最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第415話 最後の別れと涙
レアがリーシャ達に帰る事を告げた翌日。エイネ達の家でレアは目が覚めた。
普段は長老の家に泊まっていたレアだったが、長老が何時までも帰ってこなかったために『エイネ』と『リーシャ』の二人で暮らしている家に、レアはお呼ばれされたのであった。
レアは眠い目をこすり起き上がろうとするが、自分の身体に重しがついているような感覚に囚われた。
「……んぅ?」
レアはその重しの正体を見て静かにふふっと笑う。
何とレアの身体を離すモノとかといわんばかりに、リーシャが絡みついていたのだった。
一緒の布団で昨晩は寝たのは覚えているが、まさかこんな風に抱き着かれているとは思わなかった。
「全く甘えんぼねぇ」
そう言ってレアは寝ているリーシャの顔を優しく擦る。
くすぐったそうに目を細めるリーシャを見たレアは嬉しそうに微笑む。
「あらあら、こうしてみると仲のいい姉妹ですねぇ?」
レアは部屋の襖を開けて入ってきたエイネを見上げる。
「おはようございます。レアさん」
「おはようエイネ」
「昨晩はよく眠れたようで良かったです」
そう言ってエイネはレアを見て微笑んだ。
「ええ。ぐっすり眠れたわよぉ? ありがとねぇエイネ」
エイネはいえいえと首を振って『レア』に未だに絡みついている『リーシャ』を起こそうとする。
しかしエイネがいくら引きはがそうとしても、無意識ではあるのだろうが『リーシャ』は必死にレアにしがみついて離れなかった。
「この子、本当に寝ているのかしら?」
エイネがそう言うとレアは大笑いをする。
「そのままでいいわよエイネ。最後だから……。起きるまではこうしといてあげて」
そう言ったレアの顔は少しだけ憂いでいた。
「レアさん……」
エイネはそのレアの顔に少しだけ泣きそうになりながら、そっとリーシャを掴んでいた手を離すのだった。
……
……
……
その頃『ルビリス』から報告を受けた大賢者『ミラ』は、ダールの世界で思案顔を浮かべていた。
現在ダールの世界に拠点を構えるミラは、この世界の支配者である『イザベラ』を倒した。
この世界を支配したという魔王だったが、アレルバレルでは何処にでもいるような『魔族』より弱かった。
戦力値で表せば7億程度の大魔王で、ミラにとってみれば『ヌー』の言葉を借りるのであれば『ゴミ』だった。
しかしそれでも一つの世界を束ねた魔族であることには変わりがない。
表向きはまだ奴が支配者として活動をすることを許した。
この世界を裏で操っているのは、現在はミラとヌーではあるが、フロント支配者として『イザベラ』の名は世界に残してある。
まだ私の組織へ正式に加入させたわけではないが、奴は断る事はどうせしないだろう。
アレルバレルに残してきた残党が葬られた今、まだ『組織』としては行動すべきではないが、新しく『組織』へと勧誘をしたという『バルド』という男は、あの化け物の『魔王軍』の元幹部だと言う。
『第一次魔界全土戦争』から時が経ち、ミラの『組織』の配下は多くはなったが、それでも皇帝の時代に『ミラ』が組織していた魔法部隊より質は低下している。
野望を叶えるためにはもっと強い者達が必要だ。それも単なる兵士ではなく『同士』と呼べる者達がである。少なくとも『ルビリス』と同じレベルの者を組織に増やさなければ意味がないのである。
そこまで考えたミラは『バルド』という男が、本当に使えるかどうかをその目で確かめるため。再び『アレルバレル』へと向かう準備を始めるのだった。
……
……
……
エイネの家で朝食を摂った後、レアは元の世界へ飛ぶために『概念跳躍』の準備に入った。
――リーシャ達との別れの時である。
「それじゃ世話になったわね。二人共、元気でね?」
「レアさんこそ、お元気で」
「レア! 私はレアがくるのを待ってるからね! いつでも来てね! 絶対だよ!?」
エイネとリーシャがそう言うと、レアは嬉しそうに笑った。
そこへいつの間に来たのか、ビル爺が姿を見せた。
「レアさん。金色に目覚めた貴方は研鑽を怠らなければ、いずれは本当の意味で、世界を支配出来る魔族になれる事でしょう。決して驕らず精進しなされ」
レアは目の前のビル爺がただの農夫ではないという事を薄々感じてはいたが、この時にようやく確信を持った。
「ええ! 見ていなさい? 私はもっと強くなって見せるわよぉ!」
そう言ってビル爺にウインクした後に、レアはエイネ達の顔を見る。
「じゃ、もう行くわね?」
レアが儚げにそう呟くと頑張って笑って送り出そうとしていた、リーシャの顔が歪み始める。
リーシャは必死に笑い顔を浮かべながら、目から涙を流すのだった。
それを見たレアは唇を噛みながら必死に涙を堪える。
そしてレアは決して涙声にならぬよう懸命に堪えながら最後に大好きな『リーシャ』へと言葉を紡ぎ出す。
「り、リーシャ、大好き! 私を忘れないでね? バイバイ!」
――神域『時』魔法、『概念跳躍』。
そして魔法陣が回転して『魔法』が発動された瞬間、レアの姿は忽然と消えたのであった。
「う、ううっ……! うううっ! レアぁっ!! うわあああんっっ!!」
最後の言葉を聴いたリーシャは、レアが居なくなった直後に必死に我慢していた声をあげて泣いた。エイネはそんなリーシャを抱きしめたが、自身ももらい泣きをするのだった。
――こうして『フルーフ』を探しに『アレルバレル』の世界へ来た小さな魔族『レア』は彼女の世界『レパート』へと戻るのだった。
――彼女が主軸となる物語はこれにて終わりを告げて、再び物語は冒険者ソフィの時代へと戻る。
普段は長老の家に泊まっていたレアだったが、長老が何時までも帰ってこなかったために『エイネ』と『リーシャ』の二人で暮らしている家に、レアはお呼ばれされたのであった。
レアは眠い目をこすり起き上がろうとするが、自分の身体に重しがついているような感覚に囚われた。
「……んぅ?」
レアはその重しの正体を見て静かにふふっと笑う。
何とレアの身体を離すモノとかといわんばかりに、リーシャが絡みついていたのだった。
一緒の布団で昨晩は寝たのは覚えているが、まさかこんな風に抱き着かれているとは思わなかった。
「全く甘えんぼねぇ」
そう言ってレアは寝ているリーシャの顔を優しく擦る。
くすぐったそうに目を細めるリーシャを見たレアは嬉しそうに微笑む。
「あらあら、こうしてみると仲のいい姉妹ですねぇ?」
レアは部屋の襖を開けて入ってきたエイネを見上げる。
「おはようございます。レアさん」
「おはようエイネ」
「昨晩はよく眠れたようで良かったです」
そう言ってエイネはレアを見て微笑んだ。
「ええ。ぐっすり眠れたわよぉ? ありがとねぇエイネ」
エイネはいえいえと首を振って『レア』に未だに絡みついている『リーシャ』を起こそうとする。
しかしエイネがいくら引きはがそうとしても、無意識ではあるのだろうが『リーシャ』は必死にレアにしがみついて離れなかった。
「この子、本当に寝ているのかしら?」
エイネがそう言うとレアは大笑いをする。
「そのままでいいわよエイネ。最後だから……。起きるまではこうしといてあげて」
そう言ったレアの顔は少しだけ憂いでいた。
「レアさん……」
エイネはそのレアの顔に少しだけ泣きそうになりながら、そっとリーシャを掴んでいた手を離すのだった。
……
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その頃『ルビリス』から報告を受けた大賢者『ミラ』は、ダールの世界で思案顔を浮かべていた。
現在ダールの世界に拠点を構えるミラは、この世界の支配者である『イザベラ』を倒した。
この世界を支配したという魔王だったが、アレルバレルでは何処にでもいるような『魔族』より弱かった。
戦力値で表せば7億程度の大魔王で、ミラにとってみれば『ヌー』の言葉を借りるのであれば『ゴミ』だった。
しかしそれでも一つの世界を束ねた魔族であることには変わりがない。
表向きはまだ奴が支配者として活動をすることを許した。
この世界を裏で操っているのは、現在はミラとヌーではあるが、フロント支配者として『イザベラ』の名は世界に残してある。
まだ私の組織へ正式に加入させたわけではないが、奴は断る事はどうせしないだろう。
アレルバレルに残してきた残党が葬られた今、まだ『組織』としては行動すべきではないが、新しく『組織』へと勧誘をしたという『バルド』という男は、あの化け物の『魔王軍』の元幹部だと言う。
『第一次魔界全土戦争』から時が経ち、ミラの『組織』の配下は多くはなったが、それでも皇帝の時代に『ミラ』が組織していた魔法部隊より質は低下している。
野望を叶えるためにはもっと強い者達が必要だ。それも単なる兵士ではなく『同士』と呼べる者達がである。少なくとも『ルビリス』と同じレベルの者を組織に増やさなければ意味がないのである。
そこまで考えたミラは『バルド』という男が、本当に使えるかどうかをその目で確かめるため。再び『アレルバレル』へと向かう準備を始めるのだった。
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エイネの家で朝食を摂った後、レアは元の世界へ飛ぶために『概念跳躍』の準備に入った。
――リーシャ達との別れの時である。
「それじゃ世話になったわね。二人共、元気でね?」
「レアさんこそ、お元気で」
「レア! 私はレアがくるのを待ってるからね! いつでも来てね! 絶対だよ!?」
エイネとリーシャがそう言うと、レアは嬉しそうに笑った。
そこへいつの間に来たのか、ビル爺が姿を見せた。
「レアさん。金色に目覚めた貴方は研鑽を怠らなければ、いずれは本当の意味で、世界を支配出来る魔族になれる事でしょう。決して驕らず精進しなされ」
レアは目の前のビル爺がただの農夫ではないという事を薄々感じてはいたが、この時にようやく確信を持った。
「ええ! 見ていなさい? 私はもっと強くなって見せるわよぉ!」
そう言ってビル爺にウインクした後に、レアはエイネ達の顔を見る。
「じゃ、もう行くわね?」
レアが儚げにそう呟くと頑張って笑って送り出そうとしていた、リーシャの顔が歪み始める。
リーシャは必死に笑い顔を浮かべながら、目から涙を流すのだった。
それを見たレアは唇を噛みながら必死に涙を堪える。
そしてレアは決して涙声にならぬよう懸命に堪えながら最後に大好きな『リーシャ』へと言葉を紡ぎ出す。
「り、リーシャ、大好き! 私を忘れないでね? バイバイ!」
――神域『時』魔法、『概念跳躍』。
そして魔法陣が回転して『魔法』が発動された瞬間、レアの姿は忽然と消えたのであった。
「う、ううっ……! うううっ! レアぁっ!! うわあああんっっ!!」
最後の言葉を聴いたリーシャは、レアが居なくなった直後に必死に我慢していた声をあげて泣いた。エイネはそんなリーシャを抱きしめたが、自身ももらい泣きをするのだった。
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