最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第442話 無事の確認
ギルドに知らせに来たラルフに連れられて、ソフィ達は再び『トータル』山脈付近の森まで来ていた。
「ラルフよ、お主らが襲われたというのはこの辺か?」
「はい。確かこの辺りで全身甲冑の男に……」
そう言ってラルフ達がソフィを待っていた辺りを探し始めるが、全くレアの姿が見えない。
ラルフ達が『魔力探知』をレアに使うが、すでに魔力が尽きているのか、それとも死んでいるか……。そこまでは分からないが、全くレアの場所を探知出来ずにいた。
「これは仕方あるまい。良いか? 今から絶対に我に『漏出』をするでないぞ?」
「は……? わ、分かりました」
突然のソフィの言葉に疑問符で返すラルフだったが、何か特別な事をするのだと瞬時に理解する。
次の瞬間。ソフィの目が金色になったかと思うと、今度はソフィの周りに『金色のオーラ』が纏われ始める。するとソフィの魔力が一気に膨れ上がる。
言われた通りにラルフ達は、ソフィに『漏出』等といった『ソフィ』の力を感知出来るような類のモノを使用せずにいるために、彼が何をしたのか分からない。
しかしこちらに魔力の余波が向かないようにしてくれているとはいえ、ソフィが今行った行動によって、ラルフ達は嫌な汗を顔に浮かべ始めた。
それもその筈。ソフィが行った行動はこの『ミールガルド』全域を対象に、全ての存在の識別を行い、レアの持つ基盤の魔力を『探知』したのである。
現在のレアの魔力の大小に拘らず、元の部分のレアの魔力を探索する為に、その力の余波をラルフ達は感じたのであった。
「……居るな。どうやらレアは山の中のようだ」
そう言うとソフィはレアの割り出した大元の魔力に近づくために、前回の『疾風の隼』と呼ばれていたパーティと戦った場所付近を目指して『移動呪文』を使うのであった。
――『高等移動呪文』。
次の瞬間にはその場に居たラルフ達を巻き込んで、意識を失い倒れている『レア』の元へとワープするのだった。
突然現れたソフィ達に驚き『ベイル・タイガー』の群れが、一斉に倒れているレアの前に盾になるように並び立ち始める。
しかしこの場に現れたのが『ソフィ』だとわかると、ソフィに直接『名付け』された『ベイル』が近寄ってきた。
「グルル!! グルルルル……!!」
『念話』の魔法は既に切れているため、波長を合わせなければ、ソフィに何かを伝えようとするベイルが、何を言っているか分からない。
「そうか。お主は直ぐに『念話』が出来ぬのか。少し待っておれ」
そう言ってソフィは何かを必死に伝えようとしている『ベイル』に『紅い目』を使って、前回のように再び波長を合わせ始める。
「グルルル……! グルルルル!」
「ん?」
しかし『ソフィ』が『念話』のために『ベイル』と波長を合わせようとしたが、上手く行かずに『ベイル』の言葉が通じなかった。
「これはどうしたことだ?」
前回は『名付け』すら行う前の状態であっても、波長を合わせられたというのに『名付け』を行った今のこの状況で『念話』が通じないことにソフィは疑問に思うのだった。
ソフィは分かってはいないようだが、前回『ベイル』に伝わったのは『レア』の使用した『レパート』の『理』の魔法が用いられたからこそ伝わっていたのであり、今はもうその魔法の効力が消えてしまっているために、伝わらなかったのであった。
「グルルル!」
しかし必死に何かを伝えようとする『ベイル』に『ソフィ』は何とか疎通を図ろうと、悩んでいたことの一つを実行しようと考えるのであった。
「……これは仕方あるまい『ベイル』よ、少し強引な手段を取るが許せよ」
ソフィが何を言っているのかは分からないが、すでにソフィの事を信用しているベイルは、言葉が伝えられるようになるのならば何をされても構わないという覚悟であった。
「我の目を見るのだ」
――魔瞳『金色の目』。
ソフィは『名付け』で配下にした『ベイル』を『金色の目』で強引に意識を操り、あわない波長を強引に合わせる。
ベイルは今自分の意識もしっかりと自覚している状況ではあるが、半分はソフィに操られている状況でもある不思議な状態であった。
「どうだ? 我の言葉が分かるようになっただろう?」
「グルル! グルルルル!」
(わ、分かるようになった! 俺の言葉は伝わっていますか!)
「うむ。どうやら上手く行ったようだ」
そしてソフィもベイルの言葉が分かるようになったことで頷きを見せたのであった。
言葉が伝わるようになったことで、ベイルは先程言葉が通じなかった時にも必死に伝えようとしていた報告をソフィに行う。
どうやら『レア』はこの場に現れた謎の男から『ベイル』達を守ろうと庇い立って、そして必死に戦った末に倒れたようであった。
「グルル……!」(俺達はお嬢に命を救われたんだ……! 俺達が居たせいでお嬢が……)
そしてベイルは守ってくれたレアの事を認めたのか、レアの事をお嬢と呼んでいて意識がないレアを辛そうに見ていた。
「いやお主達のせいではない。それでレアをこんな目に合わせた奴は何処へ行った?」
少しの間目を離しただけでこんな事になるとは思わなかったソフィは、静かに怒りを孕ませながら『ベイル』にそう尋ねる。
「グルルル……、グルルルゥウ!」
(それが突然現れた人間が、お嬢や俺達を助けてくれたんです!)
「……どういう事だ?」
ソフィの言葉は分かるが『ベイル』の言葉が分からないラルフだったが、ソフィが会話の中で出て来た単語や言葉から、上手く話を組み立てたラルフが、ソフィに通訳を行おうと口を挟むのだった。
「ソフィ様! 私達を襲ってきたのは全身が甲冑や鎧に包まれた『騎士』のような男でした」
「甲冑や鎧に包まれた騎士……。ふむ、それで?」
「最初はわたしもレアさんと一緒に戦おうとしたのですが、恥ずかしながらあまりに戦力が違いすぎて騎士の攻撃からレアさんが守ってくださいまして、それでレアさんは私をソフィ様の元へ伝えに行きなさいと……」
ラルフは悔しそうな表情を浮かべて起こった出来事を正確に告げる。
その言葉を聞いてようやく一連の流れが見えてきた。
「成程。ラルフを我の元へと向かわせた後にレアは、その騎士とやらにやられそうになり、危ないところを知らない『人間』が助けに入ったということか」
「グルルル! グルル」(その通りだ……! いや、です)
ベイルはようやく伝わったとばかりに頷く。
「……しかし『代替身体』とは言っても『金色を纏う』レア程の魔族をこの世界で倒せる奴などそうは居らぬと思ったが」
そう思うこと自体が誤った常識に囚われていたのかもしれないと、ソフィは思い直すのであった。
そしてそのレアを倒す程の相手を後から人間が、助けに入ったというから尚も驚きであった。
「ひとまず、屋敷へ戻りこやつを休ませよう。ギルドへの報告はもう終わったし『エイル』への報告はまた今度でよかろう」
「そうね。早く手当して休ませてあげましょう!」
レアの身体を抱き起そうとリーネが近づくと、それまでレアの容態を見守りながら顔を舐めていたベイル・タイガー達は邪魔にならないように、さっと離れて心配そうに下から抱き抱えられるレアを見上げるのだった。
「それでは飛ぶぞ」
「はいっ……!」
ラルフとリーネが頷くのを確認した後、ソフィは『高等移動呪文』を唱えた。
ソフィの魔法によってその場に居た者達全員は、ソフィの魔法によって空を飛び『ラルグ』魔国へと向かうのだった。
……
……
……
「ラルフよ、お主らが襲われたというのはこの辺か?」
「はい。確かこの辺りで全身甲冑の男に……」
そう言ってラルフ達がソフィを待っていた辺りを探し始めるが、全くレアの姿が見えない。
ラルフ達が『魔力探知』をレアに使うが、すでに魔力が尽きているのか、それとも死んでいるか……。そこまでは分からないが、全くレアの場所を探知出来ずにいた。
「これは仕方あるまい。良いか? 今から絶対に我に『漏出』をするでないぞ?」
「は……? わ、分かりました」
突然のソフィの言葉に疑問符で返すラルフだったが、何か特別な事をするのだと瞬時に理解する。
次の瞬間。ソフィの目が金色になったかと思うと、今度はソフィの周りに『金色のオーラ』が纏われ始める。するとソフィの魔力が一気に膨れ上がる。
言われた通りにラルフ達は、ソフィに『漏出』等といった『ソフィ』の力を感知出来るような類のモノを使用せずにいるために、彼が何をしたのか分からない。
しかしこちらに魔力の余波が向かないようにしてくれているとはいえ、ソフィが今行った行動によって、ラルフ達は嫌な汗を顔に浮かべ始めた。
それもその筈。ソフィが行った行動はこの『ミールガルド』全域を対象に、全ての存在の識別を行い、レアの持つ基盤の魔力を『探知』したのである。
現在のレアの魔力の大小に拘らず、元の部分のレアの魔力を探索する為に、その力の余波をラルフ達は感じたのであった。
「……居るな。どうやらレアは山の中のようだ」
そう言うとソフィはレアの割り出した大元の魔力に近づくために、前回の『疾風の隼』と呼ばれていたパーティと戦った場所付近を目指して『移動呪文』を使うのであった。
――『高等移動呪文』。
次の瞬間にはその場に居たラルフ達を巻き込んで、意識を失い倒れている『レア』の元へとワープするのだった。
突然現れたソフィ達に驚き『ベイル・タイガー』の群れが、一斉に倒れているレアの前に盾になるように並び立ち始める。
しかしこの場に現れたのが『ソフィ』だとわかると、ソフィに直接『名付け』された『ベイル』が近寄ってきた。
「グルル!! グルルルル……!!」
『念話』の魔法は既に切れているため、波長を合わせなければ、ソフィに何かを伝えようとするベイルが、何を言っているか分からない。
「そうか。お主は直ぐに『念話』が出来ぬのか。少し待っておれ」
そう言ってソフィは何かを必死に伝えようとしている『ベイル』に『紅い目』を使って、前回のように再び波長を合わせ始める。
「グルルル……! グルルルル!」
「ん?」
しかし『ソフィ』が『念話』のために『ベイル』と波長を合わせようとしたが、上手く行かずに『ベイル』の言葉が通じなかった。
「これはどうしたことだ?」
前回は『名付け』すら行う前の状態であっても、波長を合わせられたというのに『名付け』を行った今のこの状況で『念話』が通じないことにソフィは疑問に思うのだった。
ソフィは分かってはいないようだが、前回『ベイル』に伝わったのは『レア』の使用した『レパート』の『理』の魔法が用いられたからこそ伝わっていたのであり、今はもうその魔法の効力が消えてしまっているために、伝わらなかったのであった。
「グルルル!」
しかし必死に何かを伝えようとする『ベイル』に『ソフィ』は何とか疎通を図ろうと、悩んでいたことの一つを実行しようと考えるのであった。
「……これは仕方あるまい『ベイル』よ、少し強引な手段を取るが許せよ」
ソフィが何を言っているのかは分からないが、すでにソフィの事を信用しているベイルは、言葉が伝えられるようになるのならば何をされても構わないという覚悟であった。
「我の目を見るのだ」
――魔瞳『金色の目』。
ソフィは『名付け』で配下にした『ベイル』を『金色の目』で強引に意識を操り、あわない波長を強引に合わせる。
ベイルは今自分の意識もしっかりと自覚している状況ではあるが、半分はソフィに操られている状況でもある不思議な状態であった。
「どうだ? 我の言葉が分かるようになっただろう?」
「グルル! グルルルル!」
(わ、分かるようになった! 俺の言葉は伝わっていますか!)
「うむ。どうやら上手く行ったようだ」
そしてソフィもベイルの言葉が分かるようになったことで頷きを見せたのであった。
言葉が伝わるようになったことで、ベイルは先程言葉が通じなかった時にも必死に伝えようとしていた報告をソフィに行う。
どうやら『レア』はこの場に現れた謎の男から『ベイル』達を守ろうと庇い立って、そして必死に戦った末に倒れたようであった。
「グルル……!」(俺達はお嬢に命を救われたんだ……! 俺達が居たせいでお嬢が……)
そしてベイルは守ってくれたレアの事を認めたのか、レアの事をお嬢と呼んでいて意識がないレアを辛そうに見ていた。
「いやお主達のせいではない。それでレアをこんな目に合わせた奴は何処へ行った?」
少しの間目を離しただけでこんな事になるとは思わなかったソフィは、静かに怒りを孕ませながら『ベイル』にそう尋ねる。
「グルルル……、グルルルゥウ!」
(それが突然現れた人間が、お嬢や俺達を助けてくれたんです!)
「……どういう事だ?」
ソフィの言葉は分かるが『ベイル』の言葉が分からないラルフだったが、ソフィが会話の中で出て来た単語や言葉から、上手く話を組み立てたラルフが、ソフィに通訳を行おうと口を挟むのだった。
「ソフィ様! 私達を襲ってきたのは全身が甲冑や鎧に包まれた『騎士』のような男でした」
「甲冑や鎧に包まれた騎士……。ふむ、それで?」
「最初はわたしもレアさんと一緒に戦おうとしたのですが、恥ずかしながらあまりに戦力が違いすぎて騎士の攻撃からレアさんが守ってくださいまして、それでレアさんは私をソフィ様の元へ伝えに行きなさいと……」
ラルフは悔しそうな表情を浮かべて起こった出来事を正確に告げる。
その言葉を聞いてようやく一連の流れが見えてきた。
「成程。ラルフを我の元へと向かわせた後にレアは、その騎士とやらにやられそうになり、危ないところを知らない『人間』が助けに入ったということか」
「グルルル! グルル」(その通りだ……! いや、です)
ベイルはようやく伝わったとばかりに頷く。
「……しかし『代替身体』とは言っても『金色を纏う』レア程の魔族をこの世界で倒せる奴などそうは居らぬと思ったが」
そう思うこと自体が誤った常識に囚われていたのかもしれないと、ソフィは思い直すのであった。
そしてそのレアを倒す程の相手を後から人間が、助けに入ったというから尚も驚きであった。
「ひとまず、屋敷へ戻りこやつを休ませよう。ギルドへの報告はもう終わったし『エイル』への報告はまた今度でよかろう」
「そうね。早く手当して休ませてあげましょう!」
レアの身体を抱き起そうとリーネが近づくと、それまでレアの容態を見守りながら顔を舐めていたベイル・タイガー達は邪魔にならないように、さっと離れて心配そうに下から抱き抱えられるレアを見上げるのだった。
「それでは飛ぶぞ」
「はいっ……!」
ラルフとリーネが頷くのを確認した後、ソフィは『高等移動呪文』を唱えた。
ソフィの魔法によってその場に居た者達全員は、ソフィの魔法によって空を飛び『ラルグ』魔国へと向かうのだった。
……
……
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