最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第978話 ゲンロクの里からの遣い
ケイノトの退魔組に現れた男はゲンロクの里から遣わされた男だった。その男は奥に居るサテツとイツキに、里に現れた者達の情報を届けにこの退魔組の屯所に訪れたのであった。
退魔組の屯所の奥の部屋『サテツ』と『イツキ』が居る場所で、ゲンロクの元から届けられた情報を聞かされるサテツ達。やがて話を終えた里の人間はそのままゲンロク達の元へと帰って行った。
「まずい事になりましたね。サテツ様……」
「ああ。どうやらヒュウガ殿の事がゲンロク様にバレたみたいだな。まだ全貌が明るみに出たかどうか、それを把握するまではわからねぇが、これまで通りと言うわけにはいかなくなっただろうな」
彼らはヒュウガと手を組んでヒュウガを『妖魔召士』達の長とする事で色々と便宜を計ってもらうという手筈だった。
しかしどうやら里に現れた例のタクシンを殺めた二人組とやらが、余計な発言をゲンロク様の前で告げたことによって、色々と隠しておきたかった事が明るみに出てしまったという報告であった。
「しかし驚きましたね。まさか加護の森に現れた例の二人組とやらが『ゲンロク』様の里に現れるとは……」
「ああ。しかし『ミカゲ』も役に立たねぇ野郎だな。アイツは確かに黒い羽根の生えた妖魔が現れたと抜かしていやがったよなぁ……! 真相は全く違うじゃねぇかよ」
情報を届けに来た男の話では、例の加護の森に現れた二人組は妖魔では無く、魔族と呼ばれる人間のような存在であったらしい。その時点でタクシンを殺めたのは『妖魔』では無かったという事になる。
「さっきのゲンロク様からの遣いの話では、相当にゲンロク様はヒュウガ殿にお怒りの様子だったらしいが、今後どうするかは、直接ヒュウガ殿からの連絡を待つしかないだろうな。それまでは俺達は、知らぬ存ぜぬで行くしかあるまい?」
『妖魔召士』側の組織の現在のNo.2であるヒュウガと、裏で手を組んでいたサテツとイツキだったが、これまでの事がゲンロクに明るみに出た以上、サテツ達は成り行き次第では、再びヒュウガを切り捨てる算段をつけて、再びゲンロクに仕えられるように話を持っていく手筈をつけなければならないだろう。
当然サテツ達もこのままお咎め無しという訳には行かないだろうが、今は『妖魔召士』の組織も猫の手を借りたい程に人手が足りてはいない。
前時代の『妖魔召士』の組織のように、組織も一枚岩では無い以上はゲンロクもサテツ達を、切り捨てるわけにはいかないだろう。
しかしゲンロクに就くか、これまで通りにヒュウガに就くかは、まだヒュウガからの報告があるまでは、安易に決めるわけにはいかない。
そもそも先程の男の話だけではどこまでが明るみになっているか、それすらもまだ全貌を把握しきれていないのである。
どういう風に事が動いて行くかを見極められるまでは、静観して侍して待つのが、必然であると言えるだろう。そう考えたサテツはヒュウガ側の使いが報告に来るまでは、イツキには動かずに機を待てと告げるのであった。
……
……
……
話を終えた『イツキ』はサテツの部屋から出た後に事務所で数日の暇をどうするかと、話し合っている『特別退魔士』達に近づいた。
「ユウゲ様、少しこの後よろしいですか?」
いつもと変わらずイツキは細い目を更に際立たせるように、ニコリと笑顔を作りながら『ユウゲ』に声を掛けた。
「むっ。それは構わぬが……。俺だけか?」
ユウゲは周りに居るヒイラギや、クキ達に視線を送りながらそう言った。
「ええ。少し個人的に貴方に話があるのと、どうやら皆さんには申し訳ないのですが、色々と事情が変わりましてね。新しい任務が入りそうなので残念な事ですが、余暇を楽しむ暇は無いかもしれません」
イツキが少し困ったような表情をしながらそう告げると、三白眼をしたヒイラギや、クキの護衛を務めているサキは残念そうな声をあげながら、がっくりと肩を落としていた。
その様子を見たイツキは、彼らに申し訳なさそうにしながら苦笑いを浮かべるのであった。
……
……
……
退魔組の屯所の奥の部屋『サテツ』と『イツキ』が居る場所で、ゲンロクの元から届けられた情報を聞かされるサテツ達。やがて話を終えた里の人間はそのままゲンロク達の元へと帰って行った。
「まずい事になりましたね。サテツ様……」
「ああ。どうやらヒュウガ殿の事がゲンロク様にバレたみたいだな。まだ全貌が明るみに出たかどうか、それを把握するまではわからねぇが、これまで通りと言うわけにはいかなくなっただろうな」
彼らはヒュウガと手を組んでヒュウガを『妖魔召士』達の長とする事で色々と便宜を計ってもらうという手筈だった。
しかしどうやら里に現れた例のタクシンを殺めた二人組とやらが、余計な発言をゲンロク様の前で告げたことによって、色々と隠しておきたかった事が明るみに出てしまったという報告であった。
「しかし驚きましたね。まさか加護の森に現れた例の二人組とやらが『ゲンロク』様の里に現れるとは……」
「ああ。しかし『ミカゲ』も役に立たねぇ野郎だな。アイツは確かに黒い羽根の生えた妖魔が現れたと抜かしていやがったよなぁ……! 真相は全く違うじゃねぇかよ」
情報を届けに来た男の話では、例の加護の森に現れた二人組は妖魔では無く、魔族と呼ばれる人間のような存在であったらしい。その時点でタクシンを殺めたのは『妖魔』では無かったという事になる。
「さっきのゲンロク様からの遣いの話では、相当にゲンロク様はヒュウガ殿にお怒りの様子だったらしいが、今後どうするかは、直接ヒュウガ殿からの連絡を待つしかないだろうな。それまでは俺達は、知らぬ存ぜぬで行くしかあるまい?」
『妖魔召士』側の組織の現在のNo.2であるヒュウガと、裏で手を組んでいたサテツとイツキだったが、これまでの事がゲンロクに明るみに出た以上、サテツ達は成り行き次第では、再びヒュウガを切り捨てる算段をつけて、再びゲンロクに仕えられるように話を持っていく手筈をつけなければならないだろう。
当然サテツ達もこのままお咎め無しという訳には行かないだろうが、今は『妖魔召士』の組織も猫の手を借りたい程に人手が足りてはいない。
前時代の『妖魔召士』の組織のように、組織も一枚岩では無い以上はゲンロクもサテツ達を、切り捨てるわけにはいかないだろう。
しかしゲンロクに就くか、これまで通りにヒュウガに就くかは、まだヒュウガからの報告があるまでは、安易に決めるわけにはいかない。
そもそも先程の男の話だけではどこまでが明るみになっているか、それすらもまだ全貌を把握しきれていないのである。
どういう風に事が動いて行くかを見極められるまでは、静観して侍して待つのが、必然であると言えるだろう。そう考えたサテツはヒュウガ側の使いが報告に来るまでは、イツキには動かずに機を待てと告げるのであった。
……
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話を終えた『イツキ』はサテツの部屋から出た後に事務所で数日の暇をどうするかと、話し合っている『特別退魔士』達に近づいた。
「ユウゲ様、少しこの後よろしいですか?」
いつもと変わらずイツキは細い目を更に際立たせるように、ニコリと笑顔を作りながら『ユウゲ』に声を掛けた。
「むっ。それは構わぬが……。俺だけか?」
ユウゲは周りに居るヒイラギや、クキ達に視線を送りながらそう言った。
「ええ。少し個人的に貴方に話があるのと、どうやら皆さんには申し訳ないのですが、色々と事情が変わりましてね。新しい任務が入りそうなので残念な事ですが、余暇を楽しむ暇は無いかもしれません」
イツキが少し困ったような表情をしながらそう告げると、三白眼をしたヒイラギや、クキの護衛を務めているサキは残念そうな声をあげながら、がっくりと肩を落としていた。
その様子を見たイツキは、彼らに申し訳なさそうにしながら苦笑いを浮かべるのであった。
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