最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1048話 テアを溺愛する、力の魔神
セルバスが持ってきてくれた酒を呑み続けたソフィ達。
後から仕事を終えたコウゾウ達も合流し、色々とこれまでにあった事を語っていると、遂には朝を迎えるのであった。
この世界の酒はとてもきつく『セルバス』が追加で持ってきた分だけでも屯所の者達では、十分過ぎる程の量だったのだが、ソフィやヌー達は朝になる頃には全て呑み干してしまっていた。
途中で酒嫌いのテアは付き合いきれないと早々に退場しようとしたが、今度は『魔神』がテアに待ったをかけて、ソフィの事について、話をしましょうと誘われてしまい、結局テアもまた朝まで起こされ続けて死んだような顔を浮かべていた。
(※死神なので既に死んでいるのだが)
「むっ……。朝になっておるぞ」
ソフィがそう言って立ち上がると、ヌーはソフィに相槌を打ちながらコップに酒を注ごうとして、もう追加分の酒も無い事に気づいた。
「ちっ、もう酒も残ってねぇよ。セルバスお前ちょっと、もっかい酒場に行ってもらって来いよ」
「おい、まだ呑む気なのかよ。サカダイとかいう場所へ向かうんじゃなかったのか?」
酒を取ってこいと言われたセルバスは、こいつはどれだけ呑むつもりなんだとばかりに、若干引きながら答えた。
「ああ、そういや、こいつの配下の『天衣無縫』が居るんだったか」
それじゃ仕方がねぇなとばかりに、舌打ちをしながらコップを置くと、ヌーは襖を開けて別の部屋に居る魔神とテアの方を見る。
「――?」(ねぇ、貴方もそう思うでしょう?)
「――」(はい、私もそう思います)
ニコニコと笑いながら話をする魔神と、それに相槌を打つテアの姿が見えた。
「おいソフィ……。てめぇの『魔神』の奴からそろそろテアを解放してやれ。テアの奴はそろそろ限界の様子だ」
そう言ってそっと襖を閉じながらヌーはそう告げた。
途中から眠たいといって別部屋へ移動していったテアだったが、魔神はそんなテアの元に向かっていき、どうやら朝まで二人で話をしていたらしい。
何の話をしていたのかまではヌーは預かり知らないが、死神のテアは力の魔神に言葉に気を使いながら、朝まで何時間も話し相手をしていたようで、ヌーはテアの顔を見て相当に疲弊しているように見えたのだった。
「むっ……。すまぬな『魔神』の奴を許してやってくれ。あやつも相当にテアの事を気に入っているようなのだ」
「直接言ってやれよ。あれを見てみろよ」
そう言ってこっそりとまた襖を開けてソフィに中を見せると、眠そうに目を擦るテアに喜々として色々と、テアに話しかけている魔神の姿が見えた。
「――?」(そうでしょう、貴方もそう思うでしょう?)
「――」(はい、ソフィ様は大変素晴らしい御方です)
「……う、うむ」
まるで洗脳を施すかのように延々とソフィの事を喋り続けている『魔神』を見たソフィは、テアが可哀想になり、慌てて『魔神』を止めに部屋の中へと入って行くのだった。
「魔神よ、その辺にしておくのだ」
突如、部屋に入って来たソフィを見て魔神は、ソフィに捲し立てるように話し掛けて来る。
「――」(ソフィ、この子はとてもいい子よ。素質があるわ。この子は死神なんかにしておくのは勿体ないわ。絶対にこの子は『魔神』になるべきだったのよ)
そう言って再び『魔神』はテアに抱き着きながら良い子だと頭を撫でる。魔神の胸の中に引き寄せられたテアは、もう何も抗う元気がないのか、されるがままになりながら譫言のように『そうですね、そうですね』と、繰り返しているのだった。
「わ、分かったからお主、少し元の世界へ戻っておるのだ」
「――」(もう終わりなの? 残念だけど貴方が言うなら分かったわ。テア、またお話をしましょうね、今度は三日くらい一緒に喋りたいわ」
「――」(……そ、そうですね)
今度は三日もですかという絶望に満ちた感情を心に隠し、テアは目を潤ませながら再び『魔神』に同じ相槌を打った。
しかし『魔神』はテアが自分が元の世界へ戻るのを見て、名残惜しいと涙しそうになったのだと勘違いをして、テアの横にワープをしたかと思うと、耳傍で魔神はテアに呟く。
「――」(私は貴方を気に入ったわ。いつか死神の中で一番偉くして差し上げましょう)
「――!?」
突然の魔神の言葉に目を丸くして声にならない声を出すと、そのテアの表情に、蠱惑的な笑みを浮かべた魔神は、空間に亀裂を入れながら、その場から最初から居なかったかの如く消え去るのであった。
後から仕事を終えたコウゾウ達も合流し、色々とこれまでにあった事を語っていると、遂には朝を迎えるのであった。
この世界の酒はとてもきつく『セルバス』が追加で持ってきた分だけでも屯所の者達では、十分過ぎる程の量だったのだが、ソフィやヌー達は朝になる頃には全て呑み干してしまっていた。
途中で酒嫌いのテアは付き合いきれないと早々に退場しようとしたが、今度は『魔神』がテアに待ったをかけて、ソフィの事について、話をしましょうと誘われてしまい、結局テアもまた朝まで起こされ続けて死んだような顔を浮かべていた。
(※死神なので既に死んでいるのだが)
「むっ……。朝になっておるぞ」
ソフィがそう言って立ち上がると、ヌーはソフィに相槌を打ちながらコップに酒を注ごうとして、もう追加分の酒も無い事に気づいた。
「ちっ、もう酒も残ってねぇよ。セルバスお前ちょっと、もっかい酒場に行ってもらって来いよ」
「おい、まだ呑む気なのかよ。サカダイとかいう場所へ向かうんじゃなかったのか?」
酒を取ってこいと言われたセルバスは、こいつはどれだけ呑むつもりなんだとばかりに、若干引きながら答えた。
「ああ、そういや、こいつの配下の『天衣無縫』が居るんだったか」
それじゃ仕方がねぇなとばかりに、舌打ちをしながらコップを置くと、ヌーは襖を開けて別の部屋に居る魔神とテアの方を見る。
「――?」(ねぇ、貴方もそう思うでしょう?)
「――」(はい、私もそう思います)
ニコニコと笑いながら話をする魔神と、それに相槌を打つテアの姿が見えた。
「おいソフィ……。てめぇの『魔神』の奴からそろそろテアを解放してやれ。テアの奴はそろそろ限界の様子だ」
そう言ってそっと襖を閉じながらヌーはそう告げた。
途中から眠たいといって別部屋へ移動していったテアだったが、魔神はそんなテアの元に向かっていき、どうやら朝まで二人で話をしていたらしい。
何の話をしていたのかまではヌーは預かり知らないが、死神のテアは力の魔神に言葉に気を使いながら、朝まで何時間も話し相手をしていたようで、ヌーはテアの顔を見て相当に疲弊しているように見えたのだった。
「むっ……。すまぬな『魔神』の奴を許してやってくれ。あやつも相当にテアの事を気に入っているようなのだ」
「直接言ってやれよ。あれを見てみろよ」
そう言ってこっそりとまた襖を開けてソフィに中を見せると、眠そうに目を擦るテアに喜々として色々と、テアに話しかけている魔神の姿が見えた。
「――?」(そうでしょう、貴方もそう思うでしょう?)
「――」(はい、ソフィ様は大変素晴らしい御方です)
「……う、うむ」
まるで洗脳を施すかのように延々とソフィの事を喋り続けている『魔神』を見たソフィは、テアが可哀想になり、慌てて『魔神』を止めに部屋の中へと入って行くのだった。
「魔神よ、その辺にしておくのだ」
突如、部屋に入って来たソフィを見て魔神は、ソフィに捲し立てるように話し掛けて来る。
「――」(ソフィ、この子はとてもいい子よ。素質があるわ。この子は死神なんかにしておくのは勿体ないわ。絶対にこの子は『魔神』になるべきだったのよ)
そう言って再び『魔神』はテアに抱き着きながら良い子だと頭を撫でる。魔神の胸の中に引き寄せられたテアは、もう何も抗う元気がないのか、されるがままになりながら譫言のように『そうですね、そうですね』と、繰り返しているのだった。
「わ、分かったからお主、少し元の世界へ戻っておるのだ」
「――」(もう終わりなの? 残念だけど貴方が言うなら分かったわ。テア、またお話をしましょうね、今度は三日くらい一緒に喋りたいわ」
「――」(……そ、そうですね)
今度は三日もですかという絶望に満ちた感情を心に隠し、テアは目を潤ませながら再び『魔神』に同じ相槌を打った。
しかし『魔神』はテアが自分が元の世界へ戻るのを見て、名残惜しいと涙しそうになったのだと勘違いをして、テアの横にワープをしたかと思うと、耳傍で魔神はテアに呟く。
「――」(私は貴方を気に入ったわ。いつか死神の中で一番偉くして差し上げましょう)
「――!?」
突然の魔神の言葉に目を丸くして声にならない声を出すと、そのテアの表情に、蠱惑的な笑みを浮かべた魔神は、空間に亀裂を入れながら、その場から最初から居なかったかの如く消え去るのであった。
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