最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1031話 妖魔退魔師の戦力達
イダラマ達が建物の中に入るとそのまま『予備群』の者達に案内されて、相当に広さのある会議に使われるような部屋に通されるのだった。
その部屋にはイダラマも知っている者達が数人程。会議室の椅子に座ってイダラマ達を待っていた。どうやら『妖魔召士』であるイダラマがこの場に現れると聞いて『妖魔退魔師』側としても会っておかなければならないと考えたのだろう。
イダラマがまず目を引いたのは、部屋の一番奥の椅子に座っているイダラマより少し年が上だが、まだ三十代半ばにして既に『妖魔退魔師』の組織の全権を握る総長『シゲン』の姿だった。
シゲンはこのノックスの世界で現在の『妖魔退魔師』に『妖魔召士』の双方の組織の中でも一番戦闘能力が高いといわれている男である。
そのシゲンの前に座っていて整った顔達に、サイズの合っていないように見える眼鏡を掛けた女性が副総長の『ミスズ』。
十代半ばの頃にランク『7』の妖魔を無傷で倒した事で、一気に組織内で知名度が上り、実力で副総長の座に就いたミスズはそれから十年間、副総長の座を誰にも譲らずに守り続けている。
他にも妖魔団の乱が起こる前からケイノトの町で姿を見せていた『妖魔退魔師』の幹部達の三人の姿もあった。
一人目は『妖魔退魔師』の『ヒノエ』。
『妖魔退魔師』組織の最高幹部の一人で『妖魔退魔師』の組織の中で『ヒノエ組』という独自の配下を束ね持つ組長である。
腰ほどまである長い髪に身長も182cmと高く、威圧感ある視線を部屋に入って来たイダラマ達に向け続けていた。
二人目は『妖魔退魔師』の『スオウ』。
同じく『妖魔退魔師』の最高幹部で『ヒノエ』と同じく、独自の組である『スオウ組』を持つ組長である。
童顔で非常に細身の彼だが背も低く身長は140cmに届いておらず、まるで子供のような彼だが『ミスズ』とは同い年で二十代半ばであり、この『妖魔退魔師』の組織に十年前から在籍している。自分の背丈に似合わない得物『大太刀』を帯刀している。
そして最後の最高幹部『妖魔退魔師』の『キョウカ』。
『キョウカ組』の組長で左目に眼帯をつけている。かつて高ランクの妖魔の討伐作戦時に、身を挺して仲間を庇った時に、眼球を妖魔に貫かれて以来は隻眼で生活をしている。
現在でも最高幹部として数えられる力を有しているが、片目を失う前は副総長の『ミスズ』と互角に渡り合える程に強く、過去にはミスズと副総長の座を争った事もある。
『妖魔退魔師』の『総長』『副総長』『最高幹部』が揃い踏みで、イダラマ達を待ち受けているのであった。
「久しぶりですね、イダラマ殿。まさかこの町に来るとは思ってもみませんでしたよ」
『妖魔退魔師』の副総長であるミスズはそう言うと、椅子に座る様に促してくるのだった。
「少しお主らに伝えておきたい事があってな」
椅子に座ったイダラマは、その言葉を皮切りにゆっくりと話を始めるのであった。
……
……
……
イダラマがこの部屋に入ってまず最初に持ち込んだ話の内容は『妖魔召士』側の組織の中で、近々内部分裂が起きる可能性がある事の暴露だった。
当初はイダラマの発言を『妖魔退魔師』側も本気にはしていなかったが、ヒュウガというゲンロクの腹心が、その暫定の長であるゲンロクが作った『退魔組』と裏で繋がっていて、ゲンロクを失脚させようと色々と画策している事を伝え始めた辺りから、その話の信憑性に興味を持ち始めていった。
そして内容はイバキから聞いた『加護の森』に現れたという妖魔の二人組の話や、その妖魔を追って『退魔組』の『特別退魔士』の『イバキ』が、サカダイが管理している森に入っていった事や、それを指示したのがあくまで『退魔組』の頭領である『妖魔召士』の『サテツ』であった事も伝えた。
サカダイ側として『妖魔退魔師』達もすでに自分達の管理している森に『妖魔召士』側の『退魔士』が侵入して来ていた事には気づいていたが、この場ではイダラマからの情報で初めて気づいたとばかりに演技をするのだった。
「『妖魔召士』達は、我々が思っていた以上に組織が弱っているようだな」
これまでイダラマの話を黙って聞いていたシゲンは、そう言って腕を組みながら頷く。
「『シギン』殿や『サイヨウ』殿を失い、それを幸いとばかりに『ゲンロク』殿は、自分が組織の長になり替わろうとした人物です。遅かれ早かれこうなる事は、ケイノトに居た頃から私は分かっていましたけどね」
最高幹部の『キョウカ』は頬杖をついて、どこか憂いだ表情を見せながら『妖魔召士』達の事を考えてそう告げるのであった。
…………
イダラマはそのキョウカの表情を見ながら、今後の『妖魔召士』達の取る行動を頭で考え始めた。
(妖魔二体とやらを追って『特別退魔士』を含めた『退魔組衆』がサカダイの管理する森に入り込んだという話は、当然隠しておきたいゲンロク殿の耳にも届くだろう。その時にヒュウガ達がどう出るか、その点が焦点となるだろうな)
この時点ではまだソフィ達やこの組織の『予備群』のコウゾウ達が『妖魔召士』組織に所属する『キネツグ』や『チアキ』を襲った事を知らない為、イダラマは何とか森に入り込んだ『妖魔召士』側を問題視させて、この後話す事になるであろう提案を有利に持っていこうと考えるのであった。
……
……
……
その部屋にはイダラマも知っている者達が数人程。会議室の椅子に座ってイダラマ達を待っていた。どうやら『妖魔召士』であるイダラマがこの場に現れると聞いて『妖魔退魔師』側としても会っておかなければならないと考えたのだろう。
イダラマがまず目を引いたのは、部屋の一番奥の椅子に座っているイダラマより少し年が上だが、まだ三十代半ばにして既に『妖魔退魔師』の組織の全権を握る総長『シゲン』の姿だった。
シゲンはこのノックスの世界で現在の『妖魔退魔師』に『妖魔召士』の双方の組織の中でも一番戦闘能力が高いといわれている男である。
そのシゲンの前に座っていて整った顔達に、サイズの合っていないように見える眼鏡を掛けた女性が副総長の『ミスズ』。
十代半ばの頃にランク『7』の妖魔を無傷で倒した事で、一気に組織内で知名度が上り、実力で副総長の座に就いたミスズはそれから十年間、副総長の座を誰にも譲らずに守り続けている。
他にも妖魔団の乱が起こる前からケイノトの町で姿を見せていた『妖魔退魔師』の幹部達の三人の姿もあった。
一人目は『妖魔退魔師』の『ヒノエ』。
『妖魔退魔師』組織の最高幹部の一人で『妖魔退魔師』の組織の中で『ヒノエ組』という独自の配下を束ね持つ組長である。
腰ほどまである長い髪に身長も182cmと高く、威圧感ある視線を部屋に入って来たイダラマ達に向け続けていた。
二人目は『妖魔退魔師』の『スオウ』。
同じく『妖魔退魔師』の最高幹部で『ヒノエ』と同じく、独自の組である『スオウ組』を持つ組長である。
童顔で非常に細身の彼だが背も低く身長は140cmに届いておらず、まるで子供のような彼だが『ミスズ』とは同い年で二十代半ばであり、この『妖魔退魔師』の組織に十年前から在籍している。自分の背丈に似合わない得物『大太刀』を帯刀している。
そして最後の最高幹部『妖魔退魔師』の『キョウカ』。
『キョウカ組』の組長で左目に眼帯をつけている。かつて高ランクの妖魔の討伐作戦時に、身を挺して仲間を庇った時に、眼球を妖魔に貫かれて以来は隻眼で生活をしている。
現在でも最高幹部として数えられる力を有しているが、片目を失う前は副総長の『ミスズ』と互角に渡り合える程に強く、過去にはミスズと副総長の座を争った事もある。
『妖魔退魔師』の『総長』『副総長』『最高幹部』が揃い踏みで、イダラマ達を待ち受けているのであった。
「久しぶりですね、イダラマ殿。まさかこの町に来るとは思ってもみませんでしたよ」
『妖魔退魔師』の副総長であるミスズはそう言うと、椅子に座る様に促してくるのだった。
「少しお主らに伝えておきたい事があってな」
椅子に座ったイダラマは、その言葉を皮切りにゆっくりと話を始めるのであった。
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当初はイダラマの発言を『妖魔退魔師』側も本気にはしていなかったが、ヒュウガというゲンロクの腹心が、その暫定の長であるゲンロクが作った『退魔組』と裏で繋がっていて、ゲンロクを失脚させようと色々と画策している事を伝え始めた辺りから、その話の信憑性に興味を持ち始めていった。
そして内容はイバキから聞いた『加護の森』に現れたという妖魔の二人組の話や、その妖魔を追って『退魔組』の『特別退魔士』の『イバキ』が、サカダイが管理している森に入っていった事や、それを指示したのがあくまで『退魔組』の頭領である『妖魔召士』の『サテツ』であった事も伝えた。
サカダイ側として『妖魔退魔師』達もすでに自分達の管理している森に『妖魔召士』側の『退魔士』が侵入して来ていた事には気づいていたが、この場ではイダラマからの情報で初めて気づいたとばかりに演技をするのだった。
「『妖魔召士』達は、我々が思っていた以上に組織が弱っているようだな」
これまでイダラマの話を黙って聞いていたシゲンは、そう言って腕を組みながら頷く。
「『シギン』殿や『サイヨウ』殿を失い、それを幸いとばかりに『ゲンロク』殿は、自分が組織の長になり替わろうとした人物です。遅かれ早かれこうなる事は、ケイノトに居た頃から私は分かっていましたけどね」
最高幹部の『キョウカ』は頬杖をついて、どこか憂いだ表情を見せながら『妖魔召士』達の事を考えてそう告げるのであった。
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イダラマはそのキョウカの表情を見ながら、今後の『妖魔召士』達の取る行動を頭で考え始めた。
(妖魔二体とやらを追って『特別退魔士』を含めた『退魔組衆』がサカダイの管理する森に入り込んだという話は、当然隠しておきたいゲンロク殿の耳にも届くだろう。その時にヒュウガ達がどう出るか、その点が焦点となるだろうな)
この時点ではまだソフィ達やこの組織の『予備群』のコウゾウ達が『妖魔召士』組織に所属する『キネツグ』や『チアキ』を襲った事を知らない為、イダラマは何とか森に入り込んだ『妖魔召士』側を問題視させて、この後話す事になるであろう提案を有利に持っていこうと考えるのであった。
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