最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第948話 手掛かりとなる一本の線
「もう分かっているとは思うが、俺らは旅籠に泊まる客を狙って活動しているんだ」
ソフィ達から事情を聞いていてある程度は分かっていたコウゾウだったが、本人の口から証言がとれた為に納得するように頷く。
「それでお前らが実行犯なのはわかったが、他に指示を出す人間とか。そうだな、組織ぐるみで動いているのか?」
「そ、それは……」
自分達が人攫いだという事は認めた男だったが、他に仲間がいるのかを聞かれると、口ごもってチラチラとコウゾウを見ていた。その男の態度を見ているだけで後ろ盾のような存在が居る事は、誰の目にも明らかであった。
「居るんだな? 規模はどれくらいだ?」
「……」
コウゾウに詰められると、完全に押し黙って俯いてしまう。
「さっさと言った方がいいぞ。お前、今こうして生かされているという理由を考えた方がいい。俺の隣の男を見てみろ」
コウゾウが溜息を吐きながら男にヌーの方を見ろとばかりに一瞥すると、男もつられるようにちらりとヌーの方を見た。
「ひっ……!」
ヌーは別に威圧をしているワケでは無かったが、既に男には地下での出来事が脳内に記憶されている為、フィルターがかかっているかの如く、ヌーに恐怖心が植え付けられていた。
「わ、分かりました……で、ですから、殺さないで、殺さないで……!」
その様子を見ていると『魔瞳』である『金色の目』を使うよりもよっぽど男を洗脳できるのではないかという程の効力であった。
「ちっ……」
ヌーは別にこの男には何もしていないのに、勝手に自分を見て怯えられるところを見せられて、煩わしく感じて舌打ちをするのだった。
「お、俺たちは組織に属している人攫い集団で、俺達の背後には『煌鴟梟』という組織がついている」
コウゾウは目を細めながら、当たりだとばかりに目を細める。
「その組織のボスは誰だ? 規模はどれくらいなんだ!」
コウゾウはこれまでよりも更に鋭く男に追及する。旅籠を狙う強盗や人攫いが多発している現在、ようやくその尻尾を掴んだ事で相当焦っている様子が見て取れる。
「し、知らない……! ボスの名は俺は知らない!」
「き、貴様! こ、この期に及んで……!」
男が『煌鴟梟』という組織に属していると告げたにも拘らず、その組織のボスの名を告げない事に、今度はコウゾウは苛立ちを見せて、男の襟首を掴みあげながら隠さずに吐けとばかりに男の首を揺する。
「ほ、本当なんだ! 俺達は『ミヤジ』という男の指示に従って、命令通りに目標を捕らえてミヤジの元へ連れていくのが仕事で、そこで報酬を受け取って、次の指示が来るまでは音沙汰無しなんだ!」
「ひっ! ヒィッ! 本当なんです! こ、殺さないでぇっ!!」
そこでヌーが近づいて男を睨みつけると、目を丸くしながら男は近づいてくるヌーに顔の前で手を合わせてひたすら謝罪を続ける。
どうやら本当の事のようであり、ヌーを前にして嘘をついているようには思えなかった。
「ふむ、どうやら本当のようだぞ。コウゾウ殿?」
「くっ……、どうやらそのようだ。末端の人間には顔すら見せない。どうやら用意周到で慎重な組織のようだな」
これまでに無い手掛かりを前にして、上手くいかない現状に舌打ちをするコウゾウだった。しかしそこでソフィとエイジは顔を見合わせる。
「お主……。ミヤジという者はこの旅籠屋とやらの裏道通りで、酒場を経営している男の名ではなかったか?」
「え? そ、そうです! 俺達は仕事をまわされる時、ミヤジ殿から連絡がくるんです」
ソフィはそこで思案する表情を浮かべた後、ふと気になった事をコウゾウに尋ねる。
「コウゾウ殿……。我達が暴れているとお主に報告を行ったのは、我達が泊まっていた宿の主では無いか?」
ソフィの言葉にコウゾウも何かに思い当たったようで、目を丸くして驚くのであった。
……
……
……
ソフィ達から事情を聞いていてある程度は分かっていたコウゾウだったが、本人の口から証言がとれた為に納得するように頷く。
「それでお前らが実行犯なのはわかったが、他に指示を出す人間とか。そうだな、組織ぐるみで動いているのか?」
「そ、それは……」
自分達が人攫いだという事は認めた男だったが、他に仲間がいるのかを聞かれると、口ごもってチラチラとコウゾウを見ていた。その男の態度を見ているだけで後ろ盾のような存在が居る事は、誰の目にも明らかであった。
「居るんだな? 規模はどれくらいだ?」
「……」
コウゾウに詰められると、完全に押し黙って俯いてしまう。
「さっさと言った方がいいぞ。お前、今こうして生かされているという理由を考えた方がいい。俺の隣の男を見てみろ」
コウゾウが溜息を吐きながら男にヌーの方を見ろとばかりに一瞥すると、男もつられるようにちらりとヌーの方を見た。
「ひっ……!」
ヌーは別に威圧をしているワケでは無かったが、既に男には地下での出来事が脳内に記憶されている為、フィルターがかかっているかの如く、ヌーに恐怖心が植え付けられていた。
「わ、分かりました……で、ですから、殺さないで、殺さないで……!」
その様子を見ていると『魔瞳』である『金色の目』を使うよりもよっぽど男を洗脳できるのではないかという程の効力であった。
「ちっ……」
ヌーは別にこの男には何もしていないのに、勝手に自分を見て怯えられるところを見せられて、煩わしく感じて舌打ちをするのだった。
「お、俺たちは組織に属している人攫い集団で、俺達の背後には『煌鴟梟』という組織がついている」
コウゾウは目を細めながら、当たりだとばかりに目を細める。
「その組織のボスは誰だ? 規模はどれくらいなんだ!」
コウゾウはこれまでよりも更に鋭く男に追及する。旅籠を狙う強盗や人攫いが多発している現在、ようやくその尻尾を掴んだ事で相当焦っている様子が見て取れる。
「し、知らない……! ボスの名は俺は知らない!」
「き、貴様! こ、この期に及んで……!」
男が『煌鴟梟』という組織に属していると告げたにも拘らず、その組織のボスの名を告げない事に、今度はコウゾウは苛立ちを見せて、男の襟首を掴みあげながら隠さずに吐けとばかりに男の首を揺する。
「ほ、本当なんだ! 俺達は『ミヤジ』という男の指示に従って、命令通りに目標を捕らえてミヤジの元へ連れていくのが仕事で、そこで報酬を受け取って、次の指示が来るまでは音沙汰無しなんだ!」
「ひっ! ヒィッ! 本当なんです! こ、殺さないでぇっ!!」
そこでヌーが近づいて男を睨みつけると、目を丸くしながら男は近づいてくるヌーに顔の前で手を合わせてひたすら謝罪を続ける。
どうやら本当の事のようであり、ヌーを前にして嘘をついているようには思えなかった。
「ふむ、どうやら本当のようだぞ。コウゾウ殿?」
「くっ……、どうやらそのようだ。末端の人間には顔すら見せない。どうやら用意周到で慎重な組織のようだな」
これまでに無い手掛かりを前にして、上手くいかない現状に舌打ちをするコウゾウだった。しかしそこでソフィとエイジは顔を見合わせる。
「お主……。ミヤジという者はこの旅籠屋とやらの裏道通りで、酒場を経営している男の名ではなかったか?」
「え? そ、そうです! 俺達は仕事をまわされる時、ミヤジ殿から連絡がくるんです」
ソフィはそこで思案する表情を浮かべた後、ふと気になった事をコウゾウに尋ねる。
「コウゾウ殿……。我達が暴れているとお主に報告を行ったのは、我達が泊まっていた宿の主では無いか?」
ソフィの言葉にコウゾウも何かに思い当たったようで、目を丸くして驚くのであった。
……
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