最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第558話 大賢者ユーミル
「ほら『ホーク』の奴が『九大魔王』になるきっかけになった出来事じゃよ」
(※大魔王『ホーク・ディラン』は『怪傑』の二つ名を持つソフィの『九大魔王』の一体。その初登場時は、第400話『新たな九大魔王の誕生』)。
「おお! あの時か! 懐かしいな」
ディアトロスはやっと伝わったかとばかりに、首を縦に振って頷きを見せるのだった。
「ふむ。つまりあの人形とその人形を引き連れておるアヤツは、組織の者で間違いはないという事だな?」
そこでようやくソフィは、人形達の背後に居る存在に言及するのだった。
「そろそろ喋ってもいいのかしら?」
ずっと空気を読んでソフィ達が話終えるまで待ち続けていた女が、やれやれといった様子で口を開くのだった。
「待たせてすまなかったな。お主は一体何者だ?」
ソフィが多くの人形達の背後で杖を構える女性に向けて話すと、女性は空の上でゆっくりと両手を広げながら自己紹介を始めるのだった。
「私は崇高なる魔法を司る神である『ミラ』様の信徒にして忠実なる僕。その『煌聖の教団』の最高幹部の一人にして、大賢者『ユーミル』よ」
「ほう? 大賢者とな?」
大賢者と堂々と言い放ちながら自己紹介をする『ユーミル』に、ソフィは鼻で笑って見せるのだった。
「何か可笑しいかしら? 我々『煌聖の教団』に逆らい続ける愚か者達を束ねる哀れな王サマ?」
「!」
ユーミルの言葉に『ブラスト』や『リーシャ』といった、九大魔王達の面々が苛立った顔を浮かべるのだった。
「これはすまぬな。大賢者とは『エルシス』程の領域に立つ者が、名乗るものだと思っておったのでな? まさかお主如きが名乗っておるものだから、つい可笑しくて笑ってしまったのだ」
ソフィに『お主如き』と見下されて嘲笑われたユーミルは、顔を歪ませながら無理に笑みを浮かべた。
「ふ、ふふ……。大魔王ソフィ! いつまでも自分が一番強いと思わない事ね! 貴方が程度の低い世界で遊んでいる間に、私達は高度な研鑽を続けていたのよ!?」
ソフィは『ユーミル』が『金色』を纏い始めたのを見て感心したような顔を浮かべる。
「成程。見た感じお主は人間のようだが、その若さで『金色』を完全にモノにしておる。中々大したものだ」
「いつまでその余裕を見せていられるかしらね! ここに居る人形達は、ミラ様が合格点を出された『耐魔力』を誇る実験体を更に私が強化した個体達よ! 大魔王の魔法であっても全て耐えられる盾達。その恐ろしさを思い知らせてやるわ!」
ユーミルがそう言うと人形達がユーミルの盾になるように集まっていく。そしてユーミル自体は魔法の『スタック』を展開し始めるのだった。
どうやらこの人形達は先程『ユーミル』が告げたように『対魔法』に特化した『耐魔力』を持つ盾なのだろう。
大魔王の魔法であってもという発言から考えるに、相当に優秀な人形だろうと、予測出来るのであった。
「クックック『リラリオ』の世界は程度の低い世界か」
一見笑っているように見えるソフィの表情と呟く言葉からは想像が出来ないが、ソフィをよく知る者達であれば、今のソフィが普段とは違って相当に苛立っているという事を理解出来ただろう。
しかし大賢者と自分で名乗っていたユーミルは、この世界で長く生きてきた魔族と違い、見た目そのままの若い人間であり、ソフィの過去をよく知らなかった。
少しばかり自分より強い存在ではあることは認めているが『煌聖の教団』が本気で掛かれば倒せるいち魔族くらいに思っていたのだろう。
――神域魔法、『普遍破壊』。
『第二形態』になっているソフィが魔法を放つと次の瞬間、数十体居た実験体と呼ばれていた人形達の目が光り始めて、それぞれの個体が魔法を放ち始めた。
――神域『時』魔法、『次元防壁』。
ソフィの魔法『普遍破壊』は、人形達の『時魔法』によって次元の彼方へと飛ばされていき、無傷で防ぎ切るのだった。
「ふふ、これでわかったかしら? この子達は貴方の魔法でさえも、防ぐ事の出来る盾だということがねぇ!」
「あの人形達は『時魔法』を使えるのか」
「魔法に対する『防御に特化した人形』って感じですね」
同じ『魔』を得意とする魔王達である『ディアトロス』と『ユファ』は、冷静に人形を分析するのだった。
「成程、成程。ではこれならどうかな?」
ソフィの目が金色に変わり、人形達を操ろうと魔瞳である『金色の目』を展開する。
「無駄よ! 人形達に『金色の目』は効かないわ!」
ユーミルの言う通り人形達には自我はないために、どうやら『金色の目』で操ったりは出来ないようだった。
確かにこの組織によって造られた人形達は『大魔王領域』の相手でさえも、面倒だと思わせる程に『魔』に対しての耐魔に長けており『時魔法《タイム・マジック』を使える点も相まって、厄介なものだとソフィ達は理解する。
「これだけの盾に囲まれた私は余裕をもって極大魔法の準備が出来る。私を馬鹿にした報いを受けさせてやる……わ、よ?」
耐魔力を誇る人形達を盾にした事で、余裕を見せながら喋っていたユーミルだったが、彼女は目の前に居るソフィの『魔力』が急上昇していくのを感知して声が出せなくなった。
「クックック。最近は『レキ』といいお主達といい。我を退屈させぬ……」
ソフィの目が再び金色になり、周囲を『三色のオーラ』が纏われ始めていく。
「しかし我を甘く見るなよ? 先程の一撃で我の魔法を防げた気でいるのならば一瞬で消し飛ぶぞ?」
ソフィがそう言うと両手を天に翳す。
次の瞬間――。大空を埋め尽くす程の『魔法陣』と『発動羅列』が出現するのだった。
「さぁ、それでは存分に味わうがよい」
……
……
……
(※大魔王『ホーク・ディラン』は『怪傑』の二つ名を持つソフィの『九大魔王』の一体。その初登場時は、第400話『新たな九大魔王の誕生』)。
「おお! あの時か! 懐かしいな」
ディアトロスはやっと伝わったかとばかりに、首を縦に振って頷きを見せるのだった。
「ふむ。つまりあの人形とその人形を引き連れておるアヤツは、組織の者で間違いはないという事だな?」
そこでようやくソフィは、人形達の背後に居る存在に言及するのだった。
「そろそろ喋ってもいいのかしら?」
ずっと空気を読んでソフィ達が話終えるまで待ち続けていた女が、やれやれといった様子で口を開くのだった。
「待たせてすまなかったな。お主は一体何者だ?」
ソフィが多くの人形達の背後で杖を構える女性に向けて話すと、女性は空の上でゆっくりと両手を広げながら自己紹介を始めるのだった。
「私は崇高なる魔法を司る神である『ミラ』様の信徒にして忠実なる僕。その『煌聖の教団』の最高幹部の一人にして、大賢者『ユーミル』よ」
「ほう? 大賢者とな?」
大賢者と堂々と言い放ちながら自己紹介をする『ユーミル』に、ソフィは鼻で笑って見せるのだった。
「何か可笑しいかしら? 我々『煌聖の教団』に逆らい続ける愚か者達を束ねる哀れな王サマ?」
「!」
ユーミルの言葉に『ブラスト』や『リーシャ』といった、九大魔王達の面々が苛立った顔を浮かべるのだった。
「これはすまぬな。大賢者とは『エルシス』程の領域に立つ者が、名乗るものだと思っておったのでな? まさかお主如きが名乗っておるものだから、つい可笑しくて笑ってしまったのだ」
ソフィに『お主如き』と見下されて嘲笑われたユーミルは、顔を歪ませながら無理に笑みを浮かべた。
「ふ、ふふ……。大魔王ソフィ! いつまでも自分が一番強いと思わない事ね! 貴方が程度の低い世界で遊んでいる間に、私達は高度な研鑽を続けていたのよ!?」
ソフィは『ユーミル』が『金色』を纏い始めたのを見て感心したような顔を浮かべる。
「成程。見た感じお主は人間のようだが、その若さで『金色』を完全にモノにしておる。中々大したものだ」
「いつまでその余裕を見せていられるかしらね! ここに居る人形達は、ミラ様が合格点を出された『耐魔力』を誇る実験体を更に私が強化した個体達よ! 大魔王の魔法であっても全て耐えられる盾達。その恐ろしさを思い知らせてやるわ!」
ユーミルがそう言うと人形達がユーミルの盾になるように集まっていく。そしてユーミル自体は魔法の『スタック』を展開し始めるのだった。
どうやらこの人形達は先程『ユーミル』が告げたように『対魔法』に特化した『耐魔力』を持つ盾なのだろう。
大魔王の魔法であってもという発言から考えるに、相当に優秀な人形だろうと、予測出来るのであった。
「クックック『リラリオ』の世界は程度の低い世界か」
一見笑っているように見えるソフィの表情と呟く言葉からは想像が出来ないが、ソフィをよく知る者達であれば、今のソフィが普段とは違って相当に苛立っているという事を理解出来ただろう。
しかし大賢者と自分で名乗っていたユーミルは、この世界で長く生きてきた魔族と違い、見た目そのままの若い人間であり、ソフィの過去をよく知らなかった。
少しばかり自分より強い存在ではあることは認めているが『煌聖の教団』が本気で掛かれば倒せるいち魔族くらいに思っていたのだろう。
――神域魔法、『普遍破壊』。
『第二形態』になっているソフィが魔法を放つと次の瞬間、数十体居た実験体と呼ばれていた人形達の目が光り始めて、それぞれの個体が魔法を放ち始めた。
――神域『時』魔法、『次元防壁』。
ソフィの魔法『普遍破壊』は、人形達の『時魔法』によって次元の彼方へと飛ばされていき、無傷で防ぎ切るのだった。
「ふふ、これでわかったかしら? この子達は貴方の魔法でさえも、防ぐ事の出来る盾だということがねぇ!」
「あの人形達は『時魔法』を使えるのか」
「魔法に対する『防御に特化した人形』って感じですね」
同じ『魔』を得意とする魔王達である『ディアトロス』と『ユファ』は、冷静に人形を分析するのだった。
「成程、成程。ではこれならどうかな?」
ソフィの目が金色に変わり、人形達を操ろうと魔瞳である『金色の目』を展開する。
「無駄よ! 人形達に『金色の目』は効かないわ!」
ユーミルの言う通り人形達には自我はないために、どうやら『金色の目』で操ったりは出来ないようだった。
確かにこの組織によって造られた人形達は『大魔王領域』の相手でさえも、面倒だと思わせる程に『魔』に対しての耐魔に長けており『時魔法《タイム・マジック』を使える点も相まって、厄介なものだとソフィ達は理解する。
「これだけの盾に囲まれた私は余裕をもって極大魔法の準備が出来る。私を馬鹿にした報いを受けさせてやる……わ、よ?」
耐魔力を誇る人形達を盾にした事で、余裕を見せながら喋っていたユーミルだったが、彼女は目の前に居るソフィの『魔力』が急上昇していくのを感知して声が出せなくなった。
「クックック。最近は『レキ』といいお主達といい。我を退屈させぬ……」
ソフィの目が再び金色になり、周囲を『三色のオーラ』が纏われ始めていく。
「しかし我を甘く見るなよ? 先程の一撃で我の魔法を防げた気でいるのならば一瞬で消し飛ぶぞ?」
ソフィがそう言うと両手を天に翳す。
次の瞬間――。大空を埋め尽くす程の『魔法陣』と『発動羅列』が出現するのだった。
「さぁ、それでは存分に味わうがよい」
……
……
……
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
1
-
-
4
-
-
2265
-
-
111
-
-
1
-
-
104
-
-
58
-
-
439
-
-
221
コメント