最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第417話 新たなソフィの配下レア
ソフィの配下となった翌日の事である。レアの元にユファが訪れてレイズ魔国へ向かうように告げられた。
先日にソフィに『ヴェルマー大陸の繁栄』に尽力するようにと告げられたレアは、早速自分の償いの場を与えられたのだと思い準備を始める。
そしてキーリが『ラルグ』魔国軍用の服を持ってきてくれたのだが、一番小さなサイズでもレアには合わなかった。
「まぁ、貴方の身長に合った軍服なんて置いてある筈がないわよねぇ」
レアの着替えを手伝っていたユファがそう言うと、レアは身長の事を言われて口を膨らませる。ユファに対して文句を言おうとしていたレアだが、そこでキーリが真剣な表情で口を開いた。
「やっぱり入らなかったか。仕方ねぇな今はこれを着ていきな」
レアはキーリにしっかりとした包みに入れられた綺麗な服を手渡される。
「す、すごい綺麗ねこれ」
渡された服は龍族の始祖であるキーリの人型時用の新品の服であった。
「ああ。まぁ俺用の替えの服だからな。お前と俺は背丈も近いし着れるだろう?」
そういってキーリは照れ臭そうに服をレアに渡すのだった。
「ありがとねぇ」
レアがはにかみながらキーリにお礼を言う。
「仲間の為になんとかするのは、当然の事だからな!」
そう言ってキーリも顔を真っ赤にして、部屋を出ていった。
「あんた好かれてるわねぇ」
「そうなのかなぁ?」
ユファがそう言うとレアは疑問符を打つ。
「気付かない? その服、凄い耐魔力の性能が高いわよ」
ユファの言う通り今レアが着ている服は、キーリが『代替身体』となったレアに怪我をさせないようにと昨晩から一生懸命魔力を込め続けて、レアの為だけに作った龍族の服なのだった。
(ありがとねぇ、キーリ)
レアは心の中でもう一度、キーリに感謝の言葉を言うのだった。
「さてと。それじゃあこの国と同盟を組んでいる『レイズ』魔国をあんたに紹介するわ」
「レイズ魔国か……」
レアの脳内に数千年前のレイズ魔国王で自分を慕ってくれていた『エリス』の笑顔が思い浮かぶのであった。
……
……
……
ユファとレアは『ラルグ』魔国から空を飛んでレイズ魔国へ向かう。現在『代替身体』となっているレアは、自分の描く魔力コントロールに体がついていかず、いつものような速度を出せずに四苦八苦するのだった。
「慌てなくていいから、ゆっくりと私についてきなさい」
速度を緩めながら、ユファはレアの横につく。
「え、ええ。分かっていた事だけど、まるで自分の体じゃないみたいよねぇ」
「ああ。分かるよ。私も『代替身体』となったときはそんな感じだったからね」
この世界に来る前。レインドリヒと戦いその身を『代替身体』に移した過去を持つユファは、今のレアの気持ちをよく理解できるのであった。
「まるで初めて貴方と会った時を思い出すわぁ」
「ああ、私が軍に入った時の事かしら」
「ええ、あの頃は私より貴方の方が強くて、必死に追いつこうと目標にしたものよぉ」
空を飛びながらユファはその言葉に少し驚いた表情を浮かべる。
「まさか、貴方がそんな事を素直に言うなんて思わなかったわ」
「フルーフ様の配下達の中でも貴方とレインドリヒちゃんは、群を抜いて魔力が高かったものねぇ?」
「元々私は『レパート』の世界『魔』の探求のためにフルーフ様の配下となったんだけどね」
「貴方の『魔』に対する異常な執着心は理解しているわよぉ」
「ふふっ。今から貴方を紹介する『レイズ』魔国のシスっていう子に出会う前は『魔』にしか興味がなかったからね」
レアは現在の『レイズ』魔国王である『シス』のことを知っているし『ヴェルトマー』がユファの『代替身体』であるかを確かめる時に実際に一度手を合わせている。
「レア? 分かっているとは思うけど、シスには手を出したら許さないからね」
「分かっているわよぉ。貴方が『魔』の探求より優先して、そのシスって子に入れ込んでいるのは、ソフィ様の素性を探っている時から理解しているわぁ」
「それならいいけどね……」
レアはユファがシスに対して、そこまで執着している理由が未だに理解出来ていなかった。
(この執着は単に可愛がっているだけとは思えないのよねぇ。エリスちゃんの孫で系譜を辿っているのだから『覚醒した魔王』になった事は当然理解できるのだけどぉ)
レアがシスと戦った時は、ユファがシスを守るように加勢したために、シス本来の潜在能力をその目で確かめられなかった。
シスという魔族が自身や仲間の命の危険を感じた時にみせる、本来の力というべき潜在能力。それを見ればレアもまた驚き、そして理解出来る事だろう。
シスの母である『セレス』。その『セレス』は過去にレアの残した手紙に書かれていた『レパート』の世界の『理』を全て余すことなく覚えた。
エリスの魔力と『リラリオ』の『理』。そしてセレスの『レパート』の『理』の全て受け継ぐシス。
二つの世界の『理』をすでに幼少の頃から理解していて、ヴェルトマーという師に丹念にそして丁寧に魔法を教えられたのである。
成長したシスが二つの『理』を自在に操れるようになれば、そこにシス自身の膨大な魔力が加わって恐るべき『大魔王』となる事は間違いない。
そこに『魔』の完成形を見出したユファは、必ずシスを育て上げると決心したのである。
――そしてそれこそが『魔』の追求の先、大魔王ユファの生涯の目標にしたのであった。
先日にソフィに『ヴェルマー大陸の繁栄』に尽力するようにと告げられたレアは、早速自分の償いの場を与えられたのだと思い準備を始める。
そしてキーリが『ラルグ』魔国軍用の服を持ってきてくれたのだが、一番小さなサイズでもレアには合わなかった。
「まぁ、貴方の身長に合った軍服なんて置いてある筈がないわよねぇ」
レアの着替えを手伝っていたユファがそう言うと、レアは身長の事を言われて口を膨らませる。ユファに対して文句を言おうとしていたレアだが、そこでキーリが真剣な表情で口を開いた。
「やっぱり入らなかったか。仕方ねぇな今はこれを着ていきな」
レアはキーリにしっかりとした包みに入れられた綺麗な服を手渡される。
「す、すごい綺麗ねこれ」
渡された服は龍族の始祖であるキーリの人型時用の新品の服であった。
「ああ。まぁ俺用の替えの服だからな。お前と俺は背丈も近いし着れるだろう?」
そういってキーリは照れ臭そうに服をレアに渡すのだった。
「ありがとねぇ」
レアがはにかみながらキーリにお礼を言う。
「仲間の為になんとかするのは、当然の事だからな!」
そう言ってキーリも顔を真っ赤にして、部屋を出ていった。
「あんた好かれてるわねぇ」
「そうなのかなぁ?」
ユファがそう言うとレアは疑問符を打つ。
「気付かない? その服、凄い耐魔力の性能が高いわよ」
ユファの言う通り今レアが着ている服は、キーリが『代替身体』となったレアに怪我をさせないようにと昨晩から一生懸命魔力を込め続けて、レアの為だけに作った龍族の服なのだった。
(ありがとねぇ、キーリ)
レアは心の中でもう一度、キーリに感謝の言葉を言うのだった。
「さてと。それじゃあこの国と同盟を組んでいる『レイズ』魔国をあんたに紹介するわ」
「レイズ魔国か……」
レアの脳内に数千年前のレイズ魔国王で自分を慕ってくれていた『エリス』の笑顔が思い浮かぶのであった。
……
……
……
ユファとレアは『ラルグ』魔国から空を飛んでレイズ魔国へ向かう。現在『代替身体』となっているレアは、自分の描く魔力コントロールに体がついていかず、いつものような速度を出せずに四苦八苦するのだった。
「慌てなくていいから、ゆっくりと私についてきなさい」
速度を緩めながら、ユファはレアの横につく。
「え、ええ。分かっていた事だけど、まるで自分の体じゃないみたいよねぇ」
「ああ。分かるよ。私も『代替身体』となったときはそんな感じだったからね」
この世界に来る前。レインドリヒと戦いその身を『代替身体』に移した過去を持つユファは、今のレアの気持ちをよく理解できるのであった。
「まるで初めて貴方と会った時を思い出すわぁ」
「ああ、私が軍に入った時の事かしら」
「ええ、あの頃は私より貴方の方が強くて、必死に追いつこうと目標にしたものよぉ」
空を飛びながらユファはその言葉に少し驚いた表情を浮かべる。
「まさか、貴方がそんな事を素直に言うなんて思わなかったわ」
「フルーフ様の配下達の中でも貴方とレインドリヒちゃんは、群を抜いて魔力が高かったものねぇ?」
「元々私は『レパート』の世界『魔』の探求のためにフルーフ様の配下となったんだけどね」
「貴方の『魔』に対する異常な執着心は理解しているわよぉ」
「ふふっ。今から貴方を紹介する『レイズ』魔国のシスっていう子に出会う前は『魔』にしか興味がなかったからね」
レアは現在の『レイズ』魔国王である『シス』のことを知っているし『ヴェルトマー』がユファの『代替身体』であるかを確かめる時に実際に一度手を合わせている。
「レア? 分かっているとは思うけど、シスには手を出したら許さないからね」
「分かっているわよぉ。貴方が『魔』の探求より優先して、そのシスって子に入れ込んでいるのは、ソフィ様の素性を探っている時から理解しているわぁ」
「それならいいけどね……」
レアはユファがシスに対して、そこまで執着している理由が未だに理解出来ていなかった。
(この執着は単に可愛がっているだけとは思えないのよねぇ。エリスちゃんの孫で系譜を辿っているのだから『覚醒した魔王』になった事は当然理解できるのだけどぉ)
レアがシスと戦った時は、ユファがシスを守るように加勢したために、シス本来の潜在能力をその目で確かめられなかった。
シスという魔族が自身や仲間の命の危険を感じた時にみせる、本来の力というべき潜在能力。それを見ればレアもまた驚き、そして理解出来る事だろう。
シスの母である『セレス』。その『セレス』は過去にレアの残した手紙に書かれていた『レパート』の世界の『理』を全て余すことなく覚えた。
エリスの魔力と『リラリオ』の『理』。そしてセレスの『レパート』の『理』の全て受け継ぐシス。
二つの世界の『理』をすでに幼少の頃から理解していて、ヴェルトマーという師に丹念にそして丁寧に魔法を教えられたのである。
成長したシスが二つの『理』を自在に操れるようになれば、そこにシス自身の膨大な魔力が加わって恐るべき『大魔王』となる事は間違いない。
そこに『魔』の完成形を見出したユファは、必ずシスを育て上げると決心したのである。
――そしてそれこそが『魔』の追求の先、大魔王ユファの生涯の目標にしたのであった。
「ファンタジー」の人気作品
書籍化作品
-
-
39
-
-
140
-
-
4112
-
-
4503
-
-
75
-
-
969
-
-
32
-
-
52
-
-
0
コメント