最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第427話 外壁に囲まれたルードリヒ
「ここがルードリヒか?」
リマルカの案内でルードリヒに到着したソフィ達だが、まずソフィ達の前に姿を見せたのは、街でも城でもなく、中が全く見えず門以外の周りを覆う外壁だった。
「そうだ。この『ルードリヒ』王国名物の外壁は先代いや、先々代の『ルードリヒ』国王が考案したとされていてな。敵からの侵攻を防ぐ為に城の周りに更に強固な外壁を造ったとされているのだ」
現在はこの外壁の中に直接城ではなく、更に街が作られてその街の中に国王が居る城が建てられているという話であった。
「『ミールガルド』大陸の二大王国だと言われているようだが『ケビン』王国とはまるで違うのだな」
ソフィがそう言うと、リマルカは『それはそうだ』とばかりに頷く。
「ルードリヒはケビンと比べて戦争を繰り返しながら存続してきた戦争至上主義の国だからな。今でこそケビン王国は冒険者ギルドに力を注ぎ、勲章ランクの高い冒険者を多く持ってリディアという最強の剣士を擁して国家として発展を繰り返しているが、ほんの数十年前の時代であれば、ルードリヒ王国と戦争となればあっさりと敗れていただろう」
どうやら戦争という観点のみに焦点を当てた場合、ルードリヒ王国の方が勝っていると言う事なのだろう。
確かに人間同士の争いであれば、個人がいくら強かろうと軍という『量』を制する軍隊には勝てない。
少し前までの時代であればケビン王国とルードリヒ王国が、大規模な戦争があればケビン王国は敗れていただろう。
しかし今となってはもうルードリヒ王国は、ケビン王国には戦争を仕掛けられない筈である。
それ程までに冒険者ギルドという存在は、いや『ギルド』というよりは、そこに所属する『リディア』という剣士の存在は大きすぎる。
もう今のリディアであれば単純に一人で国家を相手にしても、あっさりと屠る事が可能だろう。
冒険者という新たなシステムは、ケビン王国の国力自体を高める事に成功したといえる。
そして恐らくはルードリヒ王国もまた、リディアの存在を強く受け止めて、足並を揃えるように冒険者ギルドを領土内の街々に作っていっているのだろう。
――今後、自国に『第二のリディア』という存在を生み出すために。
ソフィは何となくこの国の王が、考えている事が分かってきていた。
(いずれは再びルードリヒ王国は、ケビン王国に対して戦争を仕掛けようとしているのかもしれぬな)
そしてその為に冒険者ギルドに、力を注ぎ始めているのだろう。
ソフィはこのそびえ立つ外壁を見ながら、戦争至上主義の国家を見上げるのだった。
「まぁ今はまず国王に会ってみようか。我もこの国の王とやらと会って話をしてみたくなった」
ソフィがそう言うとリマルカは頷いた。
「それじゃソフィ達はちょっとここで待っていてくれ。門兵たちに事情を説明してくるよ」
そう言ってリマルカは正面の門まで歩いていくのだった。
そこでソフィはずっと黙っているユファの方を見る。
「……どうしたユファ?」
話しかけられたユファはソフィの方を見る。
「ソフィ様。確かに立派な外壁だとは思うのですが、空から一斉に魔法を放たれたら終わりですよね」
――台無しであった。
「まぁ、過去の歴史では役立ったのだろうよ。我ら魔族の常識で考えてはならぬ」
「はい。確かにその通りですよね。申し訳ありません」
(まぁ、間違ってはおらぬがな)
確かにソフィの言う通りに過去の歴史では役立ったのだろうが、こうしてギルドが生まれた今の時代では、ソフィ達魔族のように『人間』の中でも空を飛べる者も出て来るかもしれない。
前回ソフィやユファ達の会話でも出て来た通り、そういった教育機関が今後『ギルド』と同じように出て来るまでに、新たな展望を見据えた取り組みを常に行い続けて『結界』や対策といった要素に力を入れていかなければ、ずっと同じ外壁があれば安心とふんぞりかえっていては、今後は痛い目にあうだろうとソフィは考えるのであった。
そしてユファとそんな会話をしていると、目の前からリマルカが戻ってきた。
「ソフィ! 中へ入れてくれるようになったぞ!」
「うむ」
そして許可を得たソフィ達が門の中に入ると、そこは想像以上に街だった。
「おお! 外壁の内側はこうなっておったのか!」
「これは確かに広いですね。それにレイズ魔国より城下町に活気があるように思えます」
至る所に商店が立ち並び、店以外にも行商人たちが多く居た。
民たちはそんな商人の持つ商品を見る為に集まり、色々と笑顔で買い物を続けているようだった。
「ウェルザードという商人ギルドが近くにあるからな。多くの商人がここにもいるのさ」
「成程、成程! 我も少し見て回りたいな」
通りにある一つの屋台に『レグランの実』が並べられているのを見たソフィは、そちらに視線を奪われてそんなことを口にするのであった。
「先に国王に会ってくれよ?」
「え? ああ、うむ……。わ、分かっておるとも」
完全にレグランの実に意識を奪われて、ここに来た理由を忘れていたソフィは、誤魔化すように『リマルカ』に頷くのであった。
リマルカの案内でルードリヒに到着したソフィ達だが、まずソフィ達の前に姿を見せたのは、街でも城でもなく、中が全く見えず門以外の周りを覆う外壁だった。
「そうだ。この『ルードリヒ』王国名物の外壁は先代いや、先々代の『ルードリヒ』国王が考案したとされていてな。敵からの侵攻を防ぐ為に城の周りに更に強固な外壁を造ったとされているのだ」
現在はこの外壁の中に直接城ではなく、更に街が作られてその街の中に国王が居る城が建てられているという話であった。
「『ミールガルド』大陸の二大王国だと言われているようだが『ケビン』王国とはまるで違うのだな」
ソフィがそう言うと、リマルカは『それはそうだ』とばかりに頷く。
「ルードリヒはケビンと比べて戦争を繰り返しながら存続してきた戦争至上主義の国だからな。今でこそケビン王国は冒険者ギルドに力を注ぎ、勲章ランクの高い冒険者を多く持ってリディアという最強の剣士を擁して国家として発展を繰り返しているが、ほんの数十年前の時代であれば、ルードリヒ王国と戦争となればあっさりと敗れていただろう」
どうやら戦争という観点のみに焦点を当てた場合、ルードリヒ王国の方が勝っていると言う事なのだろう。
確かに人間同士の争いであれば、個人がいくら強かろうと軍という『量』を制する軍隊には勝てない。
少し前までの時代であればケビン王国とルードリヒ王国が、大規模な戦争があればケビン王国は敗れていただろう。
しかし今となってはもうルードリヒ王国は、ケビン王国には戦争を仕掛けられない筈である。
それ程までに冒険者ギルドという存在は、いや『ギルド』というよりは、そこに所属する『リディア』という剣士の存在は大きすぎる。
もう今のリディアであれば単純に一人で国家を相手にしても、あっさりと屠る事が可能だろう。
冒険者という新たなシステムは、ケビン王国の国力自体を高める事に成功したといえる。
そして恐らくはルードリヒ王国もまた、リディアの存在を強く受け止めて、足並を揃えるように冒険者ギルドを領土内の街々に作っていっているのだろう。
――今後、自国に『第二のリディア』という存在を生み出すために。
ソフィは何となくこの国の王が、考えている事が分かってきていた。
(いずれは再びルードリヒ王国は、ケビン王国に対して戦争を仕掛けようとしているのかもしれぬな)
そしてその為に冒険者ギルドに、力を注ぎ始めているのだろう。
ソフィはこのそびえ立つ外壁を見ながら、戦争至上主義の国家を見上げるのだった。
「まぁ今はまず国王に会ってみようか。我もこの国の王とやらと会って話をしてみたくなった」
ソフィがそう言うとリマルカは頷いた。
「それじゃソフィ達はちょっとここで待っていてくれ。門兵たちに事情を説明してくるよ」
そう言ってリマルカは正面の門まで歩いていくのだった。
そこでソフィはずっと黙っているユファの方を見る。
「……どうしたユファ?」
話しかけられたユファはソフィの方を見る。
「ソフィ様。確かに立派な外壁だとは思うのですが、空から一斉に魔法を放たれたら終わりですよね」
――台無しであった。
「まぁ、過去の歴史では役立ったのだろうよ。我ら魔族の常識で考えてはならぬ」
「はい。確かにその通りですよね。申し訳ありません」
(まぁ、間違ってはおらぬがな)
確かにソフィの言う通りに過去の歴史では役立ったのだろうが、こうしてギルドが生まれた今の時代では、ソフィ達魔族のように『人間』の中でも空を飛べる者も出て来るかもしれない。
前回ソフィやユファ達の会話でも出て来た通り、そういった教育機関が今後『ギルド』と同じように出て来るまでに、新たな展望を見据えた取り組みを常に行い続けて『結界』や対策といった要素に力を入れていかなければ、ずっと同じ外壁があれば安心とふんぞりかえっていては、今後は痛い目にあうだろうとソフィは考えるのであった。
そしてユファとそんな会話をしていると、目の前からリマルカが戻ってきた。
「ソフィ! 中へ入れてくれるようになったぞ!」
「うむ」
そして許可を得たソフィ達が門の中に入ると、そこは想像以上に街だった。
「おお! 外壁の内側はこうなっておったのか!」
「これは確かに広いですね。それにレイズ魔国より城下町に活気があるように思えます」
至る所に商店が立ち並び、店以外にも行商人たちが多く居た。
民たちはそんな商人の持つ商品を見る為に集まり、色々と笑顔で買い物を続けているようだった。
「ウェルザードという商人ギルドが近くにあるからな。多くの商人がここにもいるのさ」
「成程、成程! 我も少し見て回りたいな」
通りにある一つの屋台に『レグランの実』が並べられているのを見たソフィは、そちらに視線を奪われてそんなことを口にするのであった。
「先に国王に会ってくれよ?」
「え? ああ、うむ……。わ、分かっておるとも」
完全にレグランの実に意識を奪われて、ここに来た理由を忘れていたソフィは、誤魔化すように『リマルカ』に頷くのであった。
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