最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第886話 鬼頼洞
 「ぐっ……ぎぎっ!!」
『鬼頼洞』の唸り声が少しずつおさまっていく。それに伴って赤い一本角が更に輝きを増したように感じられる。そしてランク『3』程であった鬼頼洞の能力が一気に増幅されるのだった。
既にこの場に居た『退魔組』よりも強い力を持っていたであろう、イダラマ一派の護衛剣士達でさえイダラマの『結界』の影響下でなければ『鬼頼洞』の力の余波にあてられて、気を失っていてもおかしくなかった。
「……」
先程『鬼頼洞』の戦力が大したことがないと言っていた『九大魔王』としての力を有する大魔王エヴィは、その存在を信じられないといった様子で睨みつけていた。
エヴィはちらりとイダラマを見つめた後、イダラマの結界がどれくらいの規模かを把握し、自分が今から『漏出』を『鬼頼洞』に向けて使用しても大丈夫かを判断し始める。
何故なら、自分よりも遥か上の力を持つ者に対して、その力を測ろうと強引に『漏出』を使ってしまうと、力の差が大きすぎる相手であった場合、下手をすれば脳が焼き切れて絶命するからである。
当然『エヴィ』程の大魔王であればそれくらいの事は熟知している。馬鹿みたいに相手を判断せずに『漏出』を使うようなそんな基本も分からないような魔族ではないのだった。
だがそんな彼でも『イダラマ』の結界を把握しなければならない程に『鬼頼洞』の放つ力の余波に懸念を示したようである。
「『漏出』」
そしてようやくエヴィは、イダラマの結界の影響下であれば、鬼頼洞に対して『漏出』で能力を推し量っても問題は無いと判断したようである。
【種族:鬼人 名前:鬼頼洞 状態:覚醒(解脱状態)
魔力値:150万 戦力値:測定不能 所属:イダラマの式神】。
「成程……。これが本当の妖魔か」
『漏出』によって表記された覚醒状態という文字と、自分の今の状態では『鬼頼洞』の戦力値が測れない事でこの世界の主な生物である、妖魔の強さを実感するエヴィであった。
『九大魔王』という大魔王領域の最上位に位置するエヴィは、敵の力が自分を上回っていたとしてもそこまで狼狽する様子を見せなかった。 今の『オーラ』を纏っていないエヴィの状態で、鬼頼洞の戦力が測定不能だからというワケではなく、例えエヴィが本気の状態で鬼頼洞に『漏出』を使って測定不能と表記されたとしてもエヴィはそこまで焦る姿は見せないだろう。
これはソフィやヌーも実際に言っていた事だが、あくまで『漏出』で割り出される数値、その戦力は目安であり、実際の戦闘となればあらゆる要素がプラスされる。
――単に相手の数値を見て、慌てふためいているようでは一流とは言えない。
戦い方や過去から来る経験則。それに運といった要素を踏まえた上で『特異』や『能力』の戦い方次第で結果はいくらでも変えられる。
その事を熟知しているエヴィは、あくまで目安として鬼頼洞を通して『妖魔』というその存在を脳裏に焼き付けるのだった。
エヴィが『妖魔』という存在をインプットしている様子を見せている隣で、イダラマが静かに口を開く。
「あの状態となった『鬼頼洞』はランク『5』といわれる領域だ。ランク『5』がどれ程の力を持っているか、その目で確かめるといい」
「ランク『5』……か」
先程までの退屈そうな表情を周囲に見せずにエヴィは、鬼頼洞とスー達の様子を真剣な顔で見つめるのだった。
……
……
……
「駄目だ……。結界の中でこれだけの圧力を感じる以上は戦いになどならない……。スー。辿り着けないかもしれないが、ここはいちかばちか『加護の森』まで退こう」
「……」
どうせ逃げられないと分かった上で、イバキがそうスーに提案するが、スーは動こうとしない。それどころか無言でイバキを守るように立ったままだった。
「スー……?」
いつまでも返事が無い為、イバキは再びスーに話しかける。
「先程申した通りだイバキ。劉鷺が戻って来るまでこの場から動く事は得策ではない」
そう言って精神を統一させていたのか、目を瞑ったままゆっくりと息を吐いた後、ゆっくりとイバキを一瞥しながらそう告げた。
「スー……」
……
……
……
『鬼頼洞』の唸り声が少しずつおさまっていく。それに伴って赤い一本角が更に輝きを増したように感じられる。そしてランク『3』程であった鬼頼洞の能力が一気に増幅されるのだった。
既にこの場に居た『退魔組』よりも強い力を持っていたであろう、イダラマ一派の護衛剣士達でさえイダラマの『結界』の影響下でなければ『鬼頼洞』の力の余波にあてられて、気を失っていてもおかしくなかった。
「……」
先程『鬼頼洞』の戦力が大したことがないと言っていた『九大魔王』としての力を有する大魔王エヴィは、その存在を信じられないといった様子で睨みつけていた。
エヴィはちらりとイダラマを見つめた後、イダラマの結界がどれくらいの規模かを把握し、自分が今から『漏出』を『鬼頼洞』に向けて使用しても大丈夫かを判断し始める。
何故なら、自分よりも遥か上の力を持つ者に対して、その力を測ろうと強引に『漏出』を使ってしまうと、力の差が大きすぎる相手であった場合、下手をすれば脳が焼き切れて絶命するからである。
当然『エヴィ』程の大魔王であればそれくらいの事は熟知している。馬鹿みたいに相手を判断せずに『漏出』を使うようなそんな基本も分からないような魔族ではないのだった。
だがそんな彼でも『イダラマ』の結界を把握しなければならない程に『鬼頼洞』の放つ力の余波に懸念を示したようである。
「『漏出』」
そしてようやくエヴィは、イダラマの結界の影響下であれば、鬼頼洞に対して『漏出』で能力を推し量っても問題は無いと判断したようである。
【種族:鬼人 名前:鬼頼洞 状態:覚醒(解脱状態)
魔力値:150万 戦力値:測定不能 所属:イダラマの式神】。
「成程……。これが本当の妖魔か」
『漏出』によって表記された覚醒状態という文字と、自分の今の状態では『鬼頼洞』の戦力値が測れない事でこの世界の主な生物である、妖魔の強さを実感するエヴィであった。
『九大魔王』という大魔王領域の最上位に位置するエヴィは、敵の力が自分を上回っていたとしてもそこまで狼狽する様子を見せなかった。 今の『オーラ』を纏っていないエヴィの状態で、鬼頼洞の戦力が測定不能だからというワケではなく、例えエヴィが本気の状態で鬼頼洞に『漏出』を使って測定不能と表記されたとしてもエヴィはそこまで焦る姿は見せないだろう。
これはソフィやヌーも実際に言っていた事だが、あくまで『漏出』で割り出される数値、その戦力は目安であり、実際の戦闘となればあらゆる要素がプラスされる。
――単に相手の数値を見て、慌てふためいているようでは一流とは言えない。
戦い方や過去から来る経験則。それに運といった要素を踏まえた上で『特異』や『能力』の戦い方次第で結果はいくらでも変えられる。
その事を熟知しているエヴィは、あくまで目安として鬼頼洞を通して『妖魔』というその存在を脳裏に焼き付けるのだった。
エヴィが『妖魔』という存在をインプットしている様子を見せている隣で、イダラマが静かに口を開く。
「あの状態となった『鬼頼洞』はランク『5』といわれる領域だ。ランク『5』がどれ程の力を持っているか、その目で確かめるといい」
「ランク『5』……か」
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「先程申した通りだイバキ。劉鷺が戻って来るまでこの場から動く事は得策ではない」
そう言って精神を統一させていたのか、目を瞑ったままゆっくりと息を吐いた後、ゆっくりとイバキを一瞥しながらそう告げた。
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