最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第557話 突如現れた、謎の人形
ソフィとディアトロス達は、中央の大陸にある魔王城へと空を飛んで向かっている。
『高等移動呪文』を使って一気に『魔王城』へと向かっても良かったが、ソフィが現在のアレルバレルの世界の状況をみながら向かいたいと告げた事で、このまま大陸の様子を見ながら空を飛び『魔王城』へ向かっているのであった。
魔界はとても広くソフィ達もかなりの速度で空を飛んで移動をしてはいるが、それでも最初に降り立った大陸からそこまで離れていない二つ目の大陸の空であった。
ソフィ達は最初の大陸で『煌聖の教団』の分隊長『レルナート』を倒してからここまで、一度も組織の者達と遭遇していなかった。最初にそこそこの数の魔族達を倒しはしたが『煌聖の教団』の全体の総数から省みれば微々たる数に過ぎないだろう。
そうだというのにここまで一度も遭遇しないという事は、どうやらすでに『煌聖の教団』の幹部や指示を出す者にも『ソフィ』達がこの世界へきた事が伝わっているのだろう。
ソフィは魔王城のある中央大陸に、奴らの『組織』はその軍勢を結集させているのだろうと睨んでいる。
そしてそれは間違いはないだろう『漏出』で既に、中央大陸に多くの魔族達の魔力を感知しているからである。魔力の小さい者からそこそこに大きい者まであらゆる者達が大陸に集まっている。そしてどんなに小さい者であっても、立派に大魔王の領域であった。
――だが、魔力を感知出来ている大魔王達などは、ソフィや九大魔王の敵ではない。
ソフィはおろか『智謀』ディアトロスや『破壊』のブラストが、僅か一発の『極大魔法』を放てば一瞬で消し炭に出来るだろう。
ソフィはそんな組織の兵隊達の事などは気にしてはいないが、ここに至るまで一度も『ミラ』の『魔力』を感知出来ていない事に少しばかり疑問を抱くのだった。
(レアが『リラリオ』の世界で行ったように、我らが油断を見せた瞬間に別世界から一斉に本隊を召喚するつもりだろうか?)
しかしそれならばそれで別にソフィは構わないと思う事にした。
ソフィは直接戦った事はないが、それでも組織の総帥であるミラが、あのリラリオの原初の魔族である『レキ・ヴェイルゴーザ』の強さを上回るとは考えられないからであった。
ミラがレキ程の力を持っているのだとしたらそれはソフィにとっては都合がいい事ではあるが……。しかしそれでもソフィはレキ程に戦闘を楽しむ事はないだろう。
自分が居なくなった後のこの世界を好き勝手に荒らしてまわり、そして何より大事な友人である『フルーフ』の娘のレアに対して、何も悪い事をしていないのに『二度』も狙った事はソフィにとって何よりも赦し難い事だからである。
ソフィは魔族にしては温厚過ぎる程の性格をしているが、決して勘違いをしてはならない。温厚だからと言って何をしても許されるだろうと、ひとたび彼の大事な存在を傷つけたりでもすれば、
――ソフィは『この世の誰よりも』残忍になれるのである。
…………
ソフィ達が最初にこの世界へ降り立った大陸は魔界の最東端であった。
そこから中央に向かって飛び始めてようやく、三つ目の大陸に差し掛かろうとした時であった。
何も無い空間から突如亀裂が入り、そこから多くの人形が出現する。ソフィ達は前方に今も続々と現れ始めている人形に進行方向を防がれた為、空で足止めをされるのであった。
「何だあれは?」
「分からぬが、気色が悪いのぅ?」
ソフィの言葉に、嫌そうな顔を浮かべるディアトロスだった。
「あれは……」
そこに少し遅れて飛んでいた『精霊女王』がソフィ達に追い付き、精霊女王に抱っこをされていたレアが、人形を見て口を開くのだった。
「レアよ、あれを何か知っているのか?」
ソフィが何か知っているような口ぶりのレアの顔を見ながらそう言った。
「……え、えぇ。昔の事だけど同じ顔をしたあの『人形』達を『フルーフ』様の手掛かりを探しにこの世界へ来た時、この世界で見たことがあるのよぉ」
「ほう? それは何時の事だ? 何処で見たか覚えておるか?」
レアはそこで精霊女王の顔を見て『もう下ろしていいよ』と口にしながら自分で空に浮き、そしてソフィの方を見て口を開いた。
「数千年前だったかしらぁ。確か貴方達魔王軍が、リーシャ達の住んでいた集落の近くにあった『組織』の連中の拠点を襲撃した時だったと思うのだけどぉ。そこに私がバルドと一緒に密かに拠点の中に入り込んだんだけどねぇ? その時に地下にあの人形達と同じ顔をした人間のようなモノが、培養液に浸けられた状態のカプセル装置みたいなのに入っていたのよぉ!」
(※『煌聖教団誕生編』398話『大賢者ミラの残していた生体実験室』参照)。
「三千年前……?」
「ああ。思い出したわい。ソフィあれじゃよ。どうやらヌーの奴と戦争を起こした後の残党狩りをした時の事じゃ」
ディアトロスはレアの説明にピンときたようで、ソフィに説明を始めるのだった。
「うむ……。思い出せぬ」
 
――しかしソフィはそれでも、直ぐには思い出せないようであった。
……
……
……
『高等移動呪文』を使って一気に『魔王城』へと向かっても良かったが、ソフィが現在のアレルバレルの世界の状況をみながら向かいたいと告げた事で、このまま大陸の様子を見ながら空を飛び『魔王城』へ向かっているのであった。
魔界はとても広くソフィ達もかなりの速度で空を飛んで移動をしてはいるが、それでも最初に降り立った大陸からそこまで離れていない二つ目の大陸の空であった。
ソフィ達は最初の大陸で『煌聖の教団』の分隊長『レルナート』を倒してからここまで、一度も組織の者達と遭遇していなかった。最初にそこそこの数の魔族達を倒しはしたが『煌聖の教団』の全体の総数から省みれば微々たる数に過ぎないだろう。
そうだというのにここまで一度も遭遇しないという事は、どうやらすでに『煌聖の教団』の幹部や指示を出す者にも『ソフィ』達がこの世界へきた事が伝わっているのだろう。
ソフィは魔王城のある中央大陸に、奴らの『組織』はその軍勢を結集させているのだろうと睨んでいる。
そしてそれは間違いはないだろう『漏出』で既に、中央大陸に多くの魔族達の魔力を感知しているからである。魔力の小さい者からそこそこに大きい者まであらゆる者達が大陸に集まっている。そしてどんなに小さい者であっても、立派に大魔王の領域であった。
――だが、魔力を感知出来ている大魔王達などは、ソフィや九大魔王の敵ではない。
ソフィはおろか『智謀』ディアトロスや『破壊』のブラストが、僅か一発の『極大魔法』を放てば一瞬で消し炭に出来るだろう。
ソフィはそんな組織の兵隊達の事などは気にしてはいないが、ここに至るまで一度も『ミラ』の『魔力』を感知出来ていない事に少しばかり疑問を抱くのだった。
(レアが『リラリオ』の世界で行ったように、我らが油断を見せた瞬間に別世界から一斉に本隊を召喚するつもりだろうか?)
しかしそれならばそれで別にソフィは構わないと思う事にした。
ソフィは直接戦った事はないが、それでも組織の総帥であるミラが、あのリラリオの原初の魔族である『レキ・ヴェイルゴーザ』の強さを上回るとは考えられないからであった。
ミラがレキ程の力を持っているのだとしたらそれはソフィにとっては都合がいい事ではあるが……。しかしそれでもソフィはレキ程に戦闘を楽しむ事はないだろう。
自分が居なくなった後のこの世界を好き勝手に荒らしてまわり、そして何より大事な友人である『フルーフ』の娘のレアに対して、何も悪い事をしていないのに『二度』も狙った事はソフィにとって何よりも赦し難い事だからである。
ソフィは魔族にしては温厚過ぎる程の性格をしているが、決して勘違いをしてはならない。温厚だからと言って何をしても許されるだろうと、ひとたび彼の大事な存在を傷つけたりでもすれば、
――ソフィは『この世の誰よりも』残忍になれるのである。
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ソフィ達が最初にこの世界へ降り立った大陸は魔界の最東端であった。
そこから中央に向かって飛び始めてようやく、三つ目の大陸に差し掛かろうとした時であった。
何も無い空間から突如亀裂が入り、そこから多くの人形が出現する。ソフィ達は前方に今も続々と現れ始めている人形に進行方向を防がれた為、空で足止めをされるのであった。
「何だあれは?」
「分からぬが、気色が悪いのぅ?」
ソフィの言葉に、嫌そうな顔を浮かべるディアトロスだった。
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そこに少し遅れて飛んでいた『精霊女王』がソフィ達に追い付き、精霊女王に抱っこをされていたレアが、人形を見て口を開くのだった。
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「……え、えぇ。昔の事だけど同じ顔をしたあの『人形』達を『フルーフ』様の手掛かりを探しにこの世界へ来た時、この世界で見たことがあるのよぉ」
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(※『煌聖教団誕生編』398話『大賢者ミラの残していた生体実験室』参照)。
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「ああ。思い出したわい。ソフィあれじゃよ。どうやらヌーの奴と戦争を起こした後の残党狩りをした時の事じゃ」
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