最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第690話 魔神の力で化け物を討つ
「……ほう? 魔神の力を有するとは大きく出たではないか」
ソフィは過去に『力の魔神』と呼ばれる『アレルバレル』の世界に現れた『魔神』と戦い勝利した。
そしてその魔神に惚れ込まれた現在は、魔神を共にしている。
そんな『力の魔神』であったが、流石は最上位神と呼ばれるだけあって、ソフィがこれまで何千年とあらゆる種族と戦ってきた中で、一番強かったと断言出来た。
その魔神の力を有するというのだから、本当であれば最強の人間と呼べるだろう。
だが、そんな事を直接本人に聞かされたところで、ソフィは何も信じてはいなかった。
いや厳密には信じるとか信じないではなく、どうでもよかったのである。
いつものソフィであったならば、愉快そうに笑いながら色々と相手の好きなように攻撃をさせて、その強さを試そうという気持ちを持って戦うのだが、この組織のボスであるミラには、そんな気持ちで戦うつもりはソフィには毛頭なかった。
どんなに素晴らしい力を持っていようが、今後の成長を見込める者だろうが、ソフィの願望を叶えられる存在になり得ようとも、それをソフィは認めない。何をしてこようが、ソフィはこの目の前の敵を生かすつもりはない。
「少しは信じてくれてもいいと思うのだが……な!」
何を言っても興味の無い視線を向けられ続けるミラは、ソフィに対して承認欲求を満たしたいという気持ちを抱く。その気持ちをぶつけるように、ソフィに対して攻撃を開始する。
再び金色のオーラを纏いながら高密度エネルギーのレーザーをソフィに向けて放つ。
バチバチと音を立てて、魔神が使っていた技を魔法に変えてソフィに発射された。
これだけ近くで発射したのであれば、流石に回避する事は出来ないだろう。
この高密度エネルギーのレーザーの殺傷能力の高さは誰よりも自分が知っている。
そしてこの魔法は『時魔法無効化』の効力もある為、次元の彼方へ飛ばす事も不可能である。
つまり化け物であるアレルバレルの世界最強の大魔王に、自身の必殺とも言うべき一撃が必中する筈である。
もしかするとこの一撃で勝負がつくかもしれないとさえ、ミラは頭の片隅で考えるのであった。
そしてミラの予想通り、回避行動に出るが間に合わずにソフィの肩口をレーザーが貫いていったのを目撃する。
「フハハハ! どうだ化け物! これこそが魔神の力だ!」
「……」
どうやら今の一撃で命までは、奪う事は出来なかったようだが、あのレーザーをまともに受けた化け物は、一気に戦力がダウンする事だろう。ミラはそう考えて、次はもう一つの魔神の『技』を発動する為に『スタック』していた魔力を全てその魔法に注ぎ込む。この魔法でトドメをさすつもりであった。
「さぁ、死ねぇっ! 私こそがアレルバレルの世界の支配者に相応しい!!」
右肩を押さえているソフィに向けてミラは、もう一つの魔法を展開する。
その魔法が発動されたと同時、ソフィの周囲に、円状の光のエネルギーが広がっていき、次の瞬間にはその円状の光がもう一段階眩い光を発したかと思うと、ソフィを浄化の光が襲った。
この魔法の光が相手を包み込んだ時点で、もう相手は逃げる事は敵わない。
そしてこの瞬間にはあまり意味はないが、この魔法自体も『時魔法無効化』の効力付きである。
つまりあの光の中でソフィは、浄化されて死を遂げる事になるのは間違いなかった。
――長かった。
あの化け物を始末する為に数千年の時を要し、アレルバレルの世界中の魔族達を集めて『煌聖の教団』を作った。
そして計画の為に魔王軍を年数を掛けながら徐々に減らしていき、序列部隊と呼ばれる恐ろしい力を持った化け物の配下達をあらゆる世界へ追放し、更には苦労に苦労を重ねて九大魔王達もアレルバレルの世界から除外した。
そして今代の勇者たちを騙して利用し、一番難関だった化け物自体も別世界へ跳ばすことに成功した。
しかしそれでもあの化け物は私の思い通りにはいかず、戻って来る始末だった。
だが、もう一つの予備の計画であった、フルーフと魔神を利用する事で、魔神の力を奪う事に成功し、そして今その力を用いる事で、ようやく計画が成就し報われたのである。
実に長かった……。
多くの配下達も失った為に化け物の残党である、九大魔王達を自らの手で滅ぼさなければならないが、化け物さえ倒してしまえばもう恐れる事は何もない。
アレルバレルの世界という、数多の世界の中でも支配が難しい最難関の世界で、私が支配者となるのである。
大賢者ミラは勝ち誇り、盛大に笑い始めようとする。
―――その時であった。
円状に広がった結界の中で、浄化の光が敵を滅し尽くしたと思われたが、未だに光続けているその結界から、ゆっくりと影が見え始めた。
「……何だ? 影……?」
その影は光の中から本当にゆっくりとした足取りで、こちらに向かってくる。
そしてその影が正体を現して、そしてその顔を見た時、ミラは時間が止まったかのように凍り付いた。
「もう終わりか? ならばもう殺すぞ」
大魔王ソフィは何事もなかったかのように現れたかと思うと、あっという間に肩口の傷が再生されていき、やがて茫然と立ち尽くしているミラに、死の宣告を届けるのであった。
……
……
……
ソフィは過去に『力の魔神』と呼ばれる『アレルバレル』の世界に現れた『魔神』と戦い勝利した。
そしてその魔神に惚れ込まれた現在は、魔神を共にしている。
そんな『力の魔神』であったが、流石は最上位神と呼ばれるだけあって、ソフィがこれまで何千年とあらゆる種族と戦ってきた中で、一番強かったと断言出来た。
その魔神の力を有するというのだから、本当であれば最強の人間と呼べるだろう。
だが、そんな事を直接本人に聞かされたところで、ソフィは何も信じてはいなかった。
いや厳密には信じるとか信じないではなく、どうでもよかったのである。
いつものソフィであったならば、愉快そうに笑いながら色々と相手の好きなように攻撃をさせて、その強さを試そうという気持ちを持って戦うのだが、この組織のボスであるミラには、そんな気持ちで戦うつもりはソフィには毛頭なかった。
どんなに素晴らしい力を持っていようが、今後の成長を見込める者だろうが、ソフィの願望を叶えられる存在になり得ようとも、それをソフィは認めない。何をしてこようが、ソフィはこの目の前の敵を生かすつもりはない。
「少しは信じてくれてもいいと思うのだが……な!」
何を言っても興味の無い視線を向けられ続けるミラは、ソフィに対して承認欲求を満たしたいという気持ちを抱く。その気持ちをぶつけるように、ソフィに対して攻撃を開始する。
再び金色のオーラを纏いながら高密度エネルギーのレーザーをソフィに向けて放つ。
バチバチと音を立てて、魔神が使っていた技を魔法に変えてソフィに発射された。
これだけ近くで発射したのであれば、流石に回避する事は出来ないだろう。
この高密度エネルギーのレーザーの殺傷能力の高さは誰よりも自分が知っている。
そしてこの魔法は『時魔法無効化』の効力もある為、次元の彼方へ飛ばす事も不可能である。
つまり化け物であるアレルバレルの世界最強の大魔王に、自身の必殺とも言うべき一撃が必中する筈である。
もしかするとこの一撃で勝負がつくかもしれないとさえ、ミラは頭の片隅で考えるのであった。
そしてミラの予想通り、回避行動に出るが間に合わずにソフィの肩口をレーザーが貫いていったのを目撃する。
「フハハハ! どうだ化け物! これこそが魔神の力だ!」
「……」
どうやら今の一撃で命までは、奪う事は出来なかったようだが、あのレーザーをまともに受けた化け物は、一気に戦力がダウンする事だろう。ミラはそう考えて、次はもう一つの魔神の『技』を発動する為に『スタック』していた魔力を全てその魔法に注ぎ込む。この魔法でトドメをさすつもりであった。
「さぁ、死ねぇっ! 私こそがアレルバレルの世界の支配者に相応しい!!」
右肩を押さえているソフィに向けてミラは、もう一つの魔法を展開する。
その魔法が発動されたと同時、ソフィの周囲に、円状の光のエネルギーが広がっていき、次の瞬間にはその円状の光がもう一段階眩い光を発したかと思うと、ソフィを浄化の光が襲った。
この魔法の光が相手を包み込んだ時点で、もう相手は逃げる事は敵わない。
そしてこの瞬間にはあまり意味はないが、この魔法自体も『時魔法無効化』の効力付きである。
つまりあの光の中でソフィは、浄化されて死を遂げる事になるのは間違いなかった。
――長かった。
あの化け物を始末する為に数千年の時を要し、アレルバレルの世界中の魔族達を集めて『煌聖の教団』を作った。
そして計画の為に魔王軍を年数を掛けながら徐々に減らしていき、序列部隊と呼ばれる恐ろしい力を持った化け物の配下達をあらゆる世界へ追放し、更には苦労に苦労を重ねて九大魔王達もアレルバレルの世界から除外した。
そして今代の勇者たちを騙して利用し、一番難関だった化け物自体も別世界へ跳ばすことに成功した。
しかしそれでもあの化け物は私の思い通りにはいかず、戻って来る始末だった。
だが、もう一つの予備の計画であった、フルーフと魔神を利用する事で、魔神の力を奪う事に成功し、そして今その力を用いる事で、ようやく計画が成就し報われたのである。
実に長かった……。
多くの配下達も失った為に化け物の残党である、九大魔王達を自らの手で滅ぼさなければならないが、化け物さえ倒してしまえばもう恐れる事は何もない。
アレルバレルの世界という、数多の世界の中でも支配が難しい最難関の世界で、私が支配者となるのである。
大賢者ミラは勝ち誇り、盛大に笑い始めようとする。
―――その時であった。
円状に広がった結界の中で、浄化の光が敵を滅し尽くしたと思われたが、未だに光続けているその結界から、ゆっくりと影が見え始めた。
「……何だ? 影……?」
その影は光の中から本当にゆっくりとした足取りで、こちらに向かってくる。
そしてその影が正体を現して、そしてその顔を見た時、ミラは時間が止まったかのように凍り付いた。
「もう終わりか? ならばもう殺すぞ」
大魔王ソフィは何事もなかったかのように現れたかと思うと、あっという間に肩口の傷が再生されていき、やがて茫然と立ち尽くしているミラに、死の宣告を届けるのであった。
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