最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1055話 破天荒なイダラマ
時は遡り『サカダイ』の町で『妖魔退魔師』の組織と話し合いを終えた後、イダラマ達にはこの町に滞在している間『妖魔退魔師』組織に泊まる場所を提供してもらえる事となった。
どうやら『妖魔退魔師』達は、イダラマの持ち込んだ話に乗った様子である。イダラマは用意された施設の窓から『妖魔退魔師』の組織を見張っていたが、あの話し合いの場が行われた『妖魔退魔師』の本部の施設からゾロゾロと数十人の人間が、出て来るのをその目に捉えた。
(※この『ヒノエ組』の者達の向かう先はゲンロクの里であり、時系列でいえばこの後に1051話へ続く)
「イダラマ、遂に動いたのかい?」
宿泊施設の窓から外を覗いていたイダラマに小さな反応があった事で、ソファーに座って酒を呑んでいたエヴィが立ち上がってイダラマに声を掛けてきた。
「ああ、見て見ろ。どうやらゲンロク達と話し合いを行うのは、お前のよく知る奴のようだぞ?」
「僕がよく知る奴? こんな世界に僕の知り合いなんて居ないんだけど」
イダラマに自分の目で見てみろと場所を譲られた『エヴィ』は窓から外を見下ろす。
「ああ、あいつか」
確かにそいつはエヴィが『妖魔退魔師』の中で、一番印象が強い人物である事に間違いはなかった。
――『妖魔退魔師』組織最高幹部。ヒノエ組組長『ヒノエ』。
『妖魔退魔師』の組織の中で三人しか居ない最高幹部にして、その三人の中で一組と呼ばれる序列の最上位に居座るヒノエであった。
(※『妖魔退魔師』の序列は『総長』『副総長』『最高幹部』と続くのだが、その最高幹部には独自の組を持たされる。最高幹部は三人の為『一組』『二組』『三組』となり『一組』が一番上の序列となる。この三組の序列基準は『妖魔退魔師』組織にこれまでどれだけの貢献したかによって決められる)。
(※貢献したと認められる基準は、組織の発展に寄与したと認められる事。
例1継続的に金子の上納を納め続けて、組織の拡大に努めた者。例2対抗組織である『妖魔召士』との取り決めを行い組織を有利に運んだ者。このように『妖魔退魔師』の組織の発展に寄与した行い等が挙げられる)。
組を持つ組長は自分の組員の数だけ上納金を支払わなければならない為、組員が多くなればなるほど、それだけ組織に渡す金子は多くなる。つまり組員の数が多い程、その組の組長が組織に貢献しているという事に繋がる。
現在の一組の座を預かる最高幹部『ヒノエ』は、他の最高幹部の二人よりも組織貢献度が高く、そして『妖魔退魔師』組織の中で、最大組員数を誇る組長なのであった。
ヒノエは先日『サカダイ』で行われた話し合いの場で、イダラマやエヴィに対して睨んだり絡んだりをして見せたように、気性の荒い性格をしており、気に入らない事があれば即座に指摘したり、納得が行かなければ彼女が納得が行くまでとことん突き詰めていく女性である。
しかし自分の認めた人間が決めた事には素直に従い、裏切る事は必ずしない。認めた人間を裏切るくらいならば自ら腹を切ると心に決めており、総長シゲンに一番に頼りにされる事を目指して日々精進を重ねている人間であった。
「でもイダラマ。誤解しないで欲しいんだけど、僕はあのババアの事は決して嫌いじゃないよ」
組織は違うがエヴィもまた、大魔王ソフィの魔王軍に属する『九大魔王』であり、そのボスであるソフィに対しては、海よりも深い忠誠心を持っていると自負している程であり、ヒノエはあの場では揉めそうになった要因の人間ではあるが、シゲンと呼ばれていた組織のボスに注意をされた後に直ぐに謝罪を述べたヒノエを見てエヴィは彼女を認めたのであった。
(あれだけの殺気を出した相手に即座に謝罪をしてみせたのは、決してあのシゲンという男が怖いからじゃない筈だ。彼女は僕と同じようにシゲンという男に嫌われる事に怯えているからだろう)
同じ感覚を経験した事があるエヴィは、あの時のヒノエの姿を一目見て、直ぐにピンと来たようであった。
「ふっ、そうか。まぁ、話を戻すがあの『ヒノエ』という女は、これからゲンロク達の居る里へ先日の話を持っていくつもりだろう。一回の話し合いでは、妖魔山の管理を移すとは考えられないが、遠くない未来、確実に『妖魔召士』側は『妖魔退魔師』の提案に折れる筈だ」
「『妖魔召士』の組織に居たキミが断言するようにそう言うのなら、きっとそうなるんだろうね」
「ああ。まず間違いはないだろう。サイヨウ殿やエイジ。それにシギン様が相手なら簡単に首を縦には振らないだろうが、ゲンロク殿やヒュウガ達ならば、いずれは必ず妖魔山の管理権を手放す」
どうやらイダラマの中では、決定事項のように考えているようである。
「それで?」
「先に『妖魔山』の下見をしておこうではないか」
「は? まだ何も決まっていないのにキミが『妖魔召士』の管理する土地に勝手に入ったら、今回の話し合いの原因と同じ、不法侵入になるんじゃないかい?」
「ふっ、俺達が妖魔山に向かっている頃には不法侵入にはならなくなっているだろうさ。さあ、お前らも準備をしろ。明日の朝一番に出るぞ」
「わ、分かりました!」
きょとんとした表情を浮かべたエヴィを無視してイダラマは、アコウとウガマに準備をしておけと急かすのであった。
……
……
……
どうやら『妖魔退魔師』達は、イダラマの持ち込んだ話に乗った様子である。イダラマは用意された施設の窓から『妖魔退魔師』の組織を見張っていたが、あの話し合いの場が行われた『妖魔退魔師』の本部の施設からゾロゾロと数十人の人間が、出て来るのをその目に捉えた。
(※この『ヒノエ組』の者達の向かう先はゲンロクの里であり、時系列でいえばこの後に1051話へ続く)
「イダラマ、遂に動いたのかい?」
宿泊施設の窓から外を覗いていたイダラマに小さな反応があった事で、ソファーに座って酒を呑んでいたエヴィが立ち上がってイダラマに声を掛けてきた。
「ああ、見て見ろ。どうやらゲンロク達と話し合いを行うのは、お前のよく知る奴のようだぞ?」
「僕がよく知る奴? こんな世界に僕の知り合いなんて居ないんだけど」
イダラマに自分の目で見てみろと場所を譲られた『エヴィ』は窓から外を見下ろす。
「ああ、あいつか」
確かにそいつはエヴィが『妖魔退魔師』の中で、一番印象が強い人物である事に間違いはなかった。
――『妖魔退魔師』組織最高幹部。ヒノエ組組長『ヒノエ』。
『妖魔退魔師』の組織の中で三人しか居ない最高幹部にして、その三人の中で一組と呼ばれる序列の最上位に居座るヒノエであった。
(※『妖魔退魔師』の序列は『総長』『副総長』『最高幹部』と続くのだが、その最高幹部には独自の組を持たされる。最高幹部は三人の為『一組』『二組』『三組』となり『一組』が一番上の序列となる。この三組の序列基準は『妖魔退魔師』組織にこれまでどれだけの貢献したかによって決められる)。
(※貢献したと認められる基準は、組織の発展に寄与したと認められる事。
例1継続的に金子の上納を納め続けて、組織の拡大に努めた者。例2対抗組織である『妖魔召士』との取り決めを行い組織を有利に運んだ者。このように『妖魔退魔師』の組織の発展に寄与した行い等が挙げられる)。
組を持つ組長は自分の組員の数だけ上納金を支払わなければならない為、組員が多くなればなるほど、それだけ組織に渡す金子は多くなる。つまり組員の数が多い程、その組の組長が組織に貢献しているという事に繋がる。
現在の一組の座を預かる最高幹部『ヒノエ』は、他の最高幹部の二人よりも組織貢献度が高く、そして『妖魔退魔師』組織の中で、最大組員数を誇る組長なのであった。
ヒノエは先日『サカダイ』で行われた話し合いの場で、イダラマやエヴィに対して睨んだり絡んだりをして見せたように、気性の荒い性格をしており、気に入らない事があれば即座に指摘したり、納得が行かなければ彼女が納得が行くまでとことん突き詰めていく女性である。
しかし自分の認めた人間が決めた事には素直に従い、裏切る事は必ずしない。認めた人間を裏切るくらいならば自ら腹を切ると心に決めており、総長シゲンに一番に頼りにされる事を目指して日々精進を重ねている人間であった。
「でもイダラマ。誤解しないで欲しいんだけど、僕はあのババアの事は決して嫌いじゃないよ」
組織は違うがエヴィもまた、大魔王ソフィの魔王軍に属する『九大魔王』であり、そのボスであるソフィに対しては、海よりも深い忠誠心を持っていると自負している程であり、ヒノエはあの場では揉めそうになった要因の人間ではあるが、シゲンと呼ばれていた組織のボスに注意をされた後に直ぐに謝罪を述べたヒノエを見てエヴィは彼女を認めたのであった。
(あれだけの殺気を出した相手に即座に謝罪をしてみせたのは、決してあのシゲンという男が怖いからじゃない筈だ。彼女は僕と同じようにシゲンという男に嫌われる事に怯えているからだろう)
同じ感覚を経験した事があるエヴィは、あの時のヒノエの姿を一目見て、直ぐにピンと来たようであった。
「ふっ、そうか。まぁ、話を戻すがあの『ヒノエ』という女は、これからゲンロク達の居る里へ先日の話を持っていくつもりだろう。一回の話し合いでは、妖魔山の管理を移すとは考えられないが、遠くない未来、確実に『妖魔召士』側は『妖魔退魔師』の提案に折れる筈だ」
「『妖魔召士』の組織に居たキミが断言するようにそう言うのなら、きっとそうなるんだろうね」
「ああ。まず間違いはないだろう。サイヨウ殿やエイジ。それにシギン様が相手なら簡単に首を縦には振らないだろうが、ゲンロク殿やヒュウガ達ならば、いずれは必ず妖魔山の管理権を手放す」
どうやらイダラマの中では、決定事項のように考えているようである。
「それで?」
「先に『妖魔山』の下見をしておこうではないか」
「は? まだ何も決まっていないのにキミが『妖魔召士』の管理する土地に勝手に入ったら、今回の話し合いの原因と同じ、不法侵入になるんじゃないかい?」
「ふっ、俺達が妖魔山に向かっている頃には不法侵入にはならなくなっているだろうさ。さあ、お前らも準備をしろ。明日の朝一番に出るぞ」
「わ、分かりました!」
きょとんとした表情を浮かべたエヴィを無視してイダラマは、アコウとウガマに準備をしておけと急かすのであった。
……
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