始める。
「そうだな。どうやらお主だけは、我の本当の実力を見抜いていたような気がしてな。一度町に入った時に確かめはしたのだが……、より詳しく確かめて見たかった。というのが我の本音だ」
「成程。あんたはやっぱり徒者じゃないな」
このナギリという男はソフィに対して、何か感じるものがあったようで、今のソフィの言葉を受けて、その感じていたモノに確信を得た様子であった。
――サカダイの町に入ったあの時、他の『妖魔退魔師』達は、ソフィを見ているというよりもこの町に入って来た新顔に対して、それぞれ警戒を示していた様子であった。
しかしこの目の前に居るナギリだけは、ソフィ個人に対して実力を看破していたような、そんな視線を最初からソフィは感じ取っていたようである。
そしてそれが偶然なのかどうかソフィは、確かめようと魔力を行使した。他の『妖魔退魔師』達は、そこでようやくソフィの変わり様を察知して慌てるように、ソフィに視線を向き直したが、この目の前に居るナギリだけは、ソフィが力を行使する前と変わらぬ余裕を持ったまま、視線を向け続けていた。その時にソフィはこのナギリという男だけは、他の者達とは別格だと判断してこうして興味を持って、会ってみたいと感じたのであった。
サカダイの町の入り口で囲まれた時に居たその男は、ソフィの言うように確かに青のオーラを身に纏って刀を構えている。どうやら傍目からでも分かるほど、その青は洗練されているようで、練度は少なく見積もっても『4』以上、あれ程のコントロールを見るに、練度『5』に到達していてもおかしくはないだろう。
ソフィ達が探していたナギリが中に居た事でスオウがナギリを呼ぼうと声を出そうとしたが、それをソフィがスオウの顔の前にすっと手を出して止める。
「ん?」
呼びかけようとしていたスオウだが、突然のソフィの制止に小さく声をあげた。
「あれ程に集中している者の邪魔をするのは流石に忍びない。もう少しだけ待ってあげようではないか」
「ふふっ、やっぱりキミって優しいね。キミたちが良いって言うなら別に俺はそれでいいよ」
そう言ってスオウはナギリを呼ぶのを止めて、その場で腕を組んでナギリを見る。ナギリという男は目を閉じたままで、持っている刀に青のオーラをゆっくりと行き渡らせ始めていく。
(丁寧で綺麗な魔力コントロールだ。周囲を覆うオーラから形を崩さずに、同一精度を保ったまま得物に移しておる)
ソフィがナギリの『基本研鑽演義』は、相当なモノだと感心していると、目を瞑って精神統一していたナギリの目が見開き、目の前の竹で出来た打ち込み台のような的に向けて、ナギリの青のオーラを纏った刀で振り切るのだった。
力の入れ具合。それに振り切る寸前の体重移動に振り切った後の終姿勢。どれをとっても惚れ惚れする程で、正に達人と呼ぶに相応しい動作であった。刀を腰鞘に戻した後にナギリは、ゆっくりとこちらに視線を向ける。
「待って頂いてすみませんね。お陰でとても集中が出来ましたよ」
そう丁寧に告げたナギリは、スオウ達に向けて一礼するのだった。
「こちらこそ鍛錬中の邪魔をして悪いね、素晴らしい一撃だったよナギリ」
そう言ってスオウが褒めるとナギリは、もう一度丁寧に頭を下げた後に横に居るソフィ達に視線を向けて来るのだった。
「確かこの人は町の入り口で戦意を放ってきた……?」
どうやらナギリも町の中に入って来たソフィが、自分に向けて試すような視線を放って来た時の事を覚えていたようで、直ぐに思い出す事が出来たようである。
「そうだよナギリ、彼は俺の大事な客人でね。どうやら町でキミを一目見た時からきになっていたようでね。町の案内がてらキミに会わせようとここに連れて来たんだ」
「スオウ組長の客人が何故俺に?」
町の中でその姿を見ただけで特別言葉を交わしたわけでもないのに、わざわざ自分に会いに来たというのだから、ナギリがそういう反応を示すのは仕方のない事であった。そこでようやくソフィは、視線を向けて来たナギリに口を開いた。
「町の中での事といい。今も研鑽を積んでおる最中に急に押し掛けてすまぬな」
「はぁ……。別にそれは構わないのだが、何故俺に会いに来たのかを聞いてもいいか?」
至極当然の疑問を告げるナギリに、ソフィは頷いて口を開き始める。
「そうだな。どうやらお主だけは、我の本当の実力を見抜いていたような気がしてな。一度町に入った時に確かめはしたのだが……、より詳しく確かめて見たかった。というのが我の本音だ」
「成程。あんたはやっぱり徒者じゃないな」
このナギリという男はソフィに対して、何か感じるものがあったようで、今のソフィの言葉を受けて、その感じていたモノに確信を得た様子であった。
――サカダイの町に入ったあの時、他の『妖魔退魔師』達は、ソフィを見ているというよりもこの町に入って来た新顔に対して、それぞれ警戒を示していた様子であった。
しかしこの目の前に居るナギリだけは、ソフィ個人に対して実力を看破していたような、そんな視線を最初からソフィは感じ取っていたようである。
そしてそれが偶然なのかどうかソフィは、確かめようと魔力を行使した。他の『妖魔退魔師』達は、そこでようやくソフィの変わり様を察知して慌てるように、ソフィに視線を向き直したが、この目の前に居るナギリだけは、ソフィが力を行使する前と変わらぬ余裕を持ったまま、視線を向け続けていた。その時にソフィはこのナギリという男だけは、他の者達とは別格だと判断してこうして興味を持って、会ってみたいと感じたのであった。
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