最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第1014話 見えない攻防と策略
『英鬼』がソフィの手によって吹き飛ばされた後、ゆっくりとソフィは、コウゾウの容態を確かめながら回復魔法を施す。
その間にテアがヌーに何かを告げるとヌーは、溜息を吐きながら頷き、意識を失って倒れていたシグレを担いでソフィの元へと運んでくるのであった。
「おお、すまぬな」
「ふんっ」
「――!」(治してあげてください!)
首の骨が折れかかっていたコウゾウを先に治したソフィは、そのまま今度はシグレにも『救済』の魔法を使い始めるのであった。
「何をしているんだい! さっさと起きるんだよ!!」
ソフィに殴り飛ばされた鬼人『英鬼』はチアキに怒鳴られて、苛立ちの声をあげながらも立ち上がった。
(ダメージはないようね。全く偶然とはいえ『縛呪の行』を施している鬼人を吹っ飛ばすなんて、信じられないわ……)
通常の『式』の状態でさえ、英鬼はランク『4.5』の妖魔であり、禁術指定である『縛呪の行』を施した状態であれば、攻撃力と耐久力だけを見れば『英鬼』は下限相当とはいえ、十分にランク『6』に匹敵する強さになる。
(※ランク『5』相当=戦力値3800から4500億前後)ランク『5.5』相当=戦力値4600から5500億前後)ランク『6』相当=戦力値5600から6500億前後)
…………
チアキに股間を蹴り上げられてコウゾウが悶え苦しんでいた頃、エイジ達も互いに戦闘態勢に入っていた。
「あーらら……。チアキの奴もえげつない事をしやがるなぁ」
「小生を相手にしながら、余所見をするとはえらく余裕だな」
そう言ってエイジが目を青くし始めると、同じくキネツグも『魔瞳』である『青い目』を発動させる。
『妖魔召士』が『魔瞳』を発動させた場合、直ぐにその場に居る者は、敵や味方を問わずに自分が攻撃の対象にされていなかったとしても『魔瞳』を使うというのが『妖魔召士』の常識である。
エイジ自身が旅籠町でヌーに教えたことでもあるが『妖魔召士』が『青い目』を発動している場合『捉術』や『結界』、その他にもあらゆる攻撃手段の準備が整っているという事の表れであり『魔瞳』の『青い目』が使えない者は『妖魔召士』がこの目を使用した時点で、即座に逃げの一手を取らざるを得なくなる。
それ程までに『青い目』は強力な『魔瞳』であり、対抗手段が無ければ、そのまま如何に相手が力が強い者であっても勝負はその時点でついてしまうのである。
(エイジ殿が『青い目』を発動させた時点で、もう余所見なんて出来る状況じゃなくなった。
『捉術』勝負となれば、俺じゃあエイジ殿には勝てっこねぇ。チアキが雑魚共を片付けるまで『式』を展開して場を持たすしか方法はない)
『青い目』を発動させた後、キネツグは瞬きすらせずに、エイジの手や目から離さずに観察を続ける。そして観察をしながらも『式札』を展開する機を窺うのであった。
(ランクの低い『式』なんぞは、何体出した所でエイジ殿の前には無意味だ。エイジ殿の魔力の前では、数を増やしたところであっさりやられるだろう)
そう考えるキネツグだったが、逆にキネツグが出せる最高ランクの『式』であっても、この天才と言われた『妖魔召士』が本気で攻撃に転じれば少しくらいは持つかもしれないが、あまり意味は無いだろう。
(クソッ、現役を離れていたというのに昔とあんまり変わっちゃいねぇな。もう少し衰えていてくれりゃあ、時間稼ぎも楽だったのによ!)
エイジが『青い目』を使った時に、かつて『妖魔召士』の組織に居た頃と『魔力値』や『戦力値』が変わっていないという事が、受けている威圧感からキネツグは感じ取るのであった。
「どうしたキネツグ、意気が良かったのは最初だけか?」
煽るようにエイジがそう告げながら、ゆっくりと一歩足を踏み出す。
「ちっ!!」
頭で作戦を張り巡らせながらエイジの言葉を聞いて、舌打ちをするキネツグだが、出された一歩分後ろへ下がるのであった。 既に彼は全身汗びっしょりである。
その様子を知ってか知らずか、エイジは再び前へと踏み出しながら口を開いて、言葉をキネツグに向けて出す。
「ヒュウガから命令されてソフィ殿達を追いかけてきたのだろうが、今からでもつまらん事はやめてゲンロクに事情を全て話して手を引け」
「あ、ああ? そんな事が出来るワケがないだろうが!」
強がるキネツグだが、彼は再びまた一歩、また一歩と後ろへと後退していく。
「悪い事はいわんぞ? ソフィ殿達はお前らよりも強い。下手に手を出せば、取り返しのつかぬ事になる」
そこまで言われてようやくキネツグは、後ろへ下げていた足を止めた。
「ハッ! アンタでも冗談は言えるんだなエイジ殿。俺達があんな奴らよりも弱いだと? 笑わせるなよ、俺達は天下の『妖魔召士』だぞ!」
そう言い放つと同時に意を決してキネツグは、懐から『式札』を三枚取り出す。しかしまだ投げずにキネツグは『青い目』を発動させ続けながらタイミングを計るようにエイジを見る。
上位の『妖魔召士』は、格下の『妖魔召士』の『捉術』までは止められないが『式』を展開しようとした瞬間を狙って『捉術』で結界を張って相手の動きを止めて動きを封じるような真似が出来る為に下手には動けない。
当然、同じ『妖魔召士』であれば、格下であろうとも相手の『青い目』を相殺する事は出来る。キネツグが取り出している『式札』は三枚。その内二枚は妖魔ランクが『3.5』程度の『式』だが、残る一枚はチアキと同等規模のランク『4.5』の鬼人の『式』である。
『式』を使役させたならば、そのまま襲わせるような真似はせず、即座に一気にランクを上昇させる事の出来る禁術『縛呪の行』を用いて、一気に『式』と『捉術』を使って戦力値を上昇させて時間を稼ぐ。
流石にランク『5.5』相当まで上昇させた妖魔と『妖魔召士』であるキネツグ自身が捉術を用いて挑めば、チアキが向こう側に居る奴らを全滅させられるだけの時間は稼げるであろう。
(その後にチアキとそのチアキの『式』である『英鬼』を背後から襲わせて、一斉に攻撃を仕掛けてエイジ殿を無力化させる)
そう策略を練ったキネツグは、最初が肝心だとばかりに三枚持つ式札を左手に持ちながら『青い目』でエイジを見続けるのであった。
その間にテアがヌーに何かを告げるとヌーは、溜息を吐きながら頷き、意識を失って倒れていたシグレを担いでソフィの元へと運んでくるのであった。
「おお、すまぬな」
「ふんっ」
「――!」(治してあげてください!)
首の骨が折れかかっていたコウゾウを先に治したソフィは、そのまま今度はシグレにも『救済』の魔法を使い始めるのであった。
「何をしているんだい! さっさと起きるんだよ!!」
ソフィに殴り飛ばされた鬼人『英鬼』はチアキに怒鳴られて、苛立ちの声をあげながらも立ち上がった。
(ダメージはないようね。全く偶然とはいえ『縛呪の行』を施している鬼人を吹っ飛ばすなんて、信じられないわ……)
通常の『式』の状態でさえ、英鬼はランク『4.5』の妖魔であり、禁術指定である『縛呪の行』を施した状態であれば、攻撃力と耐久力だけを見れば『英鬼』は下限相当とはいえ、十分にランク『6』に匹敵する強さになる。
(※ランク『5』相当=戦力値3800から4500億前後)ランク『5.5』相当=戦力値4600から5500億前後)ランク『6』相当=戦力値5600から6500億前後)
…………
チアキに股間を蹴り上げられてコウゾウが悶え苦しんでいた頃、エイジ達も互いに戦闘態勢に入っていた。
「あーらら……。チアキの奴もえげつない事をしやがるなぁ」
「小生を相手にしながら、余所見をするとはえらく余裕だな」
そう言ってエイジが目を青くし始めると、同じくキネツグも『魔瞳』である『青い目』を発動させる。
『妖魔召士』が『魔瞳』を発動させた場合、直ぐにその場に居る者は、敵や味方を問わずに自分が攻撃の対象にされていなかったとしても『魔瞳』を使うというのが『妖魔召士』の常識である。
エイジ自身が旅籠町でヌーに教えたことでもあるが『妖魔召士』が『青い目』を発動している場合『捉術』や『結界』、その他にもあらゆる攻撃手段の準備が整っているという事の表れであり『魔瞳』の『青い目』が使えない者は『妖魔召士』がこの目を使用した時点で、即座に逃げの一手を取らざるを得なくなる。
それ程までに『青い目』は強力な『魔瞳』であり、対抗手段が無ければ、そのまま如何に相手が力が強い者であっても勝負はその時点でついてしまうのである。
(エイジ殿が『青い目』を発動させた時点で、もう余所見なんて出来る状況じゃなくなった。
『捉術』勝負となれば、俺じゃあエイジ殿には勝てっこねぇ。チアキが雑魚共を片付けるまで『式』を展開して場を持たすしか方法はない)
『青い目』を発動させた後、キネツグは瞬きすらせずに、エイジの手や目から離さずに観察を続ける。そして観察をしながらも『式札』を展開する機を窺うのであった。
(ランクの低い『式』なんぞは、何体出した所でエイジ殿の前には無意味だ。エイジ殿の魔力の前では、数を増やしたところであっさりやられるだろう)
そう考えるキネツグだったが、逆にキネツグが出せる最高ランクの『式』であっても、この天才と言われた『妖魔召士』が本気で攻撃に転じれば少しくらいは持つかもしれないが、あまり意味は無いだろう。
(クソッ、現役を離れていたというのに昔とあんまり変わっちゃいねぇな。もう少し衰えていてくれりゃあ、時間稼ぎも楽だったのによ!)
エイジが『青い目』を使った時に、かつて『妖魔召士』の組織に居た頃と『魔力値』や『戦力値』が変わっていないという事が、受けている威圧感からキネツグは感じ取るのであった。
「どうしたキネツグ、意気が良かったのは最初だけか?」
煽るようにエイジがそう告げながら、ゆっくりと一歩足を踏み出す。
「ちっ!!」
頭で作戦を張り巡らせながらエイジの言葉を聞いて、舌打ちをするキネツグだが、出された一歩分後ろへ下がるのであった。 既に彼は全身汗びっしょりである。
その様子を知ってか知らずか、エイジは再び前へと踏み出しながら口を開いて、言葉をキネツグに向けて出す。
「ヒュウガから命令されてソフィ殿達を追いかけてきたのだろうが、今からでもつまらん事はやめてゲンロクに事情を全て話して手を引け」
「あ、ああ? そんな事が出来るワケがないだろうが!」
強がるキネツグだが、彼は再びまた一歩、また一歩と後ろへと後退していく。
「悪い事はいわんぞ? ソフィ殿達はお前らよりも強い。下手に手を出せば、取り返しのつかぬ事になる」
そこまで言われてようやくキネツグは、後ろへ下げていた足を止めた。
「ハッ! アンタでも冗談は言えるんだなエイジ殿。俺達があんな奴らよりも弱いだと? 笑わせるなよ、俺達は天下の『妖魔召士』だぞ!」
そう言い放つと同時に意を決してキネツグは、懐から『式札』を三枚取り出す。しかしまだ投げずにキネツグは『青い目』を発動させ続けながらタイミングを計るようにエイジを見る。
上位の『妖魔召士』は、格下の『妖魔召士』の『捉術』までは止められないが『式』を展開しようとした瞬間を狙って『捉術』で結界を張って相手の動きを止めて動きを封じるような真似が出来る為に下手には動けない。
当然、同じ『妖魔召士』であれば、格下であろうとも相手の『青い目』を相殺する事は出来る。キネツグが取り出している『式札』は三枚。その内二枚は妖魔ランクが『3.5』程度の『式』だが、残る一枚はチアキと同等規模のランク『4.5』の鬼人の『式』である。
『式』を使役させたならば、そのまま襲わせるような真似はせず、即座に一気にランクを上昇させる事の出来る禁術『縛呪の行』を用いて、一気に『式』と『捉術』を使って戦力値を上昇させて時間を稼ぐ。
流石にランク『5.5』相当まで上昇させた妖魔と『妖魔召士』であるキネツグ自身が捉術を用いて挑めば、チアキが向こう側に居る奴らを全滅させられるだけの時間は稼げるであろう。
(その後にチアキとそのチアキの『式』である『英鬼』を背後から襲わせて、一斉に攻撃を仕掛けてエイジ殿を無力化させる)
そう策略を練ったキネツグは、最初が肝心だとばかりに三枚持つ式札を左手に持ちながら『青い目』でエイジを見続けるのであった。
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