最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。

羽海汐遠

第430話 エイルからの特別指名依頼

「ソフィ殿。貴方と直接会って話してみたいと思い、こうしてギルドに『指名依頼』を出してここに来て頂いたが、実はもう一つ別件で『破壊神』としてのソフィ殿に頼みがあったのだ。聞いてもらえるだろうか?」

「ふむ? 言うてみるがよい」

 ソフィの言葉を聞いてエイルは神妙に頷く。

「我が国領土である『クッケ』と『リルバーグ』の間を繋ぐ『トータル山脈』に、最近恐ろしい魔物が住み着いておってな。その魔物の見た目は『ベイル・タイガー』という『ランクB』の魔物らしいのだが、実際に山脈に生息している『ベイル・タイガー』は、標準とされる者達より比べ物にならない強さらしいのだ」

 ソフィは『ベイル・タイガー』という魔物の名を聞いた事がなかったため、どうやら『アレルバレル』には存在しない魔物なのだろうと判断するのだった。

「両方の街のギルドに『ギルド指定Aの討伐依頼』を出させていたのだが、討伐に向かったベテランの冒険者達が悉く返り討ちにあってしまったのだ。そこでソフィ殿。お主を見込んでこの魔物の退治を依頼したいのだ」

 『ベイル・タイガー』はランクBの魔物であり『勲章ランクD』のソフィに頼むのはお門違いではある。しかしソフィは、ミールガルドに所属する『勲章ランクA』の冒険者より遥かに強いというのは、すでに周知の事実であった。

「魔物を退治ではなくて、捕らえて大人しくさせるというのでは駄目か?」

 何故ソフィがそんな提案をしてきたか分からなかったが、エイルにとっては山脈を無事に民達が通れるようになれば問題はないために、その提案を受け入れた。

「もちろんそれで構わぬ! すまぬが頼んでもよいか? Aランク冒険者でも手に負えぬという事でな。余からのソフィ殿へ『特別指名依頼』という形式で『ギルド』から正式に依頼させて頂きたい」

 これは『』+『』となる。

 現在のソフィは『勲章ランクD』ではあるが、指名依頼という事で勲章ランクによるクエスト受託の条件は緩和されて、ギルドAの依頼であっても受託可能となる。

 ソフィの勲章ランクはDであり、前回のレルバノンの指名依頼を達成した事で、5000P加算されているために現在のソフィは『勲章ランクD』 26785P/30000Pである。

 『ギルド指定A級討伐』達成時の加算ポイントは3500P。
 ギルド長クラスの指名依頼は内容にもよるが、ほとんどの場合10000Pを下る事はない。

 そして今回は、ルードリヒ国王から直々の依頼であり、ただの指名依頼ではなく『特別指名依頼』であった。

 『特別指名依頼』は、内容に拘らず100000Pが付与される。

 一、国に影響力がある者が非常に厄介な問題と判断した場合のみ、クエスト発行及び依頼が許可される。

 一、勲章ランクAの冒険者であっても討伐が難しいと判断された場合のみ、クエスト発行及び依頼が許可される。

 上記二つの条件を満たしたものが『特別指名依頼』である。

「報酬は望むものを用意しよう。どうか被害が大きくなる前に討伐を願う」

「うむ。久々に冒険者としての活動だ。パーティ等は組んでも構わぬか?」

「討伐してもらえるのならば何でも構わない。その辺はソフィ殿に任せよう」

「分かった。近日中に果たせてみせよう」

「おお……! 頼むぞソフィ殿!」

 こうしてソフィは、ルードリヒ国王から『』を受けるのだった。

 ……
 ……
 ……

 ルードリヒの城を出たソフィ達は、早速『高等移動呪文アポイント』でヴェルマー大陸の自分の屋敷に戻るのだった。

 ソフィが屋敷に戻ると、ブラスト達が出迎えてくれた。

「ソフィ様! お帰りなさいませ」

「うむ。留守中何もなかったか?」

「はい。リーネさんがソフィ様の帰りを今か今かと待ちわびておったくらいですな」

 リーネの前でブラストがそんな事を言うモノだから、リーネは顔を赤くするのだった。

 屋敷の中に戻ったソフィは、エイルに聞いた『特別指名依頼』の内容を話して、冒険者ギルドに加入している者達に、パーティ編成の声を掛けるのだった。

 ソフィ 勲章ランクD 26785P/30000P 
 ラルフ 勲章ランクD 10525P/30000P
 リーネ 勲章ランクB 26525P/100000P
 レア  勲章ランクG 0/1000P

 【ソフィ】『レイズ魔国冒険者ギルド所属』。
 【ラルフ】『レイズ魔国冒険者ギルド所属』。
 【リーネ】『レイズ魔国冒険者ギルド所属』。
 【レア】 『レイズ魔国冒険者ギルド所属』。

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