最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第656話 種族を越えた親友
咄嗟の機転で何とか岩陰に身を隠す事に成功したレアだが、その代償として洞窟を渡って『レイズ』魔国へは自力へ行く事が出来なくなってしまった。
何とかしてこの窮地を脱したいと考えてはいるが『煌聖の教団』の大魔王達がそれを許してはくれないだろう。
今も大魔王達は『極大魔法』を次々と周囲へとばら撒き続けて、更にはレアの居場所を徐々に探る範囲を狭めていくのであった。
(キーリは気づいてくれるかしらぁ……?)
周囲に鳴り響く爆音に恐れ震えながらも『レア』は、なんとかキーリに『念話』を試みた。
(キーリ。聞こえる……?)
レアは両手を祈るように前で合わせながら必死に懇願するように、キーリに『念話』を送る。
…………
キーリからの応答はなく、やっぱり駄目だったかと諦めかけたレアの元に――。
(ん? レアか?)
何とキーリと意識の波長が合い『念話』が繋がったのであった。
レアの目に溜まっていた涙が流れ落ちて、彼女は長い長い安堵の溜息を吐く。
(キーリッ……!)
レアは嬉しくて嬉しくて仕方がない。
キーリは単なる言葉だけではなく、本当にレアの事を気にかけてくれていたのだ。
死地に居るというのにその事実に嗚咽がこみ上げてきて、レアは名前を呼ぶだけで精一杯になってしまう。
突然レアの声が聞こえてきたかと思えば普段とは違う様子に、キーリは何かあったのだと察し始める。
(た、助けてぇ……、キーリ……!)
そのレアの必死の懇願の言葉を聞いた瞬間――。
『レイズ』魔国上空で見張りをしていたキーリの目が見開き、直ぐに周囲の側近達を大声で呼び始める。
(何があった! お前いま何処にいるんだ!?)
(南方にあるレイズとラルグを繋ぐ洞窟の……『ラルグ』魔国側の洞窟近くの岩陰で、お、追われていて、今も隠れているの!)
「南方の……洞窟?」
直ぐにキーリは南方の方へ振り返る。
(そんなところにお前の魔力が感じられないが、本当に『ラルグ』魔国側の方の洞窟入り口付近に居るんだな?)
(そうなの。今は『魔法』を使って身を隠しているの。アイツらは……。どうやら敵は三体居る。洞窟の中に入っていった一体と、今も空から私を攻撃してる奴と、洞窟前で私を探している奴の三体……)
(そうか。分かった。すぐに俺がそっちに向かうから、俺の姿が見えたらまた教えてくれ!)
(う、うん……)
(レア。俺が必ず守ってやるから待ってろよ!)
(! ま、待ってる!)
そこでレアからの『念話』がきれるのだった。
キーリは直ぐに呼び寄せた『守護龍』の側近達に命令を出す。
「ここから南方のラルグ魔国との国境を跨ぐ洞窟の向こう側でレアが襲われているらしい。ディラルク、お前はこの事を直ぐに女王に伝えてこい!」
「御意!」
「それでレキオン! お前はリディアやラルフ達にこの事を伝えにいってこい!」
「御意!」
「ミルフェン! お前は俺と共に来るんだ!」
「御意!」
「『レイズ』魔国を守る『ターティス』大陸の俺の同胞達! お前らは全員俺について来い!」
「「御意!!」」
「いいかお前ら! レアは種族が違えど俺の大事な家族だ! レアを守る事は俺や同胞を守るという事と同義と思え!」
「「御意!!」」
「それでは全力で南方側へ向かうぞ! 全員俺についてこい!」
キーリの号令と同時に『ミルフェン』を含めた守護龍達が『龍化』を果たしていく。
更に続々と『レイズ』魔国の見張りをしていたキーリの配下の龍族達がキーリを追従するのだった。
始祖龍キーリが『レア』を『家族』と告げた以上、ターティスの龍族達にとっても『レア』はもう『同胞』と同じである。
――『同胞を』助ける為ならば、命を懸けてでも惜しくはない。
この場に居るかつての『リラリオ』の世界の調停をはかる種族。その全ての龍族達は同じことを一様に考えながら、大空を全力で飛翔していくのであった。
……
……
……
レアは『念話』を切った後、もう溢れる涙を止められなかった。
(キーリは本当に私を気にかけてくれていた……! 直ぐに来てくれるって。また守ってくれるって言ってくれた!)
キーリは必ず自分を助けに来てくれるだろう。そうと分かれば自分も諦めるわけにはいかない。絶対生き延びなくてはならない!
こみ上げてくる感情は『レア』にこれまでにない『勇気』と『活力』を与えてくれた。
『こんなところで死んでたまるか!』という気持ちが芽生えたレアの目に、再び生気が宿るのであった。
何とかしてこの窮地を脱したいと考えてはいるが『煌聖の教団』の大魔王達がそれを許してはくれないだろう。
今も大魔王達は『極大魔法』を次々と周囲へとばら撒き続けて、更にはレアの居場所を徐々に探る範囲を狭めていくのであった。
(キーリは気づいてくれるかしらぁ……?)
周囲に鳴り響く爆音に恐れ震えながらも『レア』は、なんとかキーリに『念話』を試みた。
(キーリ。聞こえる……?)
レアは両手を祈るように前で合わせながら必死に懇願するように、キーリに『念話』を送る。
…………
キーリからの応答はなく、やっぱり駄目だったかと諦めかけたレアの元に――。
(ん? レアか?)
何とキーリと意識の波長が合い『念話』が繋がったのであった。
レアの目に溜まっていた涙が流れ落ちて、彼女は長い長い安堵の溜息を吐く。
(キーリッ……!)
レアは嬉しくて嬉しくて仕方がない。
キーリは単なる言葉だけではなく、本当にレアの事を気にかけてくれていたのだ。
死地に居るというのにその事実に嗚咽がこみ上げてきて、レアは名前を呼ぶだけで精一杯になってしまう。
突然レアの声が聞こえてきたかと思えば普段とは違う様子に、キーリは何かあったのだと察し始める。
(た、助けてぇ……、キーリ……!)
そのレアの必死の懇願の言葉を聞いた瞬間――。
『レイズ』魔国上空で見張りをしていたキーリの目が見開き、直ぐに周囲の側近達を大声で呼び始める。
(何があった! お前いま何処にいるんだ!?)
(南方にあるレイズとラルグを繋ぐ洞窟の……『ラルグ』魔国側の洞窟近くの岩陰で、お、追われていて、今も隠れているの!)
「南方の……洞窟?」
直ぐにキーリは南方の方へ振り返る。
(そんなところにお前の魔力が感じられないが、本当に『ラルグ』魔国側の方の洞窟入り口付近に居るんだな?)
(そうなの。今は『魔法』を使って身を隠しているの。アイツらは……。どうやら敵は三体居る。洞窟の中に入っていった一体と、今も空から私を攻撃してる奴と、洞窟前で私を探している奴の三体……)
(そうか。分かった。すぐに俺がそっちに向かうから、俺の姿が見えたらまた教えてくれ!)
(う、うん……)
(レア。俺が必ず守ってやるから待ってろよ!)
(! ま、待ってる!)
そこでレアからの『念話』がきれるのだった。
キーリは直ぐに呼び寄せた『守護龍』の側近達に命令を出す。
「ここから南方のラルグ魔国との国境を跨ぐ洞窟の向こう側でレアが襲われているらしい。ディラルク、お前はこの事を直ぐに女王に伝えてこい!」
「御意!」
「それでレキオン! お前はリディアやラルフ達にこの事を伝えにいってこい!」
「御意!」
「ミルフェン! お前は俺と共に来るんだ!」
「御意!」
「『レイズ』魔国を守る『ターティス』大陸の俺の同胞達! お前らは全員俺について来い!」
「「御意!!」」
「いいかお前ら! レアは種族が違えど俺の大事な家族だ! レアを守る事は俺や同胞を守るという事と同義と思え!」
「「御意!!」」
「それでは全力で南方側へ向かうぞ! 全員俺についてこい!」
キーリの号令と同時に『ミルフェン』を含めた守護龍達が『龍化』を果たしていく。
更に続々と『レイズ』魔国の見張りをしていたキーリの配下の龍族達がキーリを追従するのだった。
始祖龍キーリが『レア』を『家族』と告げた以上、ターティスの龍族達にとっても『レア』はもう『同胞』と同じである。
――『同胞を』助ける為ならば、命を懸けてでも惜しくはない。
この場に居るかつての『リラリオ』の世界の調停をはかる種族。その全ての龍族達は同じことを一様に考えながら、大空を全力で飛翔していくのであった。
……
……
……
レアは『念話』を切った後、もう溢れる涙を止められなかった。
(キーリは本当に私を気にかけてくれていた……! 直ぐに来てくれるって。また守ってくれるって言ってくれた!)
キーリは必ず自分を助けに来てくれるだろう。そうと分かれば自分も諦めるわけにはいかない。絶対生き延びなくてはならない!
こみ上げてくる感情は『レア』にこれまでにない『勇気』と『活力』を与えてくれた。
『こんなところで死んでたまるか!』という気持ちが芽生えたレアの目に、再び生気が宿るのであった。
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