最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第985話 横暴な新人
『煌鴟梟』のボスであるトウジは、イツキという先代『煌鴟梟』のボスから何やらよからぬ疑惑を持たれていたようで、こうして『退魔組』でもトップクラスの実力を有するユウゲという『特別退魔士』をこの場に寄こしてきていた。
トウジは表面上ではにこやかに対応をしていたつもりだが、内心では恐怖心を抱きながら何故自分が疑われているのかと、そればかりを考えながらユウゲの質問に答えていた。
彼自身にはイツキに疑惑を持たれるような、そのような隠し事は一切しているつもりはない。しかしそれでもトウジは、イツキに良くない印象を持たれていたというだけで、恐怖心が仕事に支障をきたす程でまるで物事を考えられなくなる。
先代『煌鴟梟』のボスにして創設者であるイツキは、裏切者に容赦をしない残虐性を持っている。今の退魔組に所属するようになった彼しか知らぬ者であれば、あのいつもにこやかに笑って『退魔組』の頭領を支えるイツキを優男で与しやすい人物だと思うかもしれないが『煌鴟梟』のボスであった頃の彼を知っているならば、決して彼に逆らうような真似はしないだろう。
どうやらユウゲ殿は納得してもらえたみたいだが、遣いを出されたという事は、何やら大きな疑惑が俺にはあるようだ。一度イツキ様としっかりと話し合わなくてはいけないだろう。そこまで考えたトウジだったが、そこでユウゲが再び口を開いた。
…………
「この部屋の前に居た新人は何やら特別扱いをされているようだが、そんなにもあの男は有用な人材なのですかな?」
イツキの元へ帰ろうとしていたユウゲが最後に新人の事を口にする。
しかしその新人の事をトウジに訊ねた瞬間『煌鴟梟』のボス『トウジ』は、目の前に居るユウゲを認識出来なくなったかのように目を虚ろにしながら、虚空を見つめ始めるのであった。
「? トウジ殿、どうかされたのか?」
……
……
……
スキンヘッドの男『ヒロキ』は不満そうな表情を浮かべながらボスの部屋から渋々と出て来る。
彼は二代目の『煌鴟梟』のボス『トウジ』の護衛である。トウジの安全を守るのが彼の仕事である為、これまでは要人と大事な仕事の話をしている時でもボスの傍に居る事が許されていた。
ユウゲ殿は『煌鴟梟』の他の幹部の知り合いでもあり『退魔組』の『特別退魔士』という事は知ってはいるが、こうして護衛である自分が席を外される事に納得がいかない様子であった。
「話が終わるまでは待つしかないか」
ヒロキはそう独り言つと、そこでようやく自分を見ている視線に気づいた。視線の先には、つい先日入ったばかりの新人『セルバス』が居た。
ボスから彼を組織に引き入れて相当に気に入られている様子であり、本来『煌鴟梟』の新人はアジトで仕事すらさせてもらえず、ミヤジ殿やサノスケ殿のような幹部に用がある時だけ呼ばれてその時に結果を残さなければ、ずっと下っ端として生きていかなければならない。
先程の中庭で警備をしていた者達でさえ、相当に長い期間の下積みを行って、ようやくアジト住みを許された者達である。
そうだというのにこのセルバスという男は、堂々とアジトの中でふんぞり返って、好き放題を許されている。
その内誰かが彼に我慢出来ずに、跳ねっかえりを引き起こしかねないと視線の先に居るセルバスを見ながらふと考えるヒロキであった。
そしてそんなヒロキに視線を向けていたセルバスは、ゆっくりと彼の元へと歩いてくる。
「よう、先輩」
「何だ? また酒が無くなったという話か? 保管庫から、自由に取ってきていいと言われているだろう」
「いや、酒の事じゃないんだ。ちょっとばかし、アンタに訊いておきたい事ができてなぁ」
ヒロキも『煌鴟梟』では下積みの期間が短く、まだまだ新人な方ではあるが、何の実績も残していないセルバスとは違い、彼はその腕っぷしの強さで組織に益を運んだ実績があり、他の幹部達やボスに認められて立派に幹部としての役についている男である。
そんな彼は新人がアンタ呼ばわりしながら、何かを聞き出そうとしてくる事に、少しばかり腹を立て始めていた。
「何だ?」
しかしここで冷静さを欠いて、暴力でも振るおうものなら『煌鴟梟』の幹部としての格が落ちる。
ぐっと堪えながら『ヒロキ』は、セルバスに何が訊きたいんだとばかりに、冷静に返事をするのであった。
「さっき『ボス』の部屋に入って行った、あの男は何者なんだ?」
……
……
……
トウジは表面上ではにこやかに対応をしていたつもりだが、内心では恐怖心を抱きながら何故自分が疑われているのかと、そればかりを考えながらユウゲの質問に答えていた。
彼自身にはイツキに疑惑を持たれるような、そのような隠し事は一切しているつもりはない。しかしそれでもトウジは、イツキに良くない印象を持たれていたというだけで、恐怖心が仕事に支障をきたす程でまるで物事を考えられなくなる。
先代『煌鴟梟』のボスにして創設者であるイツキは、裏切者に容赦をしない残虐性を持っている。今の退魔組に所属するようになった彼しか知らぬ者であれば、あのいつもにこやかに笑って『退魔組』の頭領を支えるイツキを優男で与しやすい人物だと思うかもしれないが『煌鴟梟』のボスであった頃の彼を知っているならば、決して彼に逆らうような真似はしないだろう。
どうやらユウゲ殿は納得してもらえたみたいだが、遣いを出されたという事は、何やら大きな疑惑が俺にはあるようだ。一度イツキ様としっかりと話し合わなくてはいけないだろう。そこまで考えたトウジだったが、そこでユウゲが再び口を開いた。
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「この部屋の前に居た新人は何やら特別扱いをされているようだが、そんなにもあの男は有用な人材なのですかな?」
イツキの元へ帰ろうとしていたユウゲが最後に新人の事を口にする。
しかしその新人の事をトウジに訊ねた瞬間『煌鴟梟』のボス『トウジ』は、目の前に居るユウゲを認識出来なくなったかのように目を虚ろにしながら、虚空を見つめ始めるのであった。
「? トウジ殿、どうかされたのか?」
……
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スキンヘッドの男『ヒロキ』は不満そうな表情を浮かべながらボスの部屋から渋々と出て来る。
彼は二代目の『煌鴟梟』のボス『トウジ』の護衛である。トウジの安全を守るのが彼の仕事である為、これまでは要人と大事な仕事の話をしている時でもボスの傍に居る事が許されていた。
ユウゲ殿は『煌鴟梟』の他の幹部の知り合いでもあり『退魔組』の『特別退魔士』という事は知ってはいるが、こうして護衛である自分が席を外される事に納得がいかない様子であった。
「話が終わるまでは待つしかないか」
ヒロキはそう独り言つと、そこでようやく自分を見ている視線に気づいた。視線の先には、つい先日入ったばかりの新人『セルバス』が居た。
ボスから彼を組織に引き入れて相当に気に入られている様子であり、本来『煌鴟梟』の新人はアジトで仕事すらさせてもらえず、ミヤジ殿やサノスケ殿のような幹部に用がある時だけ呼ばれてその時に結果を残さなければ、ずっと下っ端として生きていかなければならない。
先程の中庭で警備をしていた者達でさえ、相当に長い期間の下積みを行って、ようやくアジト住みを許された者達である。
そうだというのにこのセルバスという男は、堂々とアジトの中でふんぞり返って、好き放題を許されている。
その内誰かが彼に我慢出来ずに、跳ねっかえりを引き起こしかねないと視線の先に居るセルバスを見ながらふと考えるヒロキであった。
そしてそんなヒロキに視線を向けていたセルバスは、ゆっくりと彼の元へと歩いてくる。
「よう、先輩」
「何だ? また酒が無くなったという話か? 保管庫から、自由に取ってきていいと言われているだろう」
「いや、酒の事じゃないんだ。ちょっとばかし、アンタに訊いておきたい事ができてなぁ」
ヒロキも『煌鴟梟』では下積みの期間が短く、まだまだ新人な方ではあるが、何の実績も残していないセルバスとは違い、彼はその腕っぷしの強さで組織に益を運んだ実績があり、他の幹部達やボスに認められて立派に幹部としての役についている男である。
そんな彼は新人がアンタ呼ばわりしながら、何かを聞き出そうとしてくる事に、少しばかり腹を立て始めていた。
「何だ?」
しかしここで冷静さを欠いて、暴力でも振るおうものなら『煌鴟梟』の幹部としての格が落ちる。
ぐっと堪えながら『ヒロキ』は、セルバスに何が訊きたいんだとばかりに、冷静に返事をするのであった。
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