最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第524話 三色併用を纏う、支配者二人
ラルグ魔国領の少し離れた街の中にあるソフィの屋敷で、リーネの護衛を兼ねて屋敷に居た『九大魔王』のブラストはソフィの膨れ上がった魔力を感知する。
「ディアトロス殿! イリーガル! 気付いたかっ!!」
自室に居たブラストは慌てて階段を下りて、一階にあるリビングの扉を勢いよく開けて大声で仲間達の名を呼ぶ。
ソファーの上でお気に入りのお菓子を食べながら寛いでいたリーネは、突然のブラストの登場に、身体が飛びあがる程に驚きながら持っていたお菓子を落とす。
「もう! 突然何ですか、びっくりするじゃないですか!」
リーネが床に落としたお菓子を残念そうに拾い上げながら、怒りの矛先をブラストに向ける。
「ああっ! す、すみませんリーネ様!! し、しかしそれどころではないのですよ」
そう言いながらブラストはリビングを見渡すが、ディアトロスやイリーガルの姿が見えない。
「ディアトロスさんならイリーガルさんを連れてラルグの塔へ向かいましたよ? レヴトンさんに、用があるって言ってました」
「な、何ですって!? 何故ディアトロス殿は俺に声を掛けてくれなかったんだ!」
ブツブツと文句を言いながらブラストは舌打ちをするが、目の前で不機嫌にしているリーネを見て自分にリーネ様の護衛を頼んだのだろうと察したブラストだった。
「な、何ですか、わ、私を睨んで……。も、もうお菓子はありませんよ?」
黙っていても怖い顔であるブラストは、ただ見ているだけであっても凄みがあり、リーネには自分を睨みつけているように見えたのだった。
「あ、いや。しかし、あ、いや、何でもありません……」
ブラストはリーネを放ってソフィの元へ向かう訳にもいかず、少し考えた後にソフィ様であれば大丈夫だろうと結論を出して、はやる気持ちを抑えて自室のある二階へと、とぼとぼと項垂れながら戻るのだった。
……
……
……
「ククク! どうやら本当に『別世界』で最強の大魔王と呼ばれただけの事はあるようだな」
レキがそう呟いた瞬間。目の前に暴力的な魔力と、戦力値を兼ね揃えた大魔王が姿を見せる。
その大魔王ソフィの周囲には『三色混合』ではなく、その領域をもう一段越えた『三色併用』のオーラが纏われていた。更に第二形態へと姿を変えているソフィは、先程のソフィとは比べ物にならない程に戦力を増している。
「我にここまでさせたのだ。もっと我を楽しませてもらうぞ?」
「どうやら少しだけ力を見ようと軽い気持ちだったのだが、お前は想像以上だったようだ」
レキはそう言うと静かに目を閉じ深呼吸を始めた。どうやら精神統一をしているようだった。
隙だらけとなったレキを前にして、ソフィはじっとレキの準備が整うのを待つ。ソフィはレキを試すつもりであった。
ソフィにとって勝負とは、勝ち負けではない。
味方や同胞を傷つけられたりする事があれば別だが、基本的に求めている戦闘とは、如何に自分が本気になれるかが『勝負の定義』なのである。
この『最強の大魔王』にとって、勝負に対してそういう価値観を持つのは仕方がない。
――今まで数千年もの間。一度も敗れたことがないのである。
ソフィという名の魔族はこれまでの自身の歴史に敗北は存在したことが無いために、勝負は勝ち負けではなく、対戦相手となる存在が自らの力をどこまで引き出してくれるかという一種の娯楽なのである。
ラルフやリディアといった未来を持つ至高の原石でもなく『力の魔神』といった完成を果たしてはいるが、ソフィの満足するラインには達していない存在でもなく、目の前に居るレキという未知数な『力』を見せる魔族の価値は相当に高いのである。
こういう相手に出会う機会はもう、ソフィ程の強さを持つ魔族にとっては限りなく稀有なのである。 そんなソフィにとってようやく出会えた『強敵の予兆』を感じさせるレキが力を見せようとしている今、隙があるからといって不意を突くような、奇襲をする筈がなかった。
むしろレキが強くなるというのであれば、ソフィはいくらでも待つつもりである。
そしてゆっくりと『レキ・ヴェイルゴーザ』は閉じていた目を開け始める。
左目は紅く右目は金色。そして今レキの周りをソフィと同じく『三色の色のオーラ』が体現をし始めてゆっくりと、そしてじわりじわりと交ざりあっていく。
ソフィは『三色併用』までを扱う魔族をこの数千年間遡ってみても『アレルバレル』の世界でも見た事がなかった。
そして『紅』『青』『金色』のオーラが完全に交ざり、レキのオーラは『三色併用』と成った。
……
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「ディアトロス殿! イリーガル! 気付いたかっ!!」
自室に居たブラストは慌てて階段を下りて、一階にあるリビングの扉を勢いよく開けて大声で仲間達の名を呼ぶ。
ソファーの上でお気に入りのお菓子を食べながら寛いでいたリーネは、突然のブラストの登場に、身体が飛びあがる程に驚きながら持っていたお菓子を落とす。
「もう! 突然何ですか、びっくりするじゃないですか!」
リーネが床に落としたお菓子を残念そうに拾い上げながら、怒りの矛先をブラストに向ける。
「ああっ! す、すみませんリーネ様!! し、しかしそれどころではないのですよ」
そう言いながらブラストはリビングを見渡すが、ディアトロスやイリーガルの姿が見えない。
「ディアトロスさんならイリーガルさんを連れてラルグの塔へ向かいましたよ? レヴトンさんに、用があるって言ってました」
「な、何ですって!? 何故ディアトロス殿は俺に声を掛けてくれなかったんだ!」
ブツブツと文句を言いながらブラストは舌打ちをするが、目の前で不機嫌にしているリーネを見て自分にリーネ様の護衛を頼んだのだろうと察したブラストだった。
「な、何ですか、わ、私を睨んで……。も、もうお菓子はありませんよ?」
黙っていても怖い顔であるブラストは、ただ見ているだけであっても凄みがあり、リーネには自分を睨みつけているように見えたのだった。
「あ、いや。しかし、あ、いや、何でもありません……」
ブラストはリーネを放ってソフィの元へ向かう訳にもいかず、少し考えた後にソフィ様であれば大丈夫だろうと結論を出して、はやる気持ちを抑えて自室のある二階へと、とぼとぼと項垂れながら戻るのだった。
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「我にここまでさせたのだ。もっと我を楽しませてもらうぞ?」
「どうやら少しだけ力を見ようと軽い気持ちだったのだが、お前は想像以上だったようだ」
レキはそう言うと静かに目を閉じ深呼吸を始めた。どうやら精神統一をしているようだった。
隙だらけとなったレキを前にして、ソフィはじっとレキの準備が整うのを待つ。ソフィはレキを試すつもりであった。
ソフィにとって勝負とは、勝ち負けではない。
味方や同胞を傷つけられたりする事があれば別だが、基本的に求めている戦闘とは、如何に自分が本気になれるかが『勝負の定義』なのである。
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――今まで数千年もの間。一度も敗れたことがないのである。
ソフィという名の魔族はこれまでの自身の歴史に敗北は存在したことが無いために、勝負は勝ち負けではなく、対戦相手となる存在が自らの力をどこまで引き出してくれるかという一種の娯楽なのである。
ラルフやリディアといった未来を持つ至高の原石でもなく『力の魔神』といった完成を果たしてはいるが、ソフィの満足するラインには達していない存在でもなく、目の前に居るレキという未知数な『力』を見せる魔族の価値は相当に高いのである。
こういう相手に出会う機会はもう、ソフィ程の強さを持つ魔族にとっては限りなく稀有なのである。 そんなソフィにとってようやく出会えた『強敵の予兆』を感じさせるレキが力を見せようとしている今、隙があるからといって不意を突くような、奇襲をする筈がなかった。
むしろレキが強くなるというのであれば、ソフィはいくらでも待つつもりである。
そしてゆっくりと『レキ・ヴェイルゴーザ』は閉じていた目を開け始める。
左目は紅く右目は金色。そして今レキの周りをソフィと同じく『三色の色のオーラ』が体現をし始めてゆっくりと、そしてじわりじわりと交ざりあっていく。
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