最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第919話 サカダイに向かう前の旅籠
「てめぇら『妖魔召士』って奴らはタクシンの野郎よりも、強いとか言ってたじゃねぇか。それなのにそれは流石に、盛り過ぎなんじゃねぇのか?」
『特別退魔組』のタクシンと戦ったヌーは、実際の戦闘では圧勝ともいえる結果だったが、それでもタクシンの事を決して侮れる相手では無かったと記憶している。
そんなタクシンよりも目の前のエイジという妖魔召士は強い。それはエイジが裏路地で放たれた結界の魔力からもヌーは分かっている。
だがしかし、そのエイジが『妖魔退魔師』相手では、稚児のような子供にも勝てないとかいっている事に、流石に聞き捨てならないとヌーは口を挟んでくるのだった。
しかし大袈裟だと告げるヌーとは裏腹に、ソフィはエイジが言っている内容は、ある程度信じるに値すると判断していた。
何故ならその『妖魔退魔師』の事をソフィは、この世界に来る前にサイヨウから聞いていたからであった。
――若い『妖魔退魔師』であれば、一撃でやられる事は無いと思うが、熟練された『妖魔退魔師』が相手であれば、小生など数秒も持たぬだろうな。
サイヨウは過去にソフィの前で『妖魔退魔師』の事をこのように述べていた。ソフィはサイヨウが使役した『式神』である妖魔『紅羽』という鬼人を見たが、力を抑えられている状態の彼女でさえ、相当の力量を宿していると感じられた。
その『紅羽』を術式で強引に従えている様子は無く、ごく自然に使役しているところから見ても『サイヨウ』は決して弱くはない。それは目の前に居るエイジを見ていても分かる。
この二人が口を揃えて『妖魔退魔師』という人間の者達を相手に、歯が立たないと言うのだからそれは真実なのだろう。
「決して小生は話を盛ってはいない。小生の言葉が信用出来ぬのならば『サカダイ』で一度自分の目で確認してみればいい。小生がこうして言っている意味が理解できよう」
ぴしゃりとそう言い放ち、間違いないと思わせる程に断言をするエイジ。そのエイジの言葉を受けたヌーは、それ以上何も言えなかった。ただ、少しだけ不満そうな表情を浮かべてはいたのが。
ソフィはその話を聞いてやはり、このヌーの為にテアと話をしなければと、そう決心をするのであった。
……
……
……
ゲンロクの里から南下を続けてようやく、エイジの案内で当初の目的だった旅籠が見えてきた。町と呼ぶには少し規模が小さく『ケイノト』の町の裏路地くらいの広さで、通りにはどこもかしこも宿が並び立っている。
時代が違えば旅籠というよりは、宿場町の方が表現が近いかもしれない。そして軒並みを見学していると裏通りに入る道が見えた。ソフィはそこから覗いて見ると、裏道にかけて提灯が灯っていない店が立ち並んでいるのが見えた。
この光景はリラリオの世界でも見たことがあった。確かあれはまだラルフとエルザが戦う前の頃、ケイノトの裏路地のように長屋が並んでいるという事は無く、そこらかしこに酒場が立ち並んでいるようであった。
「ソフィ殿。酒に関心があるようだが、すまないがまずは泊まる宿を決めさせてもらえないだろうか」
ソフィが裏道を熱心に覗いていたのを見ていたのだろう。エイジはそんなソフィに声を掛けて、宿を先に決めさせようとするのだった。
「おっと、すまぬすまぬ。中々珍しい町並みだったものでな。裏側はどうなっているのかと覗いておっただけなのだ」
「クックック、そんな事を言っておきながらてめぇも内心では、酒が呑みたいとそう思っていたのだろう? 隠す事はねぇじゃねぇか」
何やら盛大に勘違いしているようでヌーは、後に呑みに行くぞと目を輝かせながら『ソフィ』の肩を叩くのだった。
どうやらヌーは酒に目が無いようで、この世界に来てずっと我慢していた酒をようやく呑めると期待しているようであった。
ソフィも酒は嫌いでは無い。ヌーに笑みを向けるとソフィは、再びエイジの後をついて行くのだった。
「――」(酒は嫌いだ。甘い飲み物が飲みたい)
桃色の髪の色をツインテールにした死神テアは、ヌーの言葉を聞いて口を尖らせながらそう言葉を残して、ソフィ達の後をついて行くのだった。
『特別退魔組』のタクシンと戦ったヌーは、実際の戦闘では圧勝ともいえる結果だったが、それでもタクシンの事を決して侮れる相手では無かったと記憶している。
そんなタクシンよりも目の前のエイジという妖魔召士は強い。それはエイジが裏路地で放たれた結界の魔力からもヌーは分かっている。
だがしかし、そのエイジが『妖魔退魔師』相手では、稚児のような子供にも勝てないとかいっている事に、流石に聞き捨てならないとヌーは口を挟んでくるのだった。
しかし大袈裟だと告げるヌーとは裏腹に、ソフィはエイジが言っている内容は、ある程度信じるに値すると判断していた。
何故ならその『妖魔退魔師』の事をソフィは、この世界に来る前にサイヨウから聞いていたからであった。
――若い『妖魔退魔師』であれば、一撃でやられる事は無いと思うが、熟練された『妖魔退魔師』が相手であれば、小生など数秒も持たぬだろうな。
サイヨウは過去にソフィの前で『妖魔退魔師』の事をこのように述べていた。ソフィはサイヨウが使役した『式神』である妖魔『紅羽』という鬼人を見たが、力を抑えられている状態の彼女でさえ、相当の力量を宿していると感じられた。
その『紅羽』を術式で強引に従えている様子は無く、ごく自然に使役しているところから見ても『サイヨウ』は決して弱くはない。それは目の前に居るエイジを見ていても分かる。
この二人が口を揃えて『妖魔退魔師』という人間の者達を相手に、歯が立たないと言うのだからそれは真実なのだろう。
「決して小生は話を盛ってはいない。小生の言葉が信用出来ぬのならば『サカダイ』で一度自分の目で確認してみればいい。小生がこうして言っている意味が理解できよう」
ぴしゃりとそう言い放ち、間違いないと思わせる程に断言をするエイジ。そのエイジの言葉を受けたヌーは、それ以上何も言えなかった。ただ、少しだけ不満そうな表情を浮かべてはいたのが。
ソフィはその話を聞いてやはり、このヌーの為にテアと話をしなければと、そう決心をするのであった。
……
……
……
ゲンロクの里から南下を続けてようやく、エイジの案内で当初の目的だった旅籠が見えてきた。町と呼ぶには少し規模が小さく『ケイノト』の町の裏路地くらいの広さで、通りにはどこもかしこも宿が並び立っている。
時代が違えば旅籠というよりは、宿場町の方が表現が近いかもしれない。そして軒並みを見学していると裏通りに入る道が見えた。ソフィはそこから覗いて見ると、裏道にかけて提灯が灯っていない店が立ち並んでいるのが見えた。
この光景はリラリオの世界でも見たことがあった。確かあれはまだラルフとエルザが戦う前の頃、ケイノトの裏路地のように長屋が並んでいるという事は無く、そこらかしこに酒場が立ち並んでいるようであった。
「ソフィ殿。酒に関心があるようだが、すまないがまずは泊まる宿を決めさせてもらえないだろうか」
ソフィが裏道を熱心に覗いていたのを見ていたのだろう。エイジはそんなソフィに声を掛けて、宿を先に決めさせようとするのだった。
「おっと、すまぬすまぬ。中々珍しい町並みだったものでな。裏側はどうなっているのかと覗いておっただけなのだ」
「クックック、そんな事を言っておきながらてめぇも内心では、酒が呑みたいとそう思っていたのだろう? 隠す事はねぇじゃねぇか」
何やら盛大に勘違いしているようでヌーは、後に呑みに行くぞと目を輝かせながら『ソフィ』の肩を叩くのだった。
どうやらヌーは酒に目が無いようで、この世界に来てずっと我慢していた酒をようやく呑めると期待しているようであった。
ソフィも酒は嫌いでは無い。ヌーに笑みを向けるとソフィは、再びエイジの後をついて行くのだった。
「――」(酒は嫌いだ。甘い飲み物が飲みたい)
桃色の髪の色をツインテールにした死神テアは、ヌーの言葉を聞いて口を尖らせながらそう言葉を残して、ソフィ達の後をついて行くのだった。
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