最強の魔王が異世界に転移したので冒険者ギルドに所属してみました。
第401話 魔王レアの金色のオーラの体現
集落のある森でエイネと、この短期間で『真なる魔王』の領域に足を踏み入れたリーシャが手合わせをしている。
通常の状態で戦力値が4億を超えるエイネと『青』1.7を纏ってようやく、7200万程のリーシャでは戦いにすらなってはいないが、この手合わせの目的は相手の距離感を掴む為の対人戦の演習の延長である。
かつてリラリオの世界で『エリス』や『ラクス』もレアに手ほどきを受けて、この手合わせと同等の事が行われ続けて同じように強くなっていった。
いわば強くなる為の『基本研鑽演義』のようなモノである。
そんな二体が戦う横で『レア』もまた独自に研鑽を続けている。
すでに『基本研鑽演義』の延長上にあった『魔力コントロール』や、魔瞳『金色の目』を使った抑制術などといった基本戦術は、エイネから学び終えて今後は数百から数千年をかけて付き合っていかなければならない『青』やそのさらに上の領域の『二色の併用』の練度の研鑽を積み重ねていくことになる。
リラリオの世界に行くまでは、今の『リーシャ』と同じ『真なる魔王』の更に中の下程の強さだったレアだが、始祖龍キーリという目標が出来てからここまで、あっという間に強くなり『青』の練度を短期間で3.0以上までくることが出来た。
『二色の併用』までを独自に会得して見事に『キーリ』を打ち破る事には成功したレアだったが、一足飛びで強くなってしまった弊害で本来そこまで辿り着く間に色々と学ぶ筈であった『魔力』をスムーズに操り、いくら練度を上げても暴発せずに戦うという基礎の部分を疎かにしてしまっていた。
しかし今回レアは『アレルバレル』の世界にきたことによって、エイネという優しき魔族に出会う幸運を持っていたレアは、その『基本研鑽演義』の延長上にあった空白の部分を埋める事に成功したのであった。
今後如何に『青』の練度や『二色の併用』を用いた戦闘向上能力を身につけたとしても、魔力の暴走に困る事はなくなり、そして最後の手段と言えた『金色の目』を使って強引に抑え込む必要もないだろう。
家族の温もりを知らぬ代わりにレアは、常に正しき道に進ませる師匠の温情は得られた。
これを幸か不幸かを判断するのは難しいが、彼女が今後選択する道へ進む為の力を得られたことは幸運と呼んで差し支えないだろう。
レアは周囲の雑音を消して一呼吸する。目を閉じて瞑想を行い自分の魔力に語り掛けるように身体全身に『魔』を張り巡らせていく。
精神が研ぎ澄まされていく感覚を一身に受けながら、レアはゆっくりと両手の掌を上に向ける。
――『紅』1.2 『青』3.5からなる ――『二色の併用』。
迸る魔力は内から外へ魔力が暴走することはなく、魔力の余波は自身の体内に残す。
レアの目は『金色』を用いずに『淡い紅』である負担が少ない『紅い目』を使ってみせるのであった。
静かな熱を体内に宿しながら、周囲には一切余波を出しはしない。
リーシャと戦っていたエイネはその手を止めて、瞑想を続けながら恐ろしい魔力を宿すレアに視線を向けた。
動きを止めたエイネに不思議そうにしながら『リーシャ』も戦う手を止める。
まだこの段階の『リーシャ』では、通常状態の『レア』と今の『レア』の差は理解が出来ていない様子であった。
『漏出』を使えば分かるかもしれないが、現在のレアは一目見ただけでは『真なる魔王』程度の魔族から見れば、普段通りにしか感じられていないのだ。
「今のレアさんの『魔力コントロール』は、繊細でそして綺麗な魔力の移動が出来ているわね」
エイネはレアを見て、ぽつりとそう言葉を漏らした。
その状態を維持したままゆっくりと目を開けたレアは立ち上がる。
目の色は『淡い紅』から通常へ、そして『金色』へと変貌していく。
「え?」
そこでエイネはレアの成長ぶりに笑みを浮かべていたが、眉を寄せて驚きの声をあげる。
レアの目が変わった辺りから彼女の周囲を覆っている『青』と『紅』の二色が一層色が濃くなったかと思えば、その二色は同時に消え始めて、その後はうっすらと金色のオーラが纏われ始めたのである。
「……ぐっ!」
――その瞬間。レアは苦しそうな表情を浮かべたかと思うと、慌てて自身のその『オーラ』を消すのだった。
「ハァッ……! ハァッ……!」
レアはそれまで完璧にコントロールしていた『魔力』のバランスが崩れてしまい、大量の汗を流して立って居られずにその場で蹲る。
それを見たエイネ達は、慌ててレアの元に駆け寄っていき声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか! レアさん!」
「だ、だだ、大丈夫!? レア!!」
脂汗を額に浮かべながらも二人を安心させるように作り笑いを必死に作る。
「だ、大丈夫よぉ?」
完全に疲弊しきっていて何も大丈夫に見えないが、何かを掴んだのか嬉しそうな表情を見せるレアであった。
「レアさん、今のは一体?」
途中までは『二色の併用』の魔力コントロールをしていたレアだったが、最後の最後に『紅い目』から、一度通常になった時点で『二色の併用』を保持したままで『金色の目』に繋げたあたりから、信じられない魔力の上昇を感じたエイネであった。
そして見間違えでなければその後、彼女の周囲を纏うオーラの色が『金色』に変わりかけていたのである。
「さ、最初はいつものように精神統一をしながら『青』の練度を上げようと、魔力を全身へ移行させていたんだけど、いつもと違って凄い私の身体が軽く感じてねぇ? 何か、感じた事のない感覚が体の先にあって、何故か分からないけどそれを手にしてみたいって思って手を伸ばしたら、一気に魔力を持っていかれちゃったのよぉ。あれが何か貴方には分かるかしらぁ……?」
「えっと……。そ、それは、わ、私には、わ、分かりません」
そんな感覚はレアより遥か先の強さの領域に居る『エイネ』ですら味わった事は無い。
確かに調子のいい時という感覚は分かるし、確かにそう言う時に青の練度が上がる事はあった。
だが、今レアが告げたような、感じたことのない何かが、身体の先にあるという感覚はエイネは体現した事が無い。
「そう……。もしかしたら私が疲れてたから、そんな錯覚を覚えたのかもしれないわねぇ。今日の研鑽はここまでにしてもいいかしらぁ?」
そう言うレアは確かに精も根も尽きたと言わんばかりの表情を浮かべていた。
「ええ。今日はもうお休みになられてください。無理はしてはいけませんしね」
「ありがとぉ。貴方はもう少しリーシャの相手をしてあげてちょうだい」
このまま今日の修行が終わっちゃうかもと考えていた『リーシャ』だったが、そんなリーシャを横目で見たレアは、自分のせいでリーシャの研鑽の時間を削ぐのは、余りにも酷だと考えてそう口にするのであった。
気を使ってくれたと言う事を理解したリーシャは、レアに感謝の眼差しを向けるのだった。
そしてそんな嬉しそうなリーシャの視線に笑みを返した後、レアは確かな足取りを維持したまま集落へ戻っていった。
集落の入り口まで普通に歩いて見せていたレアだが、リーシャたちの姿が見えなくなったところで、ガクンっと体のバランスを崩してそのまま地面に倒れそうになる。
「……おっと!」
しかしレアの身体は地面に転がる事もなく、一体の魔族がクワを抱えたまま片手でレアを支えてくれた。
「……」
すでに気を失っているレアを見たその魔族のビル爺は、危ないところだったねぇと静かに呟いた。
「まさかこの子が、先天性の技法『金色のオーラ』を体現させちまうとはね。しかし今はタイミングが悪いねぇ」
そう告げるビル爺の顔はいつもの優しい顔ではなく、扱いに困ると言った悩ましい表情をしていたのだった。
……
……
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通常の状態で戦力値が4億を超えるエイネと『青』1.7を纏ってようやく、7200万程のリーシャでは戦いにすらなってはいないが、この手合わせの目的は相手の距離感を掴む為の対人戦の演習の延長である。
かつてリラリオの世界で『エリス』や『ラクス』もレアに手ほどきを受けて、この手合わせと同等の事が行われ続けて同じように強くなっていった。
いわば強くなる為の『基本研鑽演義』のようなモノである。
そんな二体が戦う横で『レア』もまた独自に研鑽を続けている。
すでに『基本研鑽演義』の延長上にあった『魔力コントロール』や、魔瞳『金色の目』を使った抑制術などといった基本戦術は、エイネから学び終えて今後は数百から数千年をかけて付き合っていかなければならない『青』やそのさらに上の領域の『二色の併用』の練度の研鑽を積み重ねていくことになる。
リラリオの世界に行くまでは、今の『リーシャ』と同じ『真なる魔王』の更に中の下程の強さだったレアだが、始祖龍キーリという目標が出来てからここまで、あっという間に強くなり『青』の練度を短期間で3.0以上までくることが出来た。
『二色の併用』までを独自に会得して見事に『キーリ』を打ち破る事には成功したレアだったが、一足飛びで強くなってしまった弊害で本来そこまで辿り着く間に色々と学ぶ筈であった『魔力』をスムーズに操り、いくら練度を上げても暴発せずに戦うという基礎の部分を疎かにしてしまっていた。
しかし今回レアは『アレルバレル』の世界にきたことによって、エイネという優しき魔族に出会う幸運を持っていたレアは、その『基本研鑽演義』の延長上にあった空白の部分を埋める事に成功したのであった。
今後如何に『青』の練度や『二色の併用』を用いた戦闘向上能力を身につけたとしても、魔力の暴走に困る事はなくなり、そして最後の手段と言えた『金色の目』を使って強引に抑え込む必要もないだろう。
家族の温もりを知らぬ代わりにレアは、常に正しき道に進ませる師匠の温情は得られた。
これを幸か不幸かを判断するのは難しいが、彼女が今後選択する道へ進む為の力を得られたことは幸運と呼んで差し支えないだろう。
レアは周囲の雑音を消して一呼吸する。目を閉じて瞑想を行い自分の魔力に語り掛けるように身体全身に『魔』を張り巡らせていく。
精神が研ぎ澄まされていく感覚を一身に受けながら、レアはゆっくりと両手の掌を上に向ける。
――『紅』1.2 『青』3.5からなる ――『二色の併用』。
迸る魔力は内から外へ魔力が暴走することはなく、魔力の余波は自身の体内に残す。
レアの目は『金色』を用いずに『淡い紅』である負担が少ない『紅い目』を使ってみせるのであった。
静かな熱を体内に宿しながら、周囲には一切余波を出しはしない。
リーシャと戦っていたエイネはその手を止めて、瞑想を続けながら恐ろしい魔力を宿すレアに視線を向けた。
動きを止めたエイネに不思議そうにしながら『リーシャ』も戦う手を止める。
まだこの段階の『リーシャ』では、通常状態の『レア』と今の『レア』の差は理解が出来ていない様子であった。
『漏出』を使えば分かるかもしれないが、現在のレアは一目見ただけでは『真なる魔王』程度の魔族から見れば、普段通りにしか感じられていないのだ。
「今のレアさんの『魔力コントロール』は、繊細でそして綺麗な魔力の移動が出来ているわね」
エイネはレアを見て、ぽつりとそう言葉を漏らした。
その状態を維持したままゆっくりと目を開けたレアは立ち上がる。
目の色は『淡い紅』から通常へ、そして『金色』へと変貌していく。
「え?」
そこでエイネはレアの成長ぶりに笑みを浮かべていたが、眉を寄せて驚きの声をあげる。
レアの目が変わった辺りから彼女の周囲を覆っている『青』と『紅』の二色が一層色が濃くなったかと思えば、その二色は同時に消え始めて、その後はうっすらと金色のオーラが纏われ始めたのである。
「……ぐっ!」
――その瞬間。レアは苦しそうな表情を浮かべたかと思うと、慌てて自身のその『オーラ』を消すのだった。
「ハァッ……! ハァッ……!」
レアはそれまで完璧にコントロールしていた『魔力』のバランスが崩れてしまい、大量の汗を流して立って居られずにその場で蹲る。
それを見たエイネ達は、慌ててレアの元に駆け寄っていき声を掛けた。
「だ、大丈夫ですか! レアさん!」
「だ、だだ、大丈夫!? レア!!」
脂汗を額に浮かべながらも二人を安心させるように作り笑いを必死に作る。
「だ、大丈夫よぉ?」
完全に疲弊しきっていて何も大丈夫に見えないが、何かを掴んだのか嬉しそうな表情を見せるレアであった。
「レアさん、今のは一体?」
途中までは『二色の併用』の魔力コントロールをしていたレアだったが、最後の最後に『紅い目』から、一度通常になった時点で『二色の併用』を保持したままで『金色の目』に繋げたあたりから、信じられない魔力の上昇を感じたエイネであった。
そして見間違えでなければその後、彼女の周囲を纏うオーラの色が『金色』に変わりかけていたのである。
「さ、最初はいつものように精神統一をしながら『青』の練度を上げようと、魔力を全身へ移行させていたんだけど、いつもと違って凄い私の身体が軽く感じてねぇ? 何か、感じた事のない感覚が体の先にあって、何故か分からないけどそれを手にしてみたいって思って手を伸ばしたら、一気に魔力を持っていかれちゃったのよぉ。あれが何か貴方には分かるかしらぁ……?」
「えっと……。そ、それは、わ、私には、わ、分かりません」
そんな感覚はレアより遥か先の強さの領域に居る『エイネ』ですら味わった事は無い。
確かに調子のいい時という感覚は分かるし、確かにそう言う時に青の練度が上がる事はあった。
だが、今レアが告げたような、感じたことのない何かが、身体の先にあるという感覚はエイネは体現した事が無い。
「そう……。もしかしたら私が疲れてたから、そんな錯覚を覚えたのかもしれないわねぇ。今日の研鑽はここまでにしてもいいかしらぁ?」
そう言うレアは確かに精も根も尽きたと言わんばかりの表情を浮かべていた。
「ええ。今日はもうお休みになられてください。無理はしてはいけませんしね」
「ありがとぉ。貴方はもう少しリーシャの相手をしてあげてちょうだい」
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気を使ってくれたと言う事を理解したリーシャは、レアに感謝の眼差しを向けるのだった。
そしてそんな嬉しそうなリーシャの視線に笑みを返した後、レアは確かな足取りを維持したまま集落へ戻っていった。
集落の入り口まで普通に歩いて見せていたレアだが、リーシャたちの姿が見えなくなったところで、ガクンっと体のバランスを崩してそのまま地面に倒れそうになる。
「……おっと!」
しかしレアの身体は地面に転がる事もなく、一体の魔族がクワを抱えたまま片手でレアを支えてくれた。
「……」
すでに気を失っているレアを見たその魔族のビル爺は、危ないところだったねぇと静かに呟いた。
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