最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1099話 地下の隠し通路と牢
旅籠町にある『予備群』の屯所を歩くヒュウガ達。ジンゼンや先に入った『妖魔召士』は一度は建物中を探り調べたが、キネツグやチアキの姿どころか捕らえているであろう牢すら見つからなかった。
そして先頭を歩くコウゾウが唐突に何も無いように見える廊下の床の前で、歩みを止めるとそのまま足でコツ、コツと床を叩き始めるのだった。
次の瞬間、カコンという軽い音が周囲に響いたかと思うと、どうやらそこがコウゾウの目当ての場所であったようで、そのままコウゾウはしゃがみこんで何やら床を探り始める。
過去にコウゾウは同じように、この場所でソフィ達を地下へと導いたことがある。あの時は捕らえた『煌鴟梟』の男たちが、テアという少女に手を出した事で、ヌーという魔族の怒りを買って消滅させられていたが、今コウゾウは収納梯子を器用に取り出しながらもシグレの腫れた顔を思い出して、あの時のヌーの気持ちと同様に激しい怒りが彼の中で渦巻いているのであった。
(ただではすまさんぞ……っ!! 俺の大事な部下達に手を出した事を必ず、必ず後悔させてやる)
そんな思いを抱きながら地下へと降りる為の梯子を下げると、コウゾウはヒュウガ達を地下の隠し通路へと導くのであった。
「成程。こんな仕掛けがありましたか。そりゃあいくら上を探しても分からない筈です」
ジンゼンは一本取られたとばかりに少し大きめに説明口調で話す。どうやら自分達は真剣に探しており、簡単に見つからないのは、仕方のなかった事なのだと、遠回しにヒュウガに認めさせようとしているように周りの者には聞こえるのだった。
「どうやら『結界』もさることながら『妖魔退魔師』の組織に属する者達は色々と考えて行動をしているようですねぇ」
大したものですと感心する様子を見せながら『ヒュウガ』はコウゾウを一瞥する。
「……」
しかしヒュウガから評価されるような言葉を口にされても口を真一文字に結びながら、無言で再びコウゾウは歩き始めるのだった。
「やれやれ」
ヒュウガは両手をあげながら困ったものだとばかりに、溜息を吐いてジンゼン達の顔を見た後、静かに後をついて行く。
地下の中の道は地上の旅館のような造りではなく、どうやら後から作られた様子で殺風景な道の左右に固い扉が数多く並んでいた。扉には小さな覗き穴すらなく、中がどうなっているのか外からは分からない。
座敷牢のようになっているのだろうと地上の様子からは想像だに容易いが、中を見て見なければ実際はどうなっているのかは分からない。左右の扉の間隔はそれぞれ異なっており、どうやら広さは一定間隔ではないらしい。
そして地下へと降りてきてからある程度の距離を歩いた先、何やら焼け焦げた跡の見える異質な空洞をヒュウガ達はその目で捉えた。 元々そこは他の並んでいる扉の部屋と同じ造りの部屋だったのかもしれないが、現在は部屋が取り壊されて不自然な空洞と化していた。
ヒュウガ達はその部屋があったであろう場所を見ていたが、コウゾウに言葉を掛けるような事はせず、その場所で何が行われていたのかを自身の頭の中で想像し、考え始めるのだった。
(行き過ぎた拷問の成れの果てでしょうか?)
その場所は確かに他の牢と同じ一室であった事は間違いなかったが、取り壊された理由はヒュウガが考えた通りの事ではなく、ヌーという魔族が仲間であるテアを攫おうとした者達に報復を行った時に、牢としての機能を部屋ごと燃やし尽くしてしまった事による残骸なのであった。
そんな事を知る由もないヒュウガは、コウゾウの後ろ姿を見ながらも『予備群』という者達もまた『妖魔退魔師』と同じく、犯罪に手を染める者に対して容赦ない行動をとる事が出来るのだと勘違いを起こすのであった。
そうして再び焼けて煤けた部屋の残骸を見たヒュウガは、やはりこのまま生かしておいてもつまらぬ面倒事が増えるだけで、何の得にもならないだろうなと考える事に繋がってしまうのだった。
そして先頭を歩くコウゾウが唐突に何も無いように見える廊下の床の前で、歩みを止めるとそのまま足でコツ、コツと床を叩き始めるのだった。
次の瞬間、カコンという軽い音が周囲に響いたかと思うと、どうやらそこがコウゾウの目当ての場所であったようで、そのままコウゾウはしゃがみこんで何やら床を探り始める。
過去にコウゾウは同じように、この場所でソフィ達を地下へと導いたことがある。あの時は捕らえた『煌鴟梟』の男たちが、テアという少女に手を出した事で、ヌーという魔族の怒りを買って消滅させられていたが、今コウゾウは収納梯子を器用に取り出しながらもシグレの腫れた顔を思い出して、あの時のヌーの気持ちと同様に激しい怒りが彼の中で渦巻いているのであった。
(ただではすまさんぞ……っ!! 俺の大事な部下達に手を出した事を必ず、必ず後悔させてやる)
そんな思いを抱きながら地下へと降りる為の梯子を下げると、コウゾウはヒュウガ達を地下の隠し通路へと導くのであった。
「成程。こんな仕掛けがありましたか。そりゃあいくら上を探しても分からない筈です」
ジンゼンは一本取られたとばかりに少し大きめに説明口調で話す。どうやら自分達は真剣に探しており、簡単に見つからないのは、仕方のなかった事なのだと、遠回しにヒュウガに認めさせようとしているように周りの者には聞こえるのだった。
「どうやら『結界』もさることながら『妖魔退魔師』の組織に属する者達は色々と考えて行動をしているようですねぇ」
大したものですと感心する様子を見せながら『ヒュウガ』はコウゾウを一瞥する。
「……」
しかしヒュウガから評価されるような言葉を口にされても口を真一文字に結びながら、無言で再びコウゾウは歩き始めるのだった。
「やれやれ」
ヒュウガは両手をあげながら困ったものだとばかりに、溜息を吐いてジンゼン達の顔を見た後、静かに後をついて行く。
地下の中の道は地上の旅館のような造りではなく、どうやら後から作られた様子で殺風景な道の左右に固い扉が数多く並んでいた。扉には小さな覗き穴すらなく、中がどうなっているのか外からは分からない。
座敷牢のようになっているのだろうと地上の様子からは想像だに容易いが、中を見て見なければ実際はどうなっているのかは分からない。左右の扉の間隔はそれぞれ異なっており、どうやら広さは一定間隔ではないらしい。
そして地下へと降りてきてからある程度の距離を歩いた先、何やら焼け焦げた跡の見える異質な空洞をヒュウガ達はその目で捉えた。 元々そこは他の並んでいる扉の部屋と同じ造りの部屋だったのかもしれないが、現在は部屋が取り壊されて不自然な空洞と化していた。
ヒュウガ達はその部屋があったであろう場所を見ていたが、コウゾウに言葉を掛けるような事はせず、その場所で何が行われていたのかを自身の頭の中で想像し、考え始めるのだった。
(行き過ぎた拷問の成れの果てでしょうか?)
その場所は確かに他の牢と同じ一室であった事は間違いなかったが、取り壊された理由はヒュウガが考えた通りの事ではなく、ヌーという魔族が仲間であるテアを攫おうとした者達に報復を行った時に、牢としての機能を部屋ごと燃やし尽くしてしまった事による残骸なのであった。
そんな事を知る由もないヒュウガは、コウゾウの後ろ姿を見ながらも『予備群』という者達もまた『妖魔退魔師』と同じく、犯罪に手を染める者に対して容赦ない行動をとる事が出来るのだと勘違いを起こすのであった。
そうして再び焼けて煤けた部屋の残骸を見たヒュウガは、やはりこのまま生かしておいてもつまらぬ面倒事が増えるだけで、何の得にもならないだろうなと考える事に繋がってしまうのだった。
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