最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

羽海汐遠

第748話 リーネの待つ世界へ

「それで話とは一体何なのだ?」

「ワシとレアは『レパート』の世界に一度戻ろうと思っておる」

「ほう……? ふむ。確かその世界はお主の居た世界の事だな?」

「その通りだ。レアに大まかな事は聞いたが、この目でどうなっているかを確かめておきたいのでな」

「そう言う事なら現時点で、レアを我の配下という立場から外しておく」

 現在はまだ『魔王』レアは、過去に起こした戦争の償いを行うものとしてソフィの配下であった。
 あれからかなり時が経ったが、レアはちゃんとソフィ達の為に色々と手を尽くしてくれていた。組織と戦う事になった時もレアは、ちゃんとソフィの言う通りに動いてくれた。
 何より今のレアはもう仲間として、

 それにレアがフルーフの娘だと知った時からソフィは、フルーフが無事に戻ってきたときに、しっかりと返そうと考えていた。死ぬまで配下にするつもりはサラサラなかったのである。

 ここまで償いを続けてきたレアであれば、もう解放してやってもよい頃合いだろう。

「すまぬな。よくぞ今日まで我が娘を保護していてくれた。

 そう言ってフルーフは、ソフィに感謝の言葉と共に頭を下げるのだった。

「クックック、何を言うか。我とお主の仲では無いか、それにエヴィの件もある。ノックスという世界に行くときは再び頼むぞ?」

「うむ、当然じゃ! ワシに任せておけ」

 そう言って二人は握手を交わすのだった。

 ふとソフィは先程の『精霊女王ミューテリア』の言葉を思い出し、気が付けば無意識に口を開いていた。

「すまぬがフルーフよ。元の世界へ戻る前に、我をリラリオの世界へ送ってくれないか?」

「それは構わぬが、何故リラリオの世界なのだ?」

「うむ、少しな……」

「まあ、お主が行きたいというのなら構わぬぞ。それではお主にはレアをつけておくから、お主の用事が済み次第、レアに伝えるがよい」

 どうやら中継役に『概念跳躍アルム・ノーティア』を使えるレアを使えという事だろう。レアには悪いが、少しの間付き合ってもらう事にするソフィだった。

「すまぬな。我が離れる間はこの世界を頼む。、出来るだけ地下へ入るのは避けておいてくれ」

 ヌーには手を出さないと約束してくれた為、エヴィを連れ戻すまでは大丈夫だろうが、それでもフルーフがヌーと、口論にもなればどうなるかは分からない。激昂するフルーフが相手では『九大魔王』達でも止められないだろう。

「ああ。分かっておる。出来るだけ近寄らずに、距離をとろうと思っていたところだ」

「うむ、それでは後の事は頼む。何かあればエイネか、ディアトロスに『念話テレパシー』を使ってくれ」

「了解した、準備はしなくてよいか?」

「うむ、いつでも送ってくれ」

 ソフィがそう言うと、フルーフは『概念跳躍アルム・ノーティア』の発動の為に『スタック』を展開し始めた。

「我も『レパート』の世界の『ことわり』を使って、ソレを練習しておるのだがな……」

「ほう? そういえばお主にはこの魔法の使い方を教えると、昔に言った記憶があるな。お主がその気ならばまたワシが直々に教えよう」

「それは助かる。我が『世界間移動』の魔法が使えていれば、もっと組織との戦争は上手く出来ただろうし、今後の為にも覚えておきたい」

「クックック、お主であれば直ぐに覚えられるだろう。さて、それでは送るぞ? お主を送った後にレアに、リラリオの世界で追わせるから向こうで合流してくれ」

「うむ、分かった、それでは宜しく頼む」

 ソフィがそう言って頷いたのを確認した後、フルーフは『スタック』させた『魔力』を魔法陣に乗せて魔法を発動させる。

 ――神域『時』魔法、『概念跳躍アルム・ノーティア』。

 魔法陣が高速回転をした後に『魔法』が発動した。
 そして周囲を光が包んだかと思うと、そのままソフィは『アレルバレル』の世界から、その姿を消すのだった。

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