最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第526話 ソフィVSレキ2
――その時、信じられない事が起きた。
レキが何やら魔法を発動をしようとしているのを見たソフィが、その隙の大きさを咎めるつもりで手を伸ばした時であった。レキの目が左右違う色に発光した瞬間。ソフィの意識の中で、時間の流れが変わったのを感じ取った。
――神域『時』魔法、『創造羅移界』。
自分の手はレキへと伸ばした筈だったが、自分の視界の先にはすでにレキの姿はなかった。
ソフィの見ている景色がコマ送りで再生されるかの如く動いていく。自分だけが周りと流れている時間が違うという認識は出来るのだが、分かっていてもどうする事も出来ないのである。
――何故ならソフィの中では、普段通りに動いているつもりだからである。
「どうやら、終わりだな?」
ソフィの耳にレキの言葉が聞こえてくるが、この言葉の意味がソフィの中で考えられる頃には、そこから更に時間が経っている事だろう。そんな事を現段階では分かってはいないソフィは、先程までいたレキの場所へと手を伸ばそうとしている。
ソフィの時間を奪ったレキは、悠々と時間を使って『発動羅列』を並べていく。
そしてソフィがようやくレキが動いたという認識を得たようで、視線をゆっくりと今の居る『レキ』の場所へと持ってきていた。
――しかし、その頃にはもうあまりにも遅すぎた。
レキはソフィのローブの上から肩に手をやり、展開した魔法に『スタック』させていた魔力を乗せる。
――魔神域魔法、『開陣炎爆』。
次の瞬間、ソフィの身体が燃え上がった――。
その炎の勢いはソフィを包み込んだ後も消えない。いや、それどころか更に勢いを増していき、ソフィの周囲をも巻き込んで円を描くように燃え広がっていく。
燃え広がった炎は中心に居るソフィに向けてゆっくりと取り囲みながら、既に恐ろしい程の炎上をしているソフィに向かっていく。そして第二波と呼べるその炎が、ソフィの居る中心地点にまで向かってくると、そこで驚異的な大爆発を起こした。
レキの放った『魔神域魔法』である『開陣炎爆』は、最初の業火で仕留める魔法ではなく、真髄はその後の取り囲む炎が対象の元へ向かった時に生じる爆発であった。
――まさにこの魔法は、敵を二度殺す。
この『開陣炎爆』は『レキ・ヴェイルゴーザ』固有のオリジナル『魔法』であった。
そして確実にソフィを仕留める為に放ったもう一つの『神域魔法』。
レキが使った『創造羅移界』は、これもまた彼自身が編み出した魔法であり、個の結界を創り出すまさに『神域』の魔法である。
レキの両目が元の色に戻り大きく息を吐いた。
『三色併用』を使って、普段の『代替身体』のこの身体とは、比べ物にならない魔力値を誇ってはいるが、それでもこの二つの魔法を一つの戦闘で使うと、流石に膨大な魔力消費は抑えられなかった。
「……クククク! 数千年ぶりに使ったが、この魔法はやはり爽快感があるな」
凄惨と呼ぶに相応しいレキの爆撃は、周囲一帯の岩山を完全に吹き飛ばして、風に流されて各所に燃え広がっていた。
そして対象となったソフィは、当然に甚大なダメージを負っている筈であろう。
かつて『リラリオ』の世界で戦った『魔神』には『時魔法』が無効化される為に、無抵抗の状態で『開陣炎爆』のダメージを与える事は出来なかったが、直撃を受けたソフィに至っては防御をするどころか、完全に何が起きたか理解をする前に、致命的なダメージを負ったであろう。
如何に耐魔力を誇る者であろうとも、予想外の状況下で何も対策をせずままに直撃して、耐えられる程甘い魔法ではない。
いくら大魔王レキが『代替身体』の身で、本来の身体の十分の一程にまで『魔力』が低下しているとはいえ、それでも十分に『魔神域』位階に到達している程の『魔法』である。
リラリオの始祖の魔族『レキ』は勝ちを確信してソフィの姿を探す。
流石に死は避けられないであろうが『三色併用』を使っていた程の身体ならば、消滅はされてはおらず、乗り換える程度には身体自体は無事であるだろう。
この体は『ビラーノ』と呼ばれていた魔族の身体だが、本体程ではなくともこの身体も『梗桎梏病』に罹っていて、今のように『魔力』を操れる事も近々出来なくなるだろう。
だからこそレキにとっては、一刻も早く『新しい身体』が必要なのであった――。
しかし地面に転がっている筈のソフィの姿がまだ見つけられない。流石にレキはおかしいと思い始めるのだった。
そしてどこにもない『ソフィ』の死体を探していたレキは、ふと一つの可能性に思い当たり、まさかと思いながらも『漏出』を使ってソフィの魔力を探る。
――そしてそこで『魔力』を感知して空を見上げる。
レキはその姿を見た時に目を丸くして驚いた。あれ程の攻撃を受けて『大魔王ソフィ』は余裕を見せながら、空に浮かんでいたのだった。
「ふ、ふははは! 素晴らしいぞ、大魔王レキ! この我が痛みというモノが明確に感じられたのだ! これ程のダメージを負い続ければ、我はいずれ死ぬ事が出来るかもしれない!!」
「死ぬ……? この我が消滅させられるというのか!? クックック! す、素晴らしい! フハハハハ!!」
ソフィが突然笑い始めたかと思うと、バチバチとソフィの身体に火花のようなものが飛び始めて、次の瞬間には『魔力』の余波が辺り一帯に伝播していき、岩山に囲まれた場所が大きく揺れ動いたかと思うと、次の瞬間にはあっという間に更地へと変えられていくのであった。
……
……
……
レキが何やら魔法を発動をしようとしているのを見たソフィが、その隙の大きさを咎めるつもりで手を伸ばした時であった。レキの目が左右違う色に発光した瞬間。ソフィの意識の中で、時間の流れが変わったのを感じ取った。
――神域『時』魔法、『創造羅移界』。
自分の手はレキへと伸ばした筈だったが、自分の視界の先にはすでにレキの姿はなかった。
ソフィの見ている景色がコマ送りで再生されるかの如く動いていく。自分だけが周りと流れている時間が違うという認識は出来るのだが、分かっていてもどうする事も出来ないのである。
――何故ならソフィの中では、普段通りに動いているつもりだからである。
「どうやら、終わりだな?」
ソフィの耳にレキの言葉が聞こえてくるが、この言葉の意味がソフィの中で考えられる頃には、そこから更に時間が経っている事だろう。そんな事を現段階では分かってはいないソフィは、先程までいたレキの場所へと手を伸ばそうとしている。
ソフィの時間を奪ったレキは、悠々と時間を使って『発動羅列』を並べていく。
そしてソフィがようやくレキが動いたという認識を得たようで、視線をゆっくりと今の居る『レキ』の場所へと持ってきていた。
――しかし、その頃にはもうあまりにも遅すぎた。
レキはソフィのローブの上から肩に手をやり、展開した魔法に『スタック』させていた魔力を乗せる。
――魔神域魔法、『開陣炎爆』。
次の瞬間、ソフィの身体が燃え上がった――。
その炎の勢いはソフィを包み込んだ後も消えない。いや、それどころか更に勢いを増していき、ソフィの周囲をも巻き込んで円を描くように燃え広がっていく。
燃え広がった炎は中心に居るソフィに向けてゆっくりと取り囲みながら、既に恐ろしい程の炎上をしているソフィに向かっていく。そして第二波と呼べるその炎が、ソフィの居る中心地点にまで向かってくると、そこで驚異的な大爆発を起こした。
レキの放った『魔神域魔法』である『開陣炎爆』は、最初の業火で仕留める魔法ではなく、真髄はその後の取り囲む炎が対象の元へ向かった時に生じる爆発であった。
――まさにこの魔法は、敵を二度殺す。
この『開陣炎爆』は『レキ・ヴェイルゴーザ』固有のオリジナル『魔法』であった。
そして確実にソフィを仕留める為に放ったもう一つの『神域魔法』。
レキが使った『創造羅移界』は、これもまた彼自身が編み出した魔法であり、個の結界を創り出すまさに『神域』の魔法である。
レキの両目が元の色に戻り大きく息を吐いた。
『三色併用』を使って、普段の『代替身体』のこの身体とは、比べ物にならない魔力値を誇ってはいるが、それでもこの二つの魔法を一つの戦闘で使うと、流石に膨大な魔力消費は抑えられなかった。
「……クククク! 数千年ぶりに使ったが、この魔法はやはり爽快感があるな」
凄惨と呼ぶに相応しいレキの爆撃は、周囲一帯の岩山を完全に吹き飛ばして、風に流されて各所に燃え広がっていた。
そして対象となったソフィは、当然に甚大なダメージを負っている筈であろう。
かつて『リラリオ』の世界で戦った『魔神』には『時魔法』が無効化される為に、無抵抗の状態で『開陣炎爆』のダメージを与える事は出来なかったが、直撃を受けたソフィに至っては防御をするどころか、完全に何が起きたか理解をする前に、致命的なダメージを負ったであろう。
如何に耐魔力を誇る者であろうとも、予想外の状況下で何も対策をせずままに直撃して、耐えられる程甘い魔法ではない。
いくら大魔王レキが『代替身体』の身で、本来の身体の十分の一程にまで『魔力』が低下しているとはいえ、それでも十分に『魔神域』位階に到達している程の『魔法』である。
リラリオの始祖の魔族『レキ』は勝ちを確信してソフィの姿を探す。
流石に死は避けられないであろうが『三色併用』を使っていた程の身体ならば、消滅はされてはおらず、乗り換える程度には身体自体は無事であるだろう。
この体は『ビラーノ』と呼ばれていた魔族の身体だが、本体程ではなくともこの身体も『梗桎梏病』に罹っていて、今のように『魔力』を操れる事も近々出来なくなるだろう。
だからこそレキにとっては、一刻も早く『新しい身体』が必要なのであった――。
しかし地面に転がっている筈のソフィの姿がまだ見つけられない。流石にレキはおかしいと思い始めるのだった。
そしてどこにもない『ソフィ』の死体を探していたレキは、ふと一つの可能性に思い当たり、まさかと思いながらも『漏出』を使ってソフィの魔力を探る。
――そしてそこで『魔力』を感知して空を見上げる。
レキはその姿を見た時に目を丸くして驚いた。あれ程の攻撃を受けて『大魔王ソフィ』は余裕を見せながら、空に浮かんでいたのだった。
「ふ、ふははは! 素晴らしいぞ、大魔王レキ! この我が痛みというモノが明確に感じられたのだ! これ程のダメージを負い続ければ、我はいずれ死ぬ事が出来るかもしれない!!」
「死ぬ……? この我が消滅させられるというのか!? クックック! す、素晴らしい! フハハハハ!!」
ソフィが突然笑い始めたかと思うと、バチバチとソフィの身体に火花のようなものが飛び始めて、次の瞬間には『魔力』の余波が辺り一帯に伝播していき、岩山に囲まれた場所が大きく揺れ動いたかと思うと、次の瞬間にはあっという間に更地へと変えられていくのであった。
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