最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第917話 死神と言葉を交わしたいソフィ
「分かった。試すような真似をして悪かったな」
ヌーの覚悟を見せつけられたソフィは、もうヌーに対して戻るように言葉を掛けたりはしないだろう。
――本心ではまだ少し悩んではいるのだが。
何故ならソフィはまだ、ヌーを死なせたくはない。その思いはこの世界に来る前にも抱いてはいたのだが、この世界に来た事でその思いは増しているのだった。
エヴィを取り戻した後、ソフィとの契約を終えたとしても彼はフルーフによって、色々と一悶着はあるだろうが、それでもここで死なせてしまうよりはずっといい。そこまで考えたソフィは視線を移してテアを見る。
(少し、こやつと会話を交わしてみたいところだな)
未だにソフィの殺気をまともに受けて、息も絶え絶えに座り込んでいるテアを見て、ソフィは何とかこの死神にアプローチをかけたいと思うのだった。
ヌーの事について死神のテアと話をしたいところではあったが、それも実はかなり難しい事であった。ベアのような魔族や、他の種族に対してもソフィは、フルーフから教わった『レパート』の世界の『理』の魔法で波長を無理やり合わせて、言語を理解する事が出来るのだが、神格を持つ存在である死神に対しては、そういった波長を合わせる魔法を使用しても言葉を交わせるようにはならない。
あくまで神々と話をするには、直接の『契約』を交わすか同じ神格を持つ存在同士に会話をさせるしかない。
――と、そこでソフィは『魔神』の存在を思い出す。
(そうだ! あやつにテアと話をさせれば、我と間接的に会話が行えるではないか!)
その考えに至ったソフィはニヤリと笑う。
単にソフィは笑っているだけだったが、先程までの殺気を浴びていたヌーやテアは、今のソフィが笑っている意味が分からず、彼らには邪悪な笑みに見えてしまい、震えあがりながら額から脂汗を流す。
(こ、こいつ、一体何を考えてやがる!! コイツだけは本当に厄介な野郎だ! ここまで何を考えてやがるかわからねぇ魔王もいねぇよ!)
「――!」
(怖いよこの魔族。何を考えているか分からないよ!!)
「クックック。ではエイジよ、サカダイとやらに向かおうではないか?」
「う、うむ、分かった。小生は『サカダイ』の場所を知っておる故、そこまでは案内しよう」
こうしてソフィ達は、ゲンロクの里を出てサカダイへと向かうのであった。
…………
ケイノトから里に向かう時に通った道を歩いて戻っていくソフィ達。そこで前を歩いていたエイジが、足を止めてソフィの方を振り向いた。
『サカダイ』はゲンロクの里からはかなり離れており、ここに来る前までいた『ケイノト』の南東の森を抜けた更に南にある。
「ソフィ殿。サカダイまではそこそこに距離がある。ヒュウガの追手が来ないとも限らない為に、ある程度旅籠屋を経由して体力を温存させながら下っていこうと思うのだが、小生がこの後の道を決めてもよいだろうか?」
ちょうどこの世界に降り立った『加護の森』からであれば、そこまで遠くはなかったのだが、この大陸の最北端にある『妖魔山』近くのゲンロクの里からは相当に遠い道のりだといえた。
「む? 旅籠屋とはなんだ?」
何となく会話の流れで宿のような物なのだろうという事は分かるが、ソフィが初めて聞く言葉だった為に、説明をしてもらおうとそう言葉を返したら、直ぐにエイジは教えてくれた。
「そうかソフィ殿達は別世界から来たのだったな。旅籠屋とは、旅人達の宿のようなものなのだが、ケイノトやサカダイのように大きな町というワケでは無く、物売りや旅客が安心して泊まれる宿が並び立つ施設だと思ってくれていい。それと店に護衛の退魔士が多く居るのが特徴だ。当然少しばかり値が張るがその分旅籠は食事も出るし、近場には呑み屋も連なっている。決して悪くは無いと思うのだがどうだろうか」
「成程、中々便利な施設のようだが……」
サカダイがそこまで遠いのならば、わざわざ歩かずとも空を飛んで目指せばいい為、旅籠を利用する必要は無いなと考えたが、そこでソフィは何かに思い当たって背後に居るヌーの顔を見る。
先程ソフィが思いついた事をテアに話す為には、少しばかりヌーの目を遠ざける必要がある。一番いいのはヌーとテアを一時的に引き離してその隙に魔神を呼び出して話をさせる事なのだが、そんな都合よく引き離せるかどうかは分からなかったが、そういう施設があるのならば、利用しない手はないだろう。
「そうだな。ではエイジ殿に案内を任せたい」
「おおそうか、うむうむ。任されよ! ヌー殿達もそれで構わないか?」
「ああ、ソフィが決めたんならそれでいい。あとできれば魚料理があれば助かる」
「!」(なぁ、ヌー! またあの料理が食べたい!)
「ちっ! 懐石料理とかはあるのか?」
テアの要望を聞いたヌーはエイジに聞くが、尋ねられたエイジは苦笑いを浮かべた。流石にあれは『ケイノト』名物だったらしく、無いだろうとの事だった。
「まぁまぁ。この辺は料理の味は確かだ。きっとテア殿が気に入る料理もある筈だぞ」
テアは少しがっかりした様子だったが、ヌーは魚料理をテアに勧めていた。どうやらヌーは余程、魚料理が好きだったようである。
……
……
……
ヌーの覚悟を見せつけられたソフィは、もうヌーに対して戻るように言葉を掛けたりはしないだろう。
――本心ではまだ少し悩んではいるのだが。
何故ならソフィはまだ、ヌーを死なせたくはない。その思いはこの世界に来る前にも抱いてはいたのだが、この世界に来た事でその思いは増しているのだった。
エヴィを取り戻した後、ソフィとの契約を終えたとしても彼はフルーフによって、色々と一悶着はあるだろうが、それでもここで死なせてしまうよりはずっといい。そこまで考えたソフィは視線を移してテアを見る。
(少し、こやつと会話を交わしてみたいところだな)
未だにソフィの殺気をまともに受けて、息も絶え絶えに座り込んでいるテアを見て、ソフィは何とかこの死神にアプローチをかけたいと思うのだった。
ヌーの事について死神のテアと話をしたいところではあったが、それも実はかなり難しい事であった。ベアのような魔族や、他の種族に対してもソフィは、フルーフから教わった『レパート』の世界の『理』の魔法で波長を無理やり合わせて、言語を理解する事が出来るのだが、神格を持つ存在である死神に対しては、そういった波長を合わせる魔法を使用しても言葉を交わせるようにはならない。
あくまで神々と話をするには、直接の『契約』を交わすか同じ神格を持つ存在同士に会話をさせるしかない。
――と、そこでソフィは『魔神』の存在を思い出す。
(そうだ! あやつにテアと話をさせれば、我と間接的に会話が行えるではないか!)
その考えに至ったソフィはニヤリと笑う。
単にソフィは笑っているだけだったが、先程までの殺気を浴びていたヌーやテアは、今のソフィが笑っている意味が分からず、彼らには邪悪な笑みに見えてしまい、震えあがりながら額から脂汗を流す。
(こ、こいつ、一体何を考えてやがる!! コイツだけは本当に厄介な野郎だ! ここまで何を考えてやがるかわからねぇ魔王もいねぇよ!)
「――!」
(怖いよこの魔族。何を考えているか分からないよ!!)
「クックック。ではエイジよ、サカダイとやらに向かおうではないか?」
「う、うむ、分かった。小生は『サカダイ』の場所を知っておる故、そこまでは案内しよう」
こうしてソフィ達は、ゲンロクの里を出てサカダイへと向かうのであった。
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ケイノトから里に向かう時に通った道を歩いて戻っていくソフィ達。そこで前を歩いていたエイジが、足を止めてソフィの方を振り向いた。
『サカダイ』はゲンロクの里からはかなり離れており、ここに来る前までいた『ケイノト』の南東の森を抜けた更に南にある。
「ソフィ殿。サカダイまではそこそこに距離がある。ヒュウガの追手が来ないとも限らない為に、ある程度旅籠屋を経由して体力を温存させながら下っていこうと思うのだが、小生がこの後の道を決めてもよいだろうか?」
ちょうどこの世界に降り立った『加護の森』からであれば、そこまで遠くはなかったのだが、この大陸の最北端にある『妖魔山』近くのゲンロクの里からは相当に遠い道のりだといえた。
「む? 旅籠屋とはなんだ?」
何となく会話の流れで宿のような物なのだろうという事は分かるが、ソフィが初めて聞く言葉だった為に、説明をしてもらおうとそう言葉を返したら、直ぐにエイジは教えてくれた。
「そうかソフィ殿達は別世界から来たのだったな。旅籠屋とは、旅人達の宿のようなものなのだが、ケイノトやサカダイのように大きな町というワケでは無く、物売りや旅客が安心して泊まれる宿が並び立つ施設だと思ってくれていい。それと店に護衛の退魔士が多く居るのが特徴だ。当然少しばかり値が張るがその分旅籠は食事も出るし、近場には呑み屋も連なっている。決して悪くは無いと思うのだがどうだろうか」
「成程、中々便利な施設のようだが……」
サカダイがそこまで遠いのならば、わざわざ歩かずとも空を飛んで目指せばいい為、旅籠を利用する必要は無いなと考えたが、そこでソフィは何かに思い当たって背後に居るヌーの顔を見る。
先程ソフィが思いついた事をテアに話す為には、少しばかりヌーの目を遠ざける必要がある。一番いいのはヌーとテアを一時的に引き離してその隙に魔神を呼び出して話をさせる事なのだが、そんな都合よく引き離せるかどうかは分からなかったが、そういう施設があるのならば、利用しない手はないだろう。
「そうだな。ではエイジ殿に案内を任せたい」
「おおそうか、うむうむ。任されよ! ヌー殿達もそれで構わないか?」
「ああ、ソフィが決めたんならそれでいい。あとできれば魚料理があれば助かる」
「!」(なぁ、ヌー! またあの料理が食べたい!)
「ちっ! 懐石料理とかはあるのか?」
テアの要望を聞いたヌーはエイジに聞くが、尋ねられたエイジは苦笑いを浮かべた。流石にあれは『ケイノト』名物だったらしく、無いだろうとの事だった。
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