最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第834話 辻褄を合わせる
高い丘からゆっくりとソフィ達は下り、ケイノトへと向かっていく。先頭を歩くヌーの後を追う形で、テアとソフィがそれに続く。
ヌーを先頭にソフィ達が近づいてくると門の前に居た者達が、そちらに気づいて声を掛けてきた。
「そこの者達、止まってくれ」
門扉を守る人間に言われた通り、ソフィたちはその場で止まる。
「突然すまないな『退魔組』の隊士の方々からの通達があってな。今は別の町からケイノトへ入る者達全員を調べるようにきつく言われているんだ」
門扉を守っていた人間はそう言うと、ソフィ達を見てすまなそうにしながら内情を説明してくれるのだった。行方不明だった『シクウ』が先程戻ってきた理由からか、門扉を守る人数は減っており、今はこの場に門人は二人しかいない。どうやらこの二人は例の『狐面』を着けてはいない為『退魔組衆』というワケでは無く、元からここを守る正規の門兵のようであった。
「しかしお前達は何処から来た者達なんだ? 今この町へは妖魔達を恐れて、商売をする者も近づかないと言うのに」
どうやらソフィ達の格好を見て『妖魔召士』や『退魔士』になろうとこの町に来たようには見えなかったらしく、商売人やただの旅行者という風でも無いソフィ達を怪しく感じたのだろう。そう告げながらじっとソフィ達を観察する門人達だった。
ヌーは慌てる様子もなく、ちらりと後ろに居るソフィを一瞥する。ソフィもヌーの視線に一度だけ交わらせるが、直ぐに視線を外して代わりに門人達に向けて口を開くのだった。
「我達はここから東にある森の向こう側からとある人物を探しにここまで来たのだ。上の者達からは素性を出来るだけ明かすなと言われている為、詳しくは説明出来ぬが、とある妖魔を討伐する専門の者達の使いである」
「「!!」」
ソフィの言葉に門扉を守る人間達は顔を見合わせると、何やら懐から紙束を取り出して目を通し始める。どうやらあの紙束は門扉の者達に届けられる連絡帳のようなものだろう。
「し、失礼ですが、あなた方は妖魔召士方の様の里からお越しになられた『妖魔召士』の遣いの方々なのでしょうか?」
元々契約者以外の者達以外の言葉を理解出来ていないテアはもとより、ヌーも何の事だかさっぱり分からず、完全にソフィに任せるつもりで後ろに視線を送り続ける。
「詳しい事情はさっきも言った通り『退魔組』の者以外に話す事はゲンロク様から禁じられておる」
ソフィが『ゲンロク』という者の名前を出すと門扉を守る二人組は、再び顔を合わせて焦り始める。
「す、少しお待ちいただけないでしょうか『退魔組』の方々に確認をとって参りたいのですが……!」
「……お主達、火急の用件があって我々はここにきているのだ。ここまで説明した上であくまで我らを信用せず、これ以上我達を待たせてるというのであれば、この一件を包み隠さずに報告する事になるがよいのだな?」
「そ、それは……。い、いや……し、しかし……!」
門人達は誰が見ても分かる程に血相を変えて慌てふためいている。先程門人が紙束を確認したとき、確かに本日は『ケイノト』と『サカダイ』の間で重要な会議があると記されていた。
そこにこのケイノトの『退魔組』頭領を任せられている『サテツ』が参加しており、その会議で何か伝えそびれた何かを伝える為に、この青年たちをゲンロク様が遣わせたのかもしれなかった。
確認も無しに町の中へ入れる事は許されないが、火急の件で来ている使者を怒らせたとあれば、この後彼らがどうなるかは、火を見るより明らかなのであった。
(お、おい……! どうせこの者達は『退魔組』へ向かうのだろう? 面倒事はごめんだ。さっさと中へ入れてしまおう)
(し、しかしだな……)
(『退魔組』の隊士達が言っていた人間に化けた妖魔は二人組で、片方の者の背中に黒い羽が生えている者達だと言っていた。こいつらはそのどちらにも当てはまっていないじゃないか)
その言葉にソフィと喋っていた方の門人が、ちらりとソフィ達の外見を見直す。
確かに黒い羽が生えてはいないし、男が二人に女が一人居る為、二人組では決してなかった。
そしてソフィが話す内容にも思うところはあれど、嘘を言っているようにも聞こえなかった。
そこまで考えた門人は渋々ながら、もう片方の門人の言葉に頷きを見せるのだった。
ヌーを先頭にソフィ達が近づいてくると門の前に居た者達が、そちらに気づいて声を掛けてきた。
「そこの者達、止まってくれ」
門扉を守る人間に言われた通り、ソフィたちはその場で止まる。
「突然すまないな『退魔組』の隊士の方々からの通達があってな。今は別の町からケイノトへ入る者達全員を調べるようにきつく言われているんだ」
門扉を守っていた人間はそう言うと、ソフィ達を見てすまなそうにしながら内情を説明してくれるのだった。行方不明だった『シクウ』が先程戻ってきた理由からか、門扉を守る人数は減っており、今はこの場に門人は二人しかいない。どうやらこの二人は例の『狐面』を着けてはいない為『退魔組衆』というワケでは無く、元からここを守る正規の門兵のようであった。
「しかしお前達は何処から来た者達なんだ? 今この町へは妖魔達を恐れて、商売をする者も近づかないと言うのに」
どうやらソフィ達の格好を見て『妖魔召士』や『退魔士』になろうとこの町に来たようには見えなかったらしく、商売人やただの旅行者という風でも無いソフィ達を怪しく感じたのだろう。そう告げながらじっとソフィ達を観察する門人達だった。
ヌーは慌てる様子もなく、ちらりと後ろに居るソフィを一瞥する。ソフィもヌーの視線に一度だけ交わらせるが、直ぐに視線を外して代わりに門人達に向けて口を開くのだった。
「我達はここから東にある森の向こう側からとある人物を探しにここまで来たのだ。上の者達からは素性を出来るだけ明かすなと言われている為、詳しくは説明出来ぬが、とある妖魔を討伐する専門の者達の使いである」
「「!!」」
ソフィの言葉に門扉を守る人間達は顔を見合わせると、何やら懐から紙束を取り出して目を通し始める。どうやらあの紙束は門扉の者達に届けられる連絡帳のようなものだろう。
「し、失礼ですが、あなた方は妖魔召士方の様の里からお越しになられた『妖魔召士』の遣いの方々なのでしょうか?」
元々契約者以外の者達以外の言葉を理解出来ていないテアはもとより、ヌーも何の事だかさっぱり分からず、完全にソフィに任せるつもりで後ろに視線を送り続ける。
「詳しい事情はさっきも言った通り『退魔組』の者以外に話す事はゲンロク様から禁じられておる」
ソフィが『ゲンロク』という者の名前を出すと門扉を守る二人組は、再び顔を合わせて焦り始める。
「す、少しお待ちいただけないでしょうか『退魔組』の方々に確認をとって参りたいのですが……!」
「……お主達、火急の用件があって我々はここにきているのだ。ここまで説明した上であくまで我らを信用せず、これ以上我達を待たせてるというのであれば、この一件を包み隠さずに報告する事になるがよいのだな?」
「そ、それは……。い、いや……し、しかし……!」
門人達は誰が見ても分かる程に血相を変えて慌てふためいている。先程門人が紙束を確認したとき、確かに本日は『ケイノト』と『サカダイ』の間で重要な会議があると記されていた。
そこにこのケイノトの『退魔組』頭領を任せられている『サテツ』が参加しており、その会議で何か伝えそびれた何かを伝える為に、この青年たちをゲンロク様が遣わせたのかもしれなかった。
確認も無しに町の中へ入れる事は許されないが、火急の件で来ている使者を怒らせたとあれば、この後彼らがどうなるかは、火を見るより明らかなのであった。
(お、おい……! どうせこの者達は『退魔組』へ向かうのだろう? 面倒事はごめんだ。さっさと中へ入れてしまおう)
(し、しかしだな……)
(『退魔組』の隊士達が言っていた人間に化けた妖魔は二人組で、片方の者の背中に黒い羽が生えている者達だと言っていた。こいつらはそのどちらにも当てはまっていないじゃないか)
その言葉にソフィと喋っていた方の門人が、ちらりとソフィ達の外見を見直す。
確かに黒い羽が生えてはいないし、男が二人に女が一人居る為、二人組では決してなかった。
そしてソフィが話す内容にも思うところはあれど、嘘を言っているようにも聞こえなかった。
そこまで考えた門人は渋々ながら、もう片方の門人の言葉に頷きを見せるのだった。
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