最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第699話 女帝のエゴ
海の上を『高速転移』を用いて、グングン加速しながらエイネは移動を続けていた。
先程異常な数の魔力を『イルベキア』の領土辺りで感知したエイネだったが、今ではその魔力の持ち主のほとんどがやられており、イルベキアの兵士達の数は、相当に減っているようだった。
「この不自然に集まっている魔力の持ち主は、イルベキアに対して戦争を起こしているのでしょうね。スベイキアの国王がやられたことに対する報復で動いているという事でしょうけど、まさか同胞であるイルベキアを襲うとはね……」
ヴァルーザ龍王とエイネと親しげに話していたところを『スベイキア』の兵士か誰かに見られた事でイルベキアがスベイキアに対して、反逆行為を引き起こしたと勘違いしたのだろう。
しかしそれでも同盟国であり、同じ種族の者に対して、こんなに早く襲うとは思わなかった。
ヴァルーザ龍王には申し訳ない事をしたと考えるエイネだったが、エイネはあのイーサ龍王の言葉は、我慢ならなかったのである。
当初はこの世界であまり関わるつもりは無かったエイネだが、このままここでこの世界の魔族を放置するつもりは毛頭ない。
現時点ですでに魔人の王である『エアル』と幹部である『レドラー・クラシス』の二体の魔人を説得し、ミデェール達の無事は確保出来ている。
――更にこれは誰にも言っていない事だが、エイネはすでに魔人の王であるエアルに一つ仕込んでいる事がある。
万が一『エイネ』が居なくなった後、魔人達の誰かが裏切って彼ら魔族に手を出そうとすれば、それがキー・トリガーとなって、魔人の王エアルに仕込んだトラップが発動し、魔族をエアル王は捨て身で救うだろう。
更にはエアル自身が裏切るような発言、行動、指示。それらのいずれかに該当するような事があったなら自害させるようにしてある。
――つまり魔人側に関しては、もう何も恐れる心配はない。
龍族達の間で戦争が行われていなければ、後はヴァルーザ龍王を大陸の王に仕立て上げ、魔族達を手厚く保護するように頼み、それで全てが解決だったのであった。
少しばかり世界に干渉しすぎた事は否めないが、あのまま魔人達と龍族の間で戦争が続けば、結局この世界の魔族は、魔人達の駒として全員殺されていただろう。
それはエイネの中では一番許し難い事である。
エゴであろうとも、九大魔王エイネは、力が無い魔族の安全を最優先に考える。
もしこれが『アレルバレル』の世界ように、魔族の間だけで対等に戦えるような力を有していれば、ここまで過保護をするような真似を彼女はするつもりはなかった。
しかしミデェールやその仲間の魔族達は、親の世代からそのまま魔人達に、隷属する事を受け入れてしまっていた。
逆らうという事すら知らずに、魔族の長い寿命を他種族の捨て駒として扱われた挙句に死んでいくというのは、決してエイネは認めたくはなかったのである。
せめて自分達で物事の善し悪しを考えて、選択できるようになって欲しかったのである。
いつかはこの世界を去り行く自分には、最後まで彼らの面倒を見ることは出来ない。
自分達で何かを成し遂げる事の出来るようにとそのキッカケを与えたかったのだ。
そしてその彼女のエゴの為には、龍族の戦争を止める必要があると考えるのだった。
彼女の主であるソフィは、エイネのとった選択肢に対して何と答えるだろうか。
この世界を安定させた後、エイネはソフィに会って今回の事を話すつもりである。
そしてエイネはその時のソフィの判断に、全てを委ねるつもりである。
彼女の尊敬する他の九大魔王達は、全員が自分で物事を考えて行動をしている。
それならば自身も九大魔王の末席に座る者として、考えて行動をしなければならない。
――今後も彼らと肩を並べて生きる為に。
そしてそんな事を考えていたエイネは、遂に龍族達の大陸に再び辿り着くのだった。
「良かった。ヴァルーザだけじゃなくて、イルベキアの者達も無事のようね」
エイネは大陸に辿り着いた後、再び念入りに『漏出』を使い彼らの生存を確かめるのだった。
「まず、ヴァルーザと合流しないといけないわね」
そのまま『高速転移』で再び移動を開始したエイネは、イルベキア国の『ヴァルーザ』の元に向かうのであった。
先程異常な数の魔力を『イルベキア』の領土辺りで感知したエイネだったが、今ではその魔力の持ち主のほとんどがやられており、イルベキアの兵士達の数は、相当に減っているようだった。
「この不自然に集まっている魔力の持ち主は、イルベキアに対して戦争を起こしているのでしょうね。スベイキアの国王がやられたことに対する報復で動いているという事でしょうけど、まさか同胞であるイルベキアを襲うとはね……」
ヴァルーザ龍王とエイネと親しげに話していたところを『スベイキア』の兵士か誰かに見られた事でイルベキアがスベイキアに対して、反逆行為を引き起こしたと勘違いしたのだろう。
しかしそれでも同盟国であり、同じ種族の者に対して、こんなに早く襲うとは思わなかった。
ヴァルーザ龍王には申し訳ない事をしたと考えるエイネだったが、エイネはあのイーサ龍王の言葉は、我慢ならなかったのである。
当初はこの世界であまり関わるつもりは無かったエイネだが、このままここでこの世界の魔族を放置するつもりは毛頭ない。
現時点ですでに魔人の王である『エアル』と幹部である『レドラー・クラシス』の二体の魔人を説得し、ミデェール達の無事は確保出来ている。
――更にこれは誰にも言っていない事だが、エイネはすでに魔人の王であるエアルに一つ仕込んでいる事がある。
万が一『エイネ』が居なくなった後、魔人達の誰かが裏切って彼ら魔族に手を出そうとすれば、それがキー・トリガーとなって、魔人の王エアルに仕込んだトラップが発動し、魔族をエアル王は捨て身で救うだろう。
更にはエアル自身が裏切るような発言、行動、指示。それらのいずれかに該当するような事があったなら自害させるようにしてある。
――つまり魔人側に関しては、もう何も恐れる心配はない。
龍族達の間で戦争が行われていなければ、後はヴァルーザ龍王を大陸の王に仕立て上げ、魔族達を手厚く保護するように頼み、それで全てが解決だったのであった。
少しばかり世界に干渉しすぎた事は否めないが、あのまま魔人達と龍族の間で戦争が続けば、結局この世界の魔族は、魔人達の駒として全員殺されていただろう。
それはエイネの中では一番許し難い事である。
エゴであろうとも、九大魔王エイネは、力が無い魔族の安全を最優先に考える。
もしこれが『アレルバレル』の世界ように、魔族の間だけで対等に戦えるような力を有していれば、ここまで過保護をするような真似を彼女はするつもりはなかった。
しかしミデェールやその仲間の魔族達は、親の世代からそのまま魔人達に、隷属する事を受け入れてしまっていた。
逆らうという事すら知らずに、魔族の長い寿命を他種族の捨て駒として扱われた挙句に死んでいくというのは、決してエイネは認めたくはなかったのである。
せめて自分達で物事の善し悪しを考えて、選択できるようになって欲しかったのである。
いつかはこの世界を去り行く自分には、最後まで彼らの面倒を見ることは出来ない。
自分達で何かを成し遂げる事の出来るようにとそのキッカケを与えたかったのだ。
そしてその彼女のエゴの為には、龍族の戦争を止める必要があると考えるのだった。
彼女の主であるソフィは、エイネのとった選択肢に対して何と答えるだろうか。
この世界を安定させた後、エイネはソフィに会って今回の事を話すつもりである。
そしてエイネはその時のソフィの判断に、全てを委ねるつもりである。
彼女の尊敬する他の九大魔王達は、全員が自分で物事を考えて行動をしている。
それならば自身も九大魔王の末席に座る者として、考えて行動をしなければならない。
――今後も彼らと肩を並べて生きる為に。
そしてそんな事を考えていたエイネは、遂に龍族達の大陸に再び辿り着くのだった。
「良かった。ヴァルーザだけじゃなくて、イルベキアの者達も無事のようね」
エイネは大陸に辿り着いた後、再び念入りに『漏出』を使い彼らの生存を確かめるのだった。
「まず、ヴァルーザと合流しないといけないわね」
そのまま『高速転移』で再び移動を開始したエイネは、イルベキア国の『ヴァルーザ』の元に向かうのであった。
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