最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第586話 目を覚ましたレパートの支配者
ダールの世界にあるイザベラ城の地下に、今は誰も居ない広い牢屋があった。
牢の出入り口は扉が一つあるだけで、中から扉の外は全く見る事が出来ない。
扉の上に封筒一つ分が入る程の穴があり、どうやらそこから外の様子が見れそうであった。
元々はイザベラに従わない魔族を入れる牢として活躍を見せていたが、現在はこの城の本来の持ち主であるイザベラが居なくなった事で、牢に入っていた者達は、皆処分されたのであった。
その牢の一つに数百年、いや数千年という長い年月を操られて自我を失っていた『レパート』の支配者である『フルーフ』が目を覚ました状態で入れられるのだった。
「久しぶりに目が覚めた気分はどうだ? 大魔王フルーフ」
普段はフルーフのことを『実験体』やら『コイツ』呼ばわりをしていたミラだが、今はしっかりと『フルーフ』と彼の本当の名前で呼ぶのだった。
「ふん、最悪の目覚めじゃよ。ワシに何をさせておったのか、うっすらとではあるが覚えておる。貴様。ただですむと思うなよ?」
フルーフは怒りを滲ませながら、手足に枷をつけられた状態で牢の中から、扉の上の穴からこちらを見ているミラの目を睨みつける。
「たかが『程度の低い世界』の一つを支配していた程度の存在が、神となる私に偉そうな口を叩くな!」
ミラは牢の扉を外側から力任せに蹴り飛ばす。
牢の扉は拉げるが、即座に青い光に包まれながら元に戻る。
「クククク! えらく煽り耐性の無いカミサマだの?」
更に牢の中でミラに対して、挑発を続けるフルーフであった。
「お前……。まさかとは思うが、自分に利用価値がある間は殺されないとでも思っているのか? 残念だがもう、ほとんどお前は用済みの状態だ」
怒りの形相を見せていたミラだったが、フルーフに本音をぶちまける事で冷静さを取り戻していくようであった。
「まぁいい。ここまで私たちに協力をしてくれたお前に、少しだけ余生を楽しむ時間を与えてやろう。私は慈悲深いだろう?」
ミラはそう言うと高笑いをしながら、牢の前から立ち去っていった。
「ふん……。哀れな人間だな」
誰も居なくなった地下の牢の中でそう呟くと、次にフルーフは手足の枷を見る。
どうやら枷には魔力が施されているようで、フルーフが何か魔力を『スタック』させようとすると反応して遮断する力があるようだった。
「魔力を吸い取る部類でもなければ、魔力自体を使えなくするという効果でもないか。これは中々に興味深いモノだな」
フルーフは座らされている状態で、鎖で繋がれた手足の枷を動かし、ジャラジャラと音を立てながら枷がどのようなものかを探るのだった。
この枷は『重り』としての役割は無く、フルーフ程の魔族であれば自由に歩く事は出来た。
どうやらこの枷の狙いは別にあるようで、神聖魔法である『聖動捕縛』の魔法を用いられているようだった。普段はただの枷に過ぎないが、魔族が自身の身体を使って魔力を込めようとしたり、魔法を発動させようとすると枷が効力を発揮して、魔力を遮断してゼロにするのである。
「部屋の中に監視するマジックアイテムは無し。外に見張りが居るようにも感じない。どうやらこの枷一つで十分だと判断しているようだが、それならばそれで好都合と言える」
過去に九大魔王『ディアトロス』もまた今のフルーフと同様に、この効力を持つ枷をつけられて身動きが取れなくなった過去がある。
まさにフルーフの状況はディアトロスが、捕らえられ牢に入れられている時を焼き増したような状態であった。
同じ大魔王同士だが、戦闘においての強さだけでいうならば『フルーフ』は『ディアトロス』にさえ勝てないだろう。
(ふむ、試してみるか)
しかし幸か不幸かフルーフはミラ達に操られて利用され続けて来た事で、エルシスの神聖魔法とは違うが『発動羅列』が酷似しているミラの神聖魔法をフルーフは、無意識の中で何度も見てきている。
『アレルバレル』の世界の大賢者『エルシス』にも勝るとも劣らない天才。
それこそが、大魔王フルーフ。
――共に大魔王ソフィの友人であり、違う世界の『魔』を極めた者同士。
大魔王フルーフは自らの経験と知識を集約させて『魔力』を自由に使えずに、更に失敗が許されないというこの状況下で、エルシスの魔族を封じる特効効果を持つ『聖動捕縛』の効力を更に打ち破る為に、限られた時間の中で『新魔法』の開発を行うのであった。
牢の出入り口は扉が一つあるだけで、中から扉の外は全く見る事が出来ない。
扉の上に封筒一つ分が入る程の穴があり、どうやらそこから外の様子が見れそうであった。
元々はイザベラに従わない魔族を入れる牢として活躍を見せていたが、現在はこの城の本来の持ち主であるイザベラが居なくなった事で、牢に入っていた者達は、皆処分されたのであった。
その牢の一つに数百年、いや数千年という長い年月を操られて自我を失っていた『レパート』の支配者である『フルーフ』が目を覚ました状態で入れられるのだった。
「久しぶりに目が覚めた気分はどうだ? 大魔王フルーフ」
普段はフルーフのことを『実験体』やら『コイツ』呼ばわりをしていたミラだが、今はしっかりと『フルーフ』と彼の本当の名前で呼ぶのだった。
「ふん、最悪の目覚めじゃよ。ワシに何をさせておったのか、うっすらとではあるが覚えておる。貴様。ただですむと思うなよ?」
フルーフは怒りを滲ませながら、手足に枷をつけられた状態で牢の中から、扉の上の穴からこちらを見ているミラの目を睨みつける。
「たかが『程度の低い世界』の一つを支配していた程度の存在が、神となる私に偉そうな口を叩くな!」
ミラは牢の扉を外側から力任せに蹴り飛ばす。
牢の扉は拉げるが、即座に青い光に包まれながら元に戻る。
「クククク! えらく煽り耐性の無いカミサマだの?」
更に牢の中でミラに対して、挑発を続けるフルーフであった。
「お前……。まさかとは思うが、自分に利用価値がある間は殺されないとでも思っているのか? 残念だがもう、ほとんどお前は用済みの状態だ」
怒りの形相を見せていたミラだったが、フルーフに本音をぶちまける事で冷静さを取り戻していくようであった。
「まぁいい。ここまで私たちに協力をしてくれたお前に、少しだけ余生を楽しむ時間を与えてやろう。私は慈悲深いだろう?」
ミラはそう言うと高笑いをしながら、牢の前から立ち去っていった。
「ふん……。哀れな人間だな」
誰も居なくなった地下の牢の中でそう呟くと、次にフルーフは手足の枷を見る。
どうやら枷には魔力が施されているようで、フルーフが何か魔力を『スタック』させようとすると反応して遮断する力があるようだった。
「魔力を吸い取る部類でもなければ、魔力自体を使えなくするという効果でもないか。これは中々に興味深いモノだな」
フルーフは座らされている状態で、鎖で繋がれた手足の枷を動かし、ジャラジャラと音を立てながら枷がどのようなものかを探るのだった。
この枷は『重り』としての役割は無く、フルーフ程の魔族であれば自由に歩く事は出来た。
どうやらこの枷の狙いは別にあるようで、神聖魔法である『聖動捕縛』の魔法を用いられているようだった。普段はただの枷に過ぎないが、魔族が自身の身体を使って魔力を込めようとしたり、魔法を発動させようとすると枷が効力を発揮して、魔力を遮断してゼロにするのである。
「部屋の中に監視するマジックアイテムは無し。外に見張りが居るようにも感じない。どうやらこの枷一つで十分だと判断しているようだが、それならばそれで好都合と言える」
過去に九大魔王『ディアトロス』もまた今のフルーフと同様に、この効力を持つ枷をつけられて身動きが取れなくなった過去がある。
まさにフルーフの状況はディアトロスが、捕らえられ牢に入れられている時を焼き増したような状態であった。
同じ大魔王同士だが、戦闘においての強さだけでいうならば『フルーフ』は『ディアトロス』にさえ勝てないだろう。
(ふむ、試してみるか)
しかし幸か不幸かフルーフはミラ達に操られて利用され続けて来た事で、エルシスの神聖魔法とは違うが『発動羅列』が酷似しているミラの神聖魔法をフルーフは、無意識の中で何度も見てきている。
『アレルバレル』の世界の大賢者『エルシス』にも勝るとも劣らない天才。
それこそが、大魔王フルーフ。
――共に大魔王ソフィの友人であり、違う世界の『魔』を極めた者同士。
大魔王フルーフは自らの経験と知識を集約させて『魔力』を自由に使えずに、更に失敗が許されないというこの状況下で、エルシスの魔族を封じる特効効果を持つ『聖動捕縛』の効力を更に打ち破る為に、限られた時間の中で『新魔法』の開発を行うのであった。
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