最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第964話 尾行に気づいた男
その後もミヤジの愚痴を聞いていたサノスケだったが、ようやくミヤジが落ち着き始めたのを頃合いにサノスケの方から今度は言葉を振った。
「それでボスが言っていた次の仕事とは、一体どういう内容だったんだ?」
「いや、荒事になるとは言っていたが、まだ何かまでは聞いてはいない。あの新入りの野郎が捕らえられた連中をここに連れてきてから詳しく話すつもりだったようだからな」
「もしかするとその捕らえた連中も次の仕事に使うつもりなのかもな」
ミヤジはようやく普段通りになったようで、サノスケの言葉に首を縦に振る。
「何にせよその新入りの野郎が戻って来るまでは、このまま待つ他には無いという事だ」
セルバスが戻って来る間、サノスケはミヤジの愚痴に付き合うつもりらしく、それを見たミヤジは機嫌を良くし始めたのか、そのままグラスをもう一つ取り出して、サノスケに酒を注ぐのであった。
……
……
……
『煌鴟梟』のアジトで『ミヤジ』と『サノスケ』が酒を酌み交わしている頃、捕らえられていた男を回収したセルバスは、自分が尾行されている事に薄々と気づき始める。
(妙だな……。確かに尾行をされているとは思うが、こちらに向かってくる奴らの魔力が感じられない)
セルバスという大魔王が感じた尾行の存在は、ソフィやヌー達の事である。まだエイジやコウゾウは、何故ソフィが自分達と合流しないのかと旅籠町で疑問を思い浮かべているところであった。
セルバスが尾行に気づいてからは、何度かそっちの気配の方に、魔力探知や魔力感知を試みているのだが、ソフィ達は魔力値コントロールで自身の魔力を隠蔽し、その上で完全に消している為に、測る事が出来ないのである。
相手の居場所を突き止める上で『漏出』という魔法があるのだが、こちらを使うのは少々危険が伴う為に使うのは最後の手段となる。
『漏出』を使えば『隠幕』という魔法で、姿を隠蔽されてさえいなければ、ほぼ確実に居場所を突き止められるだろうが、もしその相手が自分よりも遥かに魔力値や戦力値が高ければ、その情報量を強引に引き出す事になり、測った相手の魔力の圧力によっては、無理に知ろうとすれば脳が処理できずに焼き切られてしまう。
彼の元の身体は大魔王階級であった為に、何も心配せずに使う事が出来たが、この世界はまだ完全に把握出来ているワケでは無い為に、まだまだ慎重に行動をしなければいけない。
その点を踏まえての魔力探知と魔力感知だったのだが、尾行の相手が尻尾を見せない為に、自分の勘違いかと思い始める。
(もしくは相手が相当の手練れで尻尾を掴ませない程か)
自分が何故尾行されているかを考えるセルバスは、ちらりと自分の背後を見る。そこには虚ろな目を浮かべながらついてくる男が居た。
(ミヤジの野郎は『煌鴟梟』の前のボスとやらが怖くて捕らえられていた男が、何も情報を吐かないとか言っていたが、これは完全にコイツを囮に使って『煌鴟梟』のアジトの場所を探っているんじゃないのか?)
――十中八九、その通りだとセルバスの勘がそう告げていた。
(クソッ! 役に立たねぇ情報を渡しやがって……)
まだ尾行されているのがセルバスの勘違いと言う可能性も僅かには残されているが、ほぼ確実に尾行はされている事だろう。セルバスはこのままアジトへ向かうか、それとも尾行相手を探る為に危険を負ってでも『漏出』を使うかで悩み始めるのであった。
……
……
……
そしてセルバスがソフィ達の尾行に薄々と気づき始めた頃、ソフィ達もまたセルバスがこちらの尾行に気づいた事を感じていた。
「ソフィ、気づいているか?」
「クックック、中々大した者だな。我から見てもお主らの魔力は完全に消されておる。だが奴はどうやら我達、追手の存在に気づいているようだ」
セルバスから魔力の余波を感じ取った二人は、こちらに魔力探知か魔力感知を使ったのだろうと悟る。相手がどういう行動に出るかを探りを居れる為に、ソフィ達は一度その場で立ち止まる事にするのであった。
……
……
……
「それでボスが言っていた次の仕事とは、一体どういう内容だったんだ?」
「いや、荒事になるとは言っていたが、まだ何かまでは聞いてはいない。あの新入りの野郎が捕らえられた連中をここに連れてきてから詳しく話すつもりだったようだからな」
「もしかするとその捕らえた連中も次の仕事に使うつもりなのかもな」
ミヤジはようやく普段通りになったようで、サノスケの言葉に首を縦に振る。
「何にせよその新入りの野郎が戻って来るまでは、このまま待つ他には無いという事だ」
セルバスが戻って来る間、サノスケはミヤジの愚痴に付き合うつもりらしく、それを見たミヤジは機嫌を良くし始めたのか、そのままグラスをもう一つ取り出して、サノスケに酒を注ぐのであった。
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『煌鴟梟』のアジトで『ミヤジ』と『サノスケ』が酒を酌み交わしている頃、捕らえられていた男を回収したセルバスは、自分が尾行されている事に薄々と気づき始める。
(妙だな……。確かに尾行をされているとは思うが、こちらに向かってくる奴らの魔力が感じられない)
セルバスという大魔王が感じた尾行の存在は、ソフィやヌー達の事である。まだエイジやコウゾウは、何故ソフィが自分達と合流しないのかと旅籠町で疑問を思い浮かべているところであった。
セルバスが尾行に気づいてからは、何度かそっちの気配の方に、魔力探知や魔力感知を試みているのだが、ソフィ達は魔力値コントロールで自身の魔力を隠蔽し、その上で完全に消している為に、測る事が出来ないのである。
相手の居場所を突き止める上で『漏出』という魔法があるのだが、こちらを使うのは少々危険が伴う為に使うのは最後の手段となる。
『漏出』を使えば『隠幕』という魔法で、姿を隠蔽されてさえいなければ、ほぼ確実に居場所を突き止められるだろうが、もしその相手が自分よりも遥かに魔力値や戦力値が高ければ、その情報量を強引に引き出す事になり、測った相手の魔力の圧力によっては、無理に知ろうとすれば脳が処理できずに焼き切られてしまう。
彼の元の身体は大魔王階級であった為に、何も心配せずに使う事が出来たが、この世界はまだ完全に把握出来ているワケでは無い為に、まだまだ慎重に行動をしなければいけない。
その点を踏まえての魔力探知と魔力感知だったのだが、尾行の相手が尻尾を見せない為に、自分の勘違いかと思い始める。
(もしくは相手が相当の手練れで尻尾を掴ませない程か)
自分が何故尾行されているかを考えるセルバスは、ちらりと自分の背後を見る。そこには虚ろな目を浮かべながらついてくる男が居た。
(ミヤジの野郎は『煌鴟梟』の前のボスとやらが怖くて捕らえられていた男が、何も情報を吐かないとか言っていたが、これは完全にコイツを囮に使って『煌鴟梟』のアジトの場所を探っているんじゃないのか?)
――十中八九、その通りだとセルバスの勘がそう告げていた。
(クソッ! 役に立たねぇ情報を渡しやがって……)
まだ尾行されているのがセルバスの勘違いと言う可能性も僅かには残されているが、ほぼ確実に尾行はされている事だろう。セルバスはこのままアジトへ向かうか、それとも尾行相手を探る為に危険を負ってでも『漏出』を使うかで悩み始めるのであった。
……
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そしてセルバスがソフィ達の尾行に薄々と気づき始めた頃、ソフィ達もまたセルバスがこちらの尾行に気づいた事を感じていた。
「ソフィ、気づいているか?」
「クックック、中々大した者だな。我から見てもお主らの魔力は完全に消されておる。だが奴はどうやら我達、追手の存在に気づいているようだ」
セルバスから魔力の余波を感じ取った二人は、こちらに魔力探知か魔力感知を使ったのだろうと悟る。相手がどういう行動に出るかを探りを居れる為に、ソフィ達は一度その場で立ち止まる事にするのであった。
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