最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1033話 妖魔達の総本山
イダラマはミスズに続きを促された後も少しの間は口を開かずに、エヴィ達を呟き一つで黙らせたシゲンを見ていた。
(歴代最強と名高い『妖魔退魔師』の『シゲン』。アコウとウガマは仕方が無いとしても、この私の見込んだ『麒麟児』すら黙らせるか)
他の者達からすれば『妖魔退魔師』の幹部達ですら総長シゲンの前に口を閉ざしたのだから当然の事だろうと思うかもしれないが、この中でイダラマだけは『エヴィ』が何かしてくれるのではないかという一種の期待感を持って、あの全員が騒ぎ立てた瞬間に考えていた。
その為に少しでも役に立てばとイダラマは『エヴィ』に守る『結界』を施したのであった。
イダラマは自分の得にならない事は極力しない性格であり、単に仲間を守る為という理由だけで『魔瞳』や『捉術』。それに『結界』などは使わない。
イダラマは自分の計画に役立つと考えているからこそ、このエヴィという少年を連れているのである。
結果的にはエヴィは何もする事なく相手の謝罪を受け入れた。イダラマはもしかしたらゲンロクの里の時のように『妖魔召士』の自分でさえ、見た事がない『不思議な力』を使って、あのゲンロクの屋敷で『妖魔召士』に囲まれた時のように、他者を脅かす事が出来るかもしれないと期待していたのであった。
「どうかしましたか、イダラマ殿?」
副総長ミスズの凛とした声がイダラマの耳に入り、そこでようやくイダラマは口を開いた。
「む……っ、失礼した。恥ずかしながら『シゲン』殿の凄まじい威圧に、私も面食らっていたようだ」
イダラマがそう言うとミスズは、眼鏡をくいっとあげながら『そうでしたか』と意味あり気に微笑んだ。それは『総長の威圧ですから仕方ありません』とでも言いたげな笑みだった。
「私が今から話す事が今日ここに来た理由なのだが現在『妖魔召士』が管理している『妖魔山』を是非、貴方がた『妖魔退魔師』側の組織に管理して頂きたいと思っているのだ」
その言葉に全員の視線がイダラマに集まった。
「イダラマ殿。貴方が言っている事の意味を理解していますか?」
この世界に妖魔は至る所に存在はしているが、その妖魔は何処から来ているかというと、この『妖魔山』から来ているのである。この妖魔山は古から続く妖魔達の総本山であり、広大な妖魔山は、区分に分けられて多くの種族の妖魔が住んでいる。この妖魔山には過去『妖魔退魔師』や『妖魔召士』が結集して、完全に妖魔を滅ぼそうと動いた事もあった。
今のように『妖魔退魔師』側と『妖魔召士』が対立しているような事もなく『妖魔召士』側も組織が一丸となっていて、現代の組織の力としては、比べ物にならない強さを誇っていた時である。
しかしその両組織が手を組んで広大な『妖魔山』の制圧を試みたのだが、結果は多くの犠牲を生み出して退散せざるを得ない結果となった。
当然両組織も何もせずにやられたわけではなく、ランク『8』までの多くの妖魔達を討伐や封印を施す事には成功したのである。
だが、当時の『妖魔召士』と『妖魔退魔師』の両方の組織で、一番力を有していた者達の力量ではランク『8』までが限界であった。
その先にあるランク『9』の妖魔の居る区分で、想像を絶する強さを誇る『妖狐』と見た目は『鬼人』のたった二体の妖魔に為す術無く返り討ちにあって、ランク『10』の居る区分に、足を踏み入れる事なくの撤退を余儀なくされた。
だが、その時の両組織の功績によって『妖魔山』に生息する種族達の縄張り区分が分かるようになり、麓に降りてくる高ランクの妖魔の数を減らす事も可能となった。
懸念されていたランク『9』やランク『10』の妖魔達だが、どうやら妖魔山の自分達の縄張りから、出て来る事は一切なく、こちら側から踏み込んで荒らさなければ表立っては何もしてこないと『妖魔退魔師』と『妖魔召士』の両組織は判断を下した。
良い意味で両組織は世界の危機を抑え込んだといえる。悪い意味で捉えるならば『妖魔山』の制圧に対して匙を投げた。
それから今日に至るまで『妖魔ランク』という表記では、最高ランクが『8』とされている。
つまり最初の『妖魔山制圧作戦』以降、ほとんどの両組織に所属する者達は、ランク『9』の妖魔を見ていないと表向きは伝えられているのであった。
そして両組織が緻密に話し合いを重ねた結果『妖魔召士』側が『妖魔山』の管理を行う事となり、今日まで『妖魔山』の監視や偵察の役目は『妖魔召士』が担っている。
これまで誰もその事に対して批判をする事も無かった為に誰も問題視にさえしておらず、山の管理は『妖魔召士』がする物とされている。
その『妖魔召士』が行っている『妖魔山』の管理を『妖魔退魔師』側でして欲しいとイダラマは口に出したのであった。
……
……
……
(歴代最強と名高い『妖魔退魔師』の『シゲン』。アコウとウガマは仕方が無いとしても、この私の見込んだ『麒麟児』すら黙らせるか)
他の者達からすれば『妖魔退魔師』の幹部達ですら総長シゲンの前に口を閉ざしたのだから当然の事だろうと思うかもしれないが、この中でイダラマだけは『エヴィ』が何かしてくれるのではないかという一種の期待感を持って、あの全員が騒ぎ立てた瞬間に考えていた。
その為に少しでも役に立てばとイダラマは『エヴィ』に守る『結界』を施したのであった。
イダラマは自分の得にならない事は極力しない性格であり、単に仲間を守る為という理由だけで『魔瞳』や『捉術』。それに『結界』などは使わない。
イダラマは自分の計画に役立つと考えているからこそ、このエヴィという少年を連れているのである。
結果的にはエヴィは何もする事なく相手の謝罪を受け入れた。イダラマはもしかしたらゲンロクの里の時のように『妖魔召士』の自分でさえ、見た事がない『不思議な力』を使って、あのゲンロクの屋敷で『妖魔召士』に囲まれた時のように、他者を脅かす事が出来るかもしれないと期待していたのであった。
「どうかしましたか、イダラマ殿?」
副総長ミスズの凛とした声がイダラマの耳に入り、そこでようやくイダラマは口を開いた。
「む……っ、失礼した。恥ずかしながら『シゲン』殿の凄まじい威圧に、私も面食らっていたようだ」
イダラマがそう言うとミスズは、眼鏡をくいっとあげながら『そうでしたか』と意味あり気に微笑んだ。それは『総長の威圧ですから仕方ありません』とでも言いたげな笑みだった。
「私が今から話す事が今日ここに来た理由なのだが現在『妖魔召士』が管理している『妖魔山』を是非、貴方がた『妖魔退魔師』側の組織に管理して頂きたいと思っているのだ」
その言葉に全員の視線がイダラマに集まった。
「イダラマ殿。貴方が言っている事の意味を理解していますか?」
この世界に妖魔は至る所に存在はしているが、その妖魔は何処から来ているかというと、この『妖魔山』から来ているのである。この妖魔山は古から続く妖魔達の総本山であり、広大な妖魔山は、区分に分けられて多くの種族の妖魔が住んでいる。この妖魔山には過去『妖魔退魔師』や『妖魔召士』が結集して、完全に妖魔を滅ぼそうと動いた事もあった。
今のように『妖魔退魔師』側と『妖魔召士』が対立しているような事もなく『妖魔召士』側も組織が一丸となっていて、現代の組織の力としては、比べ物にならない強さを誇っていた時である。
しかしその両組織が手を組んで広大な『妖魔山』の制圧を試みたのだが、結果は多くの犠牲を生み出して退散せざるを得ない結果となった。
当然両組織も何もせずにやられたわけではなく、ランク『8』までの多くの妖魔達を討伐や封印を施す事には成功したのである。
だが、当時の『妖魔召士』と『妖魔退魔師』の両方の組織で、一番力を有していた者達の力量ではランク『8』までが限界であった。
その先にあるランク『9』の妖魔の居る区分で、想像を絶する強さを誇る『妖狐』と見た目は『鬼人』のたった二体の妖魔に為す術無く返り討ちにあって、ランク『10』の居る区分に、足を踏み入れる事なくの撤退を余儀なくされた。
だが、その時の両組織の功績によって『妖魔山』に生息する種族達の縄張り区分が分かるようになり、麓に降りてくる高ランクの妖魔の数を減らす事も可能となった。
懸念されていたランク『9』やランク『10』の妖魔達だが、どうやら妖魔山の自分達の縄張りから、出て来る事は一切なく、こちら側から踏み込んで荒らさなければ表立っては何もしてこないと『妖魔退魔師』と『妖魔召士』の両組織は判断を下した。
良い意味で両組織は世界の危機を抑え込んだといえる。悪い意味で捉えるならば『妖魔山』の制圧に対して匙を投げた。
それから今日に至るまで『妖魔ランク』という表記では、最高ランクが『8』とされている。
つまり最初の『妖魔山制圧作戦』以降、ほとんどの両組織に所属する者達は、ランク『9』の妖魔を見ていないと表向きは伝えられているのであった。
そして両組織が緻密に話し合いを重ねた結果『妖魔召士』側が『妖魔山』の管理を行う事となり、今日まで『妖魔山』の監視や偵察の役目は『妖魔召士』が担っている。
これまで誰もその事に対して批判をする事も無かった為に誰も問題視にさえしておらず、山の管理は『妖魔召士』がする物とされている。
その『妖魔召士』が行っている『妖魔山』の管理を『妖魔退魔師』側でして欲しいとイダラマは口に出したのであった。
……
……
……
コメント