最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第555話 隆盛を極めた組織に陰り
そして遂にソフィ達の前に『煌聖の教団』の軍勢が集まってくるのだった。どうやらこの場に『組織』の幹部クラスは居ないようだが、向かってくる数が尋常では無かった。
シス達が帰る前にソフィ達が感知した者達は数十体程度であったが、その背後から更に『第二陣』『第三陣』と次々に大魔王クラスの魔力を持った者達が群を成してこちらに向かってくるのが視線の先に見えた。その数は既に百を越えようかと言う程であり、どうやら『煌聖の教団』達も最初に分隊の仲間達が瞬殺された事を理解して、この『魔界』に潜んでいた強者達が自分達に牙を向いたのだろうと、判断しての行動だったのだろう。
――このアレルバレルの世界には、常識が通用しない程の強さを持った存在が多く居る。
ここに向かわせた『煌聖の教団』の分隊の参謀と言える隊長は、用心をしたつもりでこれだけの軍勢を送ってきたのだろうが、それでもまだ見通しが甘いといえただろう。
しかしそれも無理は無い。ここにまさか居なくなった筈の『アレルバレル』最強の大魔王が帰還を果たして自分達を待ち構えている事など、分隊の隊長程度では理解の出来る範疇を越えていたからである。
そしてソフィや九大魔王達の射程距離に『煌聖の教団』の軍勢が入ったその時だった。
――まず『リーシャ』が自身の身体がブレる程の速度で、間合いに入った者を順番に斬り裂いていく。台風のように射程内に入った『組織』の大魔王達の手や足や胴体を次々と両手に持つ短剣で裂いていく。
――次に『イリーガル』がユファの魔法で攻撃力が増したその大刀の恐るべき破壊力を見せつけるかのように、金色を纏って真横に振り切ると迸る程の衝撃波が『煌聖の教団』の魔族達の首を全て吹き飛ばしていった。
リーシャとイリーガルという『九大魔王』の前衛二人で、分隊の第一陣であった数十体の大魔王は一斉にその命を散らされるのだった。
目の前で自分達の仲間達が一瞬で殺される様子を見て、勢いよくこちらに向かっていた『第二陣』の魔族達は急いでその足を止め始めた。
だがしかし、その中途半端に速度を緩めてしまった事で、九大魔王である『ブラスト』や『ディアトロス』の魔法の恰好の餌食となってしまった。
――神域魔法、『崩壊ス、摺リ砕ク虚構ノ世界』。
――神域魔法、『普遍破壊』。
視界に映る空。その全域に二人の神域魔法の発動を知らせる魔法陣が出現して、こちらに向かっていた『煌聖の教団』の大魔王達は、一瞬で骨ごと残らず消し飛んでしまうのだった。
そして一番最後にこちらに向かってきていた第三陣の者達。分隊の隊長である『レルナート』とその仲間たちは、目の前で百体近い規模の仲間達が一瞬でやられるところを目の当たりにして慌てて自分達より位の高い本隊の者達に知らせるために、この場から去ろうと恐ろしい程の速度で引き返していった。
――しかしそれも『最強の大魔王』から逃げる事は決して出来ない。
――魔神域魔法、『転覆』。
『三色併用』のオーラを身に纏ったソフィが、組織の者達を地獄の淵へと誘うのだった。
『レルナート』以下、あらゆる世界から集められた精鋭の大魔王達である『組織』の分隊達は、翼を捥がれた鳥の如く、地へとその身を堕としていく。
そこに更に『ソフィ』の目が金色に変わったかと思うと、地に伏していった者達全員を強引に動けなくする。そして『レルナート』達の命の鼓動を強制的に止める。
――魔神域魔法、『終焉』。
キィイインという音と共に、ソフィの眼光が眩く光り輝いたかと思うと、悍ましい程の魔力が放出されていき『第一陣』『第二陣』そして分隊長『レルナート』を含めた『第三陣』。その全ての『煌聖の教団』の魂を一瞬で消し飛ばすのだった。
『代替身体』に向けて魂が向かう間もなく、全ての大魔王の魂は等しく消し飛んだのである。
『代替身体』をいくら用意しようとも何の意味も為さない。
『時魔法』の一つに『空間除外』という一時的にこの世界から除外する魔法があるが、ソフィの魔法の代名詞でもある『終焉』は『空間除外』程度とは比べる事すらも烏滸がましい。
ソフィの魔力に抗えなかった者の末路は、完全にこの世から魂を消し去ってしまうのである。たとえ神であろうともソフィの『終焉』の影響を受けた者達の魂を元に戻す事は出来ないだろう。抗う事が出来るとすればその時のソフィの魔力の加減を上回る耐魔力を持つ事のみである。
――だがそれは『分隊程度の大魔王達』では、今のソフィの形態から放たれた『終焉』をどうする事も出来なかった。
「……よし、全て片付いたようだ。ではこのまま魔王城へ向かうぞ」
「「御意!」」
「はい!」
『九大魔王』達が元気よくソフィの言葉に返事をして笑いながら飛んで行くが『魔王』レアだけはソフィの発した魔法の恐ろしさに足を動かせず、呆然と立ち尽くしながら飛んで行くソフィ達の後ろ姿を眺める事しか出来なかった。
精霊女王であるミューテリアは動こうとせずに震えているレアを見て『仕方ないわね』と告げて、その動けずにいる小さな身体のレアの脇の下から手を入れて、自分の胸に抱きながら『ミューテリア』は、ソフィの後を追いかけるのだった。
ミューテリアの腕の中で運ばれていくレアは、過去のトラウマが蘇っていたようで、カチカチカチカチという歯が擦れ合う音をいつまでも周囲に響かせていた。
……
……
……
シス達が帰る前にソフィ達が感知した者達は数十体程度であったが、その背後から更に『第二陣』『第三陣』と次々に大魔王クラスの魔力を持った者達が群を成してこちらに向かってくるのが視線の先に見えた。その数は既に百を越えようかと言う程であり、どうやら『煌聖の教団』達も最初に分隊の仲間達が瞬殺された事を理解して、この『魔界』に潜んでいた強者達が自分達に牙を向いたのだろうと、判断しての行動だったのだろう。
――このアレルバレルの世界には、常識が通用しない程の強さを持った存在が多く居る。
ここに向かわせた『煌聖の教団』の分隊の参謀と言える隊長は、用心をしたつもりでこれだけの軍勢を送ってきたのだろうが、それでもまだ見通しが甘いといえただろう。
しかしそれも無理は無い。ここにまさか居なくなった筈の『アレルバレル』最強の大魔王が帰還を果たして自分達を待ち構えている事など、分隊の隊長程度では理解の出来る範疇を越えていたからである。
そしてソフィや九大魔王達の射程距離に『煌聖の教団』の軍勢が入ったその時だった。
――まず『リーシャ』が自身の身体がブレる程の速度で、間合いに入った者を順番に斬り裂いていく。台風のように射程内に入った『組織』の大魔王達の手や足や胴体を次々と両手に持つ短剣で裂いていく。
――次に『イリーガル』がユファの魔法で攻撃力が増したその大刀の恐るべき破壊力を見せつけるかのように、金色を纏って真横に振り切ると迸る程の衝撃波が『煌聖の教団』の魔族達の首を全て吹き飛ばしていった。
リーシャとイリーガルという『九大魔王』の前衛二人で、分隊の第一陣であった数十体の大魔王は一斉にその命を散らされるのだった。
目の前で自分達の仲間達が一瞬で殺される様子を見て、勢いよくこちらに向かっていた『第二陣』の魔族達は急いでその足を止め始めた。
だがしかし、その中途半端に速度を緩めてしまった事で、九大魔王である『ブラスト』や『ディアトロス』の魔法の恰好の餌食となってしまった。
――神域魔法、『崩壊ス、摺リ砕ク虚構ノ世界』。
――神域魔法、『普遍破壊』。
視界に映る空。その全域に二人の神域魔法の発動を知らせる魔法陣が出現して、こちらに向かっていた『煌聖の教団』の大魔王達は、一瞬で骨ごと残らず消し飛んでしまうのだった。
そして一番最後にこちらに向かってきていた第三陣の者達。分隊の隊長である『レルナート』とその仲間たちは、目の前で百体近い規模の仲間達が一瞬でやられるところを目の当たりにして慌てて自分達より位の高い本隊の者達に知らせるために、この場から去ろうと恐ろしい程の速度で引き返していった。
――しかしそれも『最強の大魔王』から逃げる事は決して出来ない。
――魔神域魔法、『転覆』。
『三色併用』のオーラを身に纏ったソフィが、組織の者達を地獄の淵へと誘うのだった。
『レルナート』以下、あらゆる世界から集められた精鋭の大魔王達である『組織』の分隊達は、翼を捥がれた鳥の如く、地へとその身を堕としていく。
そこに更に『ソフィ』の目が金色に変わったかと思うと、地に伏していった者達全員を強引に動けなくする。そして『レルナート』達の命の鼓動を強制的に止める。
――魔神域魔法、『終焉』。
キィイインという音と共に、ソフィの眼光が眩く光り輝いたかと思うと、悍ましい程の魔力が放出されていき『第一陣』『第二陣』そして分隊長『レルナート』を含めた『第三陣』。その全ての『煌聖の教団』の魂を一瞬で消し飛ばすのだった。
『代替身体』に向けて魂が向かう間もなく、全ての大魔王の魂は等しく消し飛んだのである。
『代替身体』をいくら用意しようとも何の意味も為さない。
『時魔法』の一つに『空間除外』という一時的にこの世界から除外する魔法があるが、ソフィの魔法の代名詞でもある『終焉』は『空間除外』程度とは比べる事すらも烏滸がましい。
ソフィの魔力に抗えなかった者の末路は、完全にこの世から魂を消し去ってしまうのである。たとえ神であろうともソフィの『終焉』の影響を受けた者達の魂を元に戻す事は出来ないだろう。抗う事が出来るとすればその時のソフィの魔力の加減を上回る耐魔力を持つ事のみである。
――だがそれは『分隊程度の大魔王達』では、今のソフィの形態から放たれた『終焉』をどうする事も出来なかった。
「……よし、全て片付いたようだ。ではこのまま魔王城へ向かうぞ」
「「御意!」」
「はい!」
『九大魔王』達が元気よくソフィの言葉に返事をして笑いながら飛んで行くが『魔王』レアだけはソフィの発した魔法の恐ろしさに足を動かせず、呆然と立ち尽くしながら飛んで行くソフィ達の後ろ姿を眺める事しか出来なかった。
精霊女王であるミューテリアは動こうとせずに震えているレアを見て『仕方ないわね』と告げて、その動けずにいる小さな身体のレアの脇の下から手を入れて、自分の胸に抱きながら『ミューテリア』は、ソフィの後を追いかけるのだった。
ミューテリアの腕の中で運ばれていくレアは、過去のトラウマが蘇っていたようで、カチカチカチカチという歯が擦れ合う音をいつまでも周囲に響かせていた。
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