最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第539話 婚約の証
露店商に渡された物は、綺麗な青色の『水晶のイヤリング』と『水晶の腕輪』だった。
「どちらも別々に仕入れたんだがな。本来無色透明な物が青色と珍しく、合わせたように全く同じ色だったものだからな。こういう機会があったときに、カップルに売りつけようと取っといた物なんだが。今回の記念にお前さん達にやるよ」
「綺麗。欲しいかも……」
リーネはソフィの手の中にあるイヤリングを魅入られたように見つめながらつぶやく。
「……よいのか? 商品なのだろう?」
「構わねぇよ。むしろお前達に受け取って欲しいからな」
「すまぬな。おやじよ」
その言葉におやじはソフィの肩を叩きながら、豪快な笑い声をあげるのだった。
リーネは左右の耳にイヤリングをつけて、そして何かを待つようにじっとソフィを見るのだった。
「うむ、とても良く似合っておるぞ」
ソフィがそう言うと『リーネ』は満面の笑みで照れるのだった。
「やれやれ。子供だと思っていたが存外やるじゃねぇか」
おやじは感心したとばかりにソフィを褒めるのだった。
そしてソフィもリーネと合わせるために、左手に青色をした『水晶の腕輪』をつける。
「ところでソフィよ。お前達はこれから冒険者ギルドへ行くのか?」
「うむ。久しぶりにディラックの顔でも見に行こうと思っておったのでな」
「そうか。今この町の冒険者ギルドは、お前のおかげで多くの冒険者が集まってきている。昔よりも荒々しい奴らも多くいるから、気を付けていくんだぞ」
「クックック。我がやられると思うか?」
ニヤリと笑うソフィに溜息を吐きながら、おやじは続けた。
「いや。そうじゃなくて、お前がやりすぎないようにと思って言っているんだ」
「む。そっちだったか……」
「ぷぷ……」
勘違いしたソフィを見て、堪えきれずに笑うリーネだった。
「最初からフードを外しておけば絡まれる事はないだろうが、今度は違う意味で囲まれるだろうな」
ミールガルド大陸の大英雄な上に『破壊神』という異名持ちのソフィは、冒険者でなくとも顔を知られている程の有名人である。グランの冒険者ギルドにローブなしで入ればどういう扱いを受けるか、それは火を見るより明らかな事だろう。
「……あまりに目立つようであれば、対策を講じよう」
ソフィは『紅い目』や『金色の目』を使って、認識を薄れさせたりすればよいと判断するのだった。
「お前が酒を飲める年齢だったらなぁ。夜にでも酒場に誘うんだが」
残念そうに溜息を吐きながらおやじはそう告げる。
「我は構わぬぞ? こう見えて酒はイケる口だ。お主より酒豪だと思うぞ」
「馬鹿言えよ。お前自分が何歳だと思っているんだ」
見た目が10歳の少年であるソフィを見ながら、おやじは説教を始めるのだった。
(うむ。おやじにはいつか、しっかりと説明をした方がよさそうだ)
ソフィは心の中でそう決心するのだった。
「まぁよい。それでは我たちはもう行くぞ?」
そう言いながらソフィは懐にいつも入れている『例の袋』をおやじに投げて渡す。
「おい、なんだこれは?」
「なに、おやじに貰ったものに比べたら大したものじゃない。我達が居なくなってから中を検めるがよいぞ」
「本当に大したものじゃないんだな? しかしせっかくのお前からの贈り物だからな。有難く受け取るぞ。だが中身の度が過ぎていたら、今度会う時に全部返すからな!」
「クックック。それではな?」
「ああ。会えて嬉しかったよ、また絶対に会いに来いよ」
「おじさん。耳飾りありがとうございました!」
「おう! リーネちゃんもまた会おうな」
そうしてソフィ達は『露店商』に手を振りながら、その場を後にするのだった。
……
……
……
「アイツ。次はいつ頃来てくれるのかなぁ……」
ソフィ達の姿が見えなくなった後『露店商』は寂しそうな表情をしながら、無言でソフィ達の歩いていった方を見つめながらそう呟くのだった。
「そういやアイツ。これを後で検めろといっていたな?」
そう言って手元に残った『ソフィ』の贈り物を開けるおやじだったが――。
ソフィから受け取った袋の中には、大商人達が一目置く程のそれはそれは、大きな屋敷を丸ごといくつも買える程の『光金貨』がギチギチに詰められていたのだった。
(あ、あいつ! 本当に馬鹿なんじゃないのか!? こ、こんな物持ち歩いてると知られたら襲われてもおかしくないんだぞ。ソフィ!)
「オイオイ、どうしたんだ? お前さんさっきソフィさんから何を貰ってたんだ?」
向かいの露店の店主は、先程のソフィとのやり取りを見ていたのだろう。おやじの挙動不審ぶりに眉をひそめながら声を掛けてくるのだった。
「うおおお!? な、何でもねぇよ! きょ、今日はもう店じまいだ! は、ははは……」
慌てて商品を纏めながらその場を後にするおやじだった。
「お、おい! いっちまいやがった……。一体何を貰ったのか気になるじゃねぇか」
向かいの店主は頭を掻きながらそう口にして、おやじの慌てながら去っていく後ろ姿を眺めるのだった。
……
……
……
「どちらも別々に仕入れたんだがな。本来無色透明な物が青色と珍しく、合わせたように全く同じ色だったものだからな。こういう機会があったときに、カップルに売りつけようと取っといた物なんだが。今回の記念にお前さん達にやるよ」
「綺麗。欲しいかも……」
リーネはソフィの手の中にあるイヤリングを魅入られたように見つめながらつぶやく。
「……よいのか? 商品なのだろう?」
「構わねぇよ。むしろお前達に受け取って欲しいからな」
「すまぬな。おやじよ」
その言葉におやじはソフィの肩を叩きながら、豪快な笑い声をあげるのだった。
リーネは左右の耳にイヤリングをつけて、そして何かを待つようにじっとソフィを見るのだった。
「うむ、とても良く似合っておるぞ」
ソフィがそう言うと『リーネ』は満面の笑みで照れるのだった。
「やれやれ。子供だと思っていたが存外やるじゃねぇか」
おやじは感心したとばかりにソフィを褒めるのだった。
そしてソフィもリーネと合わせるために、左手に青色をした『水晶の腕輪』をつける。
「ところでソフィよ。お前達はこれから冒険者ギルドへ行くのか?」
「うむ。久しぶりにディラックの顔でも見に行こうと思っておったのでな」
「そうか。今この町の冒険者ギルドは、お前のおかげで多くの冒険者が集まってきている。昔よりも荒々しい奴らも多くいるから、気を付けていくんだぞ」
「クックック。我がやられると思うか?」
ニヤリと笑うソフィに溜息を吐きながら、おやじは続けた。
「いや。そうじゃなくて、お前がやりすぎないようにと思って言っているんだ」
「む。そっちだったか……」
「ぷぷ……」
勘違いしたソフィを見て、堪えきれずに笑うリーネだった。
「最初からフードを外しておけば絡まれる事はないだろうが、今度は違う意味で囲まれるだろうな」
ミールガルド大陸の大英雄な上に『破壊神』という異名持ちのソフィは、冒険者でなくとも顔を知られている程の有名人である。グランの冒険者ギルドにローブなしで入ればどういう扱いを受けるか、それは火を見るより明らかな事だろう。
「……あまりに目立つようであれば、対策を講じよう」
ソフィは『紅い目』や『金色の目』を使って、認識を薄れさせたりすればよいと判断するのだった。
「お前が酒を飲める年齢だったらなぁ。夜にでも酒場に誘うんだが」
残念そうに溜息を吐きながらおやじはそう告げる。
「我は構わぬぞ? こう見えて酒はイケる口だ。お主より酒豪だと思うぞ」
「馬鹿言えよ。お前自分が何歳だと思っているんだ」
見た目が10歳の少年であるソフィを見ながら、おやじは説教を始めるのだった。
(うむ。おやじにはいつか、しっかりと説明をした方がよさそうだ)
ソフィは心の中でそう決心するのだった。
「まぁよい。それでは我たちはもう行くぞ?」
そう言いながらソフィは懐にいつも入れている『例の袋』をおやじに投げて渡す。
「おい、なんだこれは?」
「なに、おやじに貰ったものに比べたら大したものじゃない。我達が居なくなってから中を検めるがよいぞ」
「本当に大したものじゃないんだな? しかしせっかくのお前からの贈り物だからな。有難く受け取るぞ。だが中身の度が過ぎていたら、今度会う時に全部返すからな!」
「クックック。それではな?」
「ああ。会えて嬉しかったよ、また絶対に会いに来いよ」
「おじさん。耳飾りありがとうございました!」
「おう! リーネちゃんもまた会おうな」
そうしてソフィ達は『露店商』に手を振りながら、その場を後にするのだった。
……
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そう言って手元に残った『ソフィ』の贈り物を開けるおやじだったが――。
ソフィから受け取った袋の中には、大商人達が一目置く程のそれはそれは、大きな屋敷を丸ごといくつも買える程の『光金貨』がギチギチに詰められていたのだった。
(あ、あいつ! 本当に馬鹿なんじゃないのか!? こ、こんな物持ち歩いてると知られたら襲われてもおかしくないんだぞ。ソフィ!)
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「うおおお!? な、何でもねぇよ! きょ、今日はもう店じまいだ! は、ははは……」
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