最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第757話 魔物達の増加
「耳に入れたい事? 国の政か?」
「いえ、違います」
レルバノンが深刻そうな表情を浮かべ始めた為、ソフィは椅子に座り直す。
「実はここ最近の事なのですが、ミールガルド大陸に生息する魔物が以前と比べて増加し始めているらしいのです」
「魔物たちが増加?」
「ええ。ソフィ様が件の『煌聖の教団』と決着をつけられた辺りでしょうか。レイズ魔国の冒険者ギルド長の『ディネガー』から報告を受けていたのですが、最初はミールガルド大陸のクッケの街近くにある『トータル山脈』の魔物達が増加し、そこから時が経つに連れて『ルードリヒ領』を中心に各町に魔物が、増えて行っているらしいのです」
「クッケか。そういえば少し前にルードリヒ国王に指名依頼を受けた時に向かった事があるな」
ソフィはその時の事を思い出し始めるが、そういえばユファと『Aランク冒険者』の『リマルカ』と三人で、ルードリヒ王国に向かう途中、今の話に出てきたトータル山脈付近に何やら強い魔力を感じた事があったことを思い出した。
(あれは何らかの兆候だったのだろうか)
一瞬だけしか感じられなかった為、別段気にすることなくソフィは記憶の片隅に追いやっていたが、そういえばあの時一緒に居たユファも魔力を感知していた事を思い出した。
「今のところは魔物が増加しているだけとの事でしたので、ミールガルド大陸のC~Bランク冒険者たちが集められて討伐されているようですが、一向に減らないという情報を受けて、少し違和感を感じましてね」
「魔物達が急に強くなったり、数が増加するというのは『アレルバレル』の世界を例に挙げると、魔物達を生み出した魔族に起因する」
「その通りです。しかしこの世界では、魔王という存在は別世界から来たレアさんを除いては居らず、これまで魔物達は存在する事はあれども、数が増えたり自然に強くなったりという事はありませんでした」
そこでレルバノンは言葉を切り、ソフィに何かを訴えかけるような視線を向けて来る。
「まさかお主は、別世界の魔王であるレアでは無く、この世界の原初の魔王が復活したと言いたいのか?」
直ぐには返事を返さず無表情のままで、ソフィを見るレルバノンだった。
少しの間、二人の間で沈黙が流れたがやがて――。
「この話をソフィ様にする前に、この世界の調停者であったキーリ王にも同じ話をさせて頂いたのですが」
レルバノンはそう口火を切った。
キーリは龍族の始祖であり、このリラリオの世界では最古から居た存在である。
どうやらレルバノンは、この世界の魔族のルーツを調停者であった始祖龍である『キーリ』から聞いたのだろう。
「この世界の『原初の魔族』はその昔、力ある神々と熾烈な争いをした後にその御身ごと封印されていたらしいのですが、最近一人の人間の剣士によって、その封印が解かれたらしいのです」
「つまりお主は『レキ・ヴェイルゴーザ』が復活した事で、この世界の魔物達に影響があったと言いたいのか?」
レルバノンはソフィの言葉に、静かに首を縦に振るのだった。
「キーリ王が言うには『レキ・ヴェイルゴーザ』というこの世界の原初の魔王は、当時この『リラリオ』の世界全ての種族の頂点に立つ魔族で、誰も逆らえなかったらしいのです。そして暴虐の限りを尽くしたレキは、この世界に生きる生物の三分の二程を消し去り、神々の怒りを買ってその身を封印されたと仰られました」
ソフィは前回の事で『レキ』という魔族がこの世界の始祖の魔族だという事は知っていたが『レルバノン』が語った話は初耳だった。そしてその話を聞いたソフィに、一体の『アレルバレル』の世界の魔族を思い出す。
――その魔族の名は暴君『ダルダオス』だった。
……
……
……
「いえ、違います」
レルバノンが深刻そうな表情を浮かべ始めた為、ソフィは椅子に座り直す。
「実はここ最近の事なのですが、ミールガルド大陸に生息する魔物が以前と比べて増加し始めているらしいのです」
「魔物たちが増加?」
「ええ。ソフィ様が件の『煌聖の教団』と決着をつけられた辺りでしょうか。レイズ魔国の冒険者ギルド長の『ディネガー』から報告を受けていたのですが、最初はミールガルド大陸のクッケの街近くにある『トータル山脈』の魔物達が増加し、そこから時が経つに連れて『ルードリヒ領』を中心に各町に魔物が、増えて行っているらしいのです」
「クッケか。そういえば少し前にルードリヒ国王に指名依頼を受けた時に向かった事があるな」
ソフィはその時の事を思い出し始めるが、そういえばユファと『Aランク冒険者』の『リマルカ』と三人で、ルードリヒ王国に向かう途中、今の話に出てきたトータル山脈付近に何やら強い魔力を感じた事があったことを思い出した。
(あれは何らかの兆候だったのだろうか)
一瞬だけしか感じられなかった為、別段気にすることなくソフィは記憶の片隅に追いやっていたが、そういえばあの時一緒に居たユファも魔力を感知していた事を思い出した。
「今のところは魔物が増加しているだけとの事でしたので、ミールガルド大陸のC~Bランク冒険者たちが集められて討伐されているようですが、一向に減らないという情報を受けて、少し違和感を感じましてね」
「魔物達が急に強くなったり、数が増加するというのは『アレルバレル』の世界を例に挙げると、魔物達を生み出した魔族に起因する」
「その通りです。しかしこの世界では、魔王という存在は別世界から来たレアさんを除いては居らず、これまで魔物達は存在する事はあれども、数が増えたり自然に強くなったりという事はありませんでした」
そこでレルバノンは言葉を切り、ソフィに何かを訴えかけるような視線を向けて来る。
「まさかお主は、別世界の魔王であるレアでは無く、この世界の原初の魔王が復活したと言いたいのか?」
直ぐには返事を返さず無表情のままで、ソフィを見るレルバノンだった。
少しの間、二人の間で沈黙が流れたがやがて――。
「この話をソフィ様にする前に、この世界の調停者であったキーリ王にも同じ話をさせて頂いたのですが」
レルバノンはそう口火を切った。
キーリは龍族の始祖であり、このリラリオの世界では最古から居た存在である。
どうやらレルバノンは、この世界の魔族のルーツを調停者であった始祖龍である『キーリ』から聞いたのだろう。
「この世界の『原初の魔族』はその昔、力ある神々と熾烈な争いをした後にその御身ごと封印されていたらしいのですが、最近一人の人間の剣士によって、その封印が解かれたらしいのです」
「つまりお主は『レキ・ヴェイルゴーザ』が復活した事で、この世界の魔物達に影響があったと言いたいのか?」
レルバノンはソフィの言葉に、静かに首を縦に振るのだった。
「キーリ王が言うには『レキ・ヴェイルゴーザ』というこの世界の原初の魔王は、当時この『リラリオ』の世界全ての種族の頂点に立つ魔族で、誰も逆らえなかったらしいのです。そして暴虐の限りを尽くしたレキは、この世界に生きる生物の三分の二程を消し去り、神々の怒りを買ってその身を封印されたと仰られました」
ソフィは前回の事で『レキ』という魔族がこの世界の始祖の魔族だという事は知っていたが『レルバノン』が語った話は初耳だった。そしてその話を聞いたソフィに、一体の『アレルバレル』の世界の魔族を思い出す。
――その魔族の名は暴君『ダルダオス』だった。
……
……
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